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ミステリの祭典

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青い車さんの登録情報
平均点:6.93点 書評数:483件

プロフィール| 書評

No.483 7点 読者よ欺かるるなかれ
カーター・ディクスン
(2020/03/20 22:07登録)
 超能力による殺人というそれまでなかった謎に挑んだ意欲作。相変わらず大きな偶然に頼っている部分はあるのですが、トリックには目を見張るものがあり、細かい伏線がパズルのようにはまっていく快感も味わえる佳作です。挑戦的なタイトルも悪くないと思います。


No.482 9点 縞模様の霊柩車
ロス・マクドナルド
(2020/03/20 21:50登録)
 『さむけ』も『象牙』もいいですが、私にとってロスマクといえばこれです。私立探偵ものとしては珍しくない導入でありながら、お得意の家族悲劇を抉り出してノンストップで読ませてしまう展開の良さが際立っています。リュウ・アーチャーは自己主張しない人物ではあるのですが(本作でも結婚経験があると言いつつ詳しくは全く説明していません)、その落ち着いたクールな語り口も面白さにつながっていると感じました。


No.481 7点 湖底のまつり
泡坂妻夫
(2020/03/15 08:15登録)
 耽美という泡坂妻夫のあまり見せない一面が見られる作品で、『乱れからくり』『11枚のとらんぷ』などで作者のスタイルはほぼほぼ見えたと思って読んだため、衝撃を受けました。他の方々も指摘される通り無茶なところが無くもないですが、終盤のどんでん返しにやられた思い出も手伝ってこの点数を付けます。


No.480 3点 アリス殺し
小林泰三
(2020/03/15 08:05登録)
 『大きな森の小さな密室』を読んだ時も思いましたが、作者はあまり文章、とりわけ会話が上手くないと感じます。この文章的退屈さがどこから来ているのかは分かりませんが、先が読みたいと全く思えなかったのは辛かったです。そして最後まで読んでも、トリックは綾辻ミステリの不器用な焼き直しに過ぎず、シリーズを追って読もうとは思えないものでした。


No.479 6点 毒を食らわば
ドロシー・L・セイヤーズ
(2020/03/15 07:50登録)
 セイヤーズのミステリはいわゆる「本格」的なトリックやロジックを好む人間からするとちょっと食い足りない作品が多いイメージがあります。それを補って余りある情緒というか味わいがあるのも確かですが、読んで時間が経つと記憶が薄らいでしまうというのが私見です。この『毒を食らわば』もネタが長編を支えるには些か弱いことが否めず、純粋にミステリとしての魅力でいえば5点が妥当、ピーター卿の魅力でプラス1点、というのが妥当だと思います。


No.478 7点 悪霊島
横溝正史
(2020/03/15 07:36登録)
 このサイトだと評価はいま一つ…。面白いと思いますけどね。そりゃ『獄門島』『犬神家』『手毬唄』みたいな迫力や華々しいトリックなんかは望めないです。でも(少なくとも私からしたら)飽きさせることない展開で上下巻をワクワクしながら読めましたし、サブキャラの磯川警部が思いのほか重要な役割を担っている所なんかはシリーズ読者には嬉しいものがありました。書かれた年代も考慮すれば十分な佳作と評価したいです。


No.477 6点 ウォリス家の殺人
D・M・ディヴァイン
(2020/03/05 21:56登録)
 伏線の細かさはその他の作品群より一歩譲ると思いますが、やはり読み応えのある小説としての面白さには安定感があります。蓋を開けてしまえば真相はそれほど珍しいパターンではありません。しかし、読者は知らないうちに作者の術中にはまってしまいます。そういう意味ではアガサ・クリスティーに通じるところがあるかもしれません。


No.476 8点 悪魔はすぐそこに
D・M・ディヴァイン
(2020/03/05 21:43登録)
 ディヴァインはもっと多くの人に読んでほしい作家で、特に本作はミスディレクションに秀でたその特長がよく出ていると思います。犯人を疑いから逸らせるテクニックは本当に上手いの一言です。身構えていてもほとんどの読者が騙されるのではないでしょうか。人物像がひっくり返る終盤は他の作家からはなかなか得られないものです。


No.475 7点 策謀の結末
リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク
(2020/03/01 12:04登録)
 ミステリ的には「なーんだ」という人も多そう。しかし、個人的にはシリーズの締めくくりにふさわしい名作です。犯人デヴリンとピンボールやダーツをしながら、即興で詩を詠みながら、酒を酌み交わしながらの対決はそれまでに無い魅力がありました。なぜウイスキーの瓶を転がしたのか、という小さな謎の答も洒落ていますし、空からのアングルでの撮影も最終回らしい派手さでした。


