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ミステリの祭典

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すみせごの贄
比嘉姉妹シリーズ(番外編含む)

作家 澤村伊智
出版日2024年03月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 人並由真
(2024/05/06 06:10登録)
(ネタバレなし)
「比嘉姉妹シリーズ(正確には、比嘉姉妹がいる世界観での連作シリーズ)」の短編集第三弾。

 今回は6本収録。

「たなわれしょうき」
……「僕」こと不登校の中学生・稲葉翔太は、父の指示でフリーライターの野崎崑に同行。ある村で彼の取材の助手を務めるが……。

「戸栗魅姫(とぐり みき)の仕事」
……「私」こと、中野に事務所謙店舗を構える霊能者・戸栗魅姫は、兵庫の老舗旅館「六輔光陽閣」を訪れた。だがそこで私は、二人の少女とともに不思議な体験に遭遇する。

「火曜夕方の客」
……高円寺の駅近くに、幾原青年が開いたカレー店「いくお」。そこには毎週の火曜日に奇妙な客があった?

「くろがねのわざ」
……80年代の日本映画界に、伝説的な仕事を残した特撮美術アーティストの鉄成生(くろがねなるお)。彼にはある秘話と、そしてジンクスがあった。

「とこよだけ」
……「俺」ことフリーライターの野崎崑は、先輩の心霊ライターの築井とともに、いわくのある四国周辺の小さな孤島・床代(とこしろ)島に向かうが……。

「すみせごの贄」
……「わたし」こと羽仁鈴菜は、元・銀座の高級料亭の料理長だった父・孝夫とともに、田舎で料理教室を開いていた。そして今日は不在の父のかわりに、実技講師の辻村ゆかりを迎えるが……。

バラエティ感に富んだ怪談連作。個人的に、ホラーショッカー度が特に高いと思うのは「とこよだけ」。ちなみにこれはできるなら本シリーズの現状までの長編をひととおり読んでからの方がいい……かも? 表題作はミステリ的な要素が強く、ちょっと感じが違うような……あんまり言わない方がいいね。
 シリーズファンなら、世界観の広がりも含めて、買いの一冊。

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