HORNETさんの登録情報 | |
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平均点:6.32点 | 書評数:1148件 |
No.1148 | 6点 | 災厄 永嶋恵美 |
(2025/03/22 23:39登録) 冒頭から、感覚が壊れてしまっている高校生の妊婦惨殺シーン。衝撃的な始まりから、物語は少年の弁護を妊婦の夫が務めるという展開に。残酷な罪を犯した少年の弁護をする弁護士には、筋違いの誹謗中傷がいくが、その妻が妊婦とあってはなおさら。話の主軸はどちらかというとその妻を取り巻く状況のほうに移っていく。 この話が書かれたのは15年以上前だが、今でもそんな社会の風潮は変わらないどころか、インターネットの発達により増しているよう。だから今読んでもリアル感は損なわれず、十分に面白かった。 |
No.1147 | 7点 | 柔らかな頬 桐野夏生 |
(2025/03/22 23:14登録) 見えない物語の行く先、登場人物の特異な人生観を描き出す心理描写で、やはり読ませる作家である。 作者の作品は、得てしてそういった、厭世的ともいえる人生観をもった女性を主人公に据えるものが多いが、本作もその例に漏れない、いかにも作者らしい一作である。 不倫相手の男性の別荘に滞在中、5歳の長女が行方不明になってしまったカスミは、その娘を探すことが存在意義になる。時とともに周囲の関心が薄れていく中、それとの温度差に感情的になる姿はある意味普通の反応だが、そこからの行動は一般的な感覚からはかけ離れているように感じる。が、ひょっとすると常識に封じ込められた、人本来の深層心理を描いているのかもしれない、とも思え、そういったところが桐野作品の魅力である。 <ネタバレ> うすうす感づいてはいたが、やはり後を引く結末であり、一定の解決を期待していた読者にとっては消化不良かもしれない。しかしこれもやっぱり作者らしい、桐野夏生の王道といった感の一作である。 |
No.1146 | 8点 | 木挽町のあだ討ち 永井紗耶子 |
(2025/03/22 22:59登録) 江戸・木挽町の芝居小屋尾の裏手にて、雪の降る夜、仇討ちが行われた。白装束に身を包んだ若い侍が、父親の敵とする博徒に挑み、見事に成し遂げたのだ。返り血で真っ赤に染まった若侍は、集まった見物客に仇敵の首を掲げ、江戸へと帰っていった。その2年後、なぜかその仇討ちのことを聞いて回る侍が、木挽町に現れた― 多くの見物客の前で、見事に成し遂げられた仇討ち。時がたってから、その詳細を木挽町の面々に聞いて回る武士。木戸芸者、武芸の師範、芝居小屋の女形、小道具職人…順々に話を聞いていくくだりが章ごとに続いていくのだが、それぞれの話がやがて一つの輪郭をなしていく。上手い。 読み手にもおぼろげに見えてきた「仇討ち」の真相が、最終章で明かされるが、単なる真相看破というだけでなく、芝居町に住む者たちの粋な生き様がそこには込められていて、「ほうっ」とため息をついてしまう心地よい読後感だった。 |
No.1145 | 5点 | 歪つ火 三浦晴海 |
(2025/03/08 22:23登録) 辛い日常から逃れ、私は一人でキャンプにやってきた。テントを張り、のんびりご飯を作る。キャンプファイヤーを囲み初対面の人と語り合う。来て良かった。でも翌日、なぜか私はキャンプ場から出られなくなっていた。しかも昨夜語り合った人たちは皆、時間がリセットされたように「初めまして」と微笑み、昨日と同じ言動を繰り返す。「大丈夫?」訝しげな彼らの視線で私は確信した「ここにいてはダメだ」。戦慄のキャンプホラー!(「BOOK」データベースより) いわゆる「ループ」現象を基軸としたホラー。雰囲気はあるが、真相(?)へと導かれる筋は粗い。まぁ超常的な設定のホラーだからそれを期待するものではないとは思うが。エンタメとして軽く読むにはよいかも。 |
