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ミステリの祭典

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バスカヴィル家の犬
シャーロック・ホームズシリーズ

作家 アーサー・コナン・ドイル
出版日1954年05月
平均点6.41点
書評数29人

No.29 6点 バード
(2023/05/22 08:46登録)
(ネタバレあり)

細かな粗点は置いておくとして、殺すために直接大型犬をけしかけていたという、全く捻りの無い真相には流石に肩透かし。何か心理的なトリックで伝説を再現しており、それをホームズらが暴くという内容なら更に好みだった。

真相は肩透かしだったが、分かりやすく面白い物語でサクサクと読めた。総合的には6.5点くらいで、わずかに7点に届かない出来。ホームズ既読作の中では『緋色の研究』、『帰還』に次いで好き。

No.28 7点 take5
(2022/07/02 12:05登録)
創元推理文庫版で再読。
子どもの頃は『バスカビル家の魔犬(or野犬)』だったと
記憶しています、懐かしい。houndなら大型犬?

シャーロッキアンだった亡き祖父に敬意を表して、
ディーンフジオカ好きとしては今こそ再読のタイミングで。

冒頭の推理合戦から依頼者の登場、
ロンドンでのニアミスや
『夕日が綺麗だよ』の再会。

コナンドイルはこれまでも多くの作品が
映像化され続けてきましたが、
バスカビルの犬はその先鋒なのも頷けます。
読んでいてすらすら画が浮かびます。
最後レストレードも登場して300ページ強、
二時間弱で読め、ちょうど映画を見終わった感じです。
ほまれシャーロックを見る前に皆さん如何でしょうか?

No.27 5点 虫暮部
(2022/01/12 12:32登録)
 犯人の死は未確認だけど大丈夫?
 女性へのDVとかはともかく、人死にが出た(犬をけしかけて相手が死んだら法律上は何罪?)件に関しての物証は結局摑めなかった(よね?)。今回は危うく助かったサーだが、彼が死んだ後、実は生きていた犯人が我こそは相続人なりと名乗り出たら、欠格とする根拠はあるのだろうか。
 犯人が死んでいたとして、犯人になりすましても殺人罪に問われるリスクは低いのだから、事情を知っている奴が替え玉を用意して権利を主張したらどうなる。
 ああ、つまりワトスンがこの手記を公表することで抑止力となるわけか(?)。

No.26 5点 じきる
(2021/03/08 16:41登録)
謎解き要素は薄いが、冒険小説としてはそれなりに楽しめる。

No.25 8点 Kingscorss
(2020/10/04 14:11登録)
ホームズシリーズ最高傑作と名高い本作を読了。

ミステリー的には少し薄味でしたが、世評に違わず面白かったです。先に他のホームズ作品を読んでいたので今作で著者が読者をのびっくりさせたい所は割とバレバレで全然驚きませんでしたが…

ホームズシリーズの短編はどれもテンポが良く、よみやすくて面白いのですが、長編はどれも180〜250ページぐらいで長編としてはかなり短いです。短編ベースの話を長くしているかのような作りなので、途中で中だるみする傾向があるように感じます。今作も途中に事件も謎も進行せずにテンポが悪いところがあったんですが、全体としてはとても面白く傑作だと思いました。

ただ、傑作と言ってもホームズ達のキャラクター性ありきで、ミステリーだけ見るとあまり点数的には高くないと思います。あくまでこのキャラクターありきの点数ということで。

個人的には長編の中では緋色の研究の方がホームズエピソードが満載な分好きなんですが、本作も負けず劣らず面白いのでホームズファンなら必読です!

No.24 8点 クリスティ再読
(2020/06/14 13:31登録)
ホームズ失踪中に思い出話スペシャルみたいに書かれた作品、ということになる。ドイル本人はたぶん自分を「冒険小説家」だと思ってたんじゃないかな..となるくらいに、ホームズ長編はアドヴェンチャー色が強いんだが、本作だと、冒険+ゴシック怪奇+メロドラマ+推理少々、という配分だと思う。それはそれで大衆小説のツボを押さえまくった作品なんだから、面白く読めるのは間違いないところ。舞台となるダートムアの荒涼とした荒野の描写が何より、いい。この舞台装置さえ魅力的なら、小説の成功も約束されたようなものだと思う。そういえばクリスティでも「シタフォードの謎」が同じ地域だし、クリスティ自身の出身もあのあたりの港町。
そういう「荒野」が舞台だから、脱獄囚、先住民の史跡、底なし沼、魔犬伝説..と冒険小説的なガジェットを満載した小説だと見た方がいい。それこそ、ホームズも冒険小説の狂言回しだった先行2長編からもう一歩踏み込んで、冒険小説のヒーローにチャレンジした、というのが、本作の人気の根底あるのでは...なんて思ってた。
まあ今回はワトソンも単独行動が多いから、ワトソンも単なる相方・記録係の域じゃない生彩もある。頑張るワトソン、奇怪な人影を目撃、追跡....と真打ちホームズ再登場に至る流れとか、小説としては、文句のつけようがないといえばその通り。

