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ミステリの祭典

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災厄

作家 永嶋恵美
出版日2007年11月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 猫サーカス
(2021/08/11 18:18登録)
凶悪な犯罪ばかりか、学校や職場のいじめなど、世の中の暗い出来事は絶えることがない。誰の身にいつ災難が起こるか分からないばかりか、自分や周囲の人たちが加害者に転じることすらあり得るだろう。そんな現代社会の病理を捉えたサスペンス。私立中学の女性教諭が路上で殺害された。妊娠八か月で産休に入ろうとする前日の出来事だった。やがて妊婦ばかりを狙う殺人事件が連続し、ある高校生が容疑者として逮捕された。事件のニュースを聞き、自分も妊娠五カ月目に入っていた美沙緒は不安を感じた。恐ろしいのは異常な殺人犯ばかりではない。匿名のネット掲示板での心ない中傷や個人的な情報の露出など、いまや家の中にいても安心していられない。しかも身近な人々の好意の裏にひどく陰険な思惑が潜んでいたりする。そんな善と悪がないまぜになった人間の複雑な姿が見事に浮き上がってくる。殺人者側からの描写があるなど、少年犯罪小説としての読み応えも十分。

No.1 6点 シーマスター
(2012/05/28 22:45登録)
ベストセラーになったという作者の『転落』と同様のリーダビリティもさることながら、同作で感じた取材力の凄さも再度痛感させられる。(マタニティ関連についてはご自身の経験に依るところが大であろうが)

進学校の男子生徒による連続妊婦殺人・・・その事件の司法展開のために何の罪もない主人公に襲いかかる悪意の嵐・・・・・・さすがに以前の妊婦仲間の行動には「そこまでせんだろう」と笑ってしまったが、間接的な関係者への影響を如実に描写する筆致はやはり圧巻。

そして終盤は、これでもかと言わんばかりの(少し違った意味の)悪意の連鎖・・・理解し難いところが少なくないが圧倒される。

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