No.1144 | 7点 | 終活中毒 秋吉理香子 |
(2025/03/08 22:05登録) 余命をSDGs活動につぎ込む資産家の妻をもつ夫、そこにある本心は?(「SDGSな終活」)妻の三回忌のため息子と家のリフォームを始めた男性、ところが…(「最後の終活」)ベストセラー作家の遺品に心を乱された理由は?(「小説家の終活」)余命を告げられた売れない芸人。妻のために挑む最後のお笑いグランプリ(「お笑いの死神」)。 ブラックな話、心温まる話、織り交ぜた良質短編集。 「婚活中毒」も面白かったが、劣らずこちらも面白い。 よかった。 |
No.1143 | 6点 | パラレル・フィクショナル 西澤保彦 |
(2025/03/08 21:44登録) 久志本刻子(ときこ)とその甥・有末素央(もとお)は、未来に起きる出来事を夢に見る、「予知夢」を見る体質をもつ。その2人が、刻子の息子の婚約披露パーティで殺人事件が起こる予知夢を見た。殺人を回避するために、夢とは違う行動をとる素央、推移を見守る刻子。結果現実に起きた出来事と夢とを照らし合わせ、真実を探ろうとする。果たして殺人は阻止できるのか、そして真犯人は― ちょっとややこしさはあるものの、予知夢を見る能力がある2人が、夢で起こったことと現実でとった行動とを引き比べながら、答え合わせのように真相を探っていくという展開はなかなか面白い。後半はさらに構造が複雑化していくが、ミステリとしても一段深化する。 設定の特異さによるところも大きいが、ミステリとしても面白かった。 |
No.1142 | 7点 | 七十五羽の烏 都筑道夫 |
(2025/03/08 21:20登録) 不可解な状況の第一の殺人、小道具が配置されたミステリアスな第二の殺人、密室状況の第三の殺人…と、積み重なる謎と、ものぐさで頼りなげな探偵役。それが最後には見事に、要所要所で示されていた手がかりを回収して真相解明。王道な当時の「探偵小説」という感じ。 文章で描かれている現場の状況が思い描きにくく、頭の中で整理しづらかったきらいはある。要所要所で示されていた手がかりとなる描写、論理的にそれがつながり解明される真犯人…見事な組み立てには唸らされたが。 よくできたミステリ、であった。 |
No.1141 | 6点 | 愚か者の祈り ヒラリー・ウォー |
(2025/02/08 21:19登録) 著者の作品は初めて読む。「このミス」2025年度版で、青崎有吾のインタビュー中に出てきて興味がわいたので、読んでみた。 王道の警察小説で、捜査官のコンビが捜査を進める中で少しずつ真相に至っていくという至って地道な展開。だが、「とにかく事実。事実の積み上げのみが大事なんだ」というダナハー警部と、推測や推理で真相を探ろうとするマロイ刑事のコンビネーションが面白い。一足飛びに犯人を推理しようとするマロイ刑事をダナハーはたびたび一喝し「クソ刑事」とまで言うのだが、なんだかんだで互いをリスペクトしている様子は読んでいて心地よい。 ひょんな興味から手に取った一冊だったが、読んでよかった。 |
No.1140 | 7点 | ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 辻村深月 |
