赤い部屋異聞 |
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作家 | 法月綸太郎 |
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出版日 | 2019年12月 |
平均点 | 6.00点 |
書評数 | 6人 |
No.6 | 6点 | zuso | |
(2024/03/19 22:54登録) 作者が各媒体に発表した、古今東西の傑作ミステリにオマージュを捧げた短編を集成した作品集。 江戸川乱歩の有名短編を基にした表題作のように、オリジナル作品を捻りに捻ったものが勢ぞろい。元ネタと読み比べながら鑑賞すると楽しみは倍増するだろう。 |
No.5 | 6点 | パメル | |
(2022/04/18 08:32登録) 江戸川乱歩の「赤い部屋」のオマージュ作品である表題作の「赤い部屋異聞」をはじめ、日本や海外の古典作にオマージュを捧げた9編からなる短編集。 オマージュといっても、ストーリー展開を踏襲しつつ最後のオチにオリジナル要素を加えたもの、ミステリ的なアイデアから着想を得て物語を作り上げたものなど、元ネタとのシンクロ度合いはそれぞれ異なる。怪談めいた作品もあれば、SFっぽい作品もあり、さまざまな味わいを楽しむことが出来る。 オマージュ元の作品を先に読んんでいた方が、どのようにアレンジされているのかが分かってより楽しめると思いますが、それぞれの元作品が有名作品といえるものではないので、あまり気にしなくてもいいかもしれません。 あとがきで自作解説をしていますが、制作過程や苦心したエピソードが書かれており、これを読むだけでも満足感が得られる。 ベストは読後の余韻が戦慄的な「葬式がえり」、次点で立て続けに事態の構図を反転させる「続・夢判断」。 |
No.4 | 4点 | 文生 | |
(2021/08/22 14:46登録) 過去の名作に挑戦したオマージュ短編集ですが、元ネタ以上の意外性をと意識しすぎたせいなのか過剰にこねくり回した結果、切れ味が悪くなっているような印象を受けました。 収録作の中では最後にぞっとさせられる『葬式がえり』がベスト。 |
No.3 | 6点 | 蟷螂の斧 | |
(2020/07/02 19:09登録) 「赤い部屋異聞」・・・7点 オチは面白いが、説明がややクドいかな。「赤い部屋」(江戸川乱歩) 「砂時計の伝言」・・・6点 わかるはずのないダイイングメッセージだが警察のお手柄で。「一滴の血」(コーネル・ウールリッチ) 「続・夢判断」・・・・7点 思わず笑ってしまうブラックユーモア。「夢判断」(ジョン・コリア) 「対位法」・・・・・・5点 作中の人物が・・・メタミステリー。「続いている公園」(フリオ・コルタサル) 「まよい猫」・・・・・5点 前半の描き方がうまくないのでラストの効果が半減。「元犬」(落語) 「葬式がえり」・・・・5点 人気があるようですが、あまりインパクトがなかった(苦笑)。「小豆とぎ橋?」(ハーン?) 「最後の一撃」・・・・6点 クイーン好きにはお勧め?「馬をのみこんだ男」(クレイグ・ライス) 「だまし舟」・・・・・7点 恐ろしくて半分までしか読めない本?「阿蘭陀すてれん」(都筑道夫) 「迷探偵誕生」・・・・6点 悪魔との契約で最終的に望むものは?「洋梨形の男」(ジョージ・マーティン) |
No.2 | 7点 | 青い車 | |
(2020/02/09 20:28登録) 東西の有名小説を元ネタにした短編集。こういう趣向は書く側の読書量とテクニックを要すると思いますが、この場合は充分成功といえるのではないでしょうか。表題作『赤い部屋異聞』は、研究家・評論家としての法月綸太郎の強みが存分に出た好例です。個人的ベストは『対位法』と『まよい猫』。前者は仕掛けの切れ味、後者は奇妙かつ小気味のよいオチが面白い快作だと思います。 |
No.1 | 7点 | 虫暮部 | |
(2020/01/20 10:56登録) オマージュ作品を集めた短編集。とりあえず、オマージュ云々とは無関係に概ね楽しめた。ベストは「まよい猫」。 私が知っていた元ネタは一つだけ。元ネタ既読ならもっと違う景色が見えたかもしれないが、それは判断出来ない。オマージュを先に読んでしまうことで、いざ元ネタを読む時に興が殺がれている可能性はある。 元ネタがどの作品か事前に判れば読者が主体的に読む読まないを選べるが、タイトルから元ネタを予想出来るのは2編だけ? 元ネタの一覧表は無く、各短編のあとに解説が付されているので、途中のページをパラパラめくって確かめることになるが、それだと余計なネタバレが目に入りかねないのが問題。 事前に判ればいいとも限らず、読みながら嗚呼この話はアレかぁと気付くのが楽しいかもしれない。しかし(多分)なかなか幅広いセレクションで、元ネタを全部知っている読者は限られるのではないか。 つまり、作品集の体裁に、読者の“何をどういう状態で読みたいか”と言う選択肢を奪ってしまう側面があるようだ。好きな作家なので読んだが、こういうのはこれきりにして欲しい。好き度のもっと低い作家だったら“オマージュ短編集”と言う時点で敬遠したと思う。 |