home

ミステリの祭典

login
ルビンの壺が割れた

作家 宿野かほる
出版日2017年08月
平均点5.75点
書評数8人

No.8 3点 みりん
(2023/03/30 18:35登録)
これが日本一の大どんでん返し??と言う感想

No.7 6点 まさむね
(2021/11/21 20:13登録)
 文庫の帯にあった「日本一の大どんでん返し」との評は、さすがに持ち上げ過ぎとは思いますが、終盤のたたみ掛け具合は良いですね。最後の一文も印象的。メールのやり取りのみで構成したことが、様々な面で効果を上げています。ほぼ一気読みでした。

No.6 6点 パンやん
(2021/06/01 11:02登録)
う~む、確かに読ませる、面白い、どうなるのよ~って、どんどん引っ張って、気持ちよく高揚感にのせてくれる。で、締めは?ぐっ、ものすごい嫌悪感、胸糞悪さに襲われるが、そもそもそれが狙いであったか。このライブ感が全てなのか。再読はないね。

No.5 7点 蟷螂の斧
(2021/04/02 19:28登録)
最後の一行的なものが好きなので・・・(笑)。心理サスペンスですね。元婚約者の二人は、お互いに弱みと強みを持っており、最初は心理戦でのジャブの応酬。最後にストレートパンチ(隠し玉)を放つ。さて、どちらがヒットしたのか?といった感じですね。文庫本で170ページの中編なので一気読みできます。

No.4 6点 メルカトル
(2019/05/02 22:17登録)
「突然のメッセージで驚かれたことと思います。失礼をお許しください」――送信した相手は、かつて恋人だった女性。SNSでの邂逅から始まったぎこちないやりとりは、徐々に変容を見せ始め……。ジェットコースターのように先の読めない展開、その先に待ち受ける驚愕のラスト。覆面作家によるデビュー作にして、話題沸騰の超問題作!

これはなかなか。Amazonで散々こき下ろされていますが、そんなに酷いとは思えません。確かにほとんど伏線なしでの種明かしはあまり感心しませんが、だからこそ驚愕が生まれるのではないでしょうか。別に本格ミステリという訳ではなし、読者が論理立てて推理できる余地が必要とも思いませんし、こうした形式の作品に限っては、特段アンフェアだの説明不足だのといった尺度で測るようなものではない気がします。イヤミスの突然変異的な新タイプと考えれば、十分納得の行く出来だと思います。

名探偵ジャパンさんは危惧されておられますが、大丈夫ですよ。私のような面白いものなら何でも読むという人間は意外と多いと思います。そういう人が本作を読んでもっと違ったミステリにも触手を動かすことは、すなわちミステリの裾野を広げるってことですから、今後のミステリ界に寄与する結果にもなり得るでしょう。
ミステリ小説というジャンルは、古の名作を超える斬新なアイディアをどんどん取り入れて進化を遂げて、様々に派生し、飽和し、それを破壊し、その中から新たな古典と呼ばれる作品群を生み出す、そうした歴史を繰り返すものじゃないでしょうか。少なくとも本作によって影響を受けた作家が出現する可能性も否定できませんしね。

No.3 6点 虫暮部
(2018/11/02 11:37登録)
 過大評価は避けたいが、つい一気読みさせられるくらいの瞬発力はある。居酒屋の壁を殴るエピソードとその解析が印象的だった。あと、相手の反感を買わぬよう慎重に話題を選んで手探りする感じ、私は寧ろリアリティを感じた。

No.2 6点 名探偵ジャパン
(2018/08/13 16:03登録)
人並由真さんの書評にも書かれていたとおり、本作はネット上で話題沸騰らしいです。「ラストで驚愕!」という、ある種お決まりの文句と一緒に紹介されています。タイトルも意味深に思えて興味をそそられます。

で、私も読んでみたわけですが、なるほど大変読みやすく、いたずらに長くもなく、「ラストで驚愕」という煽りもそのとおり。これは普段ミステリに接する機会のない読者の方々にも十分アピールすると思いました。
これも人並由真さんの書評にありましたが、最後まで読み終えた段階で思い返してみれば、確かにメールのやりとりをする二者間で「あの話題」が一切出てこないというのは不自然で、それはなぜかと問われたら、「そうしないと話が成り立たない」というメタ理由しか出てこないでしょう。
ですがそれは、「あとから振り返ってみる」という行為をするからそう感じるのであって、恐らく本作はそういった読み方は推奨されなく書かれています。
つまりは「ライブ感」リアルタイムで読んでいる今現在に読者を驚かせて楽しませる。先のことは考えない。立ち止まって過去を顧みることもしない。常に人気を得続けなければならず、止まると死んでしまう週刊連載漫画のような疾走感で書かれているということです。これは、そういったものを求めている世相、読者層に対して書かれているものなので、いい悪いという話ではありません。

ただ、世間では本作が「ミステリ」として紹介されていることに危機感を覚えます。本作を読んで、「またこういうものが読みたい」と思った読者が、いわゆる「本格ミステリ」を手に取ったら、非常に退屈してしまいミステリ嫌いになってしまわないかと危惧してしまいました。

No.1 6点 人並由真
(2018/07/30 11:59登録)
(ネタバレなし)
 50代になってSNS(Facebook)を始めた水谷一馬は、かつて自分と結婚寸前までいった女性・美帆子とweb上で再会した。彼らは、一馬が大学の演劇部で部長を務め、美帆子がその部員だった青春時代を振り返る。やがて当時の記憶の中から、忘れがたいあの思い出が頭をもたげて……。

 2018年7月現在Amazonで150以上のレビューを集め、Twitterでも反響を呼んでいる話題作。仕込みやヤラセじゃなければ大したもんだ、どんなんだろ、と読んでみた。
 全体の紙幅は四六判の一段組で、本文が160ページ弱。しかも全体が一馬と美帆子のメールでのやりとりという書簡形式なのでリーダビリティは最強。その上で、メール一文が長めだったり短めだったり、また時には相手から返信がなく同じ書き手のメールが二回続くとか、その手の緩急もつけてあり、これ以上なく凶悪なほどにスラスラ読める。
 んでもって最後のサプライズは驚かされたもののかなり唐突で、この小説の作り方だったらほかのいろんなネタも、悪い意味でいくらでもアリだよね、という思いが強い。ただまあ、底が割れてから物語全体を振り返ると<そういう背後の真実>(もちろんここでは書けないが)を前提にしながら(中略)し続けた登場人物の内面にはひしひしと恐怖を感じる。その辺は、作者の狙ったところだろう。

 まあ一方で、この物語の流れ(メールのやりとり)のなかで<一番隠されていた大ネタの部分>に、主人公双方のどちらもメールの話題にカスリもしないというのは、かなりの無理筋という気もするが。この辺は、何回か途中のメールが何らかの理由付けで本書内の記述から割愛されて、その部分は読者の目に触れない(そこで主人公たちは該当の話題を話しあっていたことが暗示される)とかできなかったかな、と思う。
 それでも、作者が障害物競走のゴールをめざして完走した気分は伝わってくるようで その辺の感覚は悪くはないのですが。

8レコード表示中です 書評