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ミステリの祭典

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まさむねさんの登録情報
平均点:5.90点 書評数:1363件

プロフィール| 書評

No.1363 5点 おしら鬼秘譚
黒木あるじ
(2026/09/30 19:30登録)
 離婚後仙台の出版社に職を得て、一人娘と同市内で暮らす里帆。ある日、その筋では有名らしい学芸員への連載依頼のため古本市で待ち合わせてしていたところ、「おしら鬼」と呼ばれる木彫りの像を見かけ、なぜか懐かしさを感じて購入する。自宅に持ち帰ったその夜、里帆の目の前で、娘が木像とともに失踪。「おしら鬼」とは何か、娘の行方はどこか、学芸員らとともに探ることに…。
 一応ホラーに分類してみたものの、恐怖が先立つような内容ではないです。凸凹コンビと謎を追う過程は一定楽しく読んだのですが、終盤はちょっと尻すぼみ。概ね想定内の展開で、全体的としても平板な印象。オシラサマに関しては勉強になりました。


No.1362 5点 先生と罪
くわがきあゆ
(2026/09/28 22:04登録)
 序盤から不穏な空気が漂う中、夏の宿泊学習突入後の背景転換や終盤の連続反転など、作者の工夫はよく分かりますし、ページをめくらせる推進力もあると思います。
 一方、作者の作品を読むのは、スマッシュ・ヒットとなったデビュー作「レモンと殺人鬼」以来なのだけれど、「根っこ」となる部分の重複がどうしても頭をよぎり、鋭い驚きまでには至らなかった面もあります。気持ちが晴れやかになる内容でもないしね。デビュー作を飛ばして本作を読んだとすれば、印象もまた別なものになったのかも。


No.1361 5点 作家刑事毒島
中山七里
(2026/09/27 18:45登録)
 出版業界をネタにした作品は時代を問わず見かける訳ですが、本書の毒気全開ぶりはなかなかに凄い。痛快ではあるけれども、イタすぎる登場人物が多すぎて、それはそれで疲れたりして。
 本書ほどではないにしても、一般社会?でも時折見かけますよねぇ。「あなたはナニサマですか」って返したくなる方。だから疲れを感じたのかもしれない。はぁ…。
 ちなみに、図書館で借りた本を読んで書評サイトに投稿…。ごめんなさい、時々やってます。


No.1360 9点 『石球城』殺人事件
北山猛邦
(2026/09/26 21:09登録)
 13の密室。まずはその数自体が凄い。レベルはそれぞれだけれど、それらの解明シーンは圧巻でした。成長する密室というコンセプトも興味深い。「物理の北山」の本領が遺憾なく発揮されています。
 そして、謎が密室だけにはとどまらないこともポイント。設定舞台そのものに対する謎、これも印象深い。
 今年の各種ミステリランキングでの評価が楽しみです。


No.1359 7点 楽園
夕木春央
(2026/09/20 22:54登録)
 三部作ということを知って読んでいますので、どうしても、この間の作品との関連性を気にしながら読み進めることになってしまいます。ですので、とある一点は「見える」。それしかないと。そして、それはそうなんだ。でも、一周回って、最終盤にはやっぱり驚きが。何が驚いたって…(略)。
 方舟、十戒の後で様々なご苦労や思いもあったと思うのですが、こういった形で仕立ててこられた作者に敬意を表します。


No.1358 6点 令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法
新川帆立
(2026/09/15 21:30登録)
 いずれも「レイワ」と称する架空の時代に、架空の法令が制定されている…という設定。リーガル・フィクション短編集と言えなくもない。気軽に読まされつつ、何気に考えさせられた短編も。
①動物裁判:動物の権利を突き詰めた世界の面白さと結末がリンクしていないような気も。
②自家醸造の女:自家醸造が合法化。自家醸造に目覚める女性。ラストが何とも可笑しい。
③シレーナの大冒険:リーガルな部分はあまり関係がなく、南極大陸を舞台としたSF作品。私には響かなかった。
④健康なまま死んでくれ:理想社会のために努力義務を定めても、必ずしも良い結果につながるものではないという事例。実社会でもありそうだよね。
⑤最後のYUKICHI:現金が廃止された社会でのドタバタ劇。電子マナーは毎日使っているけれども、お札と小銭は無くさないでほしい。
⑥接待麻雀士:作者のプロ雀士としての活動経験が活かされている作品なのか?賭け麻雀が合法化された世界のお話なのだけれど、ラストの主人公の行動については、もっとうまい方法があったような…。


