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ミステリの祭典

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アリス殺し
〈メルヘン殺し〉シリーズ

作家 小林泰三
出版日2013年09月
平均点5.33点
書評数9人

No.9 5点 バード
(2021/05/31 22:39登録)
(ネタバレあり)
多分上手く作りこまれてる作品なのだろうが、独特の世界観に入りこめなかった。アリスと亜理のちょっと変わった二人一役は普通に引っかかったのでそこは良かった。そのトリックの出来を考慮してこの点数。

No.8 4点 Kingscorss
(2020/09/03 18:45登録)
プロット的には嫌いでもなかったんですが、文章がちょっと稚拙なのと、なんで不思議な国のアリスのアヴァターなのに日本人ばかりこうなるの?っていう疑問が… 普通こういうミステリーになるなら登場人物は全部英国人になるだろと思いました。

あと、最後の残酷シーンの描写がとにかくしつこくて完全に蛇足。読んでて気持ち悪い。全体を通しては不思議の国での会話が原作チックにしてあるのはわかるが、やはり読んでて不快に感じてしまう。ちょっとなろう系ラノベっぽい描写や語り口、構成があって自分は苦手でした。

もう少し筆力を磨いて、主人公含めて登場人物が全員英国人で、イギリスの有名大学内で起こる事件とかだったならもっと雰囲気もマッチして面白くなったんじゃないかと思います。残念。

No.7 7点 ミステリ初心者
(2020/08/17 17:19登録)
ネタバレをしています

 夢の中での不思議の国アリスでの殺人が、現実にも起こる…という風な感じで、ファンタジーやSF?の要素を取り込んだミステリです。
 文章は非常に読みやすく、ほぼ一晩ですべて読み終えることができました(笑)。調べると、同作者の同コンセプト作品があるらしいので、いまから買うのが楽しみです(笑)。
 実は私は、不思議の国のアリスのことを結構知りません(笑)。なので、細かいネタはわからないのですが、それでも楽しむことができました。
 全く関係ないですが、アリス探偵局を思い出しました。

 推理小説としても楽しめる内容でした。
 まず、不思議の国での殺人事件についての謎があります。これについては、証言者である白兎の勘違いからアリスが濡れぎぬを着させられてしまうのですが、1ページ目から伏線があり、また物語中盤にも伏線があります。論理的にだれが犯人かわかると思います(私は当てられなかったが(笑))。
 また、人物の入れ替わりが起こっていました。つまり、別のアーヴァタールと自称する人物が複数人いました。正直、この設定でこれは予想できたのですが、まさか主人公とペットも入れ替わっているとは思いませんでした。犯人の入れ替わりが強調され、主人公とハム美間の入れ替わりを隠しているようにも感じます。また、主人公とハム美の入れ替わりは、ほとんどの登場人物も読者とともに騙されている、変わったタイプの叙述トリックだと感じました。
 不思議の国のほうが現実であり、現実と思われた世界が仮想世界という展開は予想できました(笑)。

 余談ですが、非常に似た設定の漫画が存在するようですね。そちらは夢が前世?らしいです。見たことはないのですが。

 読みやすさ、犯人当て、叙述トリックによる驚き、すべてそろった良い作品でした。しいて難癖をつけるとしたら、グロ表現が過激ということ(笑)。

No.6 3点 青い車
(2020/03/15 08:05登録)
 『大きな森の小さな密室』を読んだ時も思いましたが、作者はあまり文章、とりわけ会話が上手くないと感じます。この文章的退屈さがどこから来ているのかは分かりませんが、先が読みたいと全く思えなかったのは辛かったです。そして最後まで読んでも、トリックは綾辻ミステリの不器用な焼き直しに過ぎず、シリーズを追って読もうとは思えないものでした。

No.5 4点 makomako
(2019/07/19 21:45登録)
 この作品は好き嫌いがはっきり出そうです。
 合わない人にはこんなばかばかしい会話が長々と続くのにお付き合いは御免ですとなるでしょう。好きな人には幻想と現実が一体化した興味深い小説と感じるのかも。
 私は合わない方でした。こんなくだらないお話を読み続けるのは時間の無駄としか思えなかったのです。ことに初めのほうはばかばかしさの限り。
 でも読んでいくとそれなりに話が進んではいくので、何とか最後まで読みました。小説に人間味や感動を求める方は合わないでしょう。感情が渇いていて、複雑怪奇なお話に興味がある方なら面白く読めるのでしょう。

No.4 4点 蟷螂の斧
(2015/12/23 15:32登録)
裏表紙に本格ミステリとあるので、SF的要素はないものと期待したのですが・・・・・。結末は予想通りで感心するものではありませんでした。評価できる点は、人物に係る叙述部分のみ。

No.3 7点 HORNET
(2014/09/14 09:52登録)
 限られた何人もの人が共通の夢を見て、その夢に従って人が殺され死んでいくという、ある種のパラレル・ワールドもの。夢の中では「不思議の国のアリス」の世界で各人役が与えられ、現実世界とリンクしている。その夢と現実のそれぞれの認識の部分にトリックがあるわけだが、「へぇ、そういことだったのか。なるうほどね」とニヤリとしてしまう面白さがあった。
 残虐さをコミカルに描いてしまうダークな作風は好みが分かれるところかもしれない。私は嫌いじゃない。

No.2 7点 虫暮部
(2013/11/18 14:13登録)
特殊ルールを設定して、しかもそのルール自体をトリックに使うという点では西澤保彦あたりを連想した。
 更に本書に於いては、ミステリ的な解決編の後こそが、小林泰三の真骨頂なのである(愛読者として言っておくと、この人の作風に於いてグロテスクな描写は基本。寧ろミステリ部分のほうが残虐シーンを成立させるための付け足しみたいなものですから)。
 それにしても、アリスって不滅のネタだな~。

No.1 7点 kanamori
(2013/10/27 21:30登録)
女子大学院生の栗栖川亜理は、不思議の国に迷い込んだアリスの夢を続けて見る。その幻想世界で、ハンプティ・ダンプティの墜落死を発端に住民たちの不審死が続発するが、現実世界の大学においてもリンクするように同様の事件が起きていることに気が付く--------。
グロテスクなホラーやSFも書く作者の持ち味がうまく盛り込まれた本格ミステリという印象。
帽子屋や三月兎など”不思議の国”という異世界の住民たちのかみ合わない会話のやり取りや、グロテスクな殺人手段の再現描写など、ちょっと勘弁してと思うところもありましたが、異世界と現実世界をリンクさせるルールが明らかになった後の、途方もない構図の反転には驚いた。〇〇トリックの複数活用や名前によるミスディレクションもうまく効いていると思います。
ある人物に対する最後の処遇については、かなりブラックで残虐でありながらも、笑えてしまう自分が恐ろしいw

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