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ミステリの祭典

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恋する殺人者

作家 倉知淳
出版日2023年06月
平均点5.80点
書評数5人

No.5 5点 人並由真
(2023/10/05 04:17登録)
(ネタバレなし)
 ひさびさに倉知先生らしいものを読んだけど、最後のサプライズを早々と見破らない人は、そういないでしょう(汗)。

 基本的にろくに推理しない、犯人やトリックを当てようともさほど積極的に思わない評者でも、この真相には(いくつかの手掛かりや伏線、ミスディレクションにも)気が付いた。
 大家が気楽に書き流した、中学生かビギナーのミステリファン向けの一冊という感じ。

 しかしさすがに作者もそんな大ネタだけではダメだろうと思ったのか、サブのサプライズをもうひとつ用意してあったのには仲々、感心。その辺などにはベテランのプロ作家らしい、良い意味での職人性を見やった。

 本サイトのレビュ―では、虫暮部さんのツッコミと見識が面白い&興味深い(作品本編を未読の方は、まず中身を読んでから、当該のレビューをご覧になってもらいたいが)。なるほど、と思いました。

No.4 5点 sophia
(2023/09/11 19:14登録)
この構成とギミックは著者の過去作の二番煎じでありますし、今回はスケールも小さく真相が脱力系です。サラッと読めるところ以外に特に評価するポイントがありません。しかしこのトリックを成立させるためだけに舞台をヨガ教室に設定したのかなどと考えるとちょっと微笑ましいのです(笑)

No.3 8点 虫暮部
(2023/07/20 12:42登録)
 ネタバレするけれども、これはなかなかの快作。ぎりぎり長編扱いの短さでサクッとまとめたのが大正解。謎はシンプルだが効果抜群。表紙は大胆。

 ただ、推理場面で、助手のKを犯人ではないと判断した根拠が示されていない。
 “翼の性別に関して誤認する立場にないから”、それはその通りだが、もう一つ可能性がある。
 “犯行日に、熊渡家のドアから出て来た人物について、外見が女性的なので女性だと誤認した” である(この部分、叙述トリックで曖昧な書き方故に、作者の意図とは違うトリックとしての解釈も出来てしまうのだ)。
 その可能性は “被害者の外見がそういうものではない” ならば否定される。従って、高文がニュースで被害者の写真を見る等の描写を一行挿んでおくべきだった。

 もう一点。ページは戻るが、真帆子殺害の場面。飛び出して出会い頭に突き落とそうとしたら、真帆子が最上段で立ち止まった。何故それで作戦変更するのか、判らない。状況は特に変わらないのでは?

 あと一つ。突っ込みに関する意見。
 その人を殺してしまうと、肝心な相手との接点が失われる、と言う問題があると思います。

No.2 6点 まさむね
(2023/07/10 20:38登録)
 「基本に忠実な作品だなぁ」というのが、読後の第一印象。
 作者としては珍しいラブコメタッチ。中編と言ってもいいくらいの文量で、複雑な展開でもないので、登場人物たちの軽快な会話もあいまって、スラスラと読み進められます。気軽な気持ちでガンガン読み進めていくのが「正しい」読み方だと思います。評価は分かれそうな気がしますし、突っ込みどころ(mozartさんに同意)もあるのだけれど、私としては、時に欲するタイプの作品ではあります。

No.1 5点 mozart
(2023/06/21 16:58登録)
この作者には「星降り山荘」で見事にダマされたので犯人のモノローグとかを身構えて読んでいましたが意外と「普通」でした。もうひとひねりあるのかも知れないと思っていたのでやや肩透かしぎみでした。

ところで、最後になって犯人から「お前だけは絶対に殺してやる」とある人物がターゲットになっていましたが、それまでの状況を考えるともっと前から狙われていてもおかしくないんじゃないかな。

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