子供の頃学年誌の付録で本作のマンガ化作品を読んだ記憶があるんだけど、Wikipedia によると漫画家は「ワースト」の小室孝太郎だったみたいだ。もし取ってあったら本当にお宝の部類だったなあ。最後に犯人がズブズブと底なし沼に落ち込んで果てる...なんて原作では描いてないシーンがあった記憶がある。底なし沼が怖くて覚えてるんだろうね。

No.23 6点 レッドキング
(2019/05/18 16:10登録)
子供の頃に「呪いの魔犬」とかいうタイトルで読んだ。なぜか登場人物の一人 ステイプルトンが気に入ってしまった。田村正和(古畑任三郎演じる以前の)やルパン三世の石川五右衛門がイメージにあった。(ちなみに執事バリモアは銭形警部。) あらためて新潮社文庫で読み返したら「あごのとがった やせた小男」という描写で、ちょびっとイメージと違った。でもずっとあいつが贔屓だったので点数はオマケ付き。

No.22 8点
(2018/11/05 02:41登録)
シリーズでは一番長い。
冒険とホラーの成分が多く。
最も意外性のあるところは第十一章の終わりのホームズの登場。

No.21 7点
(2018/09/28 13:07登録)
ホームズの出番はわずか。そのせいなのか短編のように、とんとんとんと急展開に話が進むことはありません。ホームズ短編は良すぎるから、くらべることに無理があります。
とはいえ長編としては上出来の部類で、読み終えてみれば、長編4作の中で、「緋色の研究」より上位のベスト長編となりました。

2部構成にはせず、平板になりつつある中盤に脱獄囚を絡ませたり、その後絶妙なタイミングでホームズを再登場させたり、さらに冒険要素を盛り込んだり、とストーリーに変化をつけ、長編らしいサスペンス性豊かな作品に仕上げているのが、他の長編との違いです。
謎の提起や謎解き自体に醍醐味があるのも特徴です。

ホームズの再登場の遅さの理由は想像どおり。このことを含め種々の事情を最後の背景開示&謎解き解説で説明してくれます。このパートは15ページほどありますが、この部分が、ドイルお得意の2部構成の第2部のようにも思えます。

No.20 7点 青い車
(2017/02/25 15:20登録)
 古き良きアドベンチャー小説とでも呼ぶべき趣があり、事件や謎の配置も鮮やかで読者サービス満点です。ワトスン単独による捜査が丹念に描かれている唯一の長篇であることも特別な意味を感じます。オチが弱いところ(犯人の情報が後出し)を除けば文句なしです。

No.19 8点 itokin
(2016/09/26 19:36登録)
最後まで謎解きを中心に面白く読ませるのでやはり古典の名作だと思います。少し怪奇性に逃げている嫌いはあるが、小さな疑問点も丁寧に丁寧に謎解きをしているのも流石と思います。ワトソンとホームズのキャラも十分立っていると思いました。

No.18 7点 nukkam
(2016/08/31 11:16登録)
(ネタバレなしです) 自分自身よりも有名になってしまったホームズに嫌気がさしたドイルは1893年の短編「最後の事件」でホームズシリーズを一度は打ち切ったのですが周りは大騒ぎしてシリーズ続行を熱望し、ついにドイルも初志を曲げて書いたのが1902年に発表したシリーズ第3長編となる本書です。ドイルがどれほどの熱意を込めて執筆したかはわかりませんが内容的には文句なしに面白く、4つの長編では一番の人気作です。中盤でワトソン博士が単独行動を取ってホームズが一時退場してしまいますが、サスペンスを盛り上げるのにこれが一番効果的だったと思います。怪奇幻想的な雰囲気描写もお見事です。ホームズの推理場面が少ないのが(本格派ファンとしては)残念ですが他の3長編と比べてストーリー展開に澱みがなく、ただただ圧倒されました。

