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ミステリの祭典

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逆転美人
逆転シリーズ

作家 藤崎翔
出版日2022年10月
平均点6.92点
書評数12人

No.12 8点
(2024/10/06 20:19登録)
予備知識なしで読んでこのトリックは昔読んだあれかと思い当たるものがありましたが、このトリックを使う必然性には納得できます。
作者の労力に敬意を表します。

No.11 7点 パメル
(2023/10/28 06:52登録)
美人に生まれたことで不幸に見舞われてきたシングルマザーの香織。娘の学校の教師に襲われた事件をきっかけに、美人であるが故にまるで自分の方が悪いかのように、嘘の報道や噂を払拭するために、これまでの人生を振り返った手記「逆転美人」を出版する。
どんな環境にいても、美人のために虐められる。一冊丸ごと作中作で、最初の200ページぐらいは、不幸に見舞われてきた人生の振り返りをするため、暗くて読むのに体力がいる。しかし、タイトルにある「逆転」の意味がな何なのかを知りたいという思いと、帯にある「ミステリー史上初の伝説級トリックを見破れますか?」という煽りに期待して読み進めていった。このトリックは、トリックのためのトリックではなく、上手く物語に溶け込んでいる。トリックを使う必然性がとてもユニークで面白いところも評価できる。しかし、このトリックは全く同じではないが、この系統のトリックは数作あるので、史上初や伝説級というのはいかがなものかと思った。
手記の最後に書かれている一文「どうか私がこの手記を出した本当の意味を、ご理解いただければと思います」で締めくくられている。つまり本当の意味は何なのかという仕掛け小説となっている。言い回しが変わっていたり、独特な表現方法だと感じていたことが、最後まで読むとその理由が分かる。
紙でしか出来ない捻くれた仕掛けが施されている。感想を書くのも非常に困る作品で、ネタバレを耳にする前に早目に読んだ方がいいという典型的な作品。作者は、元お笑い芸人だそうだが、お笑い要素は全くありません。

No.10 8点 sophia
(2023/06/13 22:45登録)
若干ネタバレ気味です

以前某所でこの作品のネタバレ(誰々の何々という作品と同じトリックが使われているという)を見てしまい、その作品を既読の私は興味半減の状態で読むことになったのですが、それでも最後まで気付きませんでした。まあミステリーなんて騙されるために読んでいるようなものなので、まだしも幸運だったと言えるでしょう。前例(遥か昔ではあります)があるとはいえやはりよく頑張りましたし、この作品はこの作品でトリックの必然性が高いので賞賛に値すると思います。特に畳みかけの二つ目には参りましたよ。ただ「紙の本でしかできないトリック」という煽り文句も見かけましたが、そんなことはないですよね。

No.9 6点 ひとこと
(2023/05/28 16:39登録)
素晴らしいトリック!

No.8 7点 人並由真
(2023/03/26 05:45登録)
(ネタバレなし)
 前例がある云々は、たぶん自分も読んでいる<あの作品>のことを指してるのだと思う。そういう意味では確かに前代未聞ではないが、作中でこのネタが用いられるその理屈づけに関しては、かなり感心した。

 万が一、こういう種類の茶目っ気のある作品がもしミステリ界から消えたら、世の中はずいぶんと寂しくなるだろうなと、念じたりした。

No.7 7点 まさむね
(2023/03/07 21:52登録)
 採点も含めて書評が難しい作品。余計な事前知識なく、素直に読み進めた方が楽しめる作品であることは間違いないでしょう。

【以下、余計な事前知識となる可能性があるのでご注意ください】
 肝となる点については、確かに先例というべき複数の作品が思い浮かびますし、「史上初の伝説級のトリック」なのかと問われれば、消極的な評価。一方で、ソレを施した必要性をストーリーとして巧く結びつけた点については評価したいと思います。一捻りした後の肝突入、という展開も嫌いじゃない。こういった系統を読むのも久方ぶりで、刺激に?なりました。評価は分かれると思いますが、記憶には残りそうな作品です。

No.6 6点 蟷螂の斧
(2023/03/01 09:10登録)
広末涼子さんと深田恭子さんは似ていないと思うけど、大体、主人公はどっち似の美人なんだい?(笑)。トリックの目的が明確であり、その点は、おおいに評価できます。ただし、内容はイマイチで非常にもったいないとの印象。先例作については、労力に敬意を表し、後日+2点追加し4点→6点に修正した経緯があります。本作は内容3点、労力3点で6点ということで。

No.5 8点 ミステリーオタク
(2023/02/03 21:42登録)
 未読の人は以下読まない方がいいと思います。


 う~ん、アレだね・・・
 確かに想起させられる作品があるよね。

 帯の「史上初の伝説級のトリック」という惹句が一部で「嘘だ」と不評を買っているようだが、そもそも「史上初」というのは「過去に一度もなかった」という意味なのに対して「伝説」というのは事実か虚構は別として「昔の尋常ならざる事象や人物についての言い伝え」のことであり「過去にあった」物事であることを前提にしたワードである。本作に関して言えば「史上初」には首を傾げたくなるが、「伝説級」については「アノ作品級」、野球で言えば「大谷翔平はベーブルース級」というのと同じく誇張ではないと言えるだろう。
 つまりこのフレーズは「白い黒豚」とか「昨日生まれた婆さん」と同様自己矛盾を具現したキャッチコピーであり、同じ帯上で「紙の本でしかできない」とトリックの方向性を明示してしまった劣悪CMも含めて双葉社の鼎の軽重が大いに問われるPRマネジメントのレベルの低さを露呈している。

