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ミステリの祭典

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完全犯罪に猫は何匹必要か?
烏賊川市シリーズ

作家 東川篤哉
出版日2003年08月
平均点6.25点
書評数20人

No.20 6点 パメル
(2023/06/10 06:54登録)
烏賊川市を代表する回転寿司チェーンの社長、豪徳寺から成功報酬120万円という破格の仕事を請け負った鵜飼探偵事務所。その仕事は、家からいなくなった三毛猫を探し出すというもの。三毛猫探しに奔走する鵜飼たちであったが、当の依頼主が何者かによって殺害される。犯行現場には巨大な招き猫が鎮座し、不気味な様相に華を添える。
刑事と探偵の二つの視点で物語は進行し、絶妙に関わり合い、邪魔をし合っていく。本書は、猫に始まり猫で終わる、正確に言うと招き猫尽くしである。そして、気の抜けるギャグは本書でも健在である。猫を探して「ニャーゴ」と猫の真似をする探偵の姿は、ただでさえ冴えない中年探偵なのに、それに追い打ちをかけて笑いを誘う。それ以外にも漫才の掛け合いのような笑えるポイントはいくつかあり、ユーモアミステリ作家の本領が発揮されている。
また、作者お得意の大技的なバカトリックも炸裂している。木の葉を隠すならば、森の中へと言わんばかりに痕跡を隠蔽するという奇想に脱帽。猫尽くしなのは、こういう理由なのかと感嘆させられる。招き猫と三毛猫を鮮やかに結びつける解決はお見事。とにかく猫好きにはたまらない作品となっている。

No.19 7点 mediocrity
(2019/05/13 01:41登録)
烏賊川市シリーズ3作目。相変わらずユーモアを交えて話が進行するが、謎解きは安定している。ただし450ページはちょっと長いか。トリックより動機の方が驚いた。

No.18 6点 ねここねこ男爵
(2018/02/02 11:27登録)
点数低めですが面白かったです。
低い理由はメイントリックが前例ありまくり&ミエミエだからで…
ソレ以外の部分がとても良く出来ています。ユーモアだからこそ許されるものもありますが、作者のフェアプレイの精神が垣間見えると言うか、ネタバレを恐れずきちんと言及されてますし、このシリーズはそういうものだと思って読むものなのでしょう。
ただのミステリをギャグ色の強い文章で書いただけ、ではなく、ユーモアをもミステリに組み込んで書かれている良質のユーモアミステリです。


ネタバレ
こういう錯覚を利用したトリックは、なんでもやってみようの黎明期では頻出でしたがすぐに廃れました。やはり都合が良すぎて説得力に乏しいのでしょう。本作もそれを乗り越えるものではなく、目撃者の設定含め当時の焼き直しにすぎず不満が残るので高得点には出来ませんでした。
ただ、ソレ以外の部分は本当によく出来ています。

No.17 6点 nukkam
(2018/01/29 14:24登録)
(ネタバレなしです) 2003年発表の烏賊川市シリーズ第3作の本格派推理小説です。容疑者のほとんどにアリバイが成立する事件ですが、犯人の計画はタイトルに使われている「完全犯罪」を狙ったものとは思えませんでした。とはいえ第4章で砂川警部が列挙する8つの疑問点など謎づくりと謎解きはとても充実しています。ユーモアも一部はすべっていますけどまずまず好調、しかもその中にも謎解き伏線が忍ばせてあったりと油断なりません。

No.16 6点 青い車
(2016/07/17 00:36登録)
 『殺意は必ず三度ある』といいこれといい、案外と東川さんには凝ったトリックを駆使した作品が多いですね。合理性よりもサプライズ重視という志向を如実に感じます。ただこの作品に関しては、本筋の謎解きよりもみそ汁をかけた死体をめぐるバカミス的なホワイダニットのほうが記憶に残りました。

No.15 6点 アイス・コーヒー
(2014/01/23 19:29登録)
招き猫に三毛猫と、猫ネタを中心にいかがわしい殺人の犯人を追う烏賊川市シリーズ三作目。相変わらず独創的な作品だ。

メイントリック自体はあれだけ伏線がはられていたのと、作者の書き方に慣れてきたために大体わかった。ところで、どうでもいいことだが、そのトリックの前例は、鵜飼が指摘したやつより有名なのがあるだろ…。そのほかの特徴は、相変わらずの伏線とボケをシャッフルした文章で、味噌汁の謎などはその境地。でもこれは気に入らなかった。いくらなんでも安直ではないか。
最後の方に出てくる三毛猫のネタは知っていたのでさほど驚きはなかった。複雑にしている割に単純な話である。結局猫を主題にしたことに、必然性はあったのだろうか。内容は面白いけれど、標準レベル。

No.14 6点 蟷螂の斧
(2013/11/06 10:48登録)
450Pはちょっと長かった。もう少しコンパクトにならなかったのか?という印象。トリック、凶器のアイデアは十分楽しめたのでOK。ユーモア(ドタバタ調)は前2作からみると控えめな感じ?。しかし、葬儀での滑稽場面が伏線になる辺りは、さすが氏の本領発揮といったところですね。

No.13 6点 まさむね
(2013/10/18 22:38登録)
 そういえば,この作品だけ未読だったなぁ…と手にした次第です。烏賊川市シリーズの長編です。
 厚さの割にはスラスラと読了。とあるトリックは結構分かりやすかったのですが,味噌汁の謎をはじめ,ニヤリとさせられるモノも多く用意されていて,それなりに楽しめました。
 最近,作者は新たなシリーズキャラを模索中(と個人的には感じているの)ですが,やはり,烏賊川市シリーズがベストだと思いますね。(初期作品にこのシリーズが多い=初期作品に良作が多いという,単にその理由によるものだとの説もありますが…)作者には,是非,初心(?)に帰っていただきたい。烏賊川市シリーズの新作はいつになることやら…。

