home

ミステリの祭典

login
take5さんの登録情報
平均点:6.61点 書評数:424件

プロフィール| 書評

No.424 7点 スパイクス ランナー
あさのあつこ
(2026/01/02 17:04登録)
碧李と貢、二人の高校生ランナーの物語。
碧李が走るのをやめて、戻ってきた理由。
貢が名門校をやめ、別の高校で走る理由。

本書では明かされませんが、きっと他書で
明かされるはずです。私にはまだミステリ。
あさのあつこさんが描くスポーツの世界が
何時も鮮やかなので本書も感情移入して、
5000メートルを走り切るかのように、
一気に読みました。200頁の中編作品です。


No.423 8点 名探偵たちがさよならを告げても
藤つかさ
(2026/01/01 11:44登録)
新年明けましておめでとうございます。
大晦日から年をまたいで読了しました。
ミステリの可能性を再認識させて頂き、
思う処の大きいY.A分類の作品でした。

「名探偵とは物語の役割であり、読者
であり、作者だ。普通の小説より多く
の人の血が通ってる、それがミステリー
なんだよ。」
「名探偵たちは、いつだって一つの結末
を見届けるだけだ。見届けて、見捨てて、
また次の事件を探し求める。そこに結末
はない。黙って文字を追う彼らの平べっ
たい視線が、冷たい机に刺さったような
気がした。」

ここで指す名探偵を自分と捉えたら、
こんなにも刺さる言葉は他にないです。

「それは、年を重ねるという事をどう
認識するかの問題なのだ。九曜は多分
年を経ることを蓄積だと考えている。
知識、経験、技術、全てが年を重ねる
と熟練されていく。
しかし、実はそうではないのだという
ことに、玲人はこの数日で気が付いて
いた。年を重ねることは摩耗なのだ。
いろいろなものが削られて、削がれて
消滅していく。」

単に刺さる言葉としてだけでなく、
作品世界の反転に寄与する言葉が、
これがY.Aコーナーにあるのです。
この現実を受け止めて今年を過ごす
所存でございます。出会いに感謝。


No.422 7点 八日目の蝉
角田光代
(2025/12/30 08:39登録)
各々に課せらた、どう仕様もない
人生の荒波を如何に受け止めるか。
再生がテーマの世代を越えた物語。

一章が親視点、二章が子ども視点。
それぞれの視点が最後に交じる様に
読者はどちらかに共感して、そして
読者もまた再生の希望を追体験する
そういう解釈を持ちました。題名の
『八日目の蝉』は、一人きりで誰も
見られない世界を見るという象徴。
一見不安、しかし受け止める覚悟を
得た時に意味合いが変わるそういう
反転の題名でした。深い味わいです。


No.421 6点 葉桜の季節に君を想うということ
歌野晶午
(2025/12/28 11:35登録)
十数年ぶりに再読。叙述トリックと分かって読むと
どのような感想をもつか試してみました。もちろん
初読のインパクトはありませんが、世間や私の中に
〇〇に対するバイアスがあると顕在化します。終盤
「桜も紅葉することを誰も知らないし見やしない。」
此処に登場人物の反骨精神を微笑ましく感じました。


No.420 6点 キングを探せ
法月綸太郎
(2025/12/22 20:11登録)
何方かと同じ感想になってしまいますが、
中盤までの交換殺人の仕組みは面白いのに
最後の混ぜ返しをぶち込んだところが残念
深みにならず複雑さのみ残すという感じ。
そもそも、探偵が解決するために残された
トランプが、よく考えると違和感強めで、
そんな事を言ったら設定から破綻ですが、
ユーモア軽妙、ページ少なく好ましい分、
結論、最後の混ぜ返しが肌に合わなかった。


No.419 7点 うまいダッツ
坂木司
(2025/12/21 10:24登録)
高校生おかし部の面々が織りなす、
お菓子がキーアイテムのミステリー

インスタのお菓子当てライブに纏る
3話目が特にそうですが、何気ない
顛末の中にさり気なくおっさん思考
に対するアンチテーゼ入れていて、
身につまされる話に作者のユーモア
また慧眼を感じます。結論として、
Y.Aを侮るなかれということです。


