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ミステリの祭典

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嘘つきたちへ

作家 小倉千明
出版日2025年05月
平均点6.67点
書評数3人

No.3 7点 人並由真
(2026/02/10 05:40登録)
(ネタバレなし)
 表題作で、新設された短編ミステリの新人賞を受賞。それをハシラにあとの4編のノンシリーズ編を書き下ろし、一冊になる分量ということで(?)、最初の著作として刊行。
 こういうパターンもかなり珍しいんじゃないかと思う。いや創元は現在もミステリ掲載誌(「紙魚の手帖」)があるんだから。それとも抱えている作家が多すぎて、新人作家に割く紙幅の余裕がそんなにないのか?

①このラジオは終わらせない
 ……いきなり、こってりした話。本書の方向性を読者に明示するという意味では、最初に読ませる作品としては的確かも。

②ミステリ好きな男
 ……「おそ松くん」の某エピソードの元ネタにもなった、かの名作海外短編へのオマージュ編。というか、後半のヒネリ具合は、海外の某単発ミステリドラマだな。

③赤い糸を暴く
 ……オチは素朴ながら、話の見せ方で得点した一編。これも国産の某・名作短編を意識してるとは思う。

④保健室のホームズ
 ……個人的には、一番良かった。読後感が、エリンの某短編を思い出してしみじみ(え?)。

⑤噓つきたちへ
 ……最後の最後まで引っ張るトリッキィさで、なるほど出来はいい。特定の作品とかではなく、なんか佐野洋あたりの切れ味のいい短編を思わせる。

 ④と⑤で稼いで、この評点。

No.2 6点 虫暮部
(2025/10/31 13:11登録)
 定型から幾らかズラした設定だが、高いミステリ的偏差値、しっかりしたロジックで、設計図を基に書いたような緻密なフォルム、美文と言う程ではないが端正な文体、短編集や連作長編でデビュー――と言う新人さん、近年数多く出会っている気がする。
 どれも悪いことじゃないんだけど、それ故に個性の確立が難しいのが問題。本作もそう。

 “芝居を打って相手に何かをさせる” 話は好きではない。相手の反応を都合良く予測出来過ぎだし、変な状況が割と何でもアリになってしまうし。

No.1 7点 まさむね
(2025/07/31 23:35登録)
 5編を収録したノンシリーズの短編集。タイトルどおり「嘘つき」がテーマ。
①このラジオは終わらせない:ラジオの生放送の中での駆け引き。反転攻勢は嫌いじゃないけど、ちょっとしつこすぎた感も。
②ミステリ好きな男:嘘つきのオンパレード。
③赤い糸を暴く:20ページ程度の文量。真相は想定の範囲内かもしれないが、この文量の中での仕掛けとしては良。
④保健室のホームズ:保健室登校を続ける小学生との友情物語…であります。何も考えずスラスラ読んでしまったけれども、この短編集を読み進めた方なら、分かっちゃう方も多いかも。
⑤噓つきたちへ:第1回創元ミステリ短編賞受賞作。過疎の町で起きた小学校5年生の水難事故について、20年以上を経て再会した同級生たちが語り合う。やはり本作中ではベストか。

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