(2025/02/08 21:04登録) 平成らしい「女子」世界の価値観と、親子関係、愛情の在り方といった家族観の問題が巧みに絡められた作品。桐野夏生作品にも似たような、リーダビリティの高い一作だった。 みずほの旧友、チエミが母親を殺めて行方をくらました。チエミの母娘は、昔から周囲も認める仲良し母娘だったが、そのあまりの距離の近さに危うさやおかしさを感じる人たちもいた。とはいえ当のチエミは意に介さず、母親を慕っていたはず。どうしてそんなことになってしまったのか、神宮司みずほは独力でチエミの行方を追おうとする。 ジャーナリストとして都会で華々しく生活するみずほと、内向的で保守的なチエミ。対照的な2人を取り囲む、若いころの友達関係。コンパ、男選び、結婚と、平成の女性群像を如実に描き、さらにその渦中にある一人一人の心を描き出しているのは非常に面白い。たどり着いた真相はやるせなくも心を打つものであり、印象に残る作品だった。 |
No.1139 | 6点 | 架空犯 東野圭吾 |
(2025/02/08 20:41登録) 高級住宅地にある邸宅で起きた火災。焼け跡からは、都議会議員と元女優という、著名な二人の遺体が発見された。しかし、男の遺体には絞殺の跡があり、首吊り状態で発見された妻の遺体も、自殺を偽装した跡が。捜査一課刑事・五代努は、所轄の山尾という警部補と組んで捜査に当たることになるが、山尾の言動に何か不審なものを感じる― <ネタバレ要素あり> 死んだ元女優・藤堂江利子夫人が、山尾の同級生であったこと、さらに山尾の親友の死に関わっていたことなど、隠された人間関係が明らかになっていくにつれ、読者の想像はある方向に持っていかれるが、それを想定したうえでの後段の企みはある程度成功しているとは思う。親友・永間を裏切った存在であるはずの藤堂になぜ山尾が協力するのか、深まる謎に対する答えとしてはなかなかだった。 今回も期待する水準は満たしている一作と感じる。安定した人気もうなずける。 |
No.1138 | 6点 | 転落 永嶋恵美 |
(2025/02/02 18:02登録) 冒頭の、小学生の少女に恵みを施されているホームレスの話から、物語は意外な広がりを見せていく。ホームレスが殺人事件の容疑者として指名手配されているとという状況が分かってきて、さらに読み進めていくと、「わが子を殺した女性を匿っている被害者女性」といういびつな状況が分かり、これはどういうことなのかという不可解さを抱く。「その始末は自分でつける、警察にやらせるわけにはいかない」といったような復讐心かと思いきや、どうやらそういうことでもないらしい。 最終段で明かされるその真相は確かに意外であり、よく企まれた一編であるとは感じる。小出しにせずに、事件の背景をもう少し読者に分かりやすく示してくれる方が読みやすいのに、とは思ったが、基本的に十分なリーダビリティで楽しんで読むことができた。 |
No.1137 | 5点 | 長い長い殺人 宮部みゆき |
(2025/02/02 17:42登録) 刑事、探偵、目撃者、被害者…犯人と、それぞれの「財布」を視点人物としてリレー形式で事件を描くという構成は面白かったが、あくまで「一風変わった描き方」という域を出ず、つまりはその利点はあまり感じられなかったという印象。 明らかに容疑の濃い立場でありながら、むしろ積極的にメディアに露出し、日本中の話題をさらうという様相は80年代に一時日本中のワイドショーを独占したあの有名な疑惑を彷彿とさせ、既視感を感じるものがあった。 しかし真相は、犯罪の起点がちょっと都合のよすぎる偶然に感じ、これだけの長編で、凝った演出(財布語り)をつないできた構成の受け皿としてはやや物足りなさがあった。 |
No.1136 | 7点 | まず良識をみじん切りにします 浅倉秋成 |