No.17 5点 斎藤警部
(2016/03/16 11:41登録)
暗闇の中でキラキラ何かが光っているよな雰囲気が好きだ。 幼少の頃、長篇ホームズでも例外的に気に入ってたな、何ともワクワクさせてくれるサムシングがあってね。決して謎解きがどうとか、意外な結末にどうとか、そういうんじゃないんですけどね。やっぱ何を措いても雰囲気っすよ雰囲気。全ては雰囲気を最高に持って行くための手段。ミステリとか小説に限らない事だろうがね。 
とか言っといてやっぱ点数はこんくらい。

No.16 5点 蟷螂の斧
(2015/06/20 16:28登録)
(東西ミステリー47位)海外著名ミステリ作家のお気に入りベスト10でも26人中6名が本作を選出しています。歴史的意義のある作品であることは理解できるのですが、面白いか?と問われると、評価に困る作品ですね(苦笑)。解説(島田荘司氏)によれば、「著者にとっては、最新科学の情報を作品に組み入れていくことが必要であったが、ロマン派冒険作家の意識から脱しきれなかった(要約)」らしい。そこへゆくと、ジェフリー・ディーヴァ―氏は凄いのかな?。

No.15 7点 名探偵ジャパン
(2014/09/12 08:52登録)
私をミステリ小説の世界に引き込んだ、思い入れ深い一冊。
角川より新訳で出ていたので購入し読んでみた。
読む前に内容を思い出してみようとしたのだが、ほとんど思い出せず。まっさらな気持ちで読む事が出来た…というわけでもなく、読み進めていくうちに徐々に思い出してきた。場面場面に差し掛かると、少し先の展開を思い出していき、記憶の後追いをするような、不思議な読書体験ができた。大昔に一度読んだきりだったというのに、子供だった私にそれほど強烈な読書体験をさせたのかと、改めて本作が好きになった。
今になって読めば、ミステリ的要素はほとんどなく、ホームズとワトソンの冒険譚という色合いが強い。それらしいものは、ホテルから片方だけ盗まれた靴の謎くらいのものだ。当時の私がどうしてこれを読んで本格ミステリにハマったのかは分からない。恐らく「名探偵もの」という括りで、この後に読んだポワロやクイーンの影響のほうが大きいのだろうと思う。それでも私が生涯最初に触れた名探偵、シャーロック・ホームズの威光は大きく、これ以降、超能力も超科学も使うことなく、頭脳と行動力だけで悪人と戦う「名探偵」とカテゴライズされるキャラクター達は、私の中で「ヒーロー」となったのだ。
思い出補正も含めてこの点数を付けたが、「新本格」などをすでに愛読し、今から本作を初読する若い読者には、「そんなに面白くないよ」と言っておく(笑)。

No.14 6点 ボナンザ
(2014/04/08 21:24登録)
ドイルの冒険小説の面が強く出た名作。
ちなみに私が読んだのは英語版だが、流石ドイル読みやすい。

No.13 6点 mini
(2013/03/04 09:58登録)
先月27日に創元文庫から「バスカヴィル家の犬」の新訳版が刊行された、まぁ他社から新訳が次々に出ている現状では創元の旧訳版は古かったからね、新訳は遅かったくらいだよね

今更だがドイル長編の中での「バスカヴィル家」の特徴は、前2作のような2部形式構成を採用していない点である
また怪しげな館が舞台だったりオカルト伝説を雰囲気作りに使用したりと、現代の本格読者に好まれそうなガジェットが目立つ
一方で謎解き面で見ると、犯人の意外性などは重要視されていない、犯人の意外性云々だけで言うなら例えば「緋色の研究」などの方が意外なくらいだ
「緋色の研究」「四人の書名」は後半が過去の因縁話なのでドイルの伝奇小説・冒険小説面が出ているように思われがちだが、表面的には当時の大都会ロンドンで起きた三面記事的事件に過ぎず単に海外での因縁話がロンドンに影を落としているだけなのだ
また何と言っても初期2作には犯人逮捕場面など前半部だけなら短編的な切れ味が有るが、そういう点では「バスカヴィル家」は話自体が短編形式では書ききれなくて長編で書かれたのも納得だ
刊行年的には初期2作が「ホームズの冒険」以前に書かれているのに対して、「バスカヴィル家」は「回想」と「生還」の間に書かれている
ホームズ短編連作で一躍名を上げた以前と以後に書かれたものとの相違なんだろうな、やはり書かれた時期への考察は重要なんだなと思った
そして「バスカヴィル家」のロマン性を見るとドイルの本質はやはり伝奇ロマンス作家なんだと思わずにいられない