No.1357 3点 鬼神伝 神の巻
高田崇史
(2026/09/13 11:48登録)
 ミステリーランド作品。前作「鬼の巻」の続編で、新たな展開が…と思いながら手にしたのだけれど、大きく期待外れと言わざるを得ません。戦いのシーンは、退屈を通り越して苦痛とすら感じた次第。コレ、小学生なら楽しめる、という感じでもない気がしますね。
 前作で5点付けちゃったから、バランスをとってこの採点に。シリーズ全体として見れば、4点行くか否かといったところ。


No.1356 5点 鬼神伝 鬼の巻
高田崇史
(2026/09/09 23:21登録)
 ミステリーランド作品。中学生の天童純が、突然平安時代にタイムスリップ。平安京は貴族らの「人」と「鬼」が争う場となっていた。天童純は雄龍霊(オロチ)を操ることができる選ばれし者らしい。鬼退治に向かうものの、鬼の少女・水葉に出会い、真実を聞かされる…。
 面白くないわけではないし、ミステリーランド作品としてはアリなのだろうけれど、何とも中途半端な印象があります。戦いの描写もちょっとアレだなと。続編(神の巻)も一緒に入手しちゃったので、続けて読んでみるつもりですが、新たに盛り上がる展開があることに期待したいと思います。


No.1355 7点 さよならジャバウォック
伊坂幸太郎
(2026/09/07 21:47登録)
 「夫は死んだ、死んでいる。私が殺したのだ。」という、帯の紹介どおりの状況から物語はスタート。近所で最近再開した大学時代の後輩(桂凍朗)とともに、夫の死体を隠しに山に入る…までは、よくあるパターンと思わせられるのですが、その後は想定外の展開でグイグイ持っていかれます。特殊設定モノと言ってもいいかも。
 さて、どこに連れていかれるのかな…とワクワクしつつ、頭の片隅では何やら正答らしきものが。でも、ラストはそれを超えたサプライズでした(気づく方も多いかもだけど)。流れに任せてサクサク読むのがベスト。
 ジャンル分類は悩ましいところだけれど、まぁ言うとすれば「結局は伊坂さんらしいかった」。全体の流れはもちろん、特に伏線の配置や言葉遣いがね。


No.1354 5点 恋愛禁止
長江俊和
(2026/09/03 21:08登録)
 単行本と文庫版でラストが異なるようなのだけれど、私は文庫版で読了。なお、ドラマ化もされているようだけれど(観てないけど)、その内容は原作と全く異なるらしい。私としては、あくまでも文庫版を読んでの感想を。
 主人公・瑞帆を取り巻く運命について、思うところは確かにあったし、ラストの不穏さもなかなかだとは思うけれども、他の「禁止」シリーズと比較した場合、驚きという面では抑え気味。もしかして、さらに隠された何かがあるのか、例えば、微妙な匂わせがあった人物が実は…とも考えたのだけれど、色々と無理があり、その確証は得られませんでした。ちょっとモヤモヤしています。私の読み方が甘い?


