ミステリ初心者さんの登録情報 | |
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平均点:6.18点 | 書評数:404件 |
No.404 | 5点 | 彼と彼女の衝撃の瞬間 アリス・フィーニー |
(2025/03/24 03:13登録) ネタバレをしております。 とにかく読みづらかったです;; 本全体が暗く重苦しい雰囲気でした。アナの視点で書かれることが多いですが、やりたい仕事を奪われ、母が認知症で、子供を亡くしていて、離婚していて、アル中で…。読むたびに暗い気持ちになり、とにかくページが進みません。また、彼女の学生時代の話も暗いものが多かったです。ただ、学生時代の登場人物たちが被害者になっているので、ミステリ的な要素がでてきてその意味ではページが進みましたw 海外作品にありがちな、古典本格物とは大きく違ったドラマ調の作品でした。論理で犯人を当てるでもなく、アリバイトリックがあるでもないです。そういう意味では本格色の薄いクリスティーみたいな感じです。 ただ、帯に書かれているドンデン返しの看板に偽りはなく、最後に行くにつれて犯人候補が逆に増えるような感じもして上手いです。そして、最後には本全体に撒かれた伏線を回収するような驚きの犯人が待っております。 実は、私は、ただの勘ですが早い段階でアンの母親を疑っておりましたw 疑いだすと、怪しい伏線がいくつも出てきますね。しかし、日本のミステリファンならば、一度は疑う犯人像なのではないでしょうか? そのため、衝撃のドンデン返し…とは感じませんでした。 総じて、全体の重苦しい雰囲気と薄目な本格色で、あまり好みの作品ではありませんでした。読後感が妙に良いのは評価しますw |
No.403 | 5点 | 黄土館の殺人 阿津川辰海 |
(2025/03/08 01:14登録) ネタバレをしております。また、シリーズ過去作のネタバレもしています。 非常に読みやすい文書かつ、クローズドサークルに災害の要素が加わっているシリーズです。今回も非常に読みやすく、ページ数のわりに早く読み終えられました。 今作の評価が非常に難しいです。 まず、今までの作品は難易度が高いながら論理によって犯人を一人に絞り込むのが魅力でした。しかし今作は過去作に比べてそれが欠ける印象があります。 過去作に比べ、死体が銅像に刺さることや、急に出現した死体など、不可能犯罪的要素が足されております。しかし、どれも偶然偶然のオンパレードで魅力を感じません。花音の件は落石の要素から十分に偶然と察せられますが、まさか雷蔵まで犯人の狙い通りではなかったとは…。偶然の要素を多用する作家は他に居ますが、とんでもなくびっくりさせてくれる作品かオリジナリティがある作品も多いです。その点、この作品はどちらもないですね。 また、塔が音もなく動き、動いていることに気づかないって不自然すぎませんか? 田所が推理を披露しているときに「いやそれはないだろう、恥ずかしいやつだな!」って笑ってたら当然の如く動いてて唖然としましたw ちょっと細かい点ですいませんが、自分を殺すように依頼したのはアリバイを証言してもらうため…だったのに、機能してなくないですか? 読者へのミスリードにしかなってませんね。アリバイトリック的なものがあったらもっと効果的な演出だと思うのですが。 私はどうやって雷蔵をくし刺しにできるかずっと考えてしまいましたw でも、図の質が悪くて、どうもよくわからないんですよね。周辺図には銅像が図示されてないですし、解決編で横から見た図が出てきますしw 総じて、読者にとってそれほど意外でもない犯人(前例がない犯人像じゃない)、強く偶然の要素がからむ不可能犯罪、それほど緻密でもないロジックと、この小説の良さがあまりわかりません。狐を凡才と称した葛城ですが、そのとおり凡作に感じました。読みやすさで加点して5点で。 |
No.402 | 6点 | 証拠が問題 ジェームズ・アンダースン |
