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ミステリの祭典

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平均点:6.15点 書評数:55件

プロフィール| 書評

No.55 4点 丸太町ルヴォワール
円居挽
(2010/10/01 00:19登録)
ストーリーが苦手すぎてついていけなかった。ラストのどんでん返しに継ぐどんでん返しは読み応えがあるものの、置いてけぼりをくらった俺はそこすらも楽しむことができなかった。とはいえ、よくできたミステリであることは確かであり、今後の活躍が期待される作家だと思う。でも、やっぱりストーリーが人により好みが大きく分かれるタイプのものであるために、気軽には人に進められないなあ……。そこが講談社BOX刊行である所以か?ミステリ好きなら一読の価値ありと言える作品でしょう。


No.54 8点 誰のための綾織
飛鳥部勝則
(2010/09/29 00:32登録)
ミステリの禁じ手に挑戦している作品であるが、それほど禁じ手というほどには思えなかった。
しかしすごい作品である。
プロローグとエピローグがこれほど効果的に作用しているミステリが他にあろうか……と思ってしまうほど。
あまり言うとネタバレになってしまうのだが、ミステリをミステリたらしめるためのプロローグとエピローグとでも言おうか。
作品自体で試みられている謎への解決は勿論面白いのだが、作中作において提示されている謎への解決が別の意味で面白い。
こういうアンバランスなとこも良いよな、と。
トータルで言えば、しっかりと構成されているミステリなのだが、真ん中に当たる部分が破綻している(もちろん敢えてそうなっているのだが)。
これが魅力的なアンバランスに感じられた二つ目だった。

盗作問題ですっかり有名になってしまい、更には入手困難になってしまった本作であるが、作中で試みられていること自体は評価できると思う。
盗作なんてしなくても、良い作品を書ける作家さんなのに、と今更ながら思った。


No.53 8点 Another
綾辻行人
(2010/09/26 12:52登録)
ホラーとミステリの融合のお手本といってもいいような作品。
600ページ超とかなり長い作品なのだが、一気に読ませる文章であり、全然苦にならない。
ただし、多少は中だるみを感じる部分もないことはなかった。

この作品のジャンルはホラーなのだが、もちろん綾辻氏は作品にミステリ的な仕掛けを施している。
ただ、そこに本格ミステリ的なものを期待してはいけなかった。
作品全体のテーマとなる現象に対してどういう答えが示されるのかと思っていたのだが、そこはあくまでホラーとしての扱いであった。
要は、ミステリは別な部分にある、ということである。
読み終わって、「ああ、こうきたか」と思わされた。
真相を知ると、様々な設定や描写などなど、全ての部分を改めて見直すこととなり、さすが綾辻行人だな……と感心しきってしまった。
「館シリーズ」ほどのインパクトはなかったが、十分に読む価値はあるだろう。
装丁も素晴らしい……。


No.52 5点 愚者のエンドロール
米澤穂信
(2010/09/25 12:32登録)
今回は今迄に読んだ米沢穂信の作品の中では一番ミステリらしい作品だった。
作者のミステリ好きも随所で明かされているし。
これは毒チョコ方式のミステリだと後書きに書かれているが、言われてみれば納得。
話が反れるが毒チョコは名作ミステリだと思う。
まあこの作品に一つ欠点を付けるなら、今回は謎解きという要素に走りすぎて、古典部という要素が疎かになってしまったことだろう。


No.51 7点 夜想
貫井徳郎
(2010/09/25 12:30登録)
宗教団体の形成をテーマに書かれた本書。
宗教とは言っても、ホニャララ真理教みたいに明らかにインチキじゃねぇか、という宗教団体とは違う。
そもそも、宗教団体と呼ばれることを教祖的存在である者が嫌い、崇められるのも拒む。あくまで一人の女性として悩める人の相談役でありたいのだという意思を貫くのである。
その女性はものに触ることにより、そこから何らかの意思を汲み取ることができるという能力があり、その点でも、インチキなことをして「教祖様は浮遊できる」などといった某宗教団体とは違うのである。
宗教団体と言えば嫌なイメージしか沸かないのだが、本書ではあまり嫌悪感を抱かなかった。しかし、教祖のような存在である女性を取り巻く人々に、団体が有名になるにつれて少しずつ、団体として更に高みを目指すという、いわゆる出世欲のようなものが出てくるあたりはなかなかリアル。
こうして宗教団体は出来上がっていくのだなあ、と思った。
結局、ことは上手く運ぶものの、主人公たちが救われた印象はいまいち感じられず、俺の心は暗いまま終わった。
素晴らしい出来である本書だが、少々中だるみした印象があるので、マイナス一点。
ただ、ミステリとは言えない作品なのであしからず。


