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ミステリの祭典

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長い家の殺人
探偵信濃譲二シリーズ

作家 歌野晶午
出版日1988年09月
平均点4.87点
書評数62人

No.62 5点 虫暮部
(2020/06/30 11:44登録)
 小説に登場するバンドマンに説得力を感じたことはあまり無い。作者は音楽に詳しくない読者も想定して書くから、CDのライナー・ノーツや音楽雑誌の記事とは拠って立つところが違うのは止むを得ない。私の得意分野である故に却って相性が悪い、と言う皮肉だ。そんなわけで本作もキャラクター的な部分でいまひとつ乗れず。
 第二章で引用される“If I'm not back again...”はクイーン「Bohemian Rhapsody」。“Mama, just killed a man...”てな歌だからミステリに相応しいかも。
 
 揚げ足取り。最初の殺人で、'54年のストラトキャスターを納めたギターケースの行方が判らなくなり、死体のある部屋で発見された。ところが中身を確認する描写が一切無いまま、いつの間にか“ギターは無傷で戻ってきた”と周知の事実のように地の文でサラッと語られている。ケースそのものの状態は? ピック等の小物類は取られていない? 作者はそういう確認が不要だと知っていたので、ついそこを疎かにしちゃった。だってそのケースは実はおっとネタバレ。

No.61 4点 mediocrity
(2019/08/04 03:33登録)
1つ目の殺人のトリックがわかりやすすぎるのはともかく、2つ目の殺人はさすがにもう少し何かあるのかと思っていた。あの部屋数であれはちょっと無理があるでしょう。
この方のデビュー作ということで、推理小説に対する愛情とか熱意は伝わって来ます。ゆえにあまり低い点数は付けたくないのですがそれでもこの点数が限界。

No.60 2点 ねここねこ男爵
(2017/10/29 05:54登録)
個人的に読んだ推理小説の中で最もつまらなかった作品。

見取り図どころかタイトルだけでトリックが分かる…のはいいとして、すべてがミステリあるあるの継ぎ接ぎでだいぶダメ。
なんと言うか、『ミステリオタクが有名作をあれこれパクって自信満々でオリジナルだと言いはってる』感。解説を読むと作者はトリックを見破られたのが相当ショックだったそうで、嘘でしょ?と思った。
登場人物もまるで魅力がなく、ミスリードも見え見えで、あんな暗号作るもんか。
こういう未熟だけど一生懸命さがある作品には寛容でありたいんだけど、本作は漂う作者のナルシスっぷりがどうしてもダメだった。

No.59 6点 nukkam
(2016/07/04 13:07登録)
(ネタバレなしです) 歌野晶午(1961年生まれ)のデビュー作が1988年発表の本書です。謎解き一本槍の本格派推理小説で小説としての面白さを追求する余裕はまだありませんが謎の盛り上げ方やフェアな手掛かりの配置には既に確かな技術を示しています。それにしても探偵役の信濃譲二は「人を小馬鹿にしたような態度、気まぐれな性格、詭弁家のような語り口」と(嫌われ者の戸越に言わせるぐらい)癖のあるキャラクターを採用したものですね。シリーズ探偵としては短命に終わったのも仕方ないと思います。

No.58 5点 青い車
(2016/02/25 14:55登録)
『葉桜の季節~』が高く評価された歌野晶午さんのデビュー作。新本格勢の中には綾辻、麻耶といったインパクトの強い作品でデビューを飾った人と、有栖川、法月といった地味な作品でデビューした人の両方がありますが、歌野さんは後者だと感じます。
トリックは大がかりなだけに却ってわかり易く、かつ緻密さが伴っていないのが残念。この危なっかしい工作が二度連続で成功するとはちょっと思えません。あと、何より全体に漂うドライな雰囲気も好みでないです。若者ばかり出てくるわりに殺人動機がダーティ過ぎるところ、探偵・信濃譲二のエキセントリックに過ぎるキャラクターもマイナスポイントです。
しかし、有栖川さんが鮎川哲也氏に発掘された同様、この作者が本作のプロットから島田荘司氏に才能を見出されたという経緯には驚きました。後の作者の大活躍を予見していたとしたら凄まじい眼力です。

