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ミステリの祭典

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仮面病棟
病棟シリーズ

作家 知念実希人
出版日2014年12月
平均点5.89点
書評数9人

No.9 7点 まさむね
(2023/07/06 20:47登録)
 正直、病院の秘密や黒幕を含めた物語の大枠は、早い段階で予測がつきました。あまりにもアレすぎますしねぇ。
 しかしながら、決して「つまらなかった」とはならなかったことがポイント。むしろ次々にページをめくらされ、展開に身を委ねる心地よさを感じました。終盤の急展開も好印象。リーダビリティは高いです。
 本作は2014年の発表。この時点で作者の技量は十分に確認できますねぇ。切り上げたうえでの、この採点。

No.8 7点 みりん
(2023/02/14 02:06登録)
多数の不可解な要素がすべて○○○○という一つのテーマで説明される美しさに快感を覚えた。医療ミステリーとして秀作。

No.7 8点 虫暮部
(2019/11/07 13:09登録)
 表現上の深みは捨ててスピード感に徹したのは正解、予想外の結末までまんまと一気読みである。面白かった。
 難癖を付けるなら:事件に於いて主人公はイレギュラー因子であるが、彼の熱血ぶりが結果として犯人の手助けになっている。もともとの予定通りなら(上階の患者達は別として)彼のようないわば“中立”の者は不在なわけで、果たして事態はどう転がったか?そのへんの齟齬が物語にあまり組み込まれていないように見える。

No.6 4点 斎藤警部
(2018/12/08 19:22登録)
【最初に伏字ネタバレ】      どう見ても▼▼以上に怪しい■■が「●●側の人間でした」というだけではなあ、ちょっとカックンだわ。。       カタルシスに欠ける中途半端な結末、の割にストーリー展開に攻めの姿勢を感じる、だがその結果なんだかアンバランスで衝撃度低。 これを普通の先褒め法で「ストーリーは攻めてるが結末いまいちで衝撃低い」と言っちゃうと何だか微妙に違う、そんな肉離れ起こしそうなガチの中途半端。 折角のディープ社会派因子さえどういうわけかサスペンスの単なる引き立て役に。 でも読んで面白い読みやすい。子供の守りしながら隙間時間であっという間でしたよ。もっとイカした作品を書くポテンシャルを感じますよ。 最後に、これもネタバレでしょうが、男女の機微要素が逆ハードボイルド過ぎるのは、そこがメイントリックの一部であるのが見え見えである事を度外視しても、萎えました!(これもやはり衝撃弱めるアンバランスの一要素)

No.5 7点 蟷螂の斧
(2017/04/23 20:13登録)
ミステリー通には、判り易い犯人像みたいですね。一般的には、「面白かった。一気読みできた。」との評が多いようです。私的は後者に一票(笑)。在りそうで、無さそうな、そんなプロットでした。サスペンスものとしてはよくできていると思います。ミスリードの点では、直近に読んだフランスミステリー(2012作品)に同様なアイデアで、もっと強烈なものがあり、ちょっと残念な気がしました。

No.4 5点
(2016/08/08 09:42登録)
ピエロの仮面をつけ拳銃を持った強盗犯による立てこもりが、夜間の病院で発生。
院内に監禁されているのは、急きょ当直となった医師・速水、傷を負った若い女性、院長、女性看護師2名の計5名と、大勢の入院患者たち。

閉鎖空間で人質たちに襲い掛かってくる恐怖。夜が明けるまで、というタイムリミットサスペンス物でもある。
一気読み必至、というのはたしかにそのとおり。
場面がほとんど病棟の中なので退屈しそうだが、院内で発生するいろんな事象、事件をつなぎ合わせて読者を惹きつけようとするテクニックは抜群です。
登場人物が少なく、読者が人物で混乱することはなく、読みやすいのもよい。

作者は、どんでん返し一本で決めたかったのか、病院自体が怪しいことは初めのうちに自白しているし、裏の解説や『仮面病棟』というタイトルでもばらしてしまっている。
これは少しもったいない。少し引っ張ればいいのに、と思うのは素人考えなのか。タイトルがこのままでも、ピエロの「仮面」というミスリードも成り立つのになあ。
でもこれを隠せばちがった筋の話になってしまうのかなあ。
なお、みなさんもご指摘のように予想しやすいラストでした。