No.50 5点 鳥人計画
東野圭吾
(2010/09/25 12:29登録)
本書は事件の犯人を先に明かすかわりに、その犯人が自分を密告した者が誰か推理する、といったもの。
だが、その部分ははっきり言って微妙。
犯人は先に分かっているのに、その犯人が逮捕されるのは半分程度読み進んでから。
それまでがつまらない。
しかし、それだけで終わらないのが東野圭吾。
最後にちゃっかりドンデン返しが用意されていたのでした。
ちなみに、本書を読むと長野冬季五輪が非常に懐かしく思われる。


No.49 6点 探偵ガリレオ
東野圭吾
(2010/09/25 12:29登録)
「容疑者Xの献身」を読む前に、これを読んでおかねば、という思いから読んだ。
ついでに「予知夢」も読まねば。
本書は科学現象を題材とした連作短編ミステリ。
まあ、俺は文系なので、ラストでこの化学物質がどうのこうのと言われても、「なるほど!」という感嘆の声をあげるということは、非常に難しいのである。
ただ、「爆ぜる」での爆破トリックは知っていた。
中学時代に理科の先生が話していたのを覚えていたからだ。
その時は、「すげー」と思ったものだ。
いやはや、まさかその化学現象が人を殺せてしまうほどのものだとは思いもしなかったが。
科学って素晴らしい。


No.48 4点 赤い夢の迷宮
はやみねかおる
(2010/09/25 12:28登録)
俺には、いつものはやみねかおるのミステリに残酷さを交えたものとしか思えなかった。
どんどんと人が死んでいくという残酷な部分はあるが、どうも語り口が夢水清志郎シリーズや都会のトム&ソーヤシリーズに似ているために中途半端。
最後はどんでん返しというほどまでは行かないものの驚きの結末が待っている。


No.47 3点 香子の夢−コンパニオン殺人事件
東野圭吾
(2010/09/25 12:28登録)
バブル期にあってバブル全開なミステリ。
初期の東野圭吾のミステリが面白くないわけではない。
「放課後」や「魔球」は面白かった。
しかし、これはイマイチ。
特に語ることも考えつかないような内容だった。


No.46 4点 11文字の殺人
東野圭吾
(2010/09/25 12:27登録)
初期の東野圭吾だな~、と思ってしまうような作品だった。
まだ作家として駆け出しの頃であったからだろうか、どうも力不足を感じさせるような内容。
最近の作品とは大違い。
謎解きも微妙だし、事件自体もいまいち盛り上がらず、緊迫感が感じられない。
殺人事件で盛り上がるというのも、どうにも不謹慎な話だが、やはりミステリとしては緊迫感溢れる事件が必要なのである。
とまあ、書き連ねたわけだが、そのへんの中途半端なミステリ作家に比べると出来はいいわけで、それほど文句を連ねる内容でもないといや、ない。


No.45 6点 サイン会はいかが?
大崎梢
(2010/09/25 12:26登録)
やっぱり短編の方が面白かった。
長編も面白くなくはないが、短編の方が"書店ミステリ"としての良さが出ていると思う。
短編5編が収録されているが、「君と語る永遠」と「バイト金森くんの告白」が良かった。
特に「君と語る永遠」は、1人の子供の人物像が読んでいて、二転も三転もした。
でも、最後はいい感じで終わりめでたしめでたし。


No.44 5点 夏期限定トロピカルパフェ事件
米澤穂信
(2010/09/25 12:25登録)
前作よりも面白かった。
相変わらずな「小市民」っぷりには恐れ入るばかりだ。
とはいえ、多少「小市民」としてのルールを乱してもいる。
今回は前作よりも、さらに小佐内さんのスイーツ好きが前面に押し出されている感じ。
夏休みをスイーツ食べ歩きに費やすほどである。
個人的には表題にあるトロピカルパフェよりも、小鳩常五朗絶賛のシャルロットが気になった。
肝心の事件の方は、まあそんなもんだろう……といった感じのもの。


