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ミステリの祭典

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いいちこさんの登録情報
平均点:5.77点 書評数:607件

プロフィール| 書評

No.607 7点 アリアドネの声
井上真偽
(2026/09/29 18:59登録)
テレビの2時間ドラマのような軽量コンパクトな作り。
ドローンに次から次へと訪れるハプニングも、とにかく緊迫感を欠いていて、サスペンスとしてはいかにもヘタクソなデキ。
ただ、ラストの捻り、真相だけは、とにかくよくできているというか、言ってしまえば、その点、一発勝負の作品。
しかし、その真相は、いかにもお涙頂戴的な、安易といえば言葉が強すぎるが、ありがちなものである。
そうした点も含め、繰り返しになるが、いかにもテレビの2時間ドラマ的な、ヒューマンドラマ・サスペンスであり、悪い作品ではないが、ここまで激賞されるべき作品でもない


No.606 5点 検死審問 インクエスト
パーシヴァル・ワイルド
(2026/09/29 18:57登録)
執筆された当時における斬新さと、独特の味わいをもったユーモア等が高く評価されている作品であろう。
それらの要素を考慮せず、1個のミステリとして、プロットの完成度、真相解明プロセスの論理性、トリックと真相の意外性等の要素で評価し、5点の下位とした


No.605 5点 2001年宇宙の旅
アーサー・C・クラーク
(2026/09/29 18:55登録)
映画はオールタイムベスト争いの常連であるが、小説はそこまでの傑作とは感じない。
とくに本サイトにおいては、ミステリと捉え、この程度の評価に止めることとしたい


No.604 5点 Iの悲劇
米澤穂信
(2026/09/02 17:11登録)
個々の短編はいかにも小品であるが、そこで勝負するのではなく、6編を1個の連作短編集のように読ませる作品である。
プロットはよくできているが、その構想が読者にとって十分に想像できる範囲内にとどまっていて、スケールが感じられない。
小生が直近まで地方に居住していて、限界集落を身近に感じていたことも影響しているかもしれないが。
相変わらず筆力の高さは感じさせるものの、ミステリとしてはこの程度の評価にならざるを得ない


No.603 5点 花束は毒
織守きょうや
(2026/08/19 10:07登録)
多少の無理や違和感があるからこそ、サプライズが演出できる訳で、よいミステリにはよい意味での無理が必要ということは理解している。
ただ、本作のように、犯行動機、犯行の態様・プロセス、犯人と周囲の人間関係、登場人物の行動の合理性等、作品のあらゆるところに無理、すなわちリアリティやフィージビリティの欠如を感じてしまうと、サプライズは演出できない。
したがって、ミステリとしてはより低い評価が妥当と考えるが、文筆家としての能力、読ませる力は高く、この評価とした。
別の作品に期待したい


No.602 4点 時空旅行者の砂時計
方丈貴恵
(2026/08/19 10:06登録)
ここまで突拍子もない舞台設定・ガジェットが導入されると、それだけハードルが上がってしまうのだが、それを華麗にクリアしたとは言い難い。
メイントリックも独創性はあるものの、「この技術が存在するなら、そのような使い方も当然にできるよね」という程度にしか感じられない。
拙劣な叙述も減点材料


No.601 7点 悪いものが、来ませんように
芦沢央
(2026/08/19 10:05登録)
(以下ネタバレを含みます)
また、叙述トリックか、と。
統計をとっている訳ではないが、昨今叙述トリックがあまりにも濫用されていて、仮にサプライズを演出していたとしても、素直に面白いと感じ、評価できなくなりつつある。
本作もトリック・サプライズありきになっている面があり、真相にかなり無理を感じるのは事実。
ただ、主人公と母親の異様な共依存関係が、いかにも同時代的でリアリティがあり、強く印象に残る作品


No.600 5点 ファラオの密室
白川尚史
(2026/08/19 10:04登録)
「ファラオの密室」そのものは拍子抜けするような真相で、主人公が欠けた心臓を取り戻すというストーリーがメインである。
タイトルにキャッチーな言葉が欲しかっただけだろう。
作品の後半で探偵を補佐する役割を担うカリについて、前半部分で奴隷として過酷な日々を送るさまが散々描写されるのだが、そうした描写・人物造形の必要性が感じられない。
最終盤のどんでん返しも、必然性そのものに疑問を感じる。
以上、群を抜いて独創的な舞台設定とプロットで高く評価されている作品であるが、全体にチグハグさ、完成度の低さが目についた


No.599 6点 聖母
秋吉理香子
(2026/07/24 15:00登録)
(以下ネタバレを含みます)
叙述トリックが使用されていることは半ば自明であり、それを斜め上から超えていこうとする作品。
一定のサプライズは演出しているが、かなり無理も感じ、手放しで評価できるデキではない


No.598 6点 出版禁止
長江俊和
(2026/06/26 10:31登録)
作中作という時点で身構えているから、どうしてもハードルが高くなる。
そのうえで、さまざまな仕掛けがあまりにもわかりやすく(「新藤七緒」はともかく、「若橋呉成」は逆効果以外の何物でもない)、よく考えられているものの、大きなサプライズにはつながっていない。
6点の下位


No.597 6点 あの日、君は何をした
まさきとしか
(2026/06/23 13:13登録)
一番印象に残ったのは「よく書けている」ということ。
文筆家として筆力の高さが伺える。
ミステリとしても水準に達しているが、それほど突出した作品ではない。
6点の上位