まずまずの出来だが、まだまだとも言える、そんな作品でした。

No.3 5点 E-BANKER
(2016/04/19 21:26登録)
2014年発表。
2011年の「福山ばらのまちミステリー文学新人賞」受賞の作者が贈る五作目の作品。
作者は現役の医師(よく書ける時間あるよなぁー)。

~療養型病院に強盗犯が籠城し、自らが撃った女の治療を要求した。事件に巻き込まれた外科医・速水秀悟は女を治療し、脱出を試みるうち、病院に隠された秘密を知る・・・。閉ざされた病院で繰り広げられる究極の心理戦。そして迎える衝撃の結末とは? 現役医師が描く一気読み必至の本格ミステリー×医療サスペンス~

「怒涛のドンデン返し!」という惹句を付けるほどか?
と問われると、それほどではないと答えるしかない。
新聞の欄外広告でしつこいほど宣伝されていた本作なので、とりあえず読んでみるかと手に取った次第なのだけど・・・
まぁ結果は予想通りだった。

“病院に隠された秘密”については、犯人籠城が始まった瞬間から大凡の察しはついてしまう。
でもこれは恐らく作者の「撒き餌」なのだろう。
本来のポイントはラストに判明する真実・・・のはず。
でもこれも・・・かなり予想の範疇。
他の方もご指摘のとおりなのだが、少しでもミステリー好きを名乗る方なら気付くに違いない程度のサプライズ。

書き方もまだまだ稚拙さが目立つ。
イタズラに長くするのが良いとは思わないけど、前半からあまりにもトントン拍子でことが進みすぎ!
読者はもはや見え見えの決まった道筋を辿っていくだけ・・・という感じになってしまう。
主人公の速水医師もなぁ・・・結構イタイ奴になってるし。

ということで版元がここまで大々的に宣伝するほどのものではないという評価に落ち着いてしまう。
次作に期待!
(解説の法月綸太郎が指摘しているのは、東野圭吾の「仮面○○殺人事件」の影響ってことだろうな・・・)

No.2 5点 HORNET
(2015/12/17 21:32登録)
 古本で購入したので知らなかったが、メルカトルさん曰く帯に「怒涛のどんでん返し!一気読み注意!!」とあるそうだ。ただ、最近の「どんでん返し」を謳う作品全般に多いのだが、「この後、まだどんでん返しがあるよ!」ということが内容的にも雰囲気的にも「わかってしまう」のがどうも…。本作品もその一つ。だから帯で謳うような衝撃はない。
 さらに、そこで明らかになる真犯人も、ミステリを読み慣れている本サイトの読者なら半分以上予想通りだと思う。だから読後の印象は「そうだったのか!」よりも「やっぱりそうだったか」である。
 ピエロのマスクをかぶった男が登場する、といったC.Cらしい序盤は非常に良かったし、その後もスピード感のある展開だったことは間違いないのだが、予想を遙かに超える仕掛けだったとは言い難い、といったところ。
 よく考えられたプロットではあった。著者の今後に期待したい。

No.1 5点 メルカトル
(2014/12/16 22:30登録)
元精神病院である田所病院に、コンビニ強盗が傷ついた人質とともに押し入った。主人公である当直バイト医師の速水と田所医院長、そして看護師二人、人質の若い女性とピエロの仮面をかぶった強盗の、閉鎖状況での恐怖の一夜が始まる・・・。
帯に「怒涛のどんでん返し!一気読み注意!!」との謳い文句が堂々と載せられているが、これは過大広告というものだろう。どんでん返しを期待すると拍子抜けするので注意が必要。ただ、一気読みできるだけのリーダビリティは確かに備えていると思う。
細かい点に誤謬があるのが気になるところだが、まあそれほど傷にはなっていない。内容的にはそこそこ面白いが、あまり新味はなくあっと驚くような意外性もない。どう贔屓目に見てもまずまずとしか言えない。
勘のいい読者はどことなく違和感のある、芝居じみたやり取りの中にヒントを見出し、真相を看破することも十分可能と思われる。ただし、たとえ真相を見破ったとしても、大したカタルシスは得られない気がする。見破れなかった人もあまり騙された感は覚えないだろう。

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