(2025/02/24 19:50登録) ネタバレをしております。 2時間ドラマ調のミステリです。細かいアリバイ検証や、大規模なトリックなどは楽しめませんが、物語を読むと読者の犯人候補から自然と真犯人を外してしまうようなミスリードに富んだ構成と初期の段階からある豊富は伏線が魅力です。 中盤までアリソンやロジャーによる捜査は警察小説のようでもあり、すこしダレるような感じがして、読むスピードが遅くなりました。ただ読了してから思い返すと、あまり無駄なページは無かったように思えます。何かしらの要素やセリフが、伏線とミスリードになっております。 私は実は、ただの勘だったのですが、とても早い時点でアリソンを疑っておりましたw プロローグはなぜか女性的な犯人を想起させましたし、夫の突然の帰りにびっくりするアリソンはどこか怯えているようにも感じました(読み返すと例の手帳を見ているのは素晴らしい伏線ですね!)。また、リンダのフラットに泊まっているロジャーの下に手紙と手帳が届けられてからはアリソンが犯人だと確信しましたw 私がアリソンが犯人だと狙い撃ちしたためか、多くの伏線とミスリードを理解きるようになり、なんだか過剰に評価してしまいそうですw 冷静に全体を考えたとき、まあ6点かな?という感想です。7点でも悪くないのですがw |
No.401 | 7点 | 硝子の塔の殺人 知念実希人 |
(2025/02/21 18:55登録) ネタバレをしております。 かなり話題となっていた作品で、前々から読みたいと思っておりました。書評点がかなりよく、名作を予感したので、既読の方にヒントをもらいつつ推理をしました! 非常に読みやすい文章で、登場人物も覚えやすいです。奇抜な館ながら建物の構造は複雑ではなく、誰がどこで何をやっているかなどはあまり考えなくても頭に入ってきます。実質の第一の挑戦状である月夜の宣言までほぼほぼ一気読みできました。本格愛のある作風で、コテコテの本格が好きな人にとっては誰もが読みやすいと思います。 また、近年のトレンド(と勝手に思っている)である論理的な解決とそれをドンデン返す構成が素晴らしいです。挑戦状を2度つけ、それを考えさせてくれる作者の優しさにも感動しましたw それに応え、私もそれぞれの挑戦状で読み止め、ふんだんに考えましたw 第一の挑戦状時点で、なかなかの推理小説になっております。一条の犯行は論理的な倒叙ミステリとして楽しめますし、老田・巴殺しはアリバイトリックを楽しめます。月夜の感想通り、アリバイトリック自体は名作というほどでもなく、あの例の作品と比べると小粒ではありますが、私は例の作品が嫌いなんですよねw 第一の挑戦状は文中の後期クイーン問題よろしく、その時点で隠された真相を当てられなくても読者の勝ちでしょうねw 第二の挑戦状で隠された通路の存在が明らかになり、ここまでの状況が一変するドンデン返しは見事でした。論理的推理小説からのドンデン返しは最近の作品によく見られるものですが、ドンデン返しにすら挑戦状をつけるのは関心しましたw 実は私は、月夜のキャラクターがあまりにもわざとらしすぎる名探偵なため、アリバイが強固な中盤でさえずっと彼女を疑っておりましたw 総じて、ロジックもアリバイトリックもドンデン返しも楽しめる優秀な作品でした。この小説で最も気に入っている点は、一条の犯行を当てる論理と月夜にしか一条を階段から突き落とせない論理です。 ただ、推理小説史上でも上位に入るような殺人数の犯人とちょっといい感じで終わるのは倫理的に若干の違和感を感じましたw |
No.400 | 6点 | 時空犯 潮谷験 |
(2025/02/14 19:31登録) ネタバレをしております。 1日巻き戻るというSF設定のミステリです。タイムリープ系ミステリは他に2~3作品読んできましたが、中でも最もSFの色が濃い作品でしたw 無機物生命体というか機械生命体みたいな話も面白かったのですが、まさかそれ自体と主人公が対話するところまで書かれるとは! 途中まで、SF小説におまけで推理小説がくっついているように感じましたが、ラストの消去法による論理的な犯人当ては見事でした。また、巻き戻るのになぜ殺人を犯すのかという犯人の動機も納得できました。 難癖をつけるとすれば、犯人断定の手がかりがただの一文からであり、本気で犯人当てに取り組もうとするとかなり面倒くさいというか難易度が高いと思います; 文が読みやすく、犯人当てもできる佳作でした。ただ、本格推理小説というよりかはSF小説よりな作品であり、SF小説が好きな人はもっと高評価だと思います。 |
