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ミステリの祭典

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逃亡者は北へ向かう

作家 柚月裕子
出版日2025年02月
平均点7.00点
書評数3人

No.3 7点 take5
(2026/09/20 12:48登録)
378ページを2時間強で一気読み。
柚月氏の筆力とカットバックの構成
結末まで、逃亡者も追跡者も私達も
読み切る走り切る、その刹那の物語

主人公の境遇に選択の余地はなく、
心情をシンクロさせてしまいます。
しかし、最終盤に自身の中にそれを
超える思考を見出す。そのきっかけ
対役陣内、キーパーソンの少年直人
彼らの存在があっても結末は必然へ
向かうその様は悲劇です。がやはり、
綺麗事かもしれないが救いはあると
いうことが作品のテーマと考えます。

震災小説ではありますが主題は別。
震災だからこそ表れやすくなった、
社会の不条理とそれをどう受け止め
生きていくかの普遍的な物語でした。

No.2 7点 鷹
(2026/02/11 21:36登録)
本人も父親も悪人じゃないのにちょっとしたタイミングで運命は暗転する。
人の運命なんて紙一重なんだと感じられた作品です。

No.1 7点 HORNET
(2025/07/06 19:04登録)
 時は2011年3月、東日本大震災が起きた福島県。母を亡くし、天涯孤独の身で工場に勤務していた折に、不運から警察に拘留され、震災の混乱の中誤って人を殺めてしまった真柴亮。震災で幼い娘が行方不明となるが、事件捜査のために娘を捜すこともままならず、親族に責められ続ける さつき東署刑事第一課の警部補・陣内康介。震災で妻と親を亡くしつつ、幼い一人息子だけが見つからず、生存を信じて探し続ける漁師・村木圭祐。三者それぞれの切実な生き様が、震災後の混乱の中切り結ばれ、それぞれに昇華していく―



 あまりに理不尽を強いられた真柴亮の人生に、同情と憤りを禁じ得ない。が、不可抗力ながらも殺人を犯してしまったという事実に、警察として立ち向かう刑事・陣内の怒りと苦悩にも、最愛の我が子の命を思う村木の心にも共感する。
 天災という、誰も抗えないという意味ではこれもまた「理不尽」な不幸を突然負わされ、心が乱れたまま毎日を乗り越えていくしかない、人生の切実さを著者らしい筆致で描いた作品。
 読み応えがあった。

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