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ミステリの祭典

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絵馬と脅迫状

作家 久坂部羊
出版日2025年03月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 HORNET
(2025/05/17 17:52登録)
●「爪の伸びた遺体」…学生時代に自殺した親友と瓜二つの男が、新人医師として自分のもとで働き始めた。以後、不可解な事件が頻発する。彼は誰なのか?
●「闇の論文」…大学病院の助教授・山際が指導する研究員が、がんに関する画期的な研究結果を出した。しかし、論文提出は認められないという。なぜなのか?
●「悪いのはわたしか」…メディアにも露出し、著書もベストセラーという女性精神科医のもとに「二度と人前に出られなくしてやる」と届いた脅迫状。いったい誰が?
●「絵馬」…科学のみを信じ、信仰を馬鹿にしていた内科医が、病院の近所にある神社の絵馬を誤って割ってしまった。すると、わが身に次々悲劇が降りかかる。
●「貢献の病」…野尻は、ベテラン作家・今城榮太郎の秘書。今城の作家としての評価に陰りが見えてきたことを知った野尻を悩ませる新たな問題が…
●「リアル若返りの泉」…ある時から突如として薄くなっていた髪が増え始め、若返った元教員・泉宗一の数奇な体験

 主に医療を舞台とした短編集だが、「貢献の病」や「リアル若返りの泉」など、その範疇にないものもある。それぞれに小ぶりな出来ではあるが、まぁ面白い。「闇の論文」は、ミステリというより社会小説的。
 人間の欲や迷いを上手く滑稽に描いているという点で、「絵馬」と「リアル若返りの泉」」がよかった。

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