No.596 7点 名探偵のいけにえ 人民教会殺人事件
白井智之
(2026/06/23 13:12登録)
精巧無比というタイプの作品ではなく、細部にはそれなりに突っ込みどころがある。
ただ、多重解決モノというフォーマットを選択した理由として、「信仰者の推理」と「余所者の推理」の両者が成立する余地があり、ジム・ジョーデンに二者択一を迫るというプロットがよくできている。
その点は認めるが、これほどまでに激賞されるべき作品とは思えない


No.595 5点 砂の女
安部公房
(2026/05/12 09:45登録)
近代日本文学を代表する傑作でありながら、ミステリとみることも可能との触れ込みであるが、非常に奇妙な風合いで、小生程度の見識ではとらえきれないスコープをもった作品


No.594 6点 屋上の道化たち
島田荘司
(2026/05/12 09:44登録)
冒頭に示された謎が論理的に説明される作品を本格ミステリと呼ぶものと理解。
本作は提示される謎の不可解性が非常に強烈で、かつ真相が完全に解明されるという意味で、非常に徹底した態様の本格ミステリである。
偶然性のレベルが許容できる水準を超えているとか、「北の夕鶴」「暗闇坂」等と比べて緊迫感がないといった評価が散見されるが、そうしたバカミス的真相であるからこそ、全体としてコミカルな作風を選択しており、これが非常にフィットして、1個の作品としての完成度を高めていると評価。
ダミーの真相の扱い・位置づけ、真相解明プロセスに論理性が欠如している、というか、見るべきものがない点は減点材料であるが、島荘ならではの、アクロバティックかつ徹底的な本格ミステリとして好意的に評価


No.593 5点 地雷グリコ
青崎有吾
(2026/05/12 09:43登録)
勝負はどれだけ先入観を排して、ルールの穴を突くことができるか、という点にかかっているのだが、作品の終盤に至るや、建物への放火等も含め、そのやり方・態様がどんどん無軌道になっていき、高度な戦術というより、ただ乱暴なだけ、揚げ足をとっているだけという印象。
主人公の戦術も、序盤は相手に勝たせておき、終盤になって術中にハメて逆転するというワンパターンで、作り物のような、著者の思惑に沿って登場人物を動かしているだけという印象が強い。
登場人物の造形は、昨今のライトノベルに典型的にみられるものであるが、あまりにもトリッキーでリアリティがなく、感情移入が難しい。
各所で激賞されており、いくつか見るべき短編もあるものの、全体としては水準レベルのミステリパズルであり、それ以上の評価に値する作品ではない


No.592 5点 焦茶色のパステル
岡嶋二人
(2026/05/12 09:39登録)
競馬に関するミステリといえば、馬の入替と、そのバリエーションとも言える血統の詐称が二大黄金パターンであろう。
本作はそこからもう一捻りを加えたもので、巧妙ではあるものの、大きなサプライズを演出しているとまでは言い難い。
ダミーの真相もリアリティ・迫力の点でイマイチで、この程度の評価にならざるを得ない


No.591 7点 闇に香る嘘
下村敦史
(2026/04/20 17:16登録)
真相は完全に想定の範囲内であり、多くの読者にとって予見可能なものだろう。
ただ、真相が明かされた瞬間に、物語全体が非常に鮮やかに反転しており、そのために用意されたプロット、配された伏線が実に見事。
本作のタイトルと、点字の暗号だけはあまりにも拙劣であるが、一読に値する佳作といえる


No.590 5点 リバース
湊かなえ
(2026/04/20 17:15登録)
(以下ネタバレを含みます)
ある出来事と、別の出来事の因果関係というのは、そんなに容易に立証できるものではないし、まして予測することはさらに難しい。
本件真相は、主人公の好意が裏目に出たというだけの話。
これをもって殺害したのは主人公であるとか、事故の原因は主人公であるとか、主人公本人が責任を感じるのは別論、客観的にそのように評価することには強く違和感を感じる。
悪い作品ではないが、上述のとおりきちんとリバースしているという印象はなく、読者の想像を超えるサプライズが演出できたとはいえない。


No.589 5点 模倣の殺意
中町信
(2026/04/03 09:58登録)
(以下ネタバレを含みます)
非常に既視感が強い叙述トリックであるが、本作の執筆が1973年であることを考えれば、本作が後続の作品に模倣された訳であり、むしろその先駆性を評価すべきであろう。
一方、同姓同名の別人という真相は、トリックなどと呼べるような代物ではなく、読者に対する重大な信義則違反・反則として強く糾弾されるべき。
アリバイ工作の内容も、却って疑惑が深まるという意味で、きわめて拙劣であり、全く評価に値しない。
作家として叙述の腕は確かであり、先述した本作プロットの先駆性を加点して、この評価としたい


No.588 7点 アリス殺し
小林泰三
(2026/04/03 09:57登録)
「不思議の国のアリス」を題材にしつつ、現実と夢の双方で真相を探っていくという特殊設定ミステリであり、まずもって、そのプロットのオリジナリティ・構想力を高く評価したい。
ナンセンスでありながら、コミカルで笑みが漏れてしまうような会話のやり取り、グロテスクな描写等、本作の個性を際立たせるガジェット・手際も実に見事。
とにかく非常に個性的で、かつブラックユーモアが効いており、相当に毀誉褒貶が分かれるであろうが、好意的に評価したい

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