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ミステリの祭典

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teddhiriさんの登録情報
平均点:6.75点 書評数:57件

プロフィール| 書評

No.57 9点 宵待草夜情
連城三紀彦
(2009/11/30 15:55登録)
この作品は以前、「野辺の露」だけを読んで放置していたのだがやっと読了しました。もっと早く読んでおくべきだったと思わされる逸品ぞろい。特に「花虐の賦」と「未完の盛装」が凄まじい。前者は事件の構図の切り替え、後者の逆説的な論理によるどんでん返しのリフレインとこの2作に限っていうならば個人的には「戻り川心中」をも凌ぐクオリティーではないかと思う。


No.56 7点 スリーピング・ドール
ジェフリー・ディーヴァー
(2009/11/12 14:16登録)
リンカーンライムシリーズのスピンオフ作品。脱走したカルトの教祖と尋問のエキスパートである主人公のキャサリンダンスの頭脳戦がメインとなる。リンカーンーライムのチームが結構、目的のためには手段を選ばない所がちらほら見られて少し不快であるのに対し、キャサリンのチームはそこまで極端ではないのである程度安心して読むことができる。ただしこの作者のウリであるどんでん返しの破壊力はやや落ちる。あとタイトルとなった少女が終盤にならないと現れず、そんなに重要といった感じがしなかった。

ここからネタバレ
 教祖の共犯者があの中にいるのは薄々気づくし、教祖の死も裏があるなとはわかっていた。ただ共犯者の目的と過去の事件の真相の反転は驚かされた。


No.55 9点 聖女の救済
東野圭吾
(2009/11/10 20:41登録)
前作と同じ倒叙形式で始まるガリレオシリーズの長編。トリックのありえなさは今まで読んできた本格の中でも屈指のトリックといえる。
前作と比較するとまず話の展開が前作では石神と湯川の天才同士の対決によって進められていたのに対し、今回は容疑者に好意を抱いた草薙の葛藤とその後輩の内海の各々の捜査によって進められていく。また犯人のキャラクターは前作の石神に比べるとはるかに落ちるものの、被害者のキャラクターが強烈で前作の被害者が殺されるためだけに登場していたのに比べるともしや影の主役ではとすら思ってしまう強烈さで犯人のキャラクターの弱さを十分補っている。
こういった点を考えると、トリック、展開、人物のどれをとっても前作と比べても遜色のない出来だと思う。
個人的な評価でいうならば、前作よりこちらの方が好みである。


No.54 8点 災厄の紳士
D・M・ディヴァイン
(2009/10/30 20:23登録)
小悪党のジゴロが大富豪の令嬢を手玉に取る。そんな導入から始まり、事件が起こるそういうストーリー。とにかくこのジゴロの小物感が絶妙で勘違い気味の心理描写が何ともいえない。また探偵役の令嬢の姉や警部が味があって好感が持てる。真相そのものはシンプルにして驚きがあり非常に良くできている。ミステリーとしても小説としても面白かった。


No.53 8点 女囮捜査官 4 嗅姦
山田正紀
(2009/09/27 23:58登録)
このシリーズにおける私的なベスト。忘れ去られた昭和史といったテーマで作ったモジュラー形式プラスホワットダニット型のミステリ。連続放火、見立て殺人、薬物汚染、これらの事件を風が吹けば桶屋が儲かる方式でつながらせ見事な構図を描いている。また主人公の相棒の袴田刑事の過去と活躍が見られる。正直、この袴田刑事の活躍が見られるだけでも私的ポイントは高い。また最近自分の好みがハウダニットやフーダニットから外れて、どんでん返しやホワットダニットなどに移っているのもあるかもしれない。


No.52 4点 君の望む死に方
石持浅海
(2009/09/19 20:57登録)
前作と比較すれば落ちるものの、面白かった。ただ探偵が前作であんなことしておいてラストで熱く語っているのが虫唾が走りました。よってこの点数に減点しました。


