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ミステリの祭典

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時のアラベスク

作家 服部まゆみ
出版日1987年05月
平均点6.33点
書評数3人

No.3 6点 ボンボン
(2016/01/14 17:35登録)
著者のデビュー作。ロンドン、ブリュージュ、パリなどを舞台に、美術や文学が背景を彩る独特の雰囲気で美しく書き上げられているが、今となってはちょっと恥ずかしい80年代っぽさや少女漫画っぽさがチラついて、多少むずがゆい部分も。この著者の力量からしたら、完成度としてあともう一歩のところで、すごく惜しい感じ。
それでも、次から次と続発する事件について解き明かされた真実は、なかなか良かった。動機や手口の一つ一つはあまり珍しいものではないが、途中いろいろな見方ができ、どの筋の話かと思っていると、まさに一連の「アラベスク」が完全にバラッバラにほぐされる結末で、お見事だった。
しかし、随分たくさんの人が死んでしまう。推理小説としての人死になのに、なんだか悲しくなるところが、この著者の人間味か。

No.2 8点 蟷螂の斧
(2012/03/12 09:09登録)
これがデビュー作とは思えません。文章が美しい。情景が目に浮かぶ。人の心の闇を見事に描いています。まさか、この人が犯人?と思わせ二重三重の罠が仕掛けれれています。著者の作品は3冊目ですが、2007年、58歳で逝去されており、単行本は10冊程度らしいので、残りを読破したいと思います。

No.1 5点 Tetchy
(2008/05/25 19:35登録)
本書がデビュー作にて横溝正史賞受賞作。
とても新人とは思えないゴシックに彩られた文体、西洋芸術への芳醇な知識に圧倒されたのだが、意外と本作で用いられたトリックは凡庸。
しかも犯人もすぐに解ってしまったし(アナグラム、あからさま過ぎです)。
少女マンガ好きには堪らないミステリかも?

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