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ミステリの祭典

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浮遊封館
蜘蛛手啓司シリーズ

作家 門前典之
出版日2008年07月
平均点5.00点
書評数4人

No.4 5点 レッドキング
(2022/02/26 19:33登録)
「屍の命題」面白い!「建築屍材」つまらん!ですっかり忘れてた門前典之。その後も頑張ってたんだね。墜落した航空機から130人分の死体が消え、カルト教団「密室」施設から日々信者達が半滅して行く・・そして、雪密室の殺人。トリック志向よいが、作者、建築士でもあるせいか、作風が半端にアポロン的。もっとディオニュソス成分がほしく。伊坂幸太郎道尾秀介より、この人や小島正樹みたいなのを応援したいんだが、もちっと何とかならんのか、小説力。

No.3 6点 メルカトル
(2020/04/08 23:08登録)
全国で「死体が消える」という不可解な事件が続発していた。犠牲者の数が130人分足りない飛行機墜落事故。監視者の目前で次々人が減っていく宗教団体。また、身元不明死体ばかりが火葬されずにどこかへ運ばれているらしいとも。さまざまな謎がやがて一本に繋がるとき、底知れぬ異形の論理が浮かび上がる。ついに沈黙を破った鮎川賞作家による書き下ろし。
『BOOK』データベースより。

個人的には好みですし、派手な事件の連続は目を引くものがありますが、残念ながら色々説明不足な点があり、今一つ理解が及ばないこともありました。根底には何故ここまでの大量殺人事件が起こるのかという疑問があり、そのところもあまり深堀されていません。まあ死体が必要なわけは判りますけど、その思想が作者の中で十分に熟成されていない感じがして、いささか表層的に過ぎたのではないかという気がします。
ただ、雪密室の謎は克明に描かれており、非常に興味深く読めました。新味があるのかと問われると否と言わざるを得ませんが、実現可能のようにも思えます。

宗教を絡めれば何が起きても不思議ではないだろう、みたいな作者の魂胆が見え隠れしていて、何でもアリな感じを濃くしています。
あのメフィスト賞作品と比較されがちですが、怪しげな雰囲気はこちらの方に軍配が上がると思います。しかし、もっと教団の「真実」や信仰の有り方などを描き切っていれば、更に評価点は上がった筈です。

No.2 5点 nukkam
(2016/02/15 00:30登録)
(ネタバレなしです) 2008年発表の蜘蛛手啓司シリーズ第3作の本格派推理小説です。墜落した飛行機の乗客の死体の大量消失、宗教団体の訓練所からの信者たちの消失、身元不明死体の消失と不可解な消失事件が相次ぎ、さらには死体の周囲に犯人の足跡がない雪密室と謎の大盤振る舞いです。怪しげな宗教団体を登場させて組織犯罪の可能性を漂わせているところは好き嫌いが分かれそうです。犯罪の影にある異常な狂気とその犠牲になった被害者の哀れさが印象的ですが、余りに非合理的な真相は本格派の謎解きには向いていないような気もします。

No.1 4点 teddhiri
(2009/03/28 20:57登録)
 人間消失、雪密室、消えてゆく死体など謎はてんこ盛りで、その解決も意外性に満ち溢れている。特に31人の人間が消えた謎のの解明は感心させられた。探偵と助手の掛け合いも楽しかった。しかしそれを補って余りあるいやな結末(なぜ死体は消えていったのかの理由)は本当に胸糞悪かったのでこの点数にしておきます。

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