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ミステリの祭典

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死蝋の匣
白石&和井田

作家 櫛木理宇
出版日2024年07月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 メルカトル
(2024/08/19 22:03登録)
茨城県で滅多刺しの男女の死体と死蝋のかけらが発見される。翌日、白昼のコンビニで女子中学生たちが襲撃される第二の事件が発生。現場の指紋から捜査線上に椎野千草という女性が浮かび上がる。彼女は、十三年前に起きた史上最悪の無理心中事件の生き残りだった――。千草の足取りが掴めぬまま、増えてゆく死体。止まらぬ猟奇殺人犯を元家裁調査官・白石と県警捜査第一課・和井田コンビが追う!
Amazon内容紹介より。

ジャンルはサスペンスよりもイヤミスに近いかも知れません。警察小説と呼ぶにはそちらのパートが少なすぎるので、違う気がします。
暗い話は嫌いではありませんが、これはあまり刺さりませんでした。テーマとしては家族、それも父親像の色が強く、その意味では社会派と捉える事も出来ます。

プロローグを読んだ段階では期待出来ると思いました。しかし、余りにも事件が起こり過ぎて話が広がり、どう収束させるのか不安になる程です。尚死蝋に関してはあまり期待しない方が賢明かと思います。
最後にちょっとだけサプライズがあるものの、ストーリーの抑揚はあまりなく、白石が警察でもないのに只管聞き込みに終始し、その中で少しづつ事件を解いて行こうとするのですが、なかなか解決の糸口が掴めないので、ストレスが溜まります。一向に見えて来ない事件の真相は思いの外単純で、複雑に見えた人間関係も分かってみれば、驚くようなものではありません。
こういうのが好きな人もいるのでしょうが、あまり一般読者にはお薦め出来ませんね。

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