No.399 | 5点 | 蒼海館の殺人 阿津川辰海 |
(2025/02/05 01:22登録) ネタバレをしております。また、若干の紅蓮館のネタバレもあるかもしれません。 前作、紅蓮館がロジカルな犯人当てでなかなか楽しめました。そしてシリーズ2作目! 失意の葛木が復活する本作です。 紅蓮館と同じく、本作は水害の要素があるクローズドサークルで緊張感があります。一方で、謎めいた死体や主観人物によるイレギュラーな要素など、魅力たっぷりな殺人事件が起こります。解決編前まであまり時間がかからずに読めました。 また、使い古されたはずの顔が無い死体→入れ替わりトリックは、ミスリードとプロットでうまく騙されました! 実質の真犯人・蜘蛛のすさまじい手数の罠からくる小説の内容の濃さはすさまじく、このページ数でも長さを感じません。 以下、好みではなかった部分。 私は解決編前で読むのをやめ、何度も繰り返し読みなおし、それでも何もわからず既読の方にヒントをもらったのですが、結局何もわかりませんでした; 解決編を読んだ後は、これは読者にあてられるのだろうか?と強く疑問に思います。 由美が犯人である理由の、スマホカバーを取って裏側まで指紋を洗う必要のある人物だったというロジックについてですが、これはさっぱり意味が分かりません。前の所有者なら裏側に指紋ぐらいついていても自然ですし、必須の行動に思えません。 正の背が小さいので入れ替わりトリックは不可能なはずだった→あらかじめ黒田がシークレットブーツを履いていた…とのことですが、協力者のいるトリックは嫌いです。 田所の絆創膏をみて蜘蛛は死体の足にガラス片があることを思いつく→しかし家族の行動を洗いなおすと絆創膏を見てから一人になった者はいない→家族の中に蜘蛛はいないというロジックではですがこれもよくわかりません。つまるところ、絆創膏を見れば必ずガラス片の可能性に気づかなくてはならず、逆に絆創膏を見なければ絶対に可能性に気づかないって事ですよね? 変じゃないですか? 非常に内容の濃い作品ではあったものの、一方で納得のいかない点が多々あり、私はダメでした;; 書評点7点オーバーだったため、過剰に期待しすぎたのかもしれません。もうすでに黄土館を購入しているので、次も読みますがw |
No.398 | 6点 | 蜜の森の凍える女神 関田涙 |
(2025/02/04 19:57登録) ネタバレをしております。 女子高生であだ名がヴィッキーという探偵で、主観の人物がその弟で中学生。メフィスト賞。とくれば、ちょっと色物を想像してしまうのですが、かなりしっかりした本格推理小説でしたw クローズドサークル風味の設定(早く警察がくるので厳密には違う?)で、途中の推理ゲームがあったり、かなり読みやすくて良かったです。獄中で死亡した画家の話もよい伏線となっておりました。 私は、返り血を浴びずに殺人を犯せたならば裸での犯行だ→小夜子があやしい…までは予想できましたが、どうしても携帯電話のアリバイが崩せずに敗北しましたw シンプルながら盲点なトリックで、ここに推理ゲームの要素が絡んでくるのも良かったです。 以下難癖点。 密室にはがっかりしましたw また、叙述トリックの要素も少しあり、挑戦状あとに新情報が加えられるのでアンフェア感が否めません。だからこそ、あのような文言の挑戦状になったのかもしれません。 また、誠が実は車椅子で行動していたことを伏せられていますが、コレに関してはあまり上手く使えているようには思えません。 タイトルからなんだかうっすら犯人がバレてる気がするのですがw 総じて、完璧なロジックの推理小説ではないものの、本格好きでも楽しめるレベルの端正な推理小説でした。ヴィッキーのキャラクターも明るく、なおかつあだ名の割にあまり漫画っぽくない(ライドノベルっぽくない?)ので、そういうのが苦手な人も大丈夫かと思います。 |
