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ミステリの祭典

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Pの密室
御手洗潔シリーズ

作家 島田荘司
出版日1999年10月
平均点6.23点
書評数31人

No.31 8点 斎藤警部
(2023/09/04 12:40登録)
【鈴蘭事件】  

被害者は学生街のバー経営者。
幼い御手洗潔が、悪の醜さを遥かに超えた、この世の恐るべき暗黒と出遭った物語。

「ぼうや、ありがとうよ(中略) 大きくなっても女には気をつけて、おじさんみたいにはなるなよ」

●トリック(×2?)成功・・ 予想外の深みへ落とされ、もがきました。 過去(御手洗潔幼少時)と現在(御手洗潔不在)のカットバック構成が効いている。重要な脇役の存在良し。中盤のサスペンス展開良し。 最後の、言葉をよく選んだ台詞も、光を含んでじんわりと沁み渡ります。

この物語には大小織り混ぜ◯つの謎がある、などといい気で整理したつもりになっていたら、その中で一番大きな謎こそが、更に巨大な謎を視界から遮断していたとはな。。●トリック趣向そのものがデコイという構造か。。この◯◯◯像は、◯◯◯◯堂々と目の前に晒されていたにも関わらず、まるで眼中に無かったよ。。 しっかし酷い動機・・マザーファッカー・・・・

違和感あるのは、いくらストーリー上の事情ありとは言え、アレした理由に誰も思い当たらないって(当時でも)あり得るか?・・ってのと、もひとつ、ある証拠物件を平らに均したら元が何だか分からなくなった、ってそれ当時の素人でも結構ピンと来るんじゃ。。 などとケチ付ける点はあるものの、御手洗潔ファンブック小説の様相をガッツリと見せつつ、そのど真ん中に見事な本格ミステリ豪速球を投げ込んだ本作、打ち取られた私は大いに満足。 「幼少時の事件である必然性」の核心部分が泣かせます。


【Pの密室】  

被害者は著名な画家とその愛人。
◯◯◯◯は一人だけじゃなかった(その前提でないと、リアリティ大きく損なう所がある・・)、という哀切極まりない物語。

不可能犯罪興味はともかく、不可解犯罪興味の訴求力が凄まじく熱い。 あからさまな数学要素が真相にどう連関するのかと思えば、、ここまで有機的に結束していたか!! 幻想的に、一部数学的に、美しくも残酷なビジュアルイメージの某シーンは本作一方の主役であろう。 或る偽装トリック実行に弾みを付けた「心情」よ。。。。

「才能ってのは電気みたいに●●駆けあがってくるからすぐ解る」

本作もやはり、「鈴蘭事件」とはまた別種の、御手洗幼少の頃の犯罪物語である必然性があった。 物理トリック説明文の比率が異様に高いにも関わらず、この押し寄せて止まない心理葛藤の大波よ。 とどめは、この、松本清張流儀のエンディング。。。。よくやった、島荘。。。。。。。。(涙)

No.30 4点 ボナンザ
(2021/04/04 17:22登録)
話としてはまずまずで、御手洗ファン向けの一冊。

No.29 7点 初老人
(2020/01/07 16:36登録)
御手洗潔の幼い頃を垣間見られる貴重な作品。Pの密室は見取り図を見てしまうと分かってしまうかもしれません。

No.28 6点 虫暮部
(2018/12/17 10:53登録)
 「鈴蘭事件」。とある知識を持っているから誰がどうだと言うのは論理的だとは思えない。かく言う私もこのネタは小学校の時に漫画で読んで知っていた。
 「Pの密室」。この偽装工作、本人は冷静なつもりでも実際は混乱していてだんだん何の為に何をやっているのか判らなくなっちゃったんじゃないの? と言う気がした(それはそれで面白い)。
 どちらもさほど高評価出来る謎ではないのだが、一方で紛れも無く島田ブシであって、ミステリとしての良し悪しだけでは評価しきれない気分である。

No.27 5点 イガ者
(2013/04/19 03:34登録)
どちらも読了後なんともいえない気分になる。
「鈴蘭事件」は胸くそが悪く、「Pの密室」はやるせなくなる(特に最後の数ページもあって)
ただ、単独のミステリーとしては、「ちょっと・・・」
という出来でした。御手洗という看板があるから成立する。

No.26 7点 HORNET
(2011/01/10 20:12登録)
 御手洗潔を知っているか,知っていないかで評価が分かれる作品だと思います。ということは,言い換えれば純粋にミステリ要素での評価はそれほど・・・ということでしょうか。私は島田荘司および御手洗潔が好きですので,その幼少期の話というだけで面白く読めました。こんな園児がいたら怖いですけど。
 コナンみたいでした。・・・ところで「Pの密室」のPは何なのでしょうか。「ピタゴラス」?

