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ミステリの祭典

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星降り山荘の殺人

作家 倉知淳
出版日1996年09月
平均点6.45点
書評数121人

No.121 7点 みりん
(2023/01/02 23:12登録)
ロジカルな推理が魅力的な作品です。

No.120 4点 バード
(2022/04/23 08:16登録)
(ネタバレ無しだがヒントあり)
本格物の雰囲気やしっかりとロジックを組み立てる姿勢など非常に良いと思える部分が多かった作品。ロジックに関しては少し無理矢理感もあったが私個人の感性では許容範囲内だった。

しかし、本作はメインの仕掛けがあからさますぎていただけない。
星園登場チャプターで「おいおい、まさかこのパターンじゃないよな?」と心配し、麻子が登場した段階でほぼオチを確信。そして予想通り終わってしまった。作者的には読者への真実の語りでミスリードを狙ったのだろうが逆効果だった。言葉は悪いがやり方が子供騙し。余計な小細工が無ければ素直に驚いたかもしれないのに・・・。

上記の点で大幅減点(7点→4点)。『さよならドビュッシー』の書評に同じ事を書いたが、バレバレの手品は高評価に値しない。

No.119 8点 HORNET
(2022/04/03 20:45登録)
 面白かった!
 作者の中では一番有名な作品なので、各章の冒頭にある注意書き(?)のようなものにも騙しがあるのかと思って読んでいたが、それは素直に受け止めてよいものだった(笑)

<以下ネタバレ>
 真犯人が、自身の潔白を自ら証明するために謎のほとんどを論理的に解明し、最後に真の探偵役が一部をひっくり返すという構成はなかなか味があった。
 真相解明は(ちょっと行き過ぎているほど)ロジカルで、その部分だけを取り上げれば往年のクイーンのよう。
 どちらかといえば昨今は脱力的な(?)作風が印象的な作者だが、真骨頂を見せられた気がして唸らせられた。

No.118 8点 Tetchy
(2021/07/13 23:50登録)
倉知淳氏の数ある作品の中でも名作と呼ばれている本書はいわゆる典型的な“嵐の山荘物”である。

実にオーソドックスな本格ミステリである。まさに新本格のお手本のような本格ミステリだ。
更に登場する面々も実にオーソドックスなキャラクター付がなされている。

本書の最たる特徴は各章の冒頭に作者からの注意書きが付されていることだ。そこにはミステリを解く上でのヒントが書かれている。
例えば冒頭では「探偵役と助手は犯人ではない」と明言されており、更には「不自然なトリックは使われていない」とほとんど推理の幅を狭めるような核心を突いたものまで登場する。つまり本書はミスディレクションを極力排した形で物語が展開するのだ。

この究極的なまでにフェアである本書はその反面、究極的なまでにミスディレクションに満ちていた本格ミステリだった。
いやはやすっかり騙されてしまった。久々に犯人が明かされた時に「えっ!?」と声を挙げてしまった。そして作者の周到な仕掛けに初めて気づかされ、驚かされるのだ。
してやられた、と。

しかしなんという犯人だ。これまでのミステリで最も卑劣な探偵役かつ犯人ではなかろうか。

とにもかくにもまだ本格ミステリにはこのような手が残っていたのかと素直に驚かされ、感心した次第だ。
そしてこの手法は本書唯一無二の物ではないか。もうこの手は誰も使えないのではないか。

実にフェアで独創的かつ斬新な本格ミステリであった。これは確かに末永く読まれるべき本格ミステリである。

本当に普通の本格ミステリなのである、読んでいる最中は。
しかし「普通である事が一番難しい」とはよく別の意味で使われるが、本書もある意味普通であるがゆえに真相を暴くには難しいミステリであろう。綺麗に騙され、そしてスカッとする、本格ミステリならではのカタルシスを感じさせる作品であった。

いやあ、嬉しいね。何が嬉しいかって、この仕掛けを今までネタバレに遭わずに読めたことだ。本書を既に読んだ読者諸氏のフェアな感想に改めて感謝したい。
本格ミステリはまだ可能性を秘めている。そんなことを清々しいまでに思わされた作品であった。

