| アミュレット・ワンダーランド アミュレット・ホテル |
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| 作家 | 方丈貴恵 |
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| 出版日 | 2025年07月 |
| 平均点 | 7.00点 |
| 書評数 | 4人 |
| No.4 | 7点 | HORNET | |
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(2025/11/03 21:23登録) アミュレット・ホテル別館は、「犯罪者」御用達の会員制ホテル。「ホテルに損害を与えない」「ホテルの敷地内で傷害・殺人事件を起こさない」という2つのルールさえ守れば、どんな違法なサービスでも受けられるし、警察の介入も一切ない、犯罪者の安全地帯。だが、そのルールを破る者が現れたときのために、ホテルにはお抱え探偵がいる。 ホテルの部屋で生配信中に殺されたSinTuber、バーの落とし物を巡る奪い合い、ホテルでのバトル・ロワイヤルが開催される殺し屋コンペ、爆弾魔ボマーとの対決……どんな時も冷静な女探偵、桐生の推理が冴えわたる。 非現実的な設定でエンタメ感を高めながらも、一編一編ロジカルな謎解き。推理の道筋がなかなか細かいところもあるが、子細な手がかりを紡いで真相を見抜いていく桐生の姿は往年の名探偵さながら。 <ネタバレ> 後半に行くほど面白かった印象。「ようこそ殺し屋コンペへ」の、循環の鎖を一つ抜き取る発想、「ボマーの殺人」の装置がある爆弾を特定していくくだりの論理など、短編ながら光る仕掛けが要所要所にあった。 |
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| No.3 | 7点 | まさむね | |
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(2025/10/05 22:36登録) 犯罪者御用達のホテルを舞台にしたシリーズ第2弾。 前作に比べ、ホテル探偵も含めた登場人物の魅力が強く出ている感じ。切迫感もありつつ、絶妙なコミカルさも兼ね備えていて、エンタメ性も増しています。短編ごとにパターンを変えている点にも好感。マイベストは「落とし物合戦」かな。 |
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| No.2 | 7点 | 虫暮部 | |
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(2025/09/18 13:46登録) 色々ヴァリエーションを出そうと工夫していて良い(って前作にも書いたな)。設定上誰が裏切ってもおかしくないから油断出来なくて剣呑剣呑。 あと伏線の張り方。“この記述は伏線だな” と気付くことは少なくないが、その意味するところまでは解けない。けれど説明されればスッと腑に落ちる。 Episode 4 、想定外の出来事が犯人の行動に及ぼした影響の絡め方が巧みだ。Episode 3 の扉絵に四本指の手が混ざっているのは何? |
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| No.1 | 7点 | みりん | |
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(2025/07/26 01:10登録) アミュレット・ホテルの続編。前作が小ヒットしたのもあり、売れ路線を狙ったか?本格度は前作より下がり、その代わりにエンタメ度がアップ。てことで贔屓しても7点に抑えておこう。 竜泉家シリーズはあまりキャラクターに愛着はないが、こちらのハードボイルド風なのに理知的なホテル探偵が格好良くて好きだ ドゥノット・ディスターブ 6点 生配信中に背後から刺された双子の片割れ。衆人環視の密室と鉄壁のアリバイだが実は〜のネタでズッコケ。ポイントは袖の内側に隠した両手から紐解かれるロジック。 落とし物合戦 7点 遺失物管理を担当しているラウンジ&バー『ブラック・カイザー』には高価なブレスレットと靴下の中に入ったぬいぐるみが届けられた。申し出た3人の中の誰が真の落とし主なのかを当てるフーダニット。その裏には正体不明の大泥棒・ニコラウスの影。舞台設定と謎のアンバランスさが愛らしく、著者らしく実にロジカルに解決されていく。犯罪者の楽園なのに従業員はほのぼのしてていいな。 ようこそ殺し屋コンペへ 7点 イタリアのマフィアの開催する殺し屋コンペにより、5人の刺客がアミュレット・ホテルの従業員・水田に襲いかかる。著者初のガン・アクション。方丈先生の端正な本格マインドを評価している身としては、あまりそっちには行ってほしくはないなと思いながら読んでいたが、推理を武器にするホテル探偵によるフーダニットに落ち着き安心。これは法月綸太郎へのオマージュ的なやつですか?? "ホテルのルールに守られているのは、宿泊客のほうなのだ" なるほどねぇ… ボマーの殺人 7点 アミュレット・ホテルを乗っ取ろうとする爆弾魔が最上階に出現。無数の容疑者から犯人を特定する鮮やかなロジックはいつも通りながら、49個の爆弾の中にたった一つ紛れ込んだ解除コードを探す力技とやや強引な10桁コードの推理もおまけつき。ホテル探偵による容赦ない拷問シーンがぜひ見たかったなあ(笑) 以上4編。『落とし物合戦』と『ようこそ殺し屋コンペへ』が特に面白かった。短編なので、事件の動機となるドラマや人間背景が薄っぺらく見えるのは仕方がない。ので続編は長編でどうですか(^^) |
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