No.397 | 7点 | 儚い羊たちの祝宴 米澤穂信 |
(2025/01/14 19:24登録) ネタバレをしております。 非常に作品の幅が広い米澤さんの連作短編です。古い国産ミステリによくある旧家の雰囲気です。登場人物はお嬢様から付き人、館の使用人と様々です。犯人当てやアリバイトリックなどはありませんが、先が気になる展開にキレのあるオチが面白かったです。 個人的には、江戸川乱歩によく似ている気がするのですが、乱歩のほうが毒々しい(?)気がしますw あと、なんとなくグリム童話的なものを感じましたが私だけでしょうかねw ◯身内に不幸がありまして とても嫌な動機が最後に明かされてビックリですw サイコパス診断のクイズのようですね。 近年出版された名作にも似たような動機のミステリがありました。そういう意味でも評価できますねw ◯北の館の罪人 コレもラストのキレ味がいいです。ちょっとわからないのですが、あえて赤に変色する色で手袋を塗ったということは、被害者は毒を盛られていたことに気づいていたのでしょうか?? それとも偶然? ◯山荘秘聞 バッドエンドもグッドエンドもある展開でしたが、グッドエンドでよかったですw ただ、この展開は最後の章にも効いてるかもしれませんねw 1日程度なら遭難者一人を眠らせてごまかすことも出来たでしょうが、予定ではもっと長期でおもてなしするつもりだったんですよね? そう何日も匿うことは出来ないとおもうのですが…? ◯玉野五十鈴の誉れ これが最もグリム童話的ですねw 少し感動がありますが、小さい男児が犠牲になっているので素直に喜べません;; ◯儚い羊たちの晩餐 ちょっと解釈が難しい話ですが、つまるところ、主人公はバベルの会の会長だけに(あるいはそのうちの一人)に復讐したくて人肉料理をリクエストした→主人公は"厨女は材料を大量に仕入れるが、優れた一つのみを選定してあとは捨てる"と勘違いしていたが、実は希少部位だけ取ってあとは捨てていた→食卓にバベルの会全員の唇が出される。というオチでしょうかね? もっとも毒気のあるオチですが、意外性とキレはもっとも少なかったとおもいます。 総じて、非常に雰囲気もよく、また読みやすく、オチには適度にぞっとさせられる成分が入っていて気に入りました。ページ数の割に内容が濃かったです。 |
No.396 | 6点 | 復讐者の棺 石崎幸二 |
(2025/01/09 02:14登録) ネタバレをしております。 非常に読みやすいユーモアミステリのシリーズで、重宝しております。メンバーの中では割と常識人的な仁美もレギュラー入りしたのでしょうかね? 今回はクローズドサークルでテンポも速いです。ただ、ユーモアミステリであるためか、一切のサスペンス性はないですw また、被害者の警戒心が薄くてアホみたいに簡単に殺されますw しかし、被害者たちの対策が完璧で一切の殺人も起こらないミステリなど駄作もいいところですからね。 今回は割としっかりしたトリックが楽しめました。実際にできたかどうかは別として…。 私はこのトリック、わかりませんでしたw 顔がつぶされていたならば死体が入れ替わっているなど常識ですが、だからどうしたんだというところがわからず…。バカな私ですがそれゆえにミステリを楽しむことができるかもしれないと思っておきます;; このシリーズを制覇しようと思ったのですが、次の≠の殺人や、その他の本もちょくちょくプレミア価格がついており、制覇の夢は潰えました…。買えそうな値段のものは買おうと思います;; また読みやすいユーモアミステリのシリーズを探さないと…。緻密な論理の犯人当てミステリと同等に、ユーモアミステリも希少価値が高いですね。 |
No.395 | 5点 | ひらいたトランプ アガサ・クリスティー |
