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ミステリの祭典

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スリーピング・ドール
キャサリン・ダンスシリーズ

作家 ジェフリー・ディーヴァー
出版日2008年10月
平均点6.33点
書評数6人

No.6 5点 レッドキング
(2021/05/13 17:45登録)
キャサリン・ダンスシリーズ第一弾。脱獄したカルトファミリーのカリスマと手助けする信者の女。対するは、仕草や表情から相手の本性を見抜く「人間噓発見器」のヒロイン捜査官。手に汗握る追いつ追われつのサスペンスで、奥のある人間ドラマもなかなか。でも、ライム物期待しちゃうとねえ。目的‐手段‐主体‐対象の全体性としての物語それ自体を、多重に捻って楽しませてくれるライム「物証分析」推理に比べて、ダンスの「キネシクス」推理、せいぜい、Who(犯人誰?でなく、この人の本性は?)ネタとWhyネタにこじんまり纏まってしまうかな。一つ二つ、模範的古典的な人物トリックあるんだけどね。

No.5 6点 E-BANKER
(2021/04/15 22:26登録)
リンカーン・ライムシリーズの「ウオッチメイカー」で初登場したキネティクスを操る名手キャサリン・ダンス。
そんな彼女を主役に据えたスピンオフシリーズの一作目。
2007年の発表。

~他人をコントロールする天才ダニエル・ペル。カルト集団を率いて一家を惨殺、終身刑を宣告されたその男が、大胆かつ緻密な計画で脱獄に成功した。彼を追うのは、いかなる嘘も見抜く尋問の名手=キャサリン・ダンス。大好評<リンカーン・ライム>シリーズからスピンアウト。ふたりの天才が熱い火花を散らす頭脳戦の幕が開く~

徹底的に「物証」に拘るのがリンカーン・ライムならば、徹底的に「人間の心情」に拘ったのが、このキャサリン・ダンス。でも、これ真逆というわけではなく、どちらも犯罪を構成する重要な要素ということなのだろう。
彼女のキネティックの力が最も示されたのが、終盤の天才的犯罪者ダニエル・ペルとの対決シーン。ペルの罠に嵌まり、捕らわれの身となってしまったダンスが、自らの能力で見事脱出を図る場面。
キネティクスどころか、僅かな心理の“アヤ”から事件の真の構図を暴くことに成功するのだ。この辺りの爽快感はリンカーン・ライムシリーズにも決して引けを取らない。

そしてもう一つのヤマが、作者お得意の終盤のどんでん返し。他の方も書いているとおり、作者の作品に通暁している読者ならもはや自明なのがツライところなのだが、それでも序盤から作者が密かに仕掛けていた伏線が見事に炸裂することになる。

ということで、安心して楽しむことのできる作品なのは間違いなし。けど、刺激性や爆発力といった点からはちょっと物足りなさも残った感じ。
まぁシリーズ一作目だし、まずはスロースタートということもあったのかも。
途中、ライムとアメリアがカメオ出演するシーンもあったから、これからも「両者」の共演が期待できるということなのだろう。次作も期待大。
(結局ペルのいう「山」って、何のことだったんだろう? いわゆる「山」?)

No.4 7点 Tetchy
(2012/04/08 11:23登録)
『ウォッチメイカー』で初登場した尋問の天才キャサリン・ダンスが主役を務めるスピンオフ作品。とはいえこの後彼女が主人公の『ロードサイド・クロス』も刊行されているから、新シリーズの幕開けといった方が正解だろう。

さてライムシリーズが現場に残された物的証拠から推理して犯人の行動を読み取るのに対し、尋問の天才キャサリン・ダンスはキネシクスを駆使して動作や身振りからその人の本当の心理状況を見抜き、また関係者から得た犯人の情報から推理して犯人の行動を読み取る、云わばプロファイリングに似た手法を取る。物質のライムに精神のダンス。ディーヴァーはまさに魅力的な二巨頭のシリーズキャラクターを創造したわけだ。

物語の核であるペルの脅威が収まるのは下巻の340ページ辺り。まだ約100ページが残っている。哀しいかな、書物という物はこの後の残りページ数でこれで事件が解決したものと思わないように物理的に教えられる。これが映画館で観る映画ならこんなことはないのだが。従って読者は残りのページで起こるであろうどんでん返しを想像することになり、驚愕の結末もこれでは薄れてしまうであろうから困ったものだ。

本書はまだ軽いジャブといったところ。今後のキャサリン・ダンスの活躍に大いに期待しよう。

No.3 6点 HORNET
(2011/01/10 16:36登録)
 最後のどんでん返しは確かに意外ですが,その予兆が物語全般に上手にちりばめられているのではなく,ラスト近くに一気に来る印象がありました。そういう意味では,これまでのリンカーン・ライムシリーズのほうが精密な作りになっていたと思います。

No.2 7点 あびびび
(2010/10/19 10:57登録)
人間の動作や表情で相手の心理を読みとる「キネシクス」分析の天才・キャサリー・ダンス捜査官と、カルト指導者の対決。キャサリーダンスは四肢麻痺のリンカーン・ライムシリーズにも登場して大活躍したが、今回は主人公として病める殺人者と壮絶な心理戦を展開する。

VS方式は同じだが、より心理面での駆け引きが濃厚に…。お得意のどんでん返しも盛り込まれていて、ハイスピードで読める。

No.1 7点 teddhiri
(2009/11/12 14:16登録)
リンカーンライムシリーズのスピンオフ作品。脱走したカルトの教祖と尋問のエキスパートである主人公のキャサリンダンスの頭脳戦がメインとなる。リンカーンーライムのチームが結構、目的のためには手段を選ばない所がちらほら見られて少し不快であるのに対し、キャサリンのチームはそこまで極端ではないのである程度安心して読むことができる。ただしこの作者のウリであるどんでん返しの破壊力はやや落ちる。あとタイトルとなった少女が終盤にならないと現れず、そんなに重要といった感じがしなかった。

ここからネタバレ
 教祖の共犯者があの中にいるのは薄々気づくし、教祖の死も裏があるなとはわかっていた。ただ共犯者の目的と過去の事件の真相の反転は驚かされた。

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