(2025/02/02 17:21登録) 日々増幅する、取引先の役員に対する憎しみ。ついに男は復讐を計画する(「そうだ、デスゲームを作ろう」)。結構披露宴で、突然花嫁が「気持ち悪い」の言葉を残して部屋にこもってしまった。原因は何?(「花嫁が戻らない」)。試合終盤に突然、自チームの足を引っ張るプレイを全力でし出したプロ野球選手。その真意は?(「ファーストが裏切った」) 日常を逸脱したちょっと異常なシチュエーションを舞台に、ブラックユーモアを交えた痛快な作品が並ぶ短編集。 一作目の「そうだ、デスゲームを作ろう」から面白かった。日々の苦渋に耐え、いつかそれがデスゲーム決行へのモチベーションになっていく中、その思いは果たせるのか―と純粋に結末が楽しみに。「行列のできるクロワッサン」は、ありえないバカバカしさながら、週刊誌報道に右往左往する昨今の日本の群集性が思い浮かんでくるところもあり、痛快な皮肉を感じた。 印象的な一編は「ファーストが裏切った」。選手の奇行には最後まで明確な理由はないが、理由のない人間心理の危うさを描くという趣旨は面白かった。 |
No.1135 | 7点 | 六色の蛹 櫻田智也 |
(2025/02/02 16:54登録) 昆虫好きの青年・魞沢泉(えりさわせん)。その興味のもとに全国処々を訪ね歩く彼は、行く先々で事件に遭遇する―ハンターたちが狩りをしていた山で起きた、銃撃事件(「白が揺れた」)。ある日花屋に来て、季節外れのポインセチアを欲しがった女子高生の真意は?(「赤の追憶」)。ピアニストの遺品から一枚だけ消えた楽譜の行方は?(「青い音」)。とぼけたキャラながら実は人に寄り添う優しさをもつ、魞沢の精度の高い謎解きと叙情漂う良質なドラマ6編。 切なくそして心温まる「赤の追憶」、先行書評にもあるように結末を待たずとも真相は見当がつくが、その予感も含めてじんわりとした感動があってよい。その後日譚が、最終話「緑の再会」により描かれているのも嬉しかった。 個人的にはそれ以上に、「白が揺れた」の続きが描かれている「黄色い山」が最も印象に残った。 |
No.1134 | 5点 | にわか名探偵 ワトソン力 大山誠一郎 |
(2025/01/13 21:59登録) その場に居合わせた人たちの推理力が格段に向上する、という特殊能力「ワトソン力」(本人は変わらない)をもった警視庁捜査一課・和戸宗志のシリーズ第二弾短編集。 主人公が私生活の場で殺人に遭遇し、限られた登場人物=容疑者の中で推理合戦を繰り広げるというテンプレート。人物描写や心情描写も浅く、完全に推理に特化した「推理クイズ」的な各編。そういう趣旨を踏まえた上で、肩の力を抜いてその推理クイズを楽しめればよい、という感じ。 7話で計250ページ、あっという間に読めて手軽に楽しめる。 |
No.1133 | 9点 | 檜垣澤家の炎上 永嶋恵美 |
(2025/01/12 22:00登録) 大正時代、横濱で知らぬ者なき富豪一族、桧垣澤家。当主の妾の娘、高木かな子は母を亡くしこの家に引き取られる。商売の舵取りをする大奥様、スヱ、互いに美を競い合う三姉妹と、桧垣澤は女が主権を握る家だった。ある夜、婿養子が不審な死を遂げ、いよいよ桧垣澤家は女系一族に。政略結婚、軍との交渉、昏い秘密。陰謀渦巻く館で、かな子は策をめぐらせながら自身の立身を目論む― 序盤に婿養子・辰市の不審な死が描かれるものの、700ページを超える物語の中盤大部分は、かな子が桧垣澤家で自身の立ち位置を守るために知略をめぐらせるさまが描かれるストーリーで、ミステリ色は薄い。が、表裏を使い分けるしたたかな女性たちの物語はそれ単体でも十分面白く、のめり込んで読めた。 そして終盤、序盤の事件の真相だけでなく、桧垣澤家に隠されたさまざまな秘密がドミノ倒しのように明らかにされていく。その段では、そこまで描かれていたストーリー中の諸所に仕込まれていた伏線が見事に回収されていき、ミステリとしての魅力が一気に表出される。唸らされた。 緻密に編み込まれ、人間ドラマとミステリが見事に融合した重厚な一作。見事だった。 |