(2024/12/27 19:27登録) ネタバレをしております。 今年は読書する時間が減ってしまい、例年よりも読破した冊数が大分少なくなってしまいました;; なので、申し訳程度に集中して読んでおりますw もう年末なのでそう大した冊数にはなりませんが…。 さて、本作はブリッジのゲーム中に殺人が起こり、得点表から犯人を推測するというミステリで、私も名前だけは聞いたことが有りましたw 有名な古典のひとつなので、いつかは読まなければと思っていた一冊です。想像では、殺人が起こってからすぐに推理し、その日のうちに場面変換が起こらないままポアロが犯人を指摘する小説かと思っておりましたw ブリッジについては前に同様のテーマの作品を読んだことが有り、何度かyoutubeでルール動画を見ましたが、未だに覚えられません;; ルールを理解している人ならもう少しこの小説を楽しめるかもしれませんね; ブリッジ中の殺人や得点表からの推理など、個性的でおしゃれな要素ですが、殺人がおこってからは割と普通の推理小説になります。主に容疑者の過去の事件のことや、注意力や性格なんかの調査パートになります。なので、すこし読みづらさを感じてしまいました。 終盤になり、事件が一気に動き出し、またドンデン返しもあって楽しめました。ただ、2時間ドラマ的な楽しさであり、トリックやロジックを考える楽しさはありませんでした。 オリヴァ夫人のキャラクターは現代では出せませんねw 夫人の語った推理小説の書き方や、フィンランド人探偵を出すんじゃなかったみたいな話って、作者も同じことを思っているのか気になるところですw 総じて、小説を書くのがうまい作者のため、ミスリードや伏線を楽しめる作品でした。ただし、推理小説としては犯人当てもトリックも楽しめず、ややパンチ力に欠けました。 |
No.394 | 6点 | すべてはエマのために 月原渉 |
(2024/12/23 17:53登録) ネタバレをしております。また、同シリーズのネタバレも少ししてしまっているかもしれません。 タイトルからツユリシズカシリーズだと思っていなかった私w 九龍城のほうがそれっぽいタイトルなので紛らわしいったらないですねw まあシリーズ最初の作品は~館の殺人というものでもなかったのですが。 他の同シリーズ作品と同じように、あまり無駄な部分がなく極めて読みやすい作品です。今回は世界大戦中のルーマニアで、戦争の描写もありますが、鬱屈した感じはありません。読後感もよい感じです。ただ、なんだかシリーズを重ねるごとに、百合的なものが濃くなっている気がします…。露骨なものはありませんが。 今回のシズカは、あまりロシア語の罵倒もなく、ただ冷静で有能な女性キャラクターになっており、あまり個性を感じませんでした。初期なんて、魅力的な殺人現場を目撃するたびにハラショーとかいって喜んでいたのにw 推理小説的要素について。 人物の入れ替わりが2重になっていました。ネネ←→アル間と被害者←→死体です。それ自体は珍しいものでもないですが、時代背景とその設定から動機面で無理がなく良かったです。リサとネネが双子のように酷似しているのは一種のミスリードだったかもしれません。 アルが女性だったのは盲点でした。途中のインタールードで謎の女性キャラの描写があり、それが伏線だったのですがまるでアルを女性だと思っておりませんでした。兵士はみな男性だという固定観念がありましたw 総じて、読みやすく読後感の良い作品でした。非現実的な事象が起こっていても登場人物たちの行動も理解できます。一方で、本格推理小説のトリックやロジックを期待するとややがっかりするかもしれません; |
No.393 | 5点 | 五色の殺人者 千田理緒 |
