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ミステリの祭典

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隣人を疑うなかれ

作家 織守きょうや
出版日2023年09月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 人並由真
(2023/10/25 22:16登録)
(ネタバレなし)
「私」こと、千葉県のアパート「ソノハイツ」に住む漫画家の卵で、今はアシスタントで生活している20代後半の土屋萌亜(もあ)は、神奈川で殺された17歳の高校中退の少女・池上有希菜を先日、近所のコンビニで見かけたことに気が付く。萌亜は隣人のフリーライターで20代半ばの小崎涼太に相談。その案件は、小崎の姉で近所のマンション「ベルファーレ上中」に住む人妻・今立晶を通じて、晶の友人で刑事の妻・加納彩へと繋がっていくが……。

 今年の新刊。大き目の活字でサクサク読める。
 かたや作者も、ついに持ちネタの法律トリヴィアを使い果たしたか、そっちの方には今回はほとんど話が広がらない。

 全体的に、赤川次郎の20~40冊目あたりの時期、書きなれてきた頃のなかでの佳作みたいな印象。話のテンポは悪くない。

 ただし真犯人の素性というか、隠し方についてはいささかチョンボ。推理小説にするように見せかけて、そうはなってない。
 もう一方のサプライズの方は、まあまあ効果を上げたが。

 あと、小説として読んで、ともにメインヒロインの一角である晶と彩のキャラ描写がどっちもなんか似てるのがアレ。もうちょっと印象深い芝居をさせあって、うまく差別化させる余地はあったような気がする。

 どっか、やや長めのフランスミステリみたいな雰囲気そのものはキライではない。

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