No.51 7点 霧舎巧傑作短編集
霧舎巧
(2009/09/15 21:55登録)
この作者の短編集は少し前に読んだが長編と比べて非常に読みやすい。伏線も丁寧で全体の趣向も面白い。トリック、ガジェットフル装備の長編と比べてのびのびした印象さえ感じられた。


No.50 7点 相棒シーズン4上
碇卯人
(2009/09/08 21:57登録)
ミステリ趣向においてはシーズンでも屈指のレベルを誇ると思われるシーズン4の前半のノベライズ。「殺人講義」、「黒衣の花嫁」、悪魔シリーズ、「波紋」
「冤罪」など秀作ぞろいのため、シリーズのつながりを気にしないで読むのであればイチオシの一冊といえるだろう。特に「波紋」はお気に入り。


No.49 6点 悪霊の館
二階堂黎人
(2009/09/08 11:52登録)
首無し死体、密室、怪しげな洋館とそこに住む一族、これでもかといったコード型本格で二階堂黎人の代表作の1つらしい。ただし密室トリックは人狼城と比較すると甚だ落ちる。密室講義までやっといてそりゃないだろと思った。また首無し死体の扱いに関してもセオリー通りといった感じで最初の描写で犯人の見当もある程度付くようになっている。
 ラストのオチもよくあるパターンだし、人狼城のときは盛り込みまくったトリックや本の構成、展開などが強烈なパワーを感じさせたのだがこの作品にはそれは感じられなかった。
 ただ雰囲気はよかったのでこの点数にします。


No.48 5点 風果つる館の殺人
加賀美雅之
(2009/09/07 18:16登録)
この作者のウリらしい不可能犯罪に関してはトリックはデビュー作より数段落ちる。ただしフーダニットとしてはよくできていると思う。ただ相も変らぬ探偵の態度が気に入らない。


No.47 4点 双月城の惨劇
加賀美雅之
(2009/09/06 21:26登録)
最初の事件のトリックは非常によかった。しかし第二の事件のトリックはすぐわかったし、しかも犯人も大体見当が付く。コード型本格でトリックを盛ったミステリといえば、二階堂黎人を連想するが彼の作品と同じく、フーダニットとしてはスカスカの感は否めない。また犯人に対する名探偵の態度もかなり腹が立った。同情の余地のない犯人に対する甘さ。メルカトルみたいに外道と割り切っていればそれなりに楽しく読めるのに、変に騎士道とか紳士ぶるから余計腹が立つ。
 という風にボロクソ言いましたが最初に述べたトリックは本当に素晴らしかったのでこの点数にします。


No.46 4点 8の殺人
我孫子武丸
(2009/09/04 10:07登録)
他の新本格作家のデビュー作で自分が読んだものの中では一番落ちる印象。密室や犯人についてもああそうという印象しかなかった。この作者は正直、「殺戮に至る病」とその残滓である「弥勒の掌」だけという印象はますます強くなった。


No.45 5点 マリオネット園「あかずの扉」研究会首吊塔へ
霧舎巧
(2009/09/02 23:58登録)
このシリーズでは一番読みやすい(物理的にも)。
密室、操り、仕掛けのある館と盛りだくさんだがデビュー作と比べると文章的にも上手くなっている。ただ密室や館の仕掛けなどは一番しょぼく、正直操りしか読みどころがない(犯人わかりやすいけれど)。
 ただ最近のこの作者の作品は結構面白いし読みやすくなっているので、時期を見てこのシリーズを再開したら多分読むと思う。
 ガジェット盛りだくさんのミステリの書き手としては少し前の二階堂黎人や加賀美雅之がいるが、二階堂黎人は人狼城の恐怖の後はあさっての方に行ってしまった感があり、加賀美雅之は古臭さがきつい。よってこの作者にはほんの少し期待している。