No.1353 7点 おむこさんは殺人鬼
荒木あかね
(2026/09/02 21:44登録)
 独立した5短編を収録。ミステリー部分も良質ですが、そこに留まらない、人間ドラマとしての魅力も大きいです。主人公それぞれの転機を描き出している点に好感。
①同好のSHE:広島から東京に向かう夜行バスで盗難騒ぎが。その真相もさることながら、終盤の展開が見事。タイトルも良。
②震える箱:映画館での貧乏ゆすりが発端となった傷害事件。その裏に隠された事実を見定める刑事。その過程も楽しめるが、裏の事実がこれまた…。でも実際にありそう。
③置き去りイヤリング:東海道新幹線の1号車と16号車に同じイアリングが片方ずつ落ちていた。その理由を推理するワゴン販売員。ラストの爽やかさ。
④答え合わせ:傷害を受け、瀕死の継父が発した言葉の意味は。その真相よりも、人間ドラマとしての組み立てが巧み。
⑤おむこさんは殺人鬼:警察官である婚約者は殺人犯?前向きなラストが何とも良い。


No.1352 7点 エムブリヲ奇譚
山白朝子
(2026/08/31 20:30登録)
 山白朝子名義の第二短編集。第一短編集「死者のための音楽」の各話が独立していたのに対し、本作は、旅本作者の和泉蝋庵と、その荷物持ちとして旅に同行する耳彦がレギュラーとして登場します。
 何といっても二人のキャラがいい。必ず道に迷う蝋庵と、それをぼやく耳彦が各地で出会った奇譚が描かれるのですが、残酷な結末もあれば、ほっこり系もあったりしてバリエーションは豊か。ジャパニーズ・ホラーに分類すべきなのだろうけれど、決しておどろおどろしさや怖さを中心に据えているものではない点に好感。とても良い読書時間をいただけました。


No.1351 7点 未館成の殺人
信国遥
(2026/08/29 10:45登録)
 恥ずかしながら、手に取るまで勘違いしていました。「未成館」の殺人、ではなくて「未館成」でしたか。確かに、館は建っていない。正確には、一部に名の通った建築家・黒澤泰洋が無人島に館を建てようとしたものの、基礎部分のみを残し、本人の行方は不明…という状況。
 大学のミス研のメンバーが無人島に集い、次々に不可解な死が、そして建築家が…という根本設定は、どうしても某有名作品を想定させます(想定というか、本作中にも実際に登場するのだけどね)。ワクワクさせてくれます。
 島に到着するや否や事態は動き出し、島からの脱出は困難に。水が枯渇しかけるというまさにサバイバルな面もあり、グイグイ読まされます。そして終盤の怒涛の展開にも大いに拍手を送りたいと思います。
 一方で、絵解きがなされた後に考えると、いくつかの粗も感じます。とある件を信じて行動した根拠は強引かも。その前提となる格納?の説明も端折りすぎかも(どうなっていた?)。書きぶりの工夫はあったかと思います。ちなみに、海鳥からの被害は無かったのでしょうね。
 とはいえ、全体としては、十二分に楽しく読ませていただきました。


No.1350 5点 変な地図
雨穴
(2026/08/25 21:20登録)
 シリーズ第4弾。今回は、この間の探偵役・栗原氏が学生時代(就活時代)に追いかけることとなった事件の顛末。
 相変わらず図解が多め(多すぎ?)に挿入されています。そして展開が異様に速い(笑)。推理確定の根拠が弱すぎるとか、設定にちょっと無理が…とかの突っ込み所も含めて、スイスイと読ませていただきました(そんなに丁寧に説明しなくてもいいよ、と思う部分もありましたが)。随分売れたようですし、これを契機にミステリーを読む層が増えればいいな、と思います。


No.1349 6点 口に関するアンケート
背筋
(2026/08/23 20:04登録)
 小っちゃい本シリーズ、個人的な第2弾。でもあらためて比べてみると、白井智之「本を読むのが超速い人~殺人事件」より一回り大きかったのですね。物理的にはこちらの方が読みやすい。
 ページ数は60頁強。サクサク読み流してもいいけど、読後しばし考えてみることも良。何気に深みもあり、練られています。


No.1348 7点 本を読むのが超速い人の頭の中ってどうなってんの殺人事件
白井智之
(2026/08/23 20:04登録)
本の横幅が私のスマホと一緒。2冊並べて文庫本のサイズ。小っちゃい本ですな。
ページ数も100頁未満。あっという間に読めますな。
エログロ封印で、何やら落語を聴かせてもらったような印象も。白井作品としては珍しいですな。
作者の実験的マインドを評価してこの採点。