No.117 1点 Fヴァンス
(2019/07/12 16:55登録)
単純にアンフェアでしょ。最低。
ヴァン・ダインの20則に「作中の人物が仕掛けるトリック以外に、作者が読者をペテンにかけるような記述をしてはならない」というのがある。
その則に反するような本作品のだまし方は不愉快であり、途中のストーリィが面白くても最後に台無しにしてしまう。(もっと「これは傑作だ」って納得できる快いだまされ方をしたいものだ)

「アクロイド殺害事件」と対比されるが、アクロイドでは作者は少なくとも嘘はつかないし後から読めばそれなりに手がかりは与えられていることがわかるのでアンフェアとは思わない。

No.116 4点 りゅう
(2018/06/20 15:48登録)
この作品はロジカルに見せかけているが、その中身は全く非論理的。

(ネタバレ注意)
本作品のメインは、ロジックではなく、叙述トリック。
「本作を叙述トリックと言っている人は叙述トリックを間違えています」と書いている人がいるが、思い込みの強い人のコメント。
そもそも、叙述トリックに明確な定義があるわけではないが、ネットで検索すると、
「叙述トリックとは、読者の先入観や思い込みを利用し、一部の描写をわざと伏せたり曖昧にぼかしたりすることで、作者が読者に対してミスリードを仕掛けるトリックである」
「叙述トリックってのは平たく言うと、地の文でミスリードを誘う手段の事」
という記載がある。
この作品は、まさに地の文でミスリードを誘うことが主眼になっているではないか。

No.115 5点 レッドキング
(2018/06/04 18:11登録)
作者が読者に「この章で〇〇登場」って提示してるところがトリックなのね それはそれでグッドアイデアだけど そこだけだなあ

No.114 8点 sophia
(2018/04/20 20:07登録)
「過ぎ行く風はみどり色」を読んだついでに再読しました。章初めの注意書きによる大技ミスディレクションばかりが印象に残っていましたが、それを除いても本格ミステリーとして面白い。メインの謎が大いなる偶然によって成立しているところは「過ぎ行く風はみどり色」と同じではありますが。しかしこの作品の犯人の逆ギレっぷりはミステリ史に残りますね(笑)

No.113 7点 ねここねこ男爵
(2017/11/12 21:34登録)
これは面白い。
この作者の本は好きか嫌いかでいえば大っ嫌いでしたがこれは良いです。

とにかく古典的なクローズドサークルもの。解決もロジカルで衝撃の真実や意外な犯人はなし。クローズドサークルですからね。そのかわり不快な強引さもなし。衝撃成分は各章の前フリが担っており、読者は当然仕掛けを警戒するため効果は今一つか。コレがうまくいっていたらもっと良かった。あ、本作を叙述トリックと言っている人は叙述トリックを間違えています。それから低評価をつけている人でレビュー本作のみってのが多くてなんとなく…ねぇ…

ちなみに、同作者の「過ぎ行く風は〜」と本作どちらが好きかが嗜好のベンチマークになります。「衝撃!意外!トリック!」な人は前者、「推理小説らしい推理小説」を求める人は本作となるでしょう。どちらの人も反対側は読まない方が精神衛生上オススメ。

No.112 6点 文生
(2017/10/31 08:17登録)
いかにも読者をだましにきているという風な語り口のせいで逆に犯人が完璧に予想できてしまったのが残念。特に、作者による忠告はミスディレクションであることがみえみえで、あれで犯人を確信してしまいました。どちらかといえば、初心者の内に読んでおくべき作品だといえるのではないでしようか。

また、Zの悲劇風な消去法ロジックによる犯人特定はどうもこじつけめいたところが出てくるのであまり好きではありません。とはいえ、古典的なクローズド・サークルと犯人探しの雰囲気は存外楽しめたのでこの点数で。

No.111 1点 トイレツマル
(2017/04/06 22:54登録)
クチコミみて買うと読後のガッカリ感パネッス・・・
DN○まとめサイト事件でネットの裏事情しった今だと
オススメミステリランキングでこの本のせてる記事とか
この本を絶賛してる投稿とかみると
作者と出版社によるステマとしか