No.418 9点 ののはな通信
三浦しをん
(2025/12/14 18:34登録)
女性の描く、女性の恋愛小説。
と思っていた概念を、それこそ
幾重にも壊して進む昭和〜平成
そして東日本大震災までの物語。
単なる物語ではなく往復書簡で
綴られる2人の25年間の歴史。
三浦しをんさんは、何故これ程
2人の主人公を書き分けられ、
また読者自身が3人目の主人公
の舞台に上がらざるを得ない様
書けるのだろうと衝撃的でした。

カトリック系の学校の様子から
ゾンダ共和国の情勢に至るまで
全てが当事者の視点で迫ります。
最終盤、車内で聞くエピソード、
テーマ「誇り」が胸に迫ります。


No.417 7点 クリスマスに少女は還る
キャロル・オコンネル
(2025/12/14 13:07登録)
尊敬する辻村深月さんが、アンケートに
答えた中で、このような作品を書けたら
作家人生を終えてもいい、とありました。

だから図書館の保存庫から出して頂いて
読みました。文庫本600頁超えの作品。

前半の登場人物紹介のエピソードが秀逸。
後半の謎解きはまあまあ。特に心に残る
エピローグの重み。決して単なる聖夜の
救いはなく、しかし題名にある還るもの
それが分かると、静かな重みを感じます。


No.416 6点 Another side of 辻村深月
辻村深月
(2025/12/06 19:23登録)
辻村深月ファンとしては必読書。
全作品の本人による解説が素敵。
対談は大山のぶ代も登場します。
多くのミステリー作家と作品の、
執筆をめぐる興味深い話がよい。
アンソロジー他に登録すべき処、
国内になってしまいました失礼。


No.415 8点 白い衝動
呉勝浩
(2025/12/03 18:54登録)
呉勝浩作では爆弾≪本作の評価。
エンタメ色薄め、社会派色強め。

臨床心理学、精神分析学から、
殺人の社会的捉え、その他諸々
綺麗事を一枚ずつ剥いでいくと
私達の認知の偏りや癖が如実に
表れてくる、その様が圧巻の作。
ミステリーは手段。描く手段で、
後半のフーダニットや、最後の
一行は大きなテーマのおまけ。
それでもこの作品に出会って、
よかったなあと満足しています。


No.414 4点 超短編!大どんでん返し
アンソロジー(出版社編)
(2025/11/30 14:17登録)
一人原稿用紙5枚×30人の作品。
1時間程度で読み終わり、徒労感。
作家図鑑としての価値の方が高い。

内容はかなり薄く改めて思うのが
ショートショートといえば星新一。
星新一は大々作家ということです。


No.413 8点 クライマーズ・ハイ
横山秀夫
(2025/11/30 11:59登録)
日航機墜落事故を巡る、地方新聞社の有り様を、
情報屋の矜持と家族関係を絡め葛藤の中で描く。

どの分野でも悩むであろう、仕事の向き合い方、
そして、特に親子関係での向き合い方が泥臭く、
反面山の描写が鮮やかに描かれ素晴らしい対比。

作者が実際に、北関東の新聞社勤めだった事で、
理想と政治の葛藤等のアンバランスさがリアル。

後半、父に訪れる許しの様な場面は、落涙必至。

筆力の高さ際立つ作者の例に漏れない作品です。


No.412 7点 絶叫
葉真中顕
(2025/11/24 14:04登録)
まず、ネタバレしないように触れますが、
最終盤のWhoのあたりは、さすがですが、
トリック自体は過去にも見られるもので
宮部作品でも似たものがあります。だが
本作は葉真中顕の作品故に社会派色増量。
保険レディの実態があまりに苛烈で痛い。
やはり人間生い立ちや出会う人は大切だ…

悪の巣窟がある土地、鹿骨を正しく読める
貴方はきっと東京城東地区に馴染がある!?