(2024/12/20 15:43登録) ネタバレをしております。 目撃者の証言が大きく食い違っているという魅力的な謎に惹かれて読みました。同系統の謎で思い出すのは、この間読んだヘレン・マクロイの月明かりの男ですw 鮎川賞受賞作ということは、新人賞だと思うのですが、この作品はまるでベテラン作家の作品のように読みやすく、無駄がなかったです。序盤に事件が発生し、速やかに謎が提示されます。それ以降、捜査していくなかで自然に事件の詳細があきらかになり、被害者と容疑者と証言者のデータ提示と動機探しも同時並行されます。途中、何かに気づいた者が急死し(死んでなかったが)、主人公も危ない目に遭いサスペンス性が足されます。ラストにはどんでん返しと、さわやかな少しのラブストーリーがあります。この流れが王道ながら非常にスムーズで余計な部分がなく、小説を書くのがうまい作者なのだと感心しました。素人探偵ものなのも含め、D・M・ディヴァイン的なものを感じましたw 以下、不満点。 メインの謎となる五色に分かれる犯人の服の色の証言の謎ですが、思ったよりもあっけないですw ただ、非現実なわけでなく、むしろ現実にもありそうな事でした。 藤原イツキと思われていた人物がイツキではない・・・という展開は流石の私でも読めました! 老人ホーム内の表現や名前と名字の表現など、フェアすぎるぐらいに伏線が張られていました。ただ、こういう勘違い系ドンデン返しは推理小説にありふれており、オリジナリティは感じませんでした。ラブストーリーに絡めてる点はよかったですねw 総じて、優等生的な推理小説でよくできておりますが、謎やトリック自体は平凡でした。最近の鮎川賞には名作も多く、ややハードルが上がってしまった感じが否めません。悪い作品じゃないと思います。 |
No.392 | 6点 | グラスバードは還らない 市川憂人 |
(2024/12/17 23:46登録) ネタバレをしております。また、若干過去作のネタバレもしております。 アメリカの2時間ドラマのような雰囲気と、ギリギリ現実に有りそうな無さそうなSF的要素が入っている本シリーズ。シリーズを通して非常に読みやすく、また本作はクローズドサークルの要素があり、かなり早く読了できました。 また、ビルが爆破されて、調査のため潜入していたマリアが死にかけるという、アクション映画のような展開もありました。それはミスリードにも利用されていました。 推理小説的要素について。 一番のびっくり要素は、タイトルにも入っているグラスバード(硝子鳥)が人間だったということでした。動物のような表記のものが人間、またはその逆というパターンは何度か見たことがあったものの、またも騙されてしまいましたw 私は、この書かれ方だと実際のクローズドサークルは別の場所にあるかもしれないな…とは考えましたが、まさか鳥=人間というところまで考えることができませんでした;; これは悔しかったです。ただ、チャックの日記はミスリード過剰な気もしますがw 好みではなかった部分 全体的に、鳥=人間と、人物(死体)と場所が入れ替わっている…という要素を実現したいがために、推理小説としてのつじつま合わせに苦労されている印象を持ちましたw 都合が悪い部分は偶然や予想外の出来事で覆い隠されていて、読者からしたら真相を当てるのは不可能かと思います。 金属探知機という要素が出てきたのに、あっさり拳銃をスルーしてしまう杜撰さにはがっかりしましたw 透明になったり色付きになったりするガラスによるクローズドサークルは魅力的に思えましたが、結局迷彩布を着て隠れられたというしょうもないオチで台無しでした; 文中にそのような話があり、実際にそういうものがあるのか知りませんが、あってもなくても推理小説的には無価値ですね。 総じて、非常に読みやすく、驚きもあり、いい推理小説でした。ただ、メイントリック自体は前代未聞というわけでもなく、犯人当てが楽しめるわけでもなかったです。6点にしますw |
No.391 | 4点 | 言霊たちの夜 深水黎一郎 |
(2024/12/10 18:48登録) ネタバレをしております。 ミステリーではなくギャグ小説みたいな感じだったので、評価が難しいですw 日本語の同音異義語やあいまいな表現による勘違いは漫才やコントさながらで楽しめましたが、2話中盤ぐらいでだんだんと飽きていき、下ネタになってからは目が滑って仕方なくなりました;; 4話目の情緒過多あーだこーだは面白いと思える点がよくわかりませんでした。笑えないし、結構ひどい話ですねw 相性の悪い本だったようです。 |