No.12 8点 ナノ
(2013/07/15 17:57登録)
やはり読みやすさは言わずもがな、それでいて稚拙な感じは受けません。

以下ネタバレを含みます。
この方の凄い所は、シュールなギャグとトリックの融合です。
鰹節を棺桶に入れようとするシーンも、単なるギャグシーンだとしか思っていませんでした。
まさかそれがトリックの一端だったとは...という感じです。
招き猫に味噌汁、ある意味この人しか作れないトリックだったと思います。

No.11 6点 mozart
(2012/09/02 18:22登録)
テンポ良く読了。最初の殺人の動機については、「猫」事情に詳しくないのでちょっと納得できなかった。メインのトリックについても、「どこかで見たような・・・」感が拭いきれず、ちょっと拍子抜けかな。とは言っても、各登場人物のキャラクターの魅力は、シリーズ作品としても十分で、非常に好感が持てました。

No.10 6点 ミステリ初心者
(2012/06/20 10:09登録)
 ページ数がそこそこありますが、一瞬で読み終わります。
 三毛猫の特性を知っていたため、話の展開が少しだけ読めてしまいました。

 猫マンマのくだりが面白かったです

No.9 6点 こう
(2012/01/22 01:33登録)
 烏賊川市シリーズ第3弾もギャグ、ユーモアセンスは相変わらずですね。このふざけた世界観でしっかり本格をやっていますね。凶器が見つからない理由はまさか使い古されたあれだったとは脱力ものですがこの世界観にはあっているかもしれません。
三毛猫ホームズを実は読んだことがないので三毛猫の下りは初めて知りました。(ひょっとして常識の範疇なのかもしれませんが)
 謎解きはディナーのあとでのシリーズはいいので烏賊川市シリーズのペースをもっと上げてほしいと思いますがこのギャグ、ユーモアはファンは限定されそうですね。

No.8 6点 E-BANKER
(2011/07/16 00:09登録)
烏賊川市シリーズの長編3作目。
鵜飼・戸村のおバカコンビ+烏賊川署刑事が今回も大(?)活躍。
~回転寿司チェーンを経営する資産家が殺害された。犯行現場は自宅のビニールハウス。そこでは、10年前にも迷宮入りの殺人事件が起こっていた。資産家に飼い猫の捜索を依頼されていた探偵・鵜飼と、過去の事件の捜査にも関わっていた砂川刑事がそれぞれの調査と推理で辿り着いた真相とは?10年の時を経て繰り返される消失と出現の謎?~

ここまで「猫」がキーワードになっているミステリーは初めて読んだなぁ。
まさか「三毛猫ホームズ」が伏線になってるとは思いませんでした。(ネタバレっぽいですが・・・)
なる程、だからビニールハウスですか! 変だとは思ったんだよねぇー。何で「ビニールハウス?」っていうのが。
レベル的には、推理クイズレベルの仕掛けを相当膨らまして仕上げたという感じはするんですが、もともとこんな作風ですから・・・
ただ、それでも、第2の殺人はちょっと頂けないかなぁ・・・
凶器が「○○○○」なんて! これ本気か! 味噌汁もいるか?
なんていう読者のツッコミも当然織り込み済みなんでしょうね、作者は。
招き猫の薀蓄もなかなか興味深く拝読させていただきました。
(今回は、砂川刑事も大活躍で、よかったよかった・・・)

No.7 7点 seiryuu
(2011/01/21 12:14登録)
ユーモアたっぷりでストーリーは面白いけど
トリックはまあまあでした。
猫好きなので評価は甘めになってしまいますね。

No.6 6点 メルカトル
(2010/06/29 23:11登録)
地の説明文がくどかったり、会話文に不要と思われるような記述があったりと、全体に間延びした感は否めない。
しかし、十年前の殺人の動機には思わず唸らされた、これは猫捜しに大金を払うはずだ。
メイントリックはやはり無理があるような気がするが、一応論理的ではあり、まずまず頷ける。
タイトルは?な感じだが、要所要所で猫が活躍するので、猫好きは必読かも。

No.5 6点 いけお
(2010/02/03 05:37登録)
少しテンポが良くなかったが気になるほどではない。
解決は相変わらずフェアだし、意外に論理的で良い。

No.4 7点 makomako
(2009/07/19 10:12登録)
 なかなか面白かった。ちょっとジョークがやりすぎぎみではあるが、それなりに笑わせてもらった。本格派が好きなものが読んでも結構いけると思う。ただ後の殺人の凶器はちょっと無理なんじゃないかな。
 まあナンセンスミステリーならこれでいいか。だいたいこの題名では本格好きの読者は手にとらないかも知れないし。
 好みからいえばもう少しギャグを減らして本格度を上げたような作品が良いのだが。

No.3 6点 江守森江
(2009/05/24 03:50登録)
猫好きが期待するほど猫小説ではない。
でも、トリックや動機等で随所に猫が絡む。
ノベルスの表紙は猫嫌いならアレルギー物。

No.2 5点 VOLKS
(2008/09/12 21:35登録)
思ったよりも猫が登場しなかったのが残念だった・・・

No.1 7点 teddhiri
(2008/08/22 15:51登録)
最初の事件のトリックはそんなにうまくいくのかと疑問を持った。ただし第2の事件の凶器は大爆笑しました。

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