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ミステリの祭典

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復讐の準備が整いました

作家 桜井美奈
出版日2025年04月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 7点 人並由真
(2025/08/08 09:18登録)
(ネタバレなし)
 HORNETさんのレビューをネタバレの手前(つまりシンプルにあらすじ部分)まで拝見し、7点というそれなりに良い評点に留意。さらにタイトルと表紙を見つめて、なんか面白そうだなと本の実物を手にとってみる。

 で、読み終わってから作者の経歴を見て、ああ『殺した夫が帰ってきました』の桜井先生の新作だったのね、と、そこで初めて気が付いた。いや、無頓着も甚だしい(汗)。

 サプライズを用意してるなら、たぶん当然……とか予期し、それはまあ当たったが、その大技を支える某ギミックの方はうかつにも気が付かなかった。いや、特に斬新なものではなく、むしろ懐かしいくらいのネタだったが。
 とはいえHORNETさんが(ネタバレ部で)おっしゃっている通り、

>物語としての結末がどうなるかは分からない部分があり、そういう意味では最後まで楽しめた

 これに尽きる。

 で、最後に明かされた人物配置の構図にはハタと膝を叩き、納得もできるものの、同時に一部のキャラがあまりにコマ(駒)的に運用されて、人間関係のハメコミ具合にしっくりいかない感じも、あったりなかったり?

 ただまあ、後味の良さは確かですな。
 あー、作中に登場する編集者の相田さんは、いまのところ今年読んだ新作ミステリのなかでのベスト助演キャラの有力候補にしたい。

No.1 7点 HORNET
(2025/05/17 18:27登録)
 高校の漫画研究会のたった一人の部員兼部長の小野川葵。そこに新入生の由利が入部してくる。やっとできた後輩に喜ぶ葵だったが、由利が過去に漫画賞に入選していたのを隠していることを知る。その事実に嫉妬と羨望を抱いてしまう葵。そんな二人の関係は、歌舞伎町のビルから女子高生が転落した事故を境に大きく歪み始めて…。

<ネタバレ>
 タイトルから、後半あたりから復讐に向かうストーリーが展開されていく、クライム風の作品かと想像していたが、一向にその気配がなく、予想していた作風と違った。
 前半にあった”リリ”の話と共にラストに一気に回収されるということは理解し、どんな着地点なのか予想を立てながら読むのはそれなりに面白かった。ミステリの経験値から、読者を相手に仕掛けるトリックとその内容はだんだんと想像がついてくるものの、物語としての結末がどうなるかは分からない部分があり、そういう意味では最後まで楽しめた。
 ラストも心地よい着地で、全体的に楽しめた。

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