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ミステリの祭典

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TON2さんの登録情報
平均点:5.65点 書評数:330件

プロフィール| 書評

No.330 4点 伊賀忍法帖
山田風太郎
(2013/04/01 18:48登録)
講談社文庫
 昭和39年の作品で、エログロ満載です。
 松永弾正・根来忍法僧VS伊賀忍者・笛吹城太郎の対決です。
 いつもながら、荒唐無稽で物理法則など無視した超絶な忍法をよくも思いつくものだなと感心しました。


No.329 7点 猫丸先輩の推測
倉知淳
(2013/04/01 18:39登録)
講談社文庫
 「夜届く」「桜の森の七分咲きの下」「失踪当時の肉球は」「たわしと真夏とスパイ」「カラスの動物園」「クリスマスの猫丸」の6編。
 殺人事件がおこらない、ほのぼの日常系ユーモアミステリー。題名が推理ではなく推測となっているように、事件を解決するわけではなく、不思議な日常の出来事に対して、猫丸先輩が筋道だった理由を推測kする物語です。だから推測が本当の事実かどうかは分かりません。


No.328 8点 触身仏
北森鴻
(2013/04/01 18:35登録)
新潮社
 蓮杖那智シリーズの第2弾。「秘供養」「大黒闇」「死満たま」「触身仏」「御蔭講」の5編。
 第1弾の「狂笑面」は民俗学的内容の薀蓄がイマイチでしたが、この本は馬鹿に面白かったです。那智の助手の三国がからむ事件はそこそこでしたが、大学の研究室の雰囲気と民俗学的考察がつぼにドンピシャリとはまりました。体調がよかったせいかな?


No.327 5点 8の殺人
我孫子武丸
(2013/04/01 18:30登録)
講談社文庫
 8の字屋敷を使ったトリックは分かりやすいものでした。ユーモアミステリーということですが、文章がまだ幼い感じがして、殺人事件の謎解きという緊張感に欠けました。カーばりの密室講義も退屈でした。
 文庫末の島荘の「本格ミステリ宣言」が拾い物でした。


No.326 6点 奇蹟審問官アーサー 神の手の不可能殺人
柄刀一
(2013/03/25 18:44登録)
講談社NOVELS
 探偵役が、カトリックの聖者・福者に列するために奇蹟の調査を行う、バチカンの奇蹟審問官アーサー・クレメンスです。
 奇蹟と思われたのが実はトリックだったと暴いていくわけですが、このトリックが普通のミステリーよりひとひねりしていると思います。ただトリックが明らかにされるたびに、宗教がらみの不可思議さが薄れていくのは残念でした。
 カトリックからは異端視されるグノーシス主義についてもふれられており、この点は個人的趣味にどんぴしゃりでした。


No.325 8点 甲賀忍法帖
山田風太郎
(2013/03/25 18:36登録)
講談社文庫
 甲賀・伊賀の10人どうしの忍者の死闘。カメレオンのような擬態や他人のデスマスクによって顔を変えるなどの超絶な秘術を持つ忍者は、一人ひとりは無敵な術者ですが、戦闘のトーナメントによって次々と倒されていきます。絶対的な強者が存在せず、Aを倒すがBには敗れるの繰り返しで、作者のストーリーテリングのうまさを感じます。
 昭和40年代の私が熱中した横山光輝の漫画「伊賀の影丸」もまさにこのような内容で、ルーツはここにあったと知りました。


No.324 8点 すべてがFになる
森博嗣
(2013/03/25 18:29登録)
講談社NOVELS
 S&Mシリーズを読み終えて再読して、実によくできた作品だと感心しました。「天才」という概念には今一つシンパシーを感じないものの、このシリーズの世界観が的確に描かれています。また、デビュー作にありがちな、人間関係や設定の過剰な説明もなく、リーダビリティにも優れています。
 理系ではないので、トリックは全く分かりませんでしたが、肉親の死というものにも冷静・冷酷に対する真賀田四季という人物造形は素晴らしいと思います。
 真賀田博士は、萌絵のことを「頭の回転が速い」と、犀川助教授のことを「頭の回転は遅いが、指向性が抜群」と評しています。なるほど。


No.323 7点 亜智一郎の恐慌
泡坂妻夫
(2013/03/21 18:53登録)
双葉社
 「雲見番拝命」「補陀落往生」「地震時計」「女形の胸」「ばら印籠」「薩摩の尼僧」「大奥の曝頭(しゃれこうべ)」の7編。
 亜愛一郎のご先祖で江戸城雲見番の智一郎の活躍です。時代は13代将軍家定、14代将軍家茂で、機転はきくが小心者の智一郎は、その能力から将軍直属の隠密を命じられ、仲間とともに探索にあたります。
 どの話もほんわかとした感じで、作者のうまさが目立ちます。気持ちよく読めました。
 


No.322 7点 殺人鬼
綾辻行人
(2013/03/21 18:47登録)
新潮文庫
 全くのスプラッタで人によっては好みが分かれるでしょうが、私は面白かったです。次々と殺人鬼に襲われ殺されていく場面が、痛そうで爽快でした。最後に付け足し程度にミステリの味付けもあります。
 日頃、トリックだロジックだとばかり考えていると、こういうぶっとんだような作品も書きたくなるのだろうと理解しました。


