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ミステリの祭典

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いいちこさんの登録情報
平均点:5.77点 書評数:595件

プロフィール| 書評

No.595 5点 砂の女
安部公房
(2026/05/12 09:45登録)
近代日本文学を代表する傑作でありながら、ミステリとみることも可能との触れ込みであるが、非常に奇妙な風合いで、小生程度の見識ではとらえきれないスコープをもった作品


No.594 6点 屋上の道化たち
島田荘司
(2026/05/12 09:44登録)
冒頭に示された謎が論理的に説明される作品を本格ミステリと呼ぶものと理解。
本作は提示される謎の不可解性が非常に強烈で、かつ真相が完全に解明されるという意味で、非常に徹底した態様の本格ミステリである。
偶然性のレベルが許容できる水準を超えているとか、「北の夕鶴」「暗闇坂」等と比べて緊迫感がないといった評価が散見されるが、そうしたバカミス的真相であるからこそ、全体としてコミカルな作風を選択しており、これが非常にフィットして、1個の作品としての完成度を高めていると評価。
ダミーの真相の扱い・位置づけ、真相解明プロセスに論理性が欠如している、というか、見るべきものがない点は減点材料であるが、島荘ならではの、アクロバティックかつ徹底的な本格ミステリとして好意的に評価


No.593 5点 地雷グリコ
青崎有吾
(2026/05/12 09:43登録)
勝負はどれだけ先入観を排して、ルールの穴を突くことができるか、という点にかかっているのだが、作品の終盤に至るや、建物への放火等も含め、そのやり方・態様がどんどん無軌道になっていき、高度な戦術というより、ただ乱暴なだけ、揚げ足をとっているだけという印象。
主人公の戦術も、序盤は相手に勝たせておき、終盤になって術中にハメて逆転するというワンパターンで、作り物のような、著者の思惑に沿って登場人物を動かしているだけという印象が強い。
登場人物の造形は、昨今のライトノベルに典型的にみられるものであるが、あまりにもトリッキーでリアリティがなく、感情移入が難しい。
各所で激賞されており、いくつか見るべき短編もあるものの、全体としては水準レベルのミステリパズルであり、それ以上の評価に値する作品ではない


No.592 5点 焦茶色のパステル
岡嶋二人
(2026/05/12 09:39登録)
競馬に関するミステリといえば、馬の入替と、そのバリエーションとも言える血統の詐称が二大黄金パターンであろう。
本作はそこからもう一捻りを加えたもので、巧妙ではあるものの、大きなサプライズを演出しているとまでは言い難い。
ダミーの真相もリアリティ・迫力の点でイマイチで、この程度の評価にならざるを得ない


No.591 7点 闇に香る嘘
下村敦史
(2026/04/20 17:16登録)
真相は完全に想定の範囲内であり、多くの読者にとって予見可能なものだろう。
ただ、真相が明かされた瞬間に、物語全体が非常に鮮やかに反転しており、そのために用意されたプロット、配された伏線が実に見事。
本作のタイトルと、点字の暗号だけはあまりにも拙劣であるが、一読に値する佳作といえる


No.590 5点 リバース
湊かなえ
(2026/04/20 17:15登録)
(以下ネタバレを含みます)
ある出来事と、別の出来事の因果関係というのは、そんなに容易に立証できるものではないし、まして予測することはさらに難しい。
本件真相は、主人公の好意が裏目に出たというだけの話。
これをもって殺害したのは主人公であるとか、事故の原因は主人公であるとか、主人公本人が責任を感じるのは別論、客観的にそのように評価することには強く違和感を感じる。
悪い作品ではないが、上述のとおりきちんとリバースしているという印象はなく、読者の想像を超えるサプライズが演出できたとはいえない。


No.589 5点 模倣の殺意
中町信
(2026/04/03 09:58登録)
(以下ネタバレを含みます)
非常に既視感が強い叙述トリックであるが、本作の執筆が1973年であることを考えれば、本作が後続の作品に模倣された訳であり、むしろその先駆性を評価すべきであろう。
一方、同姓同名の別人という真相は、トリックなどと呼べるような代物ではなく、読者に対する重大な信義則違反・反則として強く糾弾されるべき。
アリバイ工作の内容も、却って疑惑が深まるという意味で、きわめて拙劣であり、全く評価に値しない。
作家として叙述の腕は確かであり、先述した本作プロットの先駆性を加点して、この評価としたい