No.110 7点 青い車
(2017/02/09 19:26登録)
 風桜青紫さんのご講評にもありますが、読者に対しての仕掛けは本作においてほんのおまけに過ぎません。メインは古典パズラーに倣った推理の積み重ねにある訳で、例のひっかけだけをあげつらって酷評する人がいるのは残念です。
 肝心の謎解きはなかなかのレベルに達しています。倉知淳ならではの伏線回収が快感で、その推理はどれも思わぬ角度から紡ぎ出されます。まあ、一方でその推理に関しても脇の甘さが方々から指摘されていますが、読んでいる間は夢中になったので良しとしましょう。

No.109 2点 ニック
(2016/10/10 22:39登録)
ネット上の好評価を参考に買いましたが、駄作以外の何物でもなかった。

作中に誤った情報(作者が無知で調べずに書いている)が散見され
ex:ハッブル宇宙望遠鏡は電波望遠鏡ではない。消防法上ポリタンクでガソリンを購入することはできない等々。
他の人の感想にもある、コケシやミステリーサークルや糸とヤカン等の伏線やトリックがどれひとつ論理的に解決されず、最後は犯人が激昂して自白という論理性皆無な展開。
これも多数が指摘している通り、中弛み感が酷いどころか全体の9割が不要かつ 意味のない文章で、「探偵役が登場した」「探偵役が犯人ではありえない」的な例の数行以外はほぼ無駄な文章。
推理小説以外として読もうにも筆者の想像力、文章力の無さとあいまって、雪山というシチュエーションや群像劇としてすら楽しめなかった。
ぶっちゃけこの作品を評価している人って、活字なんか読んだことないのに山田ゆうすけを絶賛している類いと同類ではないかと思える。

No.108 7点 パメル
(2016/07/19 16:49登録)
登場人物が皆個性的なキャラクターで楽しめる
各章の初めに注意書き(ヒント)を提示している
これ自体がミスディレクションになっている
●●●が誰なのかを誤認させるトリックは見事に騙された
アンフェアだと言う人もいるみたいだがこれはフェアでしょう
ただ犯人の最後の豹変ぶりは必要無いと思うし動機も今一つ

No.107 7点 nukkam
(2016/07/07 13:17登録)
(ネタバレなしです) 1996年に発表した本書はこの作者らしく軽いタッチの作品ですが「ユーモアと温かみと論理」を重視する作家だけあって軽いだけの作品ではなく、謎解きはしっかり作られています。都筑道夫の「七十五羽の烏」(1972年)を意識して各章の冒頭には作者から読者へのメッセージが織り込まれています。都筑作品では嘘ではないけどちょっとずるいなと思わせる部分もありましたが本書ではそういう不満を感じることもなく、気持ちよく騙されたという快感が残りました。

No.106 9点 MS1960
(2016/06/30 09:34登録)
純粋に面白かったし、騙されました。犯人を特定する論理的考察(犯人から、及び探偵から)の部分は正直弱い。必然性が薄い感じがしました。しかし、遠い昔味わった「私=犯人」「探偵=犯人」の衝撃を更に一ひねりした騙しのテクニックは秀逸。テレビ局の廊下でぶつかった、ってことがそういう意味だったのね・・と感心してしまいました。

No.105 6点 風桜青紫
(2016/02/12 13:10登録)
斎藤警部氏の書評を見てショックを受ける。この作品が叙述トリックものとして評価を受けていたとは……。誰がそんな評判を広めた(もしかして作者自身が言ってたりする?)かは知らないが、私見ではこれは叙述トリックではなく単なるミスリードの一部。これが叙述トリックならルパンやブラウン神父の初登場作品だって叙述トリックになっちゃうじゃないの。この作品の真価はかっちりとした犯人当て(叙述トリックが肝心なんて意見は的外れ)のほうにあると思うんだが、このサイトの書評を見ると、「トリックがわかった! 簡単!」みたいな意見ばかりで涙が出てくる……。これは『十角館の殺人』や『弁護側の証人』みたいな話の根幹を錯覚させるものとはまったく異なるタイプの作品なのです。

倉知淳ほどパズラー推理にこってる作家はなかなかいないと思うけども、それが特にわかるのは、ミスリードの回収の上手さ。この作品でそれが特に発揮されるのは、「ミステリーサークル」の存在でしょう。このなんとも不思議な現象が、犯人にとって必要なものだったと判明したときのカタルシスはなかなかのもの。また誤答推理のほうでもこの現象を野放しにせず犯人当ての材料に使っていき、その推理もそれなりに納得できるものになっているのがまたいい。このクリスティ的なミスリードについては、新本格でもなかなか使う作家は見当たらない(法月はなんか違う)し、そういう仕掛けを積極的に使う点で倉知はレアな作家なのです。叙述トリック一辺倒の作品と並んで評価されるのはいかがなものか。