No.57 5点 ロマン
(2015/10/20 16:50登録)
トリックは見取図で見当がつく。長い廊下と壁に非常口がないこと、ギリシャ文字も逆効果。泥棒が壁を汚す記載でほぼ確定。彼に睡魔が出た時点で被害者だと見当もつく。「部屋にいくのか?」の一言で奴が既に容疑者っぽい。知性が高い描写と酒を持参したことも怪しい。トリックを仕込むタイミングでの動きでほぼ確定。その為、鞄のミスリードも回避しやすい。第二の犯行は動機が隠蔽行為で手法も同じと判断可能。アレが動機なのも探偵役の無駄な描写で予測可能。暗号は怪しいとは思ったがやられた。叙述の部分はやられた。

No.56 7点 斎藤警部
(2015/07/07 18:29登録)
青臭くて嫌いな類の文体にも関わらず、このお話は面白かったんだよなぁ~ 何がそんなに良かったんだろう? 大胆過ぎる一本勝負のトリックか? 「マリ」の目くらましか?? 

No.55 7点 名探偵ジャパン
(2014/08/23 08:47登録)
皆さんご指摘の通り、見取り図を見ただけでトリックを看破できるという珍しい作品。作者デビュー作ということで、これでよく何かの賞を取れたなと思ったのだが、島田荘司の推薦だったとは。本作刊行の1988年には、まだこれが「驚愕のトリック」として成立していたのか?
また、やはりここの方々の書評はまことに的確で、まさに、ミステリ好きが書いたミステリ、という匂いがそこかしこに溢れている。
本編以上に興味深く面白いのは、新装版冒頭の作者の言葉と、巻末の島田荘司の「薦」で、歌野晶午誕生秘話が語られる。
全面的に直そうかとも思ったが、当時の気持ちまで消えてしまいそうで、やめたという作者の思い。いきなり押しかけてきた作家志望の青年を迎入れる島田の懐の深さ。(全く正反対のイメージがあった。問答無用で門前払いするような。島荘やさしい。御手洗潔のようではないかw もっとも、音楽に無知識であったら、島田に追い返されていたようだが)今では考えられない、古き良き時代のおおらかさに触れた。
作品自体は4点、作者の思いに1点、島荘の「薦」に2点で計7点をつけた。

No.54 4点 ayulifeman
(2014/06/28 22:09登録)
短編でよかったのではと思いました。
ただ最後まで読むのつらいなとは感じなかったので嫌いな作家さんではない、とは確認できました。
シリーズ読んでみよっと、と次に期待できる感アリ。

No.53 4点 アイス・コーヒー
(2014/04/14 19:05登録)
著者デビュー作にして、「家」シリーズ第一作。
実に新本格的な作品だが、トリックが分かりやすすぎる事は否めない。本格に手慣れた読者ならすぐに気付いてしまうだろう。そして、そのトリックが主題となっている以上、期待を持ちすぎるとガッカリしてしまうだろう。
本作の見どころを挙げるとするならば、やはり名探偵役の信濃譲二のキャラクターだろうか。語り手の一之瀬徹が優柔不断で典型的な愚かなワトソンである一方で、信濃は歯に衣着せず、事件を瞬時に解決してしまう。彼によって作品のメリハリがつけられ、読んでいて飽きることはなかった。
ところで、歌野氏の才能を見抜いた島田荘司氏の慧眼には驚かされた。

No.52 4点 ボナンザ
(2014/04/07 16:06登録)
トリックがすぐにばれてしまうのが難点。島田氏の解説によるとそれでも改善されたらしいのだが。

No.51 4点 ナノ
(2013/07/10 17:11登録)
「葉桜~」の驚嘆から半年、この度歌野氏のデビュー作に挑戦してみました。
本格というに相応しい作品でしたが、トリックはどうにも微妙ですね。
というのもトリックのための条件が「長い家」であること意外にもありすぎて、苦笑いしか出ませんでした。
さらに偶然要素が必要なのはもうトリックといえるのかって感じです。
ご都合主義に塗れた某バーローの小説版といった印象でした。

No.50 6点 バード
(2013/06/09 10:59登録)
容疑者の人数が無駄に多くなく犯人当てやトリック当てをする気になれたのは良かった。ただトリックはかなり簡単な部類だと思ううえゲミニーハウスの部屋数ならまだしもライブハウスの方では流石に気づかれるだろうと・・・。
まぁ楽しめはしたのでこの点数で、5点かどうかでは迷うところだが。