No.25 5点 seiryuu
(2010/07/16 17:34登録)
御手洗を知らない人にはあまり面白くないと思う。
「Pの密室」より「鈴蘭事件」のほうがよかった。

No.24 5点 まさむね
(2010/05/05 18:49登録)
個人的には「鈴蘭事件」の方が良かったですかね。サラッと楽しめましたから。幼稚園児って設定は…まあ面白かったから良しということで。
表題の方ですが,建物見取図が「一部ずつ」開示されている時点で…。小学校低学年の御手洗が「占星術」時代よりも圧倒的に「オトナ」であったところが見どころでしょうか…。ちなみに,私は,人間味のある占星術時代の御手洗の方がいいなぁ。

No.23 5点 CRYSTAL
(2010/04/22 13:24登録)
密室モノとは言い難い作品です。
「鈴蘭」での最初の方の石岡と里美のやりとりはマジでうざかった。
もう少しで、本をビリビリに破ったろうかと思いました。

No.22 8点 E-BANKER
(2010/04/16 21:52登録)
御手洗潔の幼年期・少年期の事件を扱った中篇2作で構成されてます。
①「鈴蘭事件」:御手洗が幼稚園児の頃の事件。まさに「驚異の幼稚園児」です。道化役を演じる馬屋川刑事が何とも哀れで切ない感じ。
②「Pの密室」: 御手洗、小学生時代の事件。まさに「驚異の小学生」です。殺人事件の舞台となる被害者の一風変わった家については、平面図がふんだんに挿入してあり、いかにも島田色を感じさせます。
直角三角形が出てきた時点で「・・・の定理」については思いつきますが、事件当初の謎の多さはやはり氏の大きな魅力でしょう。本作は密室トリックこそ陳腐ですが、謎の構成とそれを解き明かす御手洗のロジックに惹かれました。
まぁ、御手洗の神格化やあまりにもキャラクター要素が強くなってしまうのは嫌ですが・・・

No.21 8点 E
(2009/08/22 22:29登録)
敷き詰められた画用紙の謎が本当に驚きました。何が何やら・・・ですよ。最後が「あぁ・・」と切ないような・・悲しいような・・仕方ない様な・・複雑です。
鈴蘭事件も謎が多くて面白かった。
御手洗の幼少(少年)時代事件簿です。

No.20 5点 測量ボ-イ
(2009/05/13 15:24登録)
この頃(もっと前から?)より作者は御手洗を異様に超人化・
神聖化しているような気がします。「占星術」の頃は事件解決に手間取るなどもっと人間味があったのに・・・
内容的にはまずまずながらも、採点としてはこの辺が妥当で
しょう。

No.19 7点
(2009/04/07 12:03登録)
御手洗潔はまるで「コナン」のようだが、時代背景も作品の印象も全く違うから、当然に新鮮さが感じられました。
2作品(表題作と「鈴蘭事件」)ともに、その時代の雰囲気が十分に出ていて、島田氏の腕前に感心しました。
また、トリックもそれなりに盛り込まれており、中編ミステリとしてまずまずの出来ばえだと思います。でも、それよりも私は、物悲しい結末や、時代に合った寂しさ、静けさが物語からにじみ出ているところが、大変気に入りました。
2作品ともに、謎解き云々よりも、小説としての総合的な魅力を味わいながら楽しめる佳作だと思います。

No.18 6点 あい
(2008/11/13 15:42登録)
御手洗の設定は置いといて、作品は結構おもしろかった

No.17 4点 おしょわ
(2008/10/12 17:34登録)
いくら御手洗ファンでも、さすがにこの設定はちょっと。
プロット自体はわるくなかったのでもうちょっとちゃんとした設定で作品にして欲しかったです。

No.16 6点 マニア
(2007/12/30 18:03登録)
御手洗天才すぎ(笑)小学生で因数分解して、Pの密室の数学トリックもあっさり解いてしまうとは。有り得ないでしょう!!
鈴蘭事件で御手洗の女性不信の原因が描かれている。内容は至って普通。

まぁ、それでも御手洗シリーズが好きなのでそれなりに楽しめたかな。

No.15 6点 Tetchy
(2007/11/28 01:24登録)
島田氏が当時島田ファンに讃えられすぎて浮かれて作ってしまったような短編ですね。
御手洗がスーパーマン過ぎてガッカリしました。
幼稚園でモーツァルトを弾いて、因数分解もしていたなんて、やりすぎでしょう!
内容はやはり表題作の方がよかった。
最後にホロリとさせられました。

No.14 5点 spam-musubi
(2007/09/06 10:54登録)
何の因果か、初めて読んだ御手洗シリーズがこの本。
順番が逆なら笑えて楽しかっただろうなぁ…、と。

No.13 9点 姑獲鳥
(2007/08/04 02:02登録)
この作品はとても楽しめました。しかし里美と石岡君のうざったさにちょっと…

No.12 6点 vivi
(2007/06/09 01:07登録)
そんな馬鹿な・・・と、設定にちょっと引きましたけど(^^;
キヨシ少年、すごすぎですね。
「くそぉ、どうしてぼくは幼稚園児なんだ!」なんて、すごいアンバランスなセリフだな~。

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