No.390 | 6点 | 変な家2〜11の間取り図〜 雨穴 |
(2024/11/29 19:30登録) ネタバレをしております。また、前作変な家1のネタバレも部分的にしてしまっています。 結構前に読んだのですが、書評ページがなかったのでしておりませんでしたw 今では結構内容を忘れてしまっていますが、頑張って思い出しますw 前作にくらべ、これでもかというぐらいの変な家がでてきますw 時代も関係者もバラバラですが少しずつ完成性やヒントが有り、最終的には恐ろしい一人の人物が浮かび上がってくるプロットです。 真相の推理は難しいですが構成は面白く、また文章が読みやすくてスイスイ進みます。本格推理小説ではなく、サスペンスホラーに近いと思うので、フェアかどうかはあまり問われないとは思いますw ちょっとわからないのですが、事故物件サイトに古い家を登録していた人物って誰なのでしょうかね? 関係者にしかわからない情報もあったのだと思いますが。 |
No.389 | 5点 | 帽子収集狂事件 ジョン・ディクスン・カー |
(2024/11/29 19:13登録) ネタバレをしております。 久々の海外翻訳物でしたが、大変に苦労しました…。読了までに一ヶ月ぐらいかかってしまいました;; ロンドン塔の構造が複雑で、話が頭に入ってきませんでしたw グーグルマップなどを使って少しずつ理解しました。ただ、その他の地域も話に出てきて、現地の人のほうが楽しめる作品なのかなと感じます。 また、久しぶりのフェル博士でしたが、こんなにウザかったかなwって思っちゃいましたw 皮肉?比喩?みたいな表現が多くて、いまいち何を言っているのかついていけない事も多かったです。 トリックには騙されました。私も自然と、被害者がロンドン塔から出ていない・逆賊門で殺されていると錯覚してしまいました。 とはいえ、偶然の要素が非常に多い点は好みではなく、また帽子収集狂という魅力的なタイトルにも関わらず帽子の真相はややあっけないものでしたw つまらなくはないけれど、たのカー作品よりも小粒感が否めなく、ネタ的に短編か中編のほうがいいかもしれないな、と思いました。読後感がいいのは良かったですねw |
No.388 | 6点 | そして誰も死ななかった 白井智之 |
(2024/10/23 22:27登録) ネタバレをしています。 たしか、この方の作品は2作品目です。特殊設定とグロと緻密な論理が得意な方なのでしょうかねw この作品もそんな感じでした。ただ、ユーモアミステリとはいかないまでも登場人物が妙に明るく、すこしギャグ調なのでグロでもそこまで気になりませんでした。 推理小説部分について。 特殊設定×某有名作品ばりのクローズドサークルな作品です。ただそれだけでなく、その特殊設定をフルに活かした死亡時間を錯覚させるトリックは他の作品では見たことがなく新鮮でした! また、多重解決ものであり、次々と出てくる新説とその論理的な否定は圧巻でした。とても良く作られていますね。 私は死体に触らせない斉加年がすこし怪しんだぐらいで、あとのことは全く分かりませんでした;; 途中、各登場人物の主観文章が書かれています。ミステリにおいて主観文章が犯人らしくない=犯人ではないという考えは通用しないことは流石にわかります。ただ、書かれ方的にミスリード過剰な感じがしますw 総じて、珍しい設定かつ、その設定を活かしたトリックが魅力で、グロいにも関わらず読みやすい作品でした。 |
No.387 | 6点 | ユリ迷宮 二階堂黎人 |