No.49 4点 イガ者
(2013/04/19 02:55登録)
歌野氏のデビュー作。
この人の作品はまだ未読だったのでBOOK OFFで購入し、早速読んでみた。
感想からいうと・・・う~ん、あんまりこういう事は言いたくないけれど、処女作って感じがしました。
まず、人物のセリフが固い。この作品に出てくる人物の大半は大学生です。青春まっさかりです。なのに、活気がない。どこか冷めている。特に終盤、探偵役のジョージが犯人の犯行をあばいているすごく緊迫した場面でイキナリ「~のだ。」
と出て来た時なんか思わずズッコケました。
次にトリックですが、最初の殺人で、「う~ん、・・・ゲミニー・ハウスの構造からして・・・あの方法を?・・・イヤイヤ、島田さんが推してる位だからそんな単純なトリックな訳・・・」ありました。
しかも、かなりギリギリです。第二の殺人なんぞ、もはや運です。ラッキースケベならぬラッキーキルです。
それから、ミステリーのドラマ性を盛り上げるスパイスというべき「犯人の動機」ですが・・・どこからどうみても「自業自得」です。ありがとうございました。
おっと、それからこの物語の探偵役である「彼」についての感想ですが・・・
ぶっちゃけた話、あまりお近づきになりたいタイプではありません。彼が今回の事件の解決に乗り出した理由も、「面白そうだから」という身も蓋もないもの。(まあそんな人ミステリーにはごまんといますが)しかも犯人の家にけしかけ一方的に上がり込み、一方的にまくしたてて論破し、フォローもなしに一方的に帰って行きます。バーローくんでももう少しフォローしてますよ?(まあしかし、犯人の動機を考えると同情の余地はないのだが)
途中、何回もページをめくる手が止まってしまい、途中は半分義務感で読んでいました。
・・・などなど首を傾げるてんはありますが、それに呑まれない魅力があるのも確か!
まずは、さっき散々こきおろしたトリックですが・・・
「王道」物です。それ故に、新鮮味はうすれますが、あえてその「食材」をうまく「調理」してやる!という作者の意気込みが感じられます。そして、プロローグの犯人の独白と戸越クンの(不遇の)新曲。一見なんのつながりも無いこの二つのてんがつながったのには、思わず「やられた・・・!」と笑みがこぼれました。
デビュー作故の未熟さは否めないものの、それをものともしない歌野氏の「ミステリーへの真摯な姿勢」を読みながら感じ、「他の作品も読みたいな」と思わせてくれました。
氏の他の作品も、いつか読んでみたいと思います!

No.48 5点 TON2
(2013/02/18 18:49登録)
講談社文庫
 トリックのアイデアを島荘が激賞しているそうですが、さすがに途中で分かりました。「長い家」における人間の錯覚を利用したものですが、人間の感覚はそんなに甘いものではないと思います。
 「暗号」は音楽的知識が皆無なので全く分かりませんでした。したがって動機もつかめませんでした。(犯人は途中で察しがつきましたが)
 学生バンドのメンバーが出てきますが、青春の輝きというものが感じられず、誰にも感情移入できませんでした。

No.47 6点 ミステリ初心者
(2012/07/28 12:09登録)
 面白かったです。ただ、ミステリファンなら、地図を見ただけである程度予想できるような気がします。それに、少しだけ強引なトリックかなと思ったりします。

 斜めの屋敷より、長い家のほうが全然面白い

No.46 6点 スパイラルライフ
(2012/02/07 15:19登録)
探偵役に違和感。やや超人の度合が強い。
肝のトリックを二回も駆使するのも興が覚める。

ただデビュー作ならではの詰め込み方(冒頭とか)は好感もあり、本格ミステリの構成は整えています。

No.45 5点 蟷螂の斧
(2012/01/15 10:36登録)
著者のデビュー作。プロローグからミスリードしますよと力が込められているのが初々しいです。トリックは、題名から推測されやすいと思いますし、またA7のコードに関するメッセージはかなり苦しい感じがしました。しかし、本格へ取り組む姿勢みたいなものは感じることができました。

No.44 5点 spam-musubi
(2011/11/15 18:38登録)
うーん、途中までの謎が謎を呼ぶような展開はよかったが、最後で肩透かし。
突然でてきた人物があっけなく謎を解いてしまい、その犯人も想定内。
犯人との対決の場面も、まだ残りページが結構あったため、「どんでん返しが
あるのかな?」と疑ってしまったくらいあっけなかった。

犯行方法については、デビュー作らしい無駄に凝ったもので、これはこれで
印象に残った。1点プラス。

No.43 5点 モグ風
(2011/09/08 06:20登録)
ネタバレ含む

ライブ会場の楽屋の殺人は部屋数の関係上ちょっと無理があると思った。
これはなんというかトリックがすぐにわかったのでちょっと期待はずれたかな。
大胆なトリックが好きな人にはおすすめ

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