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ミステリの祭典

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嘘つきたちへ

作家 小倉千明
出版日2025年05月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 6点 虫暮部
(2025/10/31 13:11登録)
 定型から幾らかズラした設定だが、高いミステリ的偏差値、しっかりしたロジックで、設計図を基に書いたような緻密なフォルム、美文と言う程ではないが端正な文体、短編集や連作長編でデビュー――と言う新人さん、近年数多く出会っている気がする。
 どれも悪いことじゃないんだけど、それ故に個性の確立が難しいのが問題。本作もそう。

 “芝居を打って相手に何かをさせる” 話は好きではない。相手の反応を都合良く予測出来過ぎだし、変な状況が割と何でもアリになってしまうし。

No.1 7点 まさむね
(2025/07/31 23:35登録)
 5編を収録したノンシリーズの短編集。タイトルどおり「嘘つき」がテーマ。
①このラジオは終わらせない:ラジオの生放送の中での駆け引き。反転攻勢は嫌いじゃないけど、ちょっとっしつこすぎた感も。
②ミステリ好きな男:嘘つきのオンパレード。
③赤い糸を暴く:20ページ程度の文量。真相は想定の範囲内かもしれないが、この文量の中での仕掛けとしては良。
④保健室のホームズ:保健室登校を続ける小学生との友情物語…であります。何も考えずスラスラ読んでしまったけれども、この短編集を読み進めた方なら、分かっちゃう方も多いかも。
⑤噓つきたちへ:第1回創元ミステリ短編賞受賞作。過疎の町で起きた、小学校5年生の水難事故について、20年以上を経て再開した同級生たちが語り合う。やはり本作中ではベストか。

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