No.474 6点 攻撃命令
リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク
(2020/03/01 11:52登録)
 後で知ったことですが『薔薇のつぼみ』は女性を表す隠語であり、犯人メイスン博士が妻と不倫をしていた被害者に対して抱く殺意を象徴するものだそうです。内容に関しては、電話越しで犬を使って殺人を行うという趣向をもっと活かせればシリーズでもトップレベルの回になったでしょう。もっともそれは観る側の欲張りとも言え、心電図や現場の藁に目を付けるなど、コロンボ的な着眼は十分な水準ではあるとも思います。


No.473 7点 プレゼント
若竹七海
(2020/03/01 11:41登録)
 短めの短編が八つときわめて読みやすい構成で、葉村晶と小林警部補が最終話まで交代に登場します。一貫して人の悪意や闇の部分を強く感じる話が続きますが、仕掛けのキレやその短さもあってほとんど不快さはありません。特に『再生』は着地が見事で最も好みでした。


No.472 5点 パティシエの秘密推理 お召し上がりは容疑者から
似鳥鶏
(2020/03/01 11:32登録)
 ある特殊分野の知識をミステリに絡めるという手法は他の作家でもたまに見られるものですが、似鳥鶏はそれがとてもうまい人だと思っています。しかし、本作に関してはその職業ネタとミステリ部分のシンクロ度がいま一つだったのがやや不満でした。特に第二話ではパティシエが謎を解く必然性が薄いように感じました。


No.471 4点 秒読みの殺人
リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク
(2020/02/10 18:56登録)
 優れた手掛かりが多いわけでもなく、犯人にコロンボが仕掛ける罠も目新しいものではありません。この回はケイ・フリーストンという女性のドラマに主眼を置いているわけですが、それも名作とされる『忘れられたスター』等と比べるといささか弱い気もします。犯人サイドの話に重きを置いた代償にコロンボの影があまりに薄いのも気になり、シリーズの中ではやや凡作の部類だと思います。


No.470 6点 美食の報酬
リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク
(2020/02/10 18:47登録)
 最初に言ってしまうと、本作はミステリとして飛び抜けた出来の回ではありません。それは毒殺トリックの謎だけで視聴者の興味を支えている事件ということが一因としてあると思います。しかし、かといって詰まらないわけではなく、ご馳走が次々に出てくるビジュアル的な楽しさや、魅力的なサブキャラたちのお陰もあり時々観返したくなるユニークさがあります。犯人ジェラードの小狡くて気障なキャラクターを見事に表現した吹き替えの妙も特筆ものです。


No.469 7点 ママは何でも知っている
ジェームズ・ヤッフェ
(2020/02/09 20:45登録)
 ユーモアのセンスを感じさせながら、マニア好みの謎解きのツボも抑えた秀作揃いです。ただし、『ママと呪いのミンクコート』だけはイマイチ好みではありません。せっかくの超常的現象がこういう落とされ方をされては肩透かしです。最初のふたつ『ママは何でも知っている』『ママは賭ける』のロジックが特に面白く読めました。


No.468 7点 赤い部屋異聞
法月綸太郎
(2020/02/09 20:28登録)
 東西の有名小説を元ネタにした短編集。こういう趣向は書く側の読書量とテクニックを要すると思いますが、この場合は充分成功といえるのではないでしょうか。表題作『赤い部屋異聞』は、研究家・評論家としての法月綸太郎の強みが存分に出た好例です。個人的ベストは『対位法』と『まよい猫』。前者は仕掛けの切れ味、後者は奇妙かつ小気味のよいオチが面白い快作だと思います。


No.467 8点 検察側の証人
アガサ・クリスティー
(2020/01/13 10:29登録)
 少ない材料でしっかりドラマとミステリ的サプライズを味わわせてくれます。終盤の逆転につぐ逆転にはやられました。錯綜した手掛かりや人間関係がない分、見る側を混乱させないところも戯曲として優れている傑作です。


No.466 6点 終りなき夜に生れつく
アガサ・クリスティー
(2020/01/13 10:23登録)
 アガサの優れたストーリーテラーとしての一面がよく出ている秀作だと思います。全体的に乾いた感じなのですが、旨み・コクのようなものが滲み出る文体が好きです。原題「ENDLESS NIGHT」を「終りなき夜に生れつく」とした訳も洒落ています。


No.465 7点 死者のメッセージ
リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク
(2019/12/27 22:21登録)
 あまり取り上げられないものの、邦題である「死者のメッセージ」のトリックはなかなかのものだと思います。無論、ダイイング・メッセージは実際問題として絶対の証拠になるかは疑わしくもあるのですが、犯人がミステリー作家であることに、「アガサがモデルであること」以外の必然性があるのには感心しました。犯人と交流し互いを理解し合う展開も『別れのワイン』の時のような違和感を感じず、楽しめました。


No.464 7点 殺しの序曲
リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク
(2019/12/27 22:12登録)
 シリーズでは珍しく、物理トリックに注力した意欲作で、エキセントリックな犯人像とも相まって不思議な魅力を放っています。トリックの種明かしをしながら進行する対決のムードの良さと、コロンボが自らについて語るシーンが美しく、最終回を意識して作られたことも納得のいく締め方です。

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