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ミステリの祭典

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君の望む死に方
碓氷優佳シリーズ

作家 石持浅海
出版日2008年03月
平均点5.27点
書評数11人

No.11 4点 ボナンザ
(2016/09/24 14:11登録)
「扉は閉ざされたまま」に続く二作目。
ゲストとして登場すると単なる通報厨みたいに見えますね・・・。

No.10 7点 505
(2015/11/06 00:52登録)
傑作倒叙ミステリ『扉は閉ざされたまま』の続編。
本作は一癖ある倒叙ミステリである。特徴として、犯人の視点を交えつつ、被害者がメインに据えられている。被害者は『殺される』ことを望み、犯人は『殺す』ことを求めており、互いにその願いを叶えるために努力をする描写に力を注がれている。被害者は作中で〝演出者〟と表現される通り、被害者は犯人を動かすように、一歩先を行っているシーンが丁寧に描かれており、人間を意のままに誘導する試みを一貫として表現されている。
犯人と被害者の思惑は一致しているという奇妙な構図ですが、そこに探偵役が絡むことでスリリングな遣り取りが静かに進行していることが見受けられる。探偵は探偵なりの遣り方で動いており、それが犯人と被害者の計画に予想外の結果を齎す。その過程が静的に描かれながらも、その〝攻防〟自体には目を見張るものがある。

前作に比べると、動機面やロジックの部分でインパクトというものはやや欠けるものの、倒錯したラストは〝見事に裏切ってくれた〟感覚が残滓として残り、ミステリならではの〝反転〟の構図が皮肉に映る素晴らしさがある。

探偵を含めた『極端な正当化』による歪んだ人間心理が及ぼす行動は凄まじいものがあり、動機面といった心理描写において『独特』な石持浅海ならではの佳作と言えるのではないだろうか。また、探偵が〝事件が起きる前に事件を予見する〟という極限的な試みをスマートに纏めている点もミステリの観点から外すことは出来ない。そういった悪魔的な探偵を以てしても、他人の思考を完全にトレースするのは不可能であることは作中でも示されている通りであるが、〝当事者ではないからこその視点〟の興味深さが根底としてある。ある意味、それこそが人間観察に怪物的に優れた探偵役の特徴であり、〝限界〟でもあることを作中で示してあるのは非常にユニークだと言える。

No.9 5点 yoneppi
(2013/11/23 15:39登録)
2年前に「扉は閉ざされたまま」読んだのに忘れてたわ。

No.8 4点 まさむね
(2011/11/06 10:33登録)
 「扉は閉ざされたまま」に続く,碓氷優佳シリーズ第2弾。
 前作同様,興味深い状況設定です。ダブル倒叙とも言えるプロットも面白いです。その点は評価します。
 しかし,納得しがたい点も多々ありますねぇ。
 まず,被害者役の行動って論理的か?被害者役は,犯人を隠したいのでしょう?じゃあ,犯人役を見切っていることを碓氷に伝えられた時点で,「自重」しましょうよ。
 そして,碓氷優佳は何をしたかったのか。仮に,被害者役が自重せず説得が不調に終わったとしても,犯人役側に「見切ってますよ」って言えばいいはず。防ぎたいの?防ぎたくないの?っていうか自己矛盾していないのか,碓氷優佳。
 そして,犯人役の母親の行動も謎。子どもにしゃべってはいけない。犯人役もこれまた…もういいや。
 いや,特殊な状況設定のために止むを得ない措置とは思うのですよ。しかし,「賢い」と設定されている登場人物ほど,私にはおバカに見えましたがねぇ。人工的なおバカにね。
 この作家ってこういうところがなぁ…。

No.7 7点 E-BANKER
(2011/10/15 21:35登録)
「扉は閉ざされたまま」の続編的位置付け。
通常の「倒叙」とは違う、作者らしいプロットの練られた作品です。
~余命6か月・・・癌告知を受けたソル電機社長の日向は、社員の梶間に自分を殺させる最期を選んだ。日向には創業仲間だった梶間の父親を殺してしまった過去があったのだ。梶間を殺人犯にさせない形で殺人を実行させるために、幹部候補を対象とした研修を準備する日向。彼の思惑どおりに進むかに見えた時ゲストに招いた女性・碓氷優佳の恐るべき推理が計画を狂わせ始めた・・・~