No.12 6点 TON2
(2012/11/19 19:17登録)
新潮文庫
西部イングランドの沼沢地の富裕なパスカヴィル家に伝わる魔の犬の伝説。伝奇的な味わいを持つミステリーです。こういう作風は現代では普通ですが、20世紀初頭にすでに原型ができていたのです。この作品では、ワトスンが貴族の家に乗り込み、その様子をホームズに報告するという形式で、ホームズは冒頭と後半の事件解決の場面しか出てきません。

No.11 9点 おっさん
(2012/01/10 15:10登録)
光文社文庫の<新訳シャーロック・ホームズ全集>を読む、その第五回。
犯罪王モリアーティとホームズの対決を描いた「最後の事件」から8年――名探偵を封印したドイルがついにその沈黙を破り(ただし事件発生年を「最後の事件」以前に設定して)、『ストランド』の1901年8月号から1902年4月号にかけて連載した、ホラー・テイストの傑作サスペンスです。

悪漢の正体暴露が早すぎる点(全体の3/4ほどで明かし、残り1/4が、クライマックスの見せ場を含む、長い大団円)が、子供の頃は不満だったのですが・・・
あらためて読み、よくよく考えてみれば、これは、

主人公がカゲでこっそり調査して犯人の目星をつけるも、物証が無いため、わざと犯人に被害者を襲わせ、トリックを押さえて現行犯逮捕を狙う(終盤、警察官のレストレードが招聘されるのはそのため)

そんなお話なのですよね。
およそ、「モルグ街の殺人」「マリー・ロジェの謎」「盗まれた手紙」に端を発する、論理による「謎解き型」小説の風上にも置けないわけでw ズバリ「本格」ではありません。
でも。
種明かしをともなった「サスペンス型」として見れば(前記のデュパンものよりは、ウィリアム・アイリッシュの『幻の女』や横溝正史の『八つ墓村』と肩を並べるほうが、ふさわしいと思うわけで)、これはもう、無類に面白い。
全体を通して、「名探偵」ヒーローの威厳を損なうことなく事件解決を引き延ばす、ドイルの一世一代の語りの妙技と、これはもう、文句なしに素晴らしい、ムードの盛り上げを、素直に楽しむべきでしょう。

あ、「サスペンス型」と断じましたが、例によって、知的興味を喚起するエピソードの挿入はうまく、“片方だけ紛失する靴の問題”は、オカルト要素を排除するための伏線としても出色です。
また個人的に興味深いのは、作中の、ある人間関係の欺瞞。ホワイの部分の説得力はもうひとつですが、この、見た目と違う曖昧な関係は、ミステリ界における、のちのアガサ・クリスティー的(あるいはロス・マクドナルド的)騙しの戦術への道を開くものです。

それでも事件の解決が大味すぎて・・・とおっしゃる向きは、本作を補完する意味で、ピエール・バイヤールの『シャーロック・ホームズの誤謬――『バスカヴィル家の犬』再考』(東京創元社)を読むと良いかもしれません。「ホームズの推理は間違っていた」として、より合理的な別解が提示されています(これは、なかなか刺激的な本で、その別解自体より、それを踏まえた最終的な着地が美しい――いっぽ間違えると、松竹映画の『八つ墓村』ですがw――のは好印象)。

最後に。
この文庫版全集には、各巻ごとに、訳者の日暮雅通氏による解説とは別に、「私のホームズ」なるゲスト・エッセイが収録されていて、本書でそれを担当しているのが、島田荘司氏です。
「バスカヴィル家の犬と、忘れられた、バートラム・フレッチャー・ロビンソン」と題されたその文章は、本作成立の裏話(秘話)を、まるで目撃者の証言のように綴った、まことに面白い内容なのですが・・・
でもそれって、ひとつの「説」にすぎませんよね?
なぜ出典を明示しないのですか?
またそれを「事実」として紹介する前に、複数の資料にあたって、信憑性を吟味する作業をされたのでしょうか?
等、突っ込みどころが満載なあたり、やはり島荘だよなあw
まあ、日暮氏の公正な文章が、その前に置かれているので、比較しながら、いかにも「作家」らしい主観的エッセイとして、おおらかに楽しめばいいのでしょうがね。

No.10 6点 あびびび
(2011/10/14 23:15登録)
シャーロックホームズはミステリチャンネルでよく見たけど、この作品は忘れていて楽しく読めた。ただ、前半の盛り上がりにしては犯人はあっさりしていた。

実際にそんな犬がいたなんて、なんの余韻も残らない。しかし、時代が時代だけに、名作であることは間違いないのだと思う。

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