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ミステリの祭典

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プレゼント
葉村晶シリーズ

作家 若竹七海
出版日1996年05月
平均点6.78点
書評数9人

No.9 7点 青い車
(2020/03/01 11:41登録)
 短めの短編が八つときわめて読みやすい構成で、葉村晶と小林警部補が最終話まで交代に登場します。一貫して人の悪意や闇の部分を強く感じる話が続きますが、仕掛けのキレやその短さもあってほとんど不快さはありません。特に『再生』は着地が見事で最も好みでした。

No.8 6点 E-BANKER
(2019/06/21 22:22登録)
『若竹ワールド入門編』『大ヒット 葉村晶シリーズの原点がここに!』
↑文庫版の帯のコメントどおりの作品集。
1996年の発表。

①「海の底」=まだ探偵社にも勤めていない葉村晶。まさに現在まで続くシリーズの原点。クソ生意気な編集者の秘密を暴く! これが彼女の最初のミッションだった。でも、さすがにこれは気付くのではないかと思うけど・・・
②「冬物語」=こちらは小林警部補・御子柴刑事のコンビが主役。雪に閉ざされた別荘で親友を待ち受ける男。しかし、彼は親友を殺す動機を持っていた。完全犯罪が遂行されたと思いきや、思わぬところから綻びが・・・という展開。
③「ロバの穴」=“ロバの耳”ならぬ“ロバの穴”。葉村晶が転職した先の仕事は、「他人のグチや悩みをひたすら聞いてあげるテレホンサービス」。そんな仕事絶対ストレスたまるだろ!ということで自殺騒動が勃発する。そして巻き込まれる葉村晶。
④「殺人工作」=そのものズバリのタイトル。今回は小林・御子柴コンビ。不倫の末の無理心中を装うとした「殺人工作」なのだが、小林警部補はなかなか鋭い。
⑤「あんたのせいよ」=いかにも勝気な女性が放ちそうなセリフがタイトル。で、これは葉村パート。今回より探偵社へ正式に就職した葉村晶がまたもや事件に巻き込まれる。最後に強烈なオバサンにフライパンを持って追いかけられるハメに・・・おおコワッ!!
⑥「プレゼント」=小林・御子柴パート。一年前に起きた殺人事件の真相を突き止めるべく、事件現場に集められた事件関係者たち。事件の再検証が行われるなか、意外なところから現れる小林警部補。そして、最後にカラクリ披露。
⑦「再生」=ミステリー作家が撮影した妙なビデオが問題となる葉村パート。で、今回も登場する嫌な女たち。(ついでに嫌な男も) 最後に泣くのは嫌な女か、嫌な男か? さぁーどっち?
⑧「トラブル・メイカー」=葉村晶と小林・御子柴コンビが邂逅するラスト。タイトルはもちろん彼女のこと。本作はこの後のシリーズ展開を予感させる一編。なにしろ、不幸とトラブルの連続。逆境に強い葉村晶の完成・・・だな。

以上8編。
「葉村晶パート」と「小林警部補・御子柴刑事パート」が交互に語られる形式の連作短篇集。
キャラとしてはやはり葉村晶の方が数段上で魅力的。その後作者の主力シリーズとなったのは十分に頷ける。
やっぱり、いいね! 葉村晶。
どんなトラブルや不幸にあってもめげない精神力。ぜひ見習いたいものです。
(40代になっても頑張ってる彼女の姿に接している身としては、20代の彼女はあまりにも新鮮)

No.7 6点 まさむね
(2017/08/18 20:44登録)
 葉村晶と小林舜太郎警部補が交互に登場し、最終話は二人共に登場する形式の短編集。主人公が毎回変わることについては、各話ごとに雰囲気が変わって飽きがこないので、個人的には好みのタイプ。倒叙形式も挟んだりして読み得な印象を受けました。
 個人的なベストは、極めて典型的ではあるものの綺麗に纏めている葉村パートの「再生」かな。

No.6 5点 makomako
(2017/03/05 10:29登録)
 推理小説の短編集として、よくできた作品が並んでいるといってよいと思います。
ちょっと外国の推理小説みたい。
推理小説が好きな方にはいい感じ。このサイトでの評判がよいのもよく分かります。
私のようなつるつると呼んでいく読者にとってはひねりが効きすぎて分かりにくいものが何点かありました。
メイン単体の一人の葉村さんは若い頃より年が行ってからのほうがいい感じですね。

No.5 6点 884
(2005/02/17 10:34登録)
 正直小細工をしすぎの嫌いがあります。
 それにしても葉村パートは毎話、人間の悪意というか、どろっとしたものを最後に突き放すように置いていかれるのがしんどい。
 最終話は僕ももう少し盛り上がりがほしかったです。

No.4 8点 やじばら
(2003/07/14 07:07登録)
主人公が2人なのは今ひとつなんですけど、とにかく「悪意」がいい感じで刺さってきて。そのなかでトラブルメイカー・葉村晶のキャラガ好きで…いいです。

No.3 7点 由良小三郎
(2002/04/29 09:31登録)
主人公の違う連作短編が交互に配置されて、最後に2人が登場する短編が置かれるという構成ですが、効果はいまいちです。2人が出会ったというだけの感じです。
それぞれの主人公の魅力や、個々の短編にはいいものがあります。フリータ晶のほうの作品が好きです。

No.2 7点 テツロー
(2002/04/11 00:40登録)
 短編の1つ1つはよくできていると思います。葉村晶パートの「海の底」「ロバの穴」などは、ホワイダニッド
の良品でしょう。小林警部補パートの「冬物語」は倒叙物の傑作だと思います。
 全体的には、人間関係の描写が重くきつい。
 ラストの「トラブル・メイカー」、それまで別々だった二人の主役がクロスオーバーする話ですが、個人的にはもう少し盛り上げて欲しかった。二人で協力して、事件解決にあたるとかね。でもそうはならず、少々淡々としすぎている印象でした。

No.1 9点 美来
(2001/11/28 13:15登録)
酷い話を軽い語り口で読ませるのは凄いと思う。さらっと読み流して、あとで「おいおい!」って感じるとこ多し。
何で主人公(名前を冠している)が2人なのかな、と思っていたら、最後にきちんと、やってくれましたね(^^)

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