No.44 8点 カラスの親指
道尾秀介
(2009/08/27 10:46登録)
道尾作品では最も明るく読みやすい作品。しかしそれだけの作品ではなく、仕掛けの方もバッチリしこまれている。少しなんでもありのような気がするが、騙されてしまった。また感動の演出やサプライズの仕掛けというものはやりすぎるとあざとさが感じられて嫌になってくるが、さらっと爽やかなラストやとぼけた語り口がそれを感じさせない。
 もしかすると爽やかな読み心地と語り口や仕掛けのうまさなどは歌野晶午の某作品を連想させた。強くお勧め。


No.43 4点 動く家の殺人
歌野晶午
(2009/08/15 12:11登録)
新装版を買って読みましたが、ちょっとなぁと感じました。
トリックに関しては真相がしょぼく、ダミーの解決の方がまだマシと思いました。まぁダミーの解決に関しても斜め屋敷や人狼城、時計館などの仕掛けに比べて数段落ちる代物ですが。
 また名探偵を使った実験という意味では「翼ある闇」や「鏡の中は日曜日」などの名作と比べてしまいますし、期待はずれといわざるを得ません。
 ただ少し話がずれますがこの作品と最近の作品を比較すると凄まじい向上が感じられ、この作者がまだまだ上手くなっていくのではと期待を感じさせられました。


No.42 6点 密室殺人ゲーム2.0
歌野晶午
(2009/08/10 19:35登録)
前作は強烈な毒を含んだ設定にバカトリックあり叙述トリックありで結末がイマイチなものの傑作だったと思う。今回はネタ的に強烈なものは本作でもあるのだが、何か二番煎じか少し過激にしてみましたといった感じしかしなかった。
多分このシリーズはもう打ち止めにした方がいいとすら思った。以上のようにボロクソに言ったものの、一定のレベルは維持していますし、面白いことは保障します。


No.41 8点 女囮捜査官 3 聴姦
山田正紀
(2009/07/27 01:24登録)
再読でしたが読了しました。無理無理感が漂うものの強烈極まりない操りに加えて誘拐もののアイデア、サイコサスペンスのごとき展開。どれもこれも単体で見た場合、アイデア的には優れているものの不自然極まりない。ただしそれらが混ざり合うことによって、1+1+1=3を超えた上、欠点が全く見えなくなった強烈なインパクトの作品に仕上がっている。個人的にはなんとも言いようのない構図の4の嗅覚や優れたトリックを備えた2の視覚の方が好みではあるが盛り込みやアイデアの素晴らしさを考えれば、一般的には本書が最高傑作というべきだろう。


No.40 7点 招かれざる客たちのビュッフェ
クリスチアナ・ブランド
(2009/06/14 20:59登録)
 黒い話が多いが粒ぞろいの短編集。個人的には「婚姻飛翔」や「スコットランドの姪」がさっぱりしていてて好みかな。ただ中身の濃さでは「ジェミニークリケット事件」がピカイチだろう。


No.39 9点 『ギロチン城』殺人事件
北山猛邦
(2009/04/04 11:25登録)
個人的には前作をも超えた大傑作。
 「翼ある闇」を思わせる世界観に強烈なサプライズを仕掛けている。スクエアの4重殺人も面白いが、やはりメインとなる犯人の正体に関する謎は前代未聞のアイデアではないか。しかもそれが強引でありながら、不自然ではないと思わされた。また城自体の仕掛けも強烈なインパクトがあった。惜しむらくは城の仕掛けをもっと強く出して欲しかったくらいか。その点を考慮して1点減点。ただし犯人の正体、城の仕掛け、4重殺人のどれをとってもメインを張れるネタのような気がする。それがこの薄さで読めるのだから大変お買い得でしょう。


No.38 4点 浮遊封館
門前典之
(2009/03/28 20:57登録)
 人間消失、雪密室、消えてゆく死体など謎はてんこ盛りで、その解決も意外性に満ち溢れている。特に31人の人間が消えた謎のの解明は感心させられた。探偵と助手の掛け合いも楽しかった。しかしそれを補って余りあるいやな結末(なぜ死体は消えていったのかの理由)は本当に胸糞悪かったのでこの点数にしておきます。

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