計算され、丹念に作りこまれた作品という印象。
本作の主役は犯人ではなく、犯人役に殺されようとする「被害者」。
ということで、犯人視点の「倒叙」以外に、被害者からの「倒叙」も加わるという凝ったプロット。
探偵役の碓氷を加えた3人の間で虚虚実実の駆け引きが展開されるわけですが、結果的には碓氷の圧勝。
他の方の書評にもありますが、確かに碓氷の推理力が圧倒的すぎて、ちょっと物足りない感はあるかもしれませんね。

思ったよりも辛めの採点のようですが、個人的にはなかなかの良作だと思います。
何より、作品全体に「ピーン」という緊張感が感じられて、「次はどうなる」という期待感を持って読み進めていけるのが何より。
文庫版解説で大倉崇裕氏が「倒叙モノ」の難しさを語られてますが、こういう作品では主人公(本作では日向)の心情と如何にシンクロできるかが生命線だと思いますし、そういう意味でも本作は十分に合格点でしょう。
動機はまぁ、横に置いといて・・・
(それにしても、碓氷優佳のキャラはなかなかいいね。余韻を残した終り方はちょっと消化不良かもね)

No.6 5点 いけお
(2011/05/11 09:55登録)
設定はおもしろいが、一方的で圧倒的な推理力は興ざめ。
三者がお互いの意図を認識しあっていたらよかった気がする。

No.5 4点 teddhiri
(2009/09/19 20:57登録)
前作と比較すれば落ちるものの、面白かった。ただ探偵が前作であんなことしておいてラストで熱く語っているのが虫唾が走りました。よってこの点数に減点しました。

No.4 5点 あるびれお
(2009/06/23 05:23登録)
「扉は閉ざされたまま」ほど成功したとは言えないかもしれないが、今回のこの作品もアクロバティックな遊び心があふれていた。被害者となるべきものが、自分を特定の人物に殺させる。それも、一見殺人事件には見えないような形でそれがなされるように仕組む、というのだから、よく考えたものである。次は、設定の妙を超えるミステリ(の中味)に期待。

No.3 6点 江守森江
(2009/05/22 13:44登録)
犯人と被害予定者、被害予定者と探偵の駆け引きはスリリングだが、前作に比べ探偵の力量が抜きん出ている分スリリングさが薄まってしまい残念。
相変わらず動機に納得出来ないのは痛い。

No.2 5点 こう
(2008/04/21 00:07登録)
石持浅海はこんなことで人殺すかなと動機などでひっかかることはあっても読み物としてはロジックを追及するスタイルが好きなのですがこの本は前作程の完成度はないと思います。
 ラストでこの状況で殺人が起きてもやはり内部犯行が疑われるでしょうし優佳も本当に殺人を防ぎたかったら警察に夕食の時点で連絡してぶちこわすなり、安東なりに伝えたりしていくらでも防ぎようがあるのに結局主人公をアシストしており言動が生ぬるいです。

No.1 6点 こもと
(2008/04/08 00:46登録)
 前作『扉は閉ざされたまま』の面白かった点として、私は真っ先に、犯人と探偵役の息詰まる攻防を挙げたと思う。
 「こんなキッカケで人まで殺すか?」という動機や、トリックがどうのこうのという、ツッコミ処は確かにあったのだが、両者の互角とも言える頭脳戦(心理戦)が、そんな問題は些細なことだと思わせる程の最大の見所で、高得点をつけた一冊だった。 当然、今作も主役が碓氷優佳ということで、期待は高まる。
 さて今作も、作品中に漂う『緊張感』という点で言えば、前作に引けはとらないと思う。
 しかし、今作の優佳のスーパーウーマン振りは、ちょっといただけない。 犯人が常に一歩先を行く優佳に追い詰められていく、一番楽しめたはずの部分-優佳が結論に達するまでの過程-が、今作の場合、どうしても、抜け落ちている気がするのだ。 つまり、途中で勘ぐる様子もなく、いきなり謎を解いてしまうのだから、過程を楽しみたい私としては、納得がいかない。
 今回の戦いは、わずかに優佳が先を行っているというような互角なものではなく、明らかに、数歩先んじている、大人と子供の戦いを見ているようだったことも、非常に残念だ。
 でも、石持氏は大好きなので、次回作も大いに期待しているのだが(笑)

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