No.1132 | 8点 | Q 呉勝浩 |
(2025/01/12 21:24登録) 長姉のロクこと睦深 (むつみ)、次女のハチこと亜八(あや)、末弟のキュウこと侑九(たすく)の3人きょうだい。2019年、ハチは傷害罪で執行猶予中の身となり、清掃会社でバイトをしていた。そんな折、距離をとっていたロクからキュウに関する緊急の連絡が。ダンスに天賦の才があり、芸能界デビューを果たしたキュウに邪魔者が現れたという。自分たちの希望であるキュウを守るために、姉妹は立ち上がる― 策士のロク、凄みと繊細さ併せ持ったハチ、天真爛漫なキュウという三者三様のキャラクターが織りなす厚みある物語。その中で、次女・ハチを中心の視点人物に据えた構成は当たっている。典型的な「天才肌」で、周囲を振り回しながら生きるキュウと、知力と計略でそれを支えていこうとする長女ロク。2人それぞれとの微妙な関係に揺さぶられ、彼らと一線を画しながら生きていこうとする次女・ハチの立ち位置が、物語を非常に魅力的なものにしている。 キュウ=Qの才能に魅了される者、商業的な利権を狙う者、自らの社会進出に利用しようとする者―さまざまな思惑が跋扈する中を、悲惨な生い立ちを共有したきょうだいが駆け抜けていく。 読み応えのある一作だった。 |
No.1131 | 5点 | 鬼の哭く里 中山七里 |
(2025/01/02 17:13登録) 岡山県津山市姫野村。人口 300 人にも満たないこの限界集落には、70余年前、村人 6 人を惨殺した巌尾利兵衛の呪いにより、数年に一度、鬼哭山から利兵衛の咆哮が轟き、仇なした者を殺すという呪縛を恐れていた。そんな村に、一人の男が東京から移住してきたことをきっかけに、呪いの犠牲者と思しき死者が出てしまう。移住者の排斥に昂ぶる閉鎖的な村民たち。いったい、事件の真相は―? 冒頭は、「津山三十人殺し」を彷彿とさせるよう。著者策の「ワルツを踊ろう」も同様な色付けだったから、何となく既視感が… <ネタバレ> 「咆哮が聞こえることは、死者が出たとき以外も何度もあった」という記載から、「まぁ、自然現象っていうオチなんだろうな」とは思っていた。それでも一番最後に一仕掛けするのはさすがで、ブラックな結末ではあるがらしさが感じられる一作だった。 |
No.1130 | 5点 | 不死蝶 横溝正史 |
(2025/01/02 16:58登録) 鍾乳洞、夢遊病…金田一シリーズでよく用いられる題材ではあり、横溝作品らしい雰囲気とはいえる。もう一本収められている「人面瘡」にしても。 <ネタバレ> 上に書いたように、23年前の失踪事件、古い村の名家二家による争い、鍾乳洞…と、横溝正史らしい作品舞台はばっちり。ただ、起きた殺人事件の真相自体は、ある意味それらとは無関係で、いたって世俗的、短絡的、衝動的なもので…まぁそういう逆方向での「意外な真相」ではあるのだが、つくりの粗さは否めなかった。 「人面瘡」のほうがむしろ、真相は過去の人間関係に根差したものがあり、長さ的にもちょうどよかった気がした。 |
No.1129 | 6点 | あの本は読まれているか ラーラ・プレスコット |
(2025/01/02 16:39登録) CIAのタイピストとなった女性の、スパイとしての裏の顔と、反体制の文学作品を書き上げたロシア人作家とその愛人の物語。戦争という時勢に翻弄されながら、強く生き抜く女性たちの人生を描いた厚みのある作品。 当時の世界情勢について改めて学びつつ、「ドクトル・ジバゴ」という作品が世に出されていった数奇な軌跡を非常に興味深く読んだ。スパイ小説の部類になるかもしれないが、作品としてはドキュメンタリー的な魅力のほうが濃く、ミステリの楽しみとはまたちょっと違う位置づけになるかなとは思う。 |