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ミステリの祭典

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何者

作家 江戸川乱歩
出版日1996年04月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 7点 ミステリ初心者
(2025/05/14 22:40登録)
ネタバレをしております。暗黒星も収録されておりましたが、どうせなので暗黒星のほうのページで書評を書こうかと思います。

 
 乱歩の本格推理小説と聞いて興味が湧き、読みました。本当に本格な内容です! 途中、アクセント程度に黄金キ○ガイが登場しましたが、それ以外は端正な本格でしたw
 とにかく無駄な文章が一切なく、展開が早くてテンポがいいです。登場人物も名字だけや名前だけな表記の人も多く、覚えやすくていいですw それでいて、ただの足跡の問題だけで終わらず、終盤にはひとひねりある多重解決ものなところも素晴らしいです。まるで、推理小説の教科書のような作品です。
 タイトルの何者の意味が最後に回収されるのもいいですね。

 一方で、現代の読者から見たら、真相はちょっとわかりやすすぎましたね; 被害者が死んでいない、探偵と思われる人物が二人いる…など、細かい点を上げれば結構な数の真相を示す伏線があります。ただ、フェアさの裏返しかもしれません。

 無駄がない推理小説でした。多重解決系がゆえに、弘一の推理の矛盾点が弱い(結び目のことなど後出しだし…)のが少しだけ気になりますが、満足度の高い短編でした。

No.1 6点 斎藤警部
(2025/01/06 22:30登録)
足跡往復のロジック、証拠隠滅のロジック、実に良い。 表題が良い。 最終章タイトルは “THOU ART THE MAN”。 夏休みに学生の「私」が友人宅で奇妙な事件に出くわす話。 真犯人も動機も早くに分かってしまいましたが、それでも魅力は落ちません。 変格のヘの字も無い、乱歩さんにとっては異色と言える本格中篇。 まあ状況証拠やら後出しやらアレで、完全に論理で締め上げるパズラーでもないんですが、犯人糾弾の畳み掛けが素晴らしく、充分本格だと思います。

「ところがね」 ( 中 略 ) 「ところがね」   ← このへんの空気感、好きだなあ

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