No.321 6点 夜歩く
ジョン・ディクスン・カー
(2013/03/21 18:43登録)
創元推理文庫
 アンリ・バンコランを探偵とするカーの処女長編で、20世紀初頭のパリでの密室トリックを扱っています。
 犯人とおぼしき者が整形し、狙われている公爵はしゃべれないはずの英語をしゃべり最近使用人に暇を出したとくれば、〇〇トリックには気づきます。
 また密室トリックも偶然が左右し、それほどキレのいいものとはいえません。
 作中2人が殺され、消去法で犯人も目星がつきます。
 


No.320 4点 空海 七つの奇蹟
鯨統一郎
(2013/03/14 18:41登録)
NONNOVELS
 ぼろをまとった修行僧・真魚(後の空海)が、四国で大剣を飛ばしたり、死んだ子どもを蘇生させたり、離れた場所から額に文字を書くなどの奇蹟を起こします。
 しかしこの奇蹟は皆トリックだったというのですが、それが少々ショボイ内容で、お手軽ミステリーです。


No.319 4点 凶笑面
北森鴻
(2013/03/14 18:36登録)
新潮社
 この作家の作品を初めて読みました。
 探偵役が、民俗学の女性大学助教授で中性的な魅力を持つ蓮杖那智。事件が民俗学にかかわるとくれば、薀蓄が京極堂や桑原崇ばりにとうとうと語られると楽しみにしていましたが、ストイックでニヒルな主人公は雄弁ではなく、期待はずれでした。内容も理解できないものもあり、イマイチ。


No.318 8点 霧越邸殺人事件
綾辻行人
(2013/02/28 18:52登録)
新潮文庫
 吹雪の山荘、童謡の見立て殺人、最後に探偵が一室に関係者を集めての謎解きとくればミステリーの王道で、十分楽しみました。
 犯人の1人は、あまりにも幼稚なひっかけに気づいたため分かりました。殺人の動機は観念的で弱いと思います。
 登場人物の名前が不自然なほどかわったものだったのは、言葉遊びだったんですね。


No.317 7点 皇帝のかぎ煙草入れ
ジョン・ディクスン・カー
(2013/02/28 18:48登録)
嶋中文庫
 古典的名作ですが、それほどとは感じませんでした。イヴと向かいに住む婚約者トビーの痴話げんかがばかばかしく思えました。殺人の犯人にも意外性はありませんでした。


No.316 5点 すべての美人は名探偵である
鯨統一郎
(2013/02/28 18:44登録)
光文社文庫
(ネタバレ)
 ユーモアミステリー。トリックも、アリバイが映写機を使ったビデオと後催眠による〇〇というのではイマイチです。
 歴史の謎の「ずいずいずっころばし」が徳川家光の秘密を表しているというのも牽強付会です。


No.315 8点 乱れからくり
泡坂妻夫
(2013/02/18 18:56登録)
角川文庫
 再読ですが内容は全く忘れていました。ミステリを読む楽しみは、トリックの意外性、トリックを見破った時のあるいは見破れなかったとしてもうまくだまされたという快感だと思いますが、この作品は最後のパターンでした。
 古今東西のからくり人形や仕掛けに関する薀蓄が盛りだくさんで、これだけでも楽しめますが、これがトリックの伏線でした。
 いつも手の込んだ仕掛けをするこの作者だから、最初の隕石落下による事故はトリックだとずっと思っていましたが、無駄な深読みでした。


No.314 5点 長い家の殺人
歌野晶午
(2013/02/18 18:49登録)
講談社文庫
 トリックのアイデアを島荘が激賞しているそうですが、さすがに途中で分かりました。「長い家」における人間の錯覚を利用したものですが、人間の感覚はそんなに甘いものではないと思います。
 「暗号」は音楽的知識が皆無なので全く分かりませんでした。したがって動機もつかめませんでした。(犯人は途中で察しがつきましたが)
 学生バンドのメンバーが出てきますが、青春の輝きというものが感じられず、誰にも感情移入できませんでした。


No.313 3点 宇宙神の不思議
二階堂黎人
(2013/02/13 18:53登録)
角川文庫
 UFO、宇宙人による誘拐、怪しげな新興宗教団体とくれば大好きなものばかりで期待しましたが、結末はありきたりで、驚くようなトリックも論理の飛躍もありませんでした。
 登場人物のキャラ萌えを狙っているようですが、その面も今一つ入り込めませんでした。
 いかんせん700ページ超は長すぎる。200ページは削れます。


No.312 5点 柳生忍法帖(上・下)
山田風太郎
(2013/02/13 18:49登録)
講談社文庫
 冒険活劇時代小説。7人の女たちの藩主への復讐に、柳生十兵衛が力を貸します。相手は恐るべき忍法の遣い手「会津七本槍」。しかし、十兵衛が直接手を下すことが禁じられているというところで一つの枷がかかっています。


No.311 7点 沈黙の教室
折原一
(2013/02/13 18:44登録)
ハヤカワ文庫
 前半の沈黙の教室を描く部分はホラーのような雰囲気で10点ものでしたが、最後の結末が尻切れトンボで後味がすっきりしませんでした。
 大きなトリックがあるわけではなく、誰が恐怖新聞を発行していたのか、誰が殺人を行った犯人なのかというフーダニットだけが興味の対象でした。
 最後に恐怖新聞を発行し「粛清」を行っていた生徒が分かりますが、いじめゆえに辞職した当時の担任教師は20年が経過したからといって、それですむのでしょうか。

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