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ミステリの祭典

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ナノさんの登録情報
平均点:6.19点 書評数:48件

プロフィール| 書評

No.48 2点 時限絶命マンション
矢野龍王
(2014/03/22 23:10登録)
あ、これはひどいなっていうのが感想ですね。
ご都合主義に塗れた戦略(と言っていいのか?)や展開のオンパレード。
例えば皆が皆あっさり見つかる位置に人形を放置していくこと。せめて部屋に忍び込めたなら少しはどこかに隠せと思いました。時間稼ぎも大切な要素ですし。
あと、ベランダの仕切りは普通破るでしょ、そう造られてますし。マンションを舞台にしておいてこれかと。
その他、途中からページを捲るたびに一つは疑問が出てくる始末です(些末な点にも敏感になっていたのは否定しません)
オチもなんだかなぁって感じで、定価で購入していたら相当ヘコむことになったかなぁ。


No.47 5点 極限推理コロシアム
矢野龍王
(2014/03/20 00:49登録)
こういう殺人ゲームモノは定期的に読みたくなりますね。
これもそのジャンルの王道という感じでスラスラと読めました。
以下ネタバレ含みます。


途中から館の位置関係についてわかってしまったため、そこからのスリルはあまり体験できませんでした。
それに、ボリュームは大きくなっても良かったので両方の館での心理戦をもっと描いて頂きたかったです。
中盤以降、両者の騙し合いが見れなくなったのが残念でした。
それ以外は概ね満足ですし、最後の終わり方も余韻があって好きですね。


No.46 6点 隻眼の少女
麻耶雄嵩
(2014/03/20 00:42登録)
翼ある闇を読んだ時、この人はもうやめとこうかなぁと思っていましたが、古本屋で安く見つけたため購入してしまいました。
以下ネタバレ含みます。


そんなマイナス寄りのイメージからスタートしたので、案外楽しめたのが正直な感想です。
トリックについては、死の偽装だったり腹話術に都合のいい動物と正直いってお粗末です。自ら推理しながら読む方には我慢ならないでしょう。
ですがそれを補うだけの予想外な展開と、常日頃思っていた手掛かりへの懐疑性、つまりは手掛かりを無条件で信用してしまっている作品に対して一石を投じた内容であったことが良かったかなと感じました。


No.45 8点 和菓子とアン
坂木司
(2014/03/13 10:49登録)
和菓子ミステリという新鮮な響きに惹かれて購入。
ただの和菓子屋ではなく百貨店の和菓子屋ということで人間模様がより豊かな広がりをもって描かれており、またお店で働く面々のキャラも際立っています。

謎については和菓子の業界用語や由来に依拠したものが多くワンパターンな気もしましたが、そこは新たな知識を収集できた満足感とで相殺。物足りなく感じるのは本物の和菓子職人さんくらいでしょう。

ちなみに主人公は同作者の「切れない糸」の舞台であるクリーニング屋で働く松竹梅トリオの1人、梅本さんの娘。世界観も共有しており、向こうを読んでいればより楽しめることでしょう。


No.44 4点 空飛ぶ馬
北村薫
(2013/12/17 13:42登録)
純文学的な文体がどうしても合いませんでした。
日常の謎を扱っているのにどうしても日常感を見出せない。そうさせているのは気の利いた言い回しが鏤められていたことです。
いやまぁ、この作品は「日常の謎」というジャンルの先駆けですので、後付けされた日常の謎の定義を几帳面に当てはめるのもおかしいかもしれません。
ともかく、私はミステリと純文学は切り離して考えておりますので、どうしてもトリックなどがスラリと入ってきてくれませんでした。
もちろん、そういった嗜好の垣根を取り払ってどんな本でも楽しめるようにはなりたいのですがね。


No.43 3点 青空の卵
坂木司
(2013/12/07 01:51登録)
同じく坂木氏の「切れない糸」がなかなか良かったのでこちらも試してみました。

流れとしては、日常の軽い謎を解決しつつ、探偵役鳥井と坂木の友情、また広がっていく人同士の繋がりを描くといったものです。
しかしこの友情とやらが全く感情移入できないものでした。
とにかく2人の関係が現実世界に置き換えられない。恋人かとツッコみたくなるような場面の応酬にげんなりです。
唐突な涙や度を越した友情の描き方が、中高生が書く携帯小説のように思えてなりません。
実際デビュー作ということで仕方ない部分もあったのでしょうが、今言えるのはこちらを先に読まなくて良かったということです。
こちらが先であれば、この作者の本には手をつけなくなっていたでしょうから。


No.42 7点 儚い羊たちの祝宴
米澤穂信
(2013/11/07 17:01登録)
インパクトを備えた作品が揃っており、
「玉野五十鈴の誉れ」が最も強烈なそれを携えておりました。
最後の1文を読んだときは少々フリーズしてしまいました。

他の話も、オチが読めてしまうような部分もありながら、少々現実離れしたダークな世界観で、純度の高い「読書」の時間を与えてくれたかなと思います。


No.41 5点 麦酒の家の冒険
西澤保彦
(2013/10/19 07:15登録)
短編でもいけそうな内容を引き延ばした作品とでも言いましょうか。
それが重厚な内容に貢献できていたりすればいいのですが、多くのページは見当外れの推理とそれの論破。
削っても問題ない箇所は多大にあったように感じます。
ビールは呑みたくなりました。もちろんヱビスです。


No.40 8点 星降り山荘の殺人
倉知淳
(2013/10/10 17:56登録)
ここに集う方々にとってはかなり分かり易かったトリックなのですね。現にレビューの多くに見破ったという内容が含まれていますし。
私はカタルシスとサプライズがあれば満足な人間ですので、こちらの作品は非常に楽しめる物でした。
442ページの衝撃、久々にあの感じを味わうことができました。
爽快な後読感と共に、レビューと致します。


