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ミステリの祭典

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世界でいちばん透きとおった物語2
世界でいちばん透きとおった物語

作家 杉井光
出版日2025年01月
平均点7.00点
書評数3人

No.3 7点 メルカトル
(2025/02/24 22:01登録)
累計50万部突破の超話題作「セカスキ」待望の続編。新人小説家・燈真と博覧強記の編集者・霧子さんのバディが、ある小説の遺稿に秘められた"想い”を解き明かすビブリオ・ミステリ。
Amazon内容紹介より。

体裁は本格ミステリですが、本質は日常の謎ではないかと私は思ったりしています。前作の超絶技巧は当然ながら見られませんが、これもまたなかなかの出来です。連載されていた、中途で遺稿となった小説を巡る謎を主人公で小説家の燈真と編集者の霧子が協力して、その行方を模索していく物語。

その道程である切なすぎる作家の死が浮き彫りにされたのには、何とも言えない世の中の不条理さを目の当たりにしました。余りにも残酷な運命に声が出ません。そんな中で見せる伏線の回収はお見事と言えるでしょう。本命の仕掛けには触れませんが、作者の新たな一面を伺わせる構成には流石に舌を巻きました。しかし、身勝手な希望ですが燈真はもう少しミステリを勉強してもらいたいものです。それを霧子がカバー出来ればもっと面白くなるのになあと、無いものねだりをしたくなる私でした。

No.2 7点 文生
(2025/02/18 13:55登録)
レジェンド級の仕掛けが炸裂する前作はもはや別格的な存在ですが、本作もなかなか凝った作品で大いに楽しめました。王道的な本格ミステリが好きな人なら、むしろ前作よりこちらの方に高い評価を下す可能性もあるのではないでしょうか。まず、作中作である未完の遺作ミステリーが非常に面白い。先が気になると同時に、その真相に辿り着かんとする主人公サイドの調査やディスカッションにも引き込まれました。真相自体も意表を突くもので、現実世界での謎とリンクしているのも素晴らしい。ただ、問題の未完ミステリーが途中から展開が雑になり、無理やり話を畳んだ感があるのは少々残念。話の構成上仕方がないとはいえ、中編ぐらいの長さにすればもっと面白くなったのではなった気がします。

No.1 7点 makomako
(2025/02/14 21:30登録)
1作目も凝った内容でしたが、これまた非常に凝ったお話でした。
第1作も出だしがとてもよく興味津々で読み進めましたが、本作品もお話として出だしから中盤へ興味深く読めました。
作中作のようなお話が作者の片割れが死ぬことにより突然終了せざるを得ないこととなる。ものすごく思わせぶりなところでの終了なのに生き残ているもう一人の作者は引き続いて書かない。どう見てもこのままでは収まらないから続きを予測して書いてみないかということとなるのだが。
もちろん最後には主人公が続きを書くこととなる。
できたお話はどんでん返し的な展開となり終了する。
お話は多くの謎が矛盾なく解決して終了するのだが、なにかしっくりしない感じが残りました。
たぶんこのお話を他人が続けて書くこと自体が本来無理だったのを、無理やりでっちあげたような感じがするせいなのでしょう。
こういった不満は残りますが、作者の力は感じます。
次作を期待しましょう。

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