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ミステリの祭典

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青空の卵
ひきこもり探偵シリーズ

作家 坂木司
出版日2002年05月
平均点4.57点
書評数7人

No.7 4点 makomako
(2014/03/12 20:40登録)
 作者はシャーロックホームズが好きなのか、名探偵役は些細なところから真相に迫りしかもそれがいつも的をえてしまう。女が廊下や道のふちを歩き、フロアの主任を呼べといったからデパートに勤めていると推理する。それが当たっているから話が成り立つのだが、もし彼女がホテルに勤めていてもきっと同じような行動をとると思われるが(実は私はそのように思ってしまったのだ)そうだったらこの話はうまくいかなくなってしまう。
 推理小説にはお決まりがあって「銭形平次の銭が当たらず犯人が逃げたということにはならない」と由良三郎氏が書いているのだが、本作品はあまりにご都合主義ではないだろうか。
 またひきこもり探偵の鳥居が実に傲慢で、こんな性格のひきこもりはありえないでしょう。坂木もうじうじと泣きすぎでみっともないね。
 切れない糸がよかったので読んでみましたが、これはいただけませんでした。

No.6 6点 メルカトル
(2014/01/30 22:22登録)
再読です。
本作は趣向を変えて、どうでもいいことを書き連ねていこうと思う。なあに、心配はいらないよ、長々書くつもりはないから。
では早速いってみよう。まず最初に『仔羊の巣』の書評に書いた鳥井がひきこもった原因に関しては、第一話でやはり明らかにされていて、一応納得は出来た。だけどこの青年の性格から言って、ひきこもるようには思えないけどね。ついでに書くと、鳥井は二重人格か、でなければ分裂症なのではないかと勘繰りたくなるような、いきなりの豹変ぶりを見せることがある。これがどうにも不思議でならない。どういう精神構造をしているのだろうか。ただ、探偵としては相当優秀で、文句のつけようがない。
一方、実質的な主役のぼくこと坂木は、あまりにも涙腺が緩すぎるだろう。いい大人なのに毎回泣いているじゃないか。こんな純粋な人間などまあいないって。
他の登場人物に関しては、それぞれ個性があってよく描けていると思う。だから面白いわけだが、人物の造形はさりげない言動に非常によく表れているので、飽きが来ない一つの要因となっている気がする。特に、盲目の美青年、塚田、警官で鳥井たちの同級生である滝本、木工教室の先生で、粋な江戸っ子じいさんの木村。この人たちは主役でも張れそうな個性派ぞろいである。
あと一つ、それぞれの短編のタイトルに季節が入っているが、残念ながら季節感がイマイチ出ていないね。
おっと、ちょっと長くなってしまった、失礼。

No.5 3点 ナノ
(2013/12/07 01:51登録)
同じく坂木氏の「切れない糸」がなかなか良かったのでこちらも試してみました。

流れとしては、日常の軽い謎を解決しつつ、探偵役鳥井と坂木の友情、また広がっていく人同士の繋がりを描くといったものです。
しかしこの友情とやらが全く感情移入できないものでした。
とにかく2人の関係が現実世界に置き換えられない。恋人かとツッコみたくなるような場面の応酬にげんなりです。
唐突な涙や度を越した友情の描き方が、中高生が書く携帯小説のように思えてなりません。
実際デビュー作ということで仕方ない部分もあったのでしょうが、今言えるのはこちらを先に読まなくて良かったということです。
こちらが先であれば、この作者の本には手をつけなくなっていたでしょうから。

No.4 4点 E-BANKER
(2013/04/11 22:58登録)
「ひきこもり」のプログラマーで探偵役の鳥井と、彼の親友でワトスン役の坂木司のコンビが登場するシリーズ第一弾。
性別不明の覆面作家・坂木司のデビュー作品。

①「夏の終わりの三重奏」=その後シリーズレギュラーとなる巣田が登場。男性を狙う女性ストーカー事件が頻発するなか、巣田も巻き込んで事件は複雑化する・・・。でも・・・なんか現実感がない。
②「秋の足音」=坂木が駅で見かけた全盲の美青年・塚田。彼は謎の二人の男女に後を付けられているというのだが・・・。事件の構図が明らかになった後、更に逆説的な真相が分かる。
③「冬の贈りもの」=②で登場した歌舞伎役者・安藤。安藤の熱狂的ファンから届く数々の贈り物が今回の謎。「なぜこんなものを贈ったのか?」ということなのだが、謎はやがてひと組の夫婦の微妙な関係へ発展する・・・
④「春の子供」=坂木が街角で出会った謎の少年・・・。不憫に思った坂木は、彼を鳥井の部屋へ連れて行く。彼の素性についてが今回の謎の本題なのだが、不和だった鳥井と父親との関係にも変化が訪れる。
⑤「初夏のひよこ」=ボーナストラック。

以上4編+α。
最近書店でよく平積みになっている作者の作品だから、とにかく一度手に取ってみたのが本作。
でも、どうなんだろう?
本シリーズの特徴は、やはり鳥井と坂木との「異常な関係」だろう。
とにかく男性どうしとは思えないほどの「ベタベタ振り」・・・。ちょっとっていうか、かなり気持ち悪いのは否めない。
二人以外の登場人物たちもあまりにも「いい人」すぎて、なんだか現実味がないように感じるのだが、私が変なのだろうか。
言葉は悪いが、何か「超油っぽい料理」を食べた後のような読後感・・・。

ミステリーとしてはどうかって?
まぁ、普通の「日常の謎」ミステリーってところです。
シリーズは全三作なのだが、読もうか読むまいか・・・迷うなぁ。
(ベストはやはり④かな・・・)

No.3 7点 ウィン
(2010/09/25 12:23登録)
殺人事件の起こらないミステリは多く、この作品もその系統のミステリに属する。
しかし、これほどまでに感動できて温かさを感じるミステリはない。
ちゃんと事件を解決しているのに最期にはほっこり。
坂木と鳥井のコンビもとてもいい。
ズケズケとものを言う鳥井とそれをなだめる坂木。
鳥井はいかにも探偵っぽく、坂木はワトスン役に適している。

No.2 1点 キトウY
(2009/09/15 03:47登録)
単なるゴミ。

No.1 7点 こもと
(2008/03/31 22:04登録)
 ワタクシなどは、なかなか良い短編集に出合っちゃったかもなんて思ってますが、よそさまの総合書評ページでは、この本は何気に男性同士の恋愛のジャンルにカテゴリされてるようで、そのテのジャンルがお好きな女性の書き込みが多いことに、苦笑いしてしまう。 この二人、萌えちゃうような関係に見えてしまうんでしょうか?(笑)
 私としては、日常の謎系のミステリとして面白いものだと思っているし、成長していく二人の関係が強固でいて、脆そうな面が気にかかる。 こうして書きながらも、相反する言葉だとわかっているけれど、「強固」という円と「脆さ(脆弱?)」という円を2つずらして書いた時に重なる部分に二人はいるような気がして、目が離せなくなる。
 いや、しかし、毎話必ずと言ってもいい程出現する、坂木の涙のシーンは、水戸黄門の印籠タイムを思い出させるんだけどね(笑)

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