No.39 9点 クリムゾンの迷宮
貴志祐介
(2013/10/06 16:05登録)
一気読みは久々。それだけ読者を引き込ませる作品。
実在の舞台、存在しうる生物によるサバイバルゼロサムゲーム。これだけでも読書欲が掻き立てられるのに、それを満足させてしまう内容にただただ脱帽です。
私の中のホラー作品のオススメにおける貴志作品率がまたアップ致しました。


No.38 6点 幻惑密室
西澤保彦
(2013/09/18 16:52登録)
ミステリとSFの融合、西澤氏の開拓意欲が伝わります。
本来ならタブーである超能力をミステリの材料とし、謎の部分は間違いなく本格そのもの。
設定がややこしい分その解説も厄介で、凶器の話をはじめ、幾つかの情報説明は頃合いを見てねじこんだ感がありました。よって多少情報整理は大変でした。
それでも人間模様の描き方も丁寧で、意外な結末も用意してありなかなか楽しめた一作でした。


No.37 6点 死の命題
門前典之
(2013/09/13 02:21登録)
なかなか周りの古本屋で見つからず、久々に4桁のお金を出して購入しました。
その期待に完璧に応えてくれた訳ではないですが、なるほどこれは楽しめましたね。
兜虫の亡霊に関しては翼ある闇の時に似た衝撃を受けました。個人的には確率が僅かにも存在するトリックならそれはOKかなと思うのですが、我慢できない人には本当に我慢ならない作品でしょうね。


No.36 8点 片眼の猿
道尾秀介
(2013/09/10 18:11登録)
まさにトランプの手品を見せられて、そのタネ明かしを受けていたような印象。
そういうコトだったのかという箇所が幾度もあり、綺麗にまとまっています。
軽い作品というのは否定しません、というより手軽な作品といえます。
それでいて読み易さと内容が反比例することもなかったですし、道尾氏の筆力の高さを伺わせる作品でした。


No.35 9点 告白
湊かなえ
(2013/07/23 10:45登録)
なるほど、これは鮮やかな作品です。
大部分を人間心理に割き、それによって登場人物の行動理由を埋めていく、ホワイダニット作品に思えました。
そしてオチが見事に決まっています。あの部分だけで私の作品に対する評価は一気に上がりました。
本屋大賞というのも、納得です。


No.34 6点 白夜行
東野圭吾
(2013/07/18 12:58登録)
この本を読破したと読書感想文さえ嫌っていた10年ほど前の自分に言ったら、果たして何と言うでしょうか。
とにかく重厚な本であり、それに違わぬエピソードの応酬が印象的でした。

もちろん主要な箇所の解決は為されつつ、読者への想像の余地を残してあるあたりに東野圭吾氏の手腕を読みとることができます。
しかし正直なところ、有耶無耶、適当な場所の多さも目についてしまった為、少々残念でした。

この物量だから仕方ないという意見もあるかもですが、自ら捌ききれない物量にするのがそもそもおかしいのです。
薄くした方が無駄のない物語になり、かつ読者にも安く提供できるのですから。人狼城のような、もはや目的が摩り替った作品なら別ですが。


No.33 8点 完全犯罪に猫は何匹必要か?
東川篤哉
(2013/07/15 17:57登録)
やはり読みやすさは言わずもがな、それでいて稚拙な感じは受けません。

以下ネタバレを含みます。
この方の凄い所は、シュールなギャグとトリックの融合です。
鰹節を棺桶に入れようとするシーンも、単なるギャグシーンだとしか思っていませんでした。
まさかそれがトリックの一端だったとは...という感じです。
招き猫に味噌汁、ある意味この人しか作れないトリックだったと思います。


No.32 7点 無理
奥田英朗
(2013/07/14 23:16登録)
5つもの視点を織り交ぜながらも、読解力が高いとはいえない自分が混乱しなかったのは作者の能力の高さによるところが大きいでしょう。
そして最後の収束は見事。
しかし登場人物たちの行方が放置となっているのは残念です、エピローグで後日談くらいあってもいいかなと。
よく「読者に思考の余地を残す」目的で曖昧な結末などを取り入れた作品がありますが、正直自分は嫌いです。


No.31 6点 アヒルと鴨のコインロッカー
伊坂幸太郎
(2013/07/14 23:10登録)
非常に淡々とした作品。
青春小説にちょこっとミステリーのアクセントを加えたような作品。
もちろんミステリー要素がなくても十分に読める作品であり、更にミステリーによって作品が大きく良化している雰囲気も感じられなかったです。
まぁそれでもある程度は楽しめたのでこの点数で。


No.30 4点 長い家の殺人
歌野晶午
(2013/07/10 17:11登録)
「葉桜~」の驚嘆から半年、この度歌野氏のデビュー作に挑戦してみました。
本格というに相応しい作品でしたが、トリックはどうにも微妙ですね。
というのもトリックのための条件が「長い家」であること意外にもありすぎて、苦笑いしか出ませんでした。
さらに偶然要素が必要なのはもうトリックといえるのかって感じです。
ご都合主義に塗れた某バーローの小説版といった印象でした。


No.29 9点 さまよう刃
東野圭吾
(2013/07/10 17:03登録)
良作であることは間違いないでしょう。
正義の意味の最中で揺れ動く登場人物たちのリアルな心情はほぼ全ての方々が感情移入できると思います。
私は長峰を遠慮なく手伝う側の立場を最後まで崩さずに読みましたが、きっと他の見解から読破した方も居るでしょう。そういう方たちと議論をしてみたいと、ちょっと思いますね。

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