(2024/10/12 19:12登録) ネタバレをしています。 全く関係ない話ですが、この作品の前に2冊の本を読み、しかし解決編前で止めておいて考えるということをしていますw 結構長期で悩んでおりますw 私にとって久しぶりの二階堂蘭子シリーズです。中短編集ですが全体的に本格色が強く、それでいて非常に読みやすく満足しました。 ○ロシア館の謎 壮大なトリックでした。また、推理小説らしからぬ展開と秘宝伝説は蘭子シリーズらしかったですねw このトリックを考えてから物語の舞台と背景と設定を考えたのか、はたまた逆なのか気になるところですw ○密室のユリ 意外な犯人には驚きましたが、やはり私は糸とかそういう道具を使っていろいろ密室を作る系は苦手です; ○劇薬 中編であり、内容が濃く楽しめました。多重解決の趣があり、後半の二転三転する展開はわくわくさせられます。 全然関係ないことですが、コントラクト・ブリッジのルールをさっぱり理解できませんでしたw 文中に何度も"簡単に理解できると思う"旨の文章があり、自分の頭の悪さに絶望しました;; 結局、youtubeにある簡単ルール解説動画を見て、何となく理解しました。ただ、まあまるきりわからなくてもこの小説は楽しめると思いますw 私は、"善蔵が脅迫状を書いた主をあぶりだす為に狂言自殺未遂をして失敗して死んでしまった"という展開を考えておりました。それに近いものがダミー推理として部分的に使われていましたねw 真の解決ですが、現実的ではありますがやや拍子抜けした感があります。善蔵への恨みつらみが語られる前半は丸々ミスリードに近いと思いますし、犯人の行動を予想するのも難しい気がしますw 善蔵を殺したかったのに気分でターゲット変更→偶然の不運で善蔵が死んじゃった…なんて推理が難しすぎますねw 本格度が高く、読みやすいよい中短編でした。劇薬のラストの展開にはやや不満がありますが、長編ではないですし、満足です。 |
No.386 | 7点 | 幻の女 ウィリアム・アイリッシュ |
(2024/08/27 22:53登録) ネタバレをしております。 かなり昔に、ドラマ古畑任三郎に幻の女の最初の展開に近いものがあり、この作品のあらすじは知っておりました。非常に興味を引かれる面白いものでしたが、長い時間読んでおりませんでした。先日、泡坂作品を読んだときにふと本作品を思い出し、本の山から持ってきて読みましたw 推理小説というよりも2時間ドラマ的な趣が強いです。しかし、どんでん返しがある展開で、推理小説の醍醐味である騙された感を味わえる作品です。そのため、ミステリファンでも満足できるのではないでしょうか? クリスティーでもこういう作品が多いですしね。 ただ、途中、私の苦手な警察小説のような捜査をするシーンが多いページが続きます。どんでん返し的にも必要だと思いますが、私的にはすこし退屈に感じ、目が滑ってしまいました;; 幻の女の正体については、小説的にも無理もない感じでよかったです。ただ、なんだか寂しいような悲しいような読後感となりました; 全体的に、名の知れた名作にふさわしい内容でした! 証言者が次々に死んでしまうのに違和感を感じましたが、まったく真相を当てることができませんでした; 私は平和ボケしすぎているのかもしれません; |
No.385 | 6点 | 湖底のまつり 泡坂妻夫 |
(2024/08/12 01:21登録) ネタバレをしております。 どことなくウイリアム・アイリッシュの幻の女を思い出す紹介文に惹かれて買いましたw 実は、幻の女はずっと前に買って以来読んでなく、また湖底のまつりも読んでおりませんでしたw 幻の女を読んだ後に読もうと思っておりましたが、なくしてしまいました;; ということで、湖底のまつりを先に読みました。 推理小説というよりかは、恋愛小説のような表現が多いですが、なぜか私はかなり早い段階で本書の最も大きなトリックに気づいてしまいましたw 晃二(偽)には女性的なものを感じ、女性だったとしたらどうなるだろう?と考えながら読んでみました。すると、村も祭りも登場人物も、すべてトリックのために用意されたような伏線が多く張られていることに気づきますw 晃二(本物)が緋紗江と出会った際の事と、紀子が体験した事や言葉に多く共通点を持つならば、それを知る緋紗江にしかできないことですからね。 推理小説というよりも恋愛小説チックであり幻想的でもあります。エンディングの読後感もよかったですw ただ、現在の読者では気づく人も多いトリックなので、本格推理小説としての評価は難しいですw 男女を錯覚させるトリックの最も古い作品であればもっと評価しますが…どうなんでしょうかね? |