No.1347 7点 スノウマンの葬列 真々部律香の推理断章
麻根重次
(2026/08/22 21:24登録)
 安曇野の謎解きコンサルタントの活動(探偵役である所長は抑鬱症状が酷かったりするのだけれど)を描いた5短編で構成される連作集。奇妙な死体、密室&アリバイ複合型、暗号系など、バラエティに富んだラインナップではあるのですが、凡作とも思える短編も混じっていて、全体としての評価は悩ましいところ。以下の2短編(1作目と最終話)が好印象。
「スノウマンの葬列」:雪山で遭難した若夫婦の死体がテント内で発見された。夫の死体には小さな雪ダルマが複数乗せられ、妻の死体の手の中には切り取られた夫の小指が。説得力のあるホワイ作品。
「初めては毒殺」:随分と穴が…と思っていたのだけれど、いいねぇ。こういう締め方、嫌いじゃないです。


No.1346 6点 あなたが正しくいられたとき
芦沢央
(2026/08/22 21:08登録)
 2017年から2026年までの間に競作アンソロジー等に掲載された6短編を収録。作者自身が述べているとおりの「ごった煮」感はあるが、それはそれで楽しい。
①あなたが正しくいられたとき:河原での同窓会バーベキューの際、事故で夫と死別した元カノが娘を川に突き落とす瞬間を目撃。展開が読めそうで読めず一気読みだったが、そこまでするか、という気も。
②代償:渾身の作品を書き上げたばかりの作家。妻に読んでもらったところ、酷似した作品がwebで公開されていると言う…。
③薄着の女:古典的トリックを用いた典型的な倒叙モノ…なのだけど最後の2行にニヤリ。
④立体パズル:心情が解るようで解らない。
⑤待てば無料:③で登場した十時刑事がまさかの再登場。うーん。
⑥投了図:将棋を題材にした短編集「神の悪手」にも連なりそうな作品。これは許してあげたい。


No.1345 6点 白魔の檻
山口未桜
(2026/08/20 22:51登録)
 北海道の過疎地域の病院に短期派遣されることになった城崎と研修医の春田。到着の日、山の中腹にある病院一帯が酷い濃霧に覆われ、麓に降りることが不可能に。閉ざされた中で、病院職員の変死体が発見される。さらに大地震が発生。有毒ガスが地階から溜まりはじめて…。
 濃霧は別としても、その後の大地震+有毒ガスはさすがにご都合主義では…との思いが一瞬頭をよぎるのですが、一連の事件やその解決と巧く結びつけられているし、タイムリミット・サスペンスとしての趣向も加わるので、あまり深く考えずにスルー。
 犯人特定のロジックは、正直ちょいと面倒に感じて、詳細を追いかけることを止めてしまいました。また、犯人特定に至る、とある「回数」に関しては、それを絶体的だという前提がどうなのか等、犯人とすれば言い逃れできそうな気もします(そのエクスキューズも多分あったのだろうけど)。
 そういった面はありながらも、へき地医療という社会的なテーマも織り込まれていて、全体としては興味深く読ませていただきました。


No.1344 5点 スープ屋しずくの謎解き朝ごはん
友井羊
(2026/08/12 21:25登録)
 飲食店のマスターや店長がお客様の持ち込む謎を解決…という短編集は、即時に複数の作品を思い浮かべられるほど、見慣れたパターン。飲食物等の蘊蓄も織り込めるし、短編をつなぐ設定としても便利なのでしょうね。
 で、本作の舞台はスープ屋さん。自分は訪れたことがない業態なのだけれど、確かに体にも良さそうだし、登場するスープのどれもが美味しそう。こんな店があったら是非行ってみたい。
 一方、ミステリーとしては相当に弱い。伏線からバレバレ…という短編も。優しい飲み口で悪くはないのだけれど、もう少し塩分やスパイスを効かせてくれれば、さらに良いスープに仕上がったような気がします。

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