3時間で500ページを一気読みできる位の
リーダビリティあり、しかし内容救い無し。


No.411 6点 模倣の殺意
中町信
(2025/11/23 15:44登録)
50年も前に書かれた叙述トリック作品。
叙述トリックといえば中町氏的な位置。
何度か改編されていて、今耐えうる様に
アレンジされているということですが、
確かにカットバックのアレンジとして、
改編は正解ですかね。しかし登場人物の
坂井正夫の扱いが、、、鮎川氏にはそこを
評価されていますが、私にはイマイチ。

他殺意シリーズを読むか否か迷い中です。


No.410 7点 ずっとあなたが好きでした
歌野晶午
(2025/11/23 11:49登録)
さすがのまとめ方上手、歌野晶午。
13の短編集だが12作目で纏め上げ
ずっと誰かを好きなまま読了です。

個人的に10作目の『舞姫』が好き。
ビルバリンジャーの『赤毛〜』風。

『幻の女』はアイリッシュのまま。
全ての作品が恋愛もの風を装って、
叙述に凝っていたり工夫があります。

600ページをスイスイ読める手軽さ。
お二人書評されていましたが、男の
しょうもなさが軽く描かれています。


No.409 6点 A
中村文則
(2025/11/19 19:52登録)
途中まで、筆者がクスリでもやっているかと思いました。
最後の4つはよかったです。特に表題作と続きの『B』が
戦争の狂気をえがく作品としてかなり真っ当で、GOOD。
最終話は御自身の作家としての有り様が知れて、GOOD。


No.408 6点 その可能性はすでに考えた
井上真偽
(2025/11/09 12:30登録)
悪魔の証明+多重解決もの。
新興信仰団体+多重解決は、
毒入りや、タイプは違えど
名探偵のいけにえが最高級。
作者の賢さやミステリ愛は
感じます。だがなんだろう?
重箱の隅をつつく感が強い。
私考すみません。嗜好です。
最後の結末、救済に落ち着く
そこだけはドラマなのだが…


No.407 3点 フォトミステリー ―PHOTO・MYSTERY―
道尾秀介
(2025/11/08 17:43登録)
道尾秀介作品は総じて好きですが、
本作はあまりにも練られていないと
思ってしまいました。毒も弱いし、
ショートショートの手練も感じず、
写真が先にあって無理矢理の合わせ
理解はしても唸らずばかり続いて、
こんなに刺さらないのも初めてで、
残念無念です。私見ですみません。
星新一を読んで口直ししようかと。


No.406 6点 探偵が早すぎる
井上真偽
(2025/11/03 21:38登録)
図書館のY.Aコーナーで見つけました。
文庫本の上下巻のうち、上巻を読了し、
いよいよ49日で対決か?という段階。
殺させない探偵という設定が新鮮です。
忘備録として一度点数つけておきます。

こういう作品に高得点をつけることを、
そもそも躊躇される方もいそうですが、
人並さんの評価がまさに言い得て妙で、
キャラが立っていて、軽い文体がよい方
薄っぺらくなくよい方へはたらいていて
下巻も楽しめそうです。さてさて・・・


追記
上巻に輪をかけて早く読み終わりました。
探偵も読了も早すぎて、論理も何もなく
評価を1点下げ、真偽他作品へ進みます。


No.405 6点 コメンテーター
奥田英朗
(2025/11/03 12:37登録)
伊良部シリーズの最新刊らしいです。

コロナ禍を歴て人間関係に悩む人々、
そこに関わる精神科医伊良部が視点を
まさに視点を変えて生き方を自ら導く
そんな手助けをする、荒唐無稽を装い
実は至極真っ当な論理で治療する姿は
文体で反転させるミステリーではなく
思考の反転を促すタイプのミステリー
深みはなくエンターテイメントよりを
装って、作中人物のように気楽になり
案外楽しめる人も多いのではないかと。

424中の書評を表示しています 1 - 20