 本作を「二番煎じ」と評する人もいるだろうが、自分は、仕掛けの難易度の高さ、ストーリーの緻密性、数十年に渡る時代考証に基づいた時系列使用の巧緻性などにおいて「アノ作品の令和の進化版」と評してもいいのではないかと思っている。

 くだらないことをグダグダ書いたが、結局自分は人のひとかたならぬ頑張りに大きな拍手を贈らずにはいられないタイプなのて、努力点込みで。

No.4 4点 makomako
(2023/01/18 21:42登録)
 このサイトでとても高い評価をされている方がいるのに、このような評価するのはどうかとも思いますが、これが素直な私の感想です。
 はじめのうちは文章が悪く内容が暗くて読むのがやや苦痛でした。伝説級のトリックと帯に書かれていたので、何とか読み通しましょうと読んでいるうちにまあ読むのが苦痛ということはなくなって、最後まで読めました。
 うーん確かにこのトリックは全く分かりませんでしたが、私にとってはトリックに感心するよりご苦労様なことですと言った印象が強かった。
 本格推理のトリックは私自身好むところなのですが、それはあくまでもこんな方法で一見不可能なことをやったのかとか、あーうまくやられたわからんかったと感心するトリックなのです。 
 本書のトリックは作者にとって実に大変な苦労のもとに作られていると思いますが、だからどんでんがえしとなるとか、不可能犯罪の解決になるといったものではないように思えてしまうため、私にとってはご苦労様といった印象になってしまいました。

No.3 6点 ことは
(2022/12/25 00:27登録)
うん、この趣向は、先行作がありますね。
先行作は、「こういう趣向があるのか!」というのが斬新だったが、本作は後続作なので、そこは評価できない。それをふまえると、本作は、「なにを新たに付け加えられたのか?」ということたが、なかなかがんばったと思う。
作品内で「この趣向が使われた必然性」を作り込んでいて、これはよく考えたなと思う。
残念なのは、説明がかなり口説く、先行作にあったラストの切れ味がなくなっているところ。
とはいえ、先行作を知らないで読んだら、すごくびっくりするだろうな。
プラスマイナスを考えて、採点はこんなところ。

No.2 8点 名探偵ジャパン
(2022/11/29 21:53登録)
 まさか、令和の時代にこういうものが復活するとは!

※※※
察しの良い方には、私の感想だけでネタバレになってしまう可能性がありますので、以下ネタバレ注意とさせていただきます
※※※










 メルカトルさんが書かれているように「史上初」ではないのですが、かつてこの手のものを得意としたあの作家の「あれ」や「それ」を知らない若い読者にはかなり新鮮、かつ驚愕を持って受け入れられるのではないでしょうか。
 果たして「これ」を素直に驚けるか? それとも「バカミス」の烙印を押されるか、若いミステリ読者の感想を聞いてみたいところです。

 というか、帯の惹句に「紙の本ならでは!」と書かれていた時点で、「あの手」を使ってるんだろうなと察しが付いてしまいました。なので、真相を明かされても「やっぱりな」という思いが先に来てしまって、正直、帯の惹句さえなければさらに素直に驚けていたと思うと、編集者はもっと的確な仕事をしろと文句を言いたくなります。

No.1 8点 メルカトル
(2022/11/24 22:38登録)
私はジャンルに関係なく8点以上は余程の事がない限り付けません。それでも本作には8点を献上する以外の選択肢はありませんでした。
読後、15分間衝撃に打ちのめされて、座したまま身動き出来ませんでした。心の中では余韻に浸る余裕もなく、只管反芻していたのです、繰り返しこの本を。
本年のランキングのある意味でダークホースになり得る逸品と思います。
内容に関しては敢えて語りません。それは必要ないと判断しました。以下はネタバレを含みますので、未読の方は絶対読まないで下さい。


【ネタバレ】


「私は報道されている通り、美人に該当する人間です。
でもそれが私の人生に不幸を招き続けているのです」飛び抜けた美人であるせいで不幸ばかりの人生を歩むシングルマザーの香織(仮名)。
娘の学校の教師に襲われた事件が報道されたのを機に、手記『逆転美人』を出版したのだが、それは社会を震撼させる大事件の幕開けだった――。
果たして『逆転美人』の本当の意味とは!? ミステリー史に残る伝説級超絶トリックに驚愕せよ!!
Amazon内容紹介より。

厳密に言えばこのトリックは類似したものの前例が存在します。ですので、超絶トリックであるのは間違いありませんが、「ミステリー史に残る」とか「史上初」とかの惹句は当てはまらないと思います。それでも読者にヒントを与えながら本トリックを限りなく完成形まで押し上げたのは、おそらくこれが初めての快挙ではないでしょうか。一言で言うならば奇跡的な作品ですね。これが私の最上級の褒め言葉です。

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