まあ、問題点としては話の中盤が中だるみ気味だったということだろうか。最後の犯人当てを成立させるためには分量が多くなるのは仕方ないが、やや退屈。米澤穂信の『折れた竜骨』などはこの作品の影響をもろに受けてるんだろうが、あちらはファンタジー小説としての要素を加えることで、読み物としてそこそこの出来になっているし、読んでいて退屈することはあまりない(その代わり分量はかなり多め)。しかしそういう手を使わないところに、倉知淳の本格スピリットというのが見えてくるではありませんか。

No.104 5点 斎藤警部
(2016/02/12 12:21登録)
野暮ったく稚拙な割に読みやすい文章、おかげで嫌な思いをせずサクサク行けてラッキー。
おお、この解決編ロジック構築は’オランダ靴’に萌えない様な私でもなかなかイケるぞ。アリバイの必要性を消した(!!)犯人、その企図に探偵は気付いたってが!! しかし、いつまでたっても驚愕の叙述トリックらしき痕跡が見つからないぞ。あの一点を除いては・・ と緊張のラストに向けて待機していたらユルユルのどんでん返しに椅子からずり落ち。。 振り返ってみれば、「ワトソン」の方は疑って読み返してもみたのだが、そこで安心してアッチの方まできっちり目視点検すべき労を省いてしまったのだな。。たぶん作者もそこは計算に入れているだろう。それもあってあのギミック・オマージュを。。 だけどこの作品、犯人特定のロジックには(強引で綻びも多そうにしろ)かなりの労力を割いている割に、肝心の(?)叙述トリックの方が、苦労してな過ぎって言うか、いやもちろん苦労したしないは関係無く結果面白ければいいんだけど、流石に(文字通り?)紙ペラ一枚で済ますには無理があったと言うか、中心アイディアの閃きにしろ執筆実務にしろ相当に浅いものを感じ取ってしまって、期待ほどに堪能する事は出来ませんでしたねえ、残念。
spam-musubiさんの書かれている
 十角館の動機も十分に唐突かつ陳腐なんですけどね、
 それを気にさせないエネルギーがあるかどうかの差というか。
にも同感至極です。

でもまぁね「この人が犯人だったら嫌だなあ。でも(普通だったら有力容疑者リスト入り確定だけど)この小説の場合それは無いか。。」とうっかり油断させてくれた手腕は見事。あまり低い点は付けられませんよ。

【ネタバレ】
あの「付箋」が実は作家女史のメモで。。という叙述トリックなのかと途中から疑いましたが(伏線も堂々とあったし)、違いましたね。って事は、やはりあれは楽しいギミック引用兼叙述トリック上の手段兼ミスディレクションの一環でもあったのか。。
【ネタバレここまで】

「弁護側」やら「十角館」やら「交叉点」やら諸作と並べて“叙述トリックの代表”に数えるのは個人的に大いなる抵抗がありますが、読みやすいし(これで読みにくかったら罵倒対象だ)、軽い読み物として悪くはないと思います。
だけど最後の、豹変した真犯人の目を疑う悪態ぶり、あれぁ気持ち悪かったなあ。。会話文はおろか地の文の領域さえ超えて作者本人視点の鬱憤奔出させてる様にしか見えなくて。。作者の人格疑っちゃったよ。ある種の人たちへの偏見を助長しやしないかともちょっと心配。

No.103 7点 ロマン
(2015/10/29 18:49登録)
雪に閉ざされた山荘で起こる殺人事件。ミステリでは使い回された舞台だけどやはり心躍る内容。名探偵は常人離れしているという思い込みが自分の中にはあったので、結末にてしてやられた感が強かった。作者の説明に裏があるなと警戒していたのにミスリードされてしまった。驚くようなトリックはないものの良いミステリ小説に出会えたと思う。星園さんは憎めないキャラクターだった。「闇夜に浮かぶ星のようにミステリ小説もまた無数に存在していて、あなたに謎を解いてもらおうと読まれたがっているのです」間違っても小指一本を立ててