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ミステリの祭典

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八日目の蝉

作家 角田光代
出版日2007年03月
平均点5.00点
書評数7人

No.7 5点 麝香福郎
(2022/07/21 21:30登録)
「親であること」「家族であること」のつまづきを徹底的に描きながら、しかしこの小説が向かうのはそこではない。希和子は人の子を奪い、自分の子を持ったことで、それを奪われる恐怖と苦しみを知り、その時「母」になった。子供をさまざまな形で失う作中の人々を「親になる資格がなかった」という自業自得論で片づけることは容易いが、この作品は何かを糾弾することはしない。誘拐犯も、ダメ母、ダメ父も、意気地のない子供たちも、狂信的集団も。
小説が人間の内面に寄り添う瞬間というのはこういうものを言うのだろうか。本書はそんな瞬間を次々と出現させて、生身の人の理不尽さを堂々と描き切っている。

No.6 3点 スパイラルライフ
(2012/03/03 21:49登録)
親子の心理描写が上手く、読ませる作品。
ただし他の方のコメントの通り、ミステリじゃないですね。

No.5 4点 蟷螂の斧
(2012/03/03 08:29登録)
日本アカデミー賞『八日目の蝉』が最多10部門で最優秀賞!のニュース。ミステリーとは思っていなっかたので、このサイトにはないと思っていましたが、登録されていたので評価しました。サスペンス度もあまり感じませんでしたし、一章の誘拐犯の女性および二章の誘拐された女の子(成長後)の心理は男である私にはよく理解できませんでした。余談ですが、近所のおばちゃんから「この本はよかったね?」と同意を求められ困ったことがありました。(笑)

No.4 4点 3880403
(2011/05/05 22:21登録)
期待し過ぎてしまった。
仕方ないかもしれないが、全くハラハラドキドキはしない。
ラストもベタな気がする。

No.3 8点 kenvsraou7
(2011/05/04 23:11登録)
確かにミステリではない。
しかし、そんなことを払拭するくらいの心揺さぶられる作品である。
物語は1章と2章しかなく文章もすごくわかりやすい。
1章は誘拐犯の逃亡から逮捕されるまで。
2章は誘拐された女の子が成長してからの話。
至ってシンプルなのだが作者の人物描写が巧みに表現されて
おり、読み手の感情を揺さぶってくる。
ここがこの作者のうまいところである。

人生をボロボロにされた犯人を憎む主人公が
いつしか顔をも覚えていない誘拐犯を理解していき
人間とは愚かな生き物なのだと、
そして本当の幸せは決して望むことではなく
常に目の前にあることに気づくことができるかどうかだと
読者に訴えかけてきているようだった。

もしチャンスがあるなら映画も見てみたい気がした。
そんな作品である。

No.2 7点 touko
(2011/04/02 23:58登録)
誘拐ものとはいえ、本格的なミステリやサスペンスを期待して読むような作品ではないんですが、直木賞受賞作よりさらにうまくなっているし、リーダービリティも高い。

意外とシビアなところもあるこの作家にしては、甘くはないけどヒューマニズムを感じさせる結末の落としどころが絶妙で、これは売れるわけだと納得。

No.1 4点 江守森江
(2010/04/07 15:34登録)
最近「外事警察」「行列48時間」などNHKのドラマ化作品はレベルが高い。
その為に原作を読む機会が多くなる。
直木賞作家の初の長編サスペンスで、ドラマ化情報を知ると同時に図書館予約した(現在予約殺到中)
子供をさらうのと、その先の展開は一応サスペンスと言えなくもない(かなり微妙)
しかし本質は、不倫・罪・愛情・人生観などから人間を描き、読者の魂を揺さぶる事にある。
感情移入(男性は特に)しにくい主人公で作品を引っ張り、ラストに仕留めるのは作者の真骨頂だとは思う。
また、ストーリーの先を考えさせるタイトルは秀逸。
それでも、もっとサスペンスフルな作品を期待していた私には肌が合わなかった。
※余談
本格ミステリの合間の息抜きを期待したら失敗してダメージを負った気分。

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