No.588 7点 アリス殺し
小林泰三
(2026/04/03 09:57登録)
「不思議の国のアリス」を題材にしつつ、現実と夢の双方で真相を探っていくという特殊設定ミステリであり、まずもって、そのプロットのオリジナリティ・構想力を高く評価したい。
ナンセンスでありながら、コミカルで笑みが漏れてしまうような会話のやり取り、グロテスクな描写等、本作の個性を際立たせるガジェット・手際も実に見事。
とにかく非常に個性的で、かつブラックユーモアが効いており、相当に毀誉褒貶が分かれるであろうが、好意的に評価したい


No.587 6点 招かれざる客
笹沢左保
(2026/03/10 15:19登録)
プロットやトリックに目を見張るような点はないが、それでもなお読ませるだけの筆力があり、6点の最上位と好意的に評価


No.586 7点 シャム双子の秘密
エラリイ・クイーン
(2026/03/10 15:07登録)
トリッキーな試み・構成であり、毀誉褒貶が分かれる作品だろう。
私はカードを手がかりとした推理や、演出されたサプライズを前向きにとらえてこの評価


No.585 5点 失われた世界
アーサー・コナン・ドイル
(2026/02/12 18:01登録)
考証が甘いというより、まともに考証されておらず、いかにも児童向けの空想的な作品


No.584 5点 地面師たち
新庄耕
(2026/02/12 18:00登録)
「圧倒的なリアリティ」という惹き句が付されているが、犯罪の手口があまりにも稚拙で、かつ雑であり、これが実態なのか、これで露見しないのか、強く疑問に感じられる。
また、各登場人物が個性的すぎて、1個の読物として感情移入が難しい。
世評の高い作品のようだが、5点の最下層


No.583 5点 悪魔パズル
パトリック・クェンティン
(2026/01/23 10:49登録)
冒頭における謎の設定、すなわち状況の不可解さは魅力的であり、サスペンス、スリラーとしての基本は抑えられているが、犯行計画が行き当たりばったりであるうえ、プロットそのものがシンプルであり、底は至って浅い


No.582 6点 アヴェンジャー
フレデリック・フォーサイス
(2026/01/16 18:00登録)
著者の作品に例外なく言えることであるが、本作も綿密な取材に裏付けられた緻密なストーリーテリングが、高いレベルでリアリティと緊迫感を演出している。
ただ、本編が半分、その前提としてのサイドストーリーが半分という構成は、さすがにバランスを欠いているように感じられる。
水準に達しているのは間違いないが、サイドストーリーにこれだけのボリュームを割くのであれば、本編でもうひと捻り、もう少し深堀りが欲しかったところ


No.581 4点 心霊殺人事件
坂口安吾
(2026/01/05 10:54登録)
安吾ならではの軽妙洒脱な筆致はさすがだが、いかにも小品という作品が多い。
一部に水準に達している作品もあるが、短編集全体としてはこの評価


No.580 4点 百年祭の殺人
マックス・アフォード
(2026/01/05 10:53登録)
ミステリクイズ・パズルのような作風で、読物としては読ませるところがない。
それでいて犯行動機の合理性や、真相解明プロセスの論理性等の点で見どころに乏しく、この評価とならざるを得ない


No.579 5点 ダービーパラドックス
島田明宏
(2026/01/05 10:52登録)
アイデアや、ディテールに見るべき点はあるものの、プロットがリアリティに欠けていて、ミステリとしてやや物足りなさを感じる


No.578 5点 人喰い
笹沢左保
(2025/12/30 16:54登録)
筆力の高さは感じられるものの、1個のミステリとして綻びの多さ、完成度の低さが目につく。
フーダニットとして引っ張るため、複数の犯人候補が準備されているのだが、その言動にリアリティが感じられない。
犯行動機に対する違和感はその最たるものであるし、犯人特定に至る遺書・ライターの取扱いにも同様の感が強い。
プロットは悪くないし、随所に上手さも見られるものの、こうした合理性の欠如やご都合主義の減点が大きく、この評価としたい


No.577 5点 モロー博士の島
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(2025/12/30 16:50登録)
当時支配的であったキリスト教の伝統的な規範・観念に対し、ダーウィンの進化論がもたらした衝撃の大きさを窺い知ることができるという意味で、貴重な作品


No.576 5点 グラスホッパー
伊坂幸太郎
(2025/12/03 14:15登録)
よくできた作品だし、筆力の高さも感じるのだが、やや難解であり、抜群に面白いという印象もない

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