No.43 8点 警官倶楽部
大倉崇裕
(2010/09/25 12:24登録)
素晴らしい。
期待を遥かに上回る出来だ。
何よりも、大倉崇裕のマニアっぷりが存分に発揮されているのがいい。
そして、それだけで終わらず、ちゃんと全体で一つの物語としてまとまっている。
所々に出てくる最近の警察情報も面白い。
ゴキブリホイホイで死んでいるゴキブリの状態で色々なことが分かったり、靴のサイズだけで身長が推定できたり。
最近の警察は進んでるなあ。
とにかく、面白いの一言に尽きる。


No.42 7点 青空の卵
坂木司
(2010/09/25 12:23登録)
殺人事件の起こらないミステリは多く、この作品もその系統のミステリに属する。
しかし、これほどまでに感動できて温かさを感じるミステリはない。
ちゃんと事件を解決しているのに最期にはほっこり。
坂木と鳥井のコンビもとてもいい。
ズケズケとものを言う鳥井とそれをなだめる坂木。
鳥井はいかにも探偵っぽく、坂木はワトスン役に適している。


No.41 6点 甘栗と金貨とエルム
太田忠司
(2010/09/25 12:22登録)
内容は表紙から推測できる通りのもの。
青い鳥文庫として刊行出来そうなストーリー。
最初から最後まで爽快感溢れる内容だった。
ミステリーとは言っても、誰も殺されないし、大きい事件も起こらない。
甘栗の探偵のしての奮闘振りが中心に描かれているため、これはミステリーというよりも青春小説と言った方が正しいのかもしれない。
学生にオススメの一作。


No.40 5点 ハワイ幽霊城の謎
はやみねかおる
(2010/09/25 12:21登録)
二つの話が並行して進んでいく、この話。
現代が舞台の話と、夢水清志郎左右衛門を主人公としたずいぶんと昔の話。
どちらもハワイが舞台である。
このシリーズは夢水清志郎の推理よりも、三姉妹や伊藤さん、レーチたちと夢水清志郎のやり取りが楽しい。
でもミステリーとしても、しっかりしていることは言うまでも無い。


No.39 5点 配達あかずきん
大崎梢
(2010/09/25 12:20登録)
書店ミステリーという名の通りのものだった。
そして初っ端から「パンダは囁く」で驚いた。
これはよくできていた。
後は「六冊目のメッセージ」。
表題作はイマイチ。
やっぱり書店ミステリーなんだから書店から出ちゃダメだ。
ちなみに表紙はよく見てみれば、過去のミステリフロンティア配本の作品がぎっしり並べられてできている。
これもなかなかおもしろい。
そしてなぜか、この「配達あかずきん」の表紙だけが白背景に黒字で縦に「配達あかずきん」とだけ。


No.38 4点 QED 百人一首の呪
高田崇史
(2010/09/25 12:19登録)
少し期待外れ。
百人一首の謎がどうのこうのって部分は良かったと思う。
読んでて、なるほど…と思わされた部分が多々あった。
しかし、これはミステリーであるわけだから、それを上手くミステリーと絡めなければいけないと思う。
その点で少しミステリーとしては弱かったかな、と思う。
お互いが上手く混ざり合っていなかった印象。
そのため、ミステリーとしてはイマイチだった。
しかし百人一首の話としては上出来だ。


No.37 6点 氷菓
米澤穂信
(2010/09/25 12:19登録)
読みやすく、気軽に楽しめるミステリ。
小さな謎を解くだけなのだが楽しめる。
気になるのは、タイトル。
「氷菓」とは何なのか?……古典部の文集の題名である。
なぜ古典部の文集名が「氷菓」なのかは読んでからのお楽しみ。
色んな意味で納得させられると思う。
古典部という部活は興味深い。
壁新聞部なる新聞部とは全く別である部も存在する神山高校。恐るべし。


No.36 6点 春期限定いちごタルト事件
米澤穂信
(2010/09/25 12:18登録)
面白かった。
俺は基本的に殺人事件の起こるミステリの方を好むという物騒な人間なのだが、そういった部類に入らないこのミステリをすっかり気に入って読んでしまった。
本書では日本中を震撼させる事件どころか、一つの市を震撼させる事件さえも起こらない。
起こる事件と言えば、些細な盗難事件が一番物騒で、「おいしいココアの作り方」では、事件は起こらない。
些細な謎を解くのみだ。
しかし、ちゃんと謎解きが成立しているからおもしろいのである。

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