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ミステリの祭典

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鎮魂歌 不夜城Ⅱ
不夜城三部作

作家 馳星周
出版日1997年09月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 5点 レッドキング
(2020/04/13 08:37登録)
「不夜城」の続編。主人公:劉健一(料理の鉄人:陳健一でなく)は深海に潜み、第一作では脇にいた北京マフィアのドン:崔虎・・残忍にして狡猾、ぱっと見「とうがたった大学院生」にしか見えない狂虎・・が前面に出てきて、対立する上海マフィアに台湾勢力、警官崩れ等が絡み、血で血を洗う殺し合い騙し合いを繰り広げる。主人公の「操り」位置をミステリ要素と評価したい。
それにしても、北京語・上海語・台湾語・日本語が飛び交うと、中国人同士でさえ、どれが日本語でどれが中国語か判別できない、てのは目からウロコだった(ホントかどうか知らん)。

No.1 7点 Tetchy
(2012/04/04 22:43登録)
混沌とした中国系マフィアの勢力争い。新宿歌舞伎町というごくごく狭い繁華街に上海、北京のマフィアが勢力を伸ばし、そのバランスを保とうと台湾のマフィアの長が策を施す。そんな絵図を俯瞰し、いつか彼らの喉笛に食らいつこうと虎視眈々とその時を窺う劉健一。そんな中国人だらけの街を取り戻そうと蠢く日本のやくざ。
誰もが他者を出し抜こうとし、誰もが他者を貶めようとする。権力という安定を求め、仲間を作るが、その仲間さえも敵と天秤にかけ、平気で寝返る。敵が味方になり、追う者は追われる者になる。窮地に陥った人間が窮鼠猫を噛むが如く、ぎりぎりのところで口八丁手八丁の逆転をし、どうにか生きながらえる。しかしそんな付け焼刃の云い逃れも上手くいくわけもなく、どんどん死の淵へと追いやられていく。

これは新宿歌舞伎町という日本一の繁華街を舞台にした人生劇場。いや明日をも知れぬ地獄絵図を描く者たちの鎮魂歌とでも云おうか。私が歩いていた新宿の少し筋を外れたところでこんな人が簡単に人の命を奪う生き死にの戦いが繰り広げられているのか。そう思わされるほどこの物語はリアルである。

ただやはり結局馳氏の作品はどの人物も死んでいく運命にあり、主要たる人物も最終的には屍の山の一角に過ぎなくなる。これがなんとも読んでいて残念なのである。この辺は大いに好みの問題なのだろうが、生死の瀬戸際ギリギリで足掻く人物たちが結局死んでしまうことが解っているので何とも途中で白けてしまう。

本書でも滝沢の変態性、郭が恋い慕う楽の扱いなど凌辱系ポルノビデオのような内容でこれ以上の物を書くとどんどんエスカレートしてこちらの感覚が麻痺していくように思えてならない。どこまで突き進んでいくんだ、馳星周は?

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