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ミステリの祭典

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月蝕島の信者たち

作家 渡辺優
出版日2025年04月
平均点7.00点
書評数4人

No.4 7点 まさむね
(2025/06/21 22:56登録)
 伝統的かつ正当な孤島ミステリ。展開のパターンは想定できるのだけれど、ソコも含めてとても楽しい読書だったなぁ、と素直に思います。この手の作品、やっぱり好きな方は多いと思うな。コテコテ感がいい。
 なお、設定した動機を否定するつもりはないけれども、犯人は犯行後どうしようとしていたのかな…という点は、確かに読後気になりましたね。

No.3 8点 人並由真
(2025/06/20 06:46登録)
(ネタバレなし)
 怒涛のごとき展開に、ミステリを読む原初的な楽しみを改めて実感。読んでる間はすごく面白かった。
(しかしこの設定とこの筋立ての作品で「探偵不在」を売りにするのは、この上なく無意味な気がする。)

 先が読める部分も多いが、サプライズの波状攻撃も存分に堪能。なにより書き手が楽しんで物語(ミステリ)を作ってる気分が伝わってくるのが、とてもよろしい。
 で、動機のぶっとび具合はホメるべきなんだろうが、ここまで行くともっとクレイジーな前例を想起してしまい、ソノ辺に比べれば存外にマトモかもしれない、と思ったり!?
(虫暮部さんの「犯人はああいう行為の継続を(今後も)望むのではないだろうか。」というご指摘には、なるほどね、と思わされました。さすが。)

 良い意味でコテコテの謎解きサスペンス。
 これをイッキ読みして、心地よいひと晩であった。

No.2 6点 虫暮部
(2025/06/06 15:04登録)
 ホワイダニット? おっしゃー来た来た。と嬉しくなったと同時に、疑問も浮かんだのである。
 ああいうことをするのに、ああいう方法だと、一回限りだよね?

 犯人は犯行後の身の振り方についてどう考えていたのか。生還する心算だったのか。その際に逮捕は止む無しか、それとも誰かに罪を被せられると思っていたのか。ドカーンと花火を打ち上げてあとは野となれ?
 動機からすると、犯人はああいう行為の継続を望むのではないだろうか。その場合、宗教団体の存在はかなり有用なわけで、あんな自爆のような計画はそぐわないと思う。
 どうであれそのへんがはっきり書かれておらず、動機自体は受け入れた上で、その先が腑に落ちなかった。

No.1 7点 メルカトル
(2025/05/25 22:32登録)
後藤は大学サークルの女友達・金子とネットで活動する新興宗教BFHを立ち上げ、大バズりした。礼拝施設を建設するためのクラファンツアーを実施し、岩手の無人島・月蝕島に重課金信者を集める。
上陸翌日、信者のYouTuberが首なし死体となって殺され、その後も次々と信者が殺されていく。犯人はいったい誰なのか? 船は3日後まで来ない。極限状態で信じるべき神の存在とは? そして最後は、誰も――。
『私雨邸の殺人に関する各人の視点』で話題となった探偵不在のクローズドサークル・ミステリー、再び!
Amazon内容紹介より。

またしても探偵不在のミステリらしいです。その為どうにも締まりがありません。一応視点となる人物はいるのですが、次々と起こる殺人事件には伏線回収も何もありません。よって読者による推理の余地がありません。その意味では本格ミステリと言うよりサスペンスに近い感覚だと思います。もっと言えば『そして誰もいなくなった』の亜流ですね。

首なし死体のホワイは今一つ工夫が足りません。まあ在り来たりと言って良いでしょう。それに死体に施された装飾の意味もほとんどありません。
しかし終盤の真相には圧倒されました。連続殺人事件の裏にはそんなものが隠されていたとはねえ。途中は物足りなさを覚えましたが、最後には強引に納得させられた感じです。世間的にはあまり高評価は期待できない作品なのかも知れませんが、個人的には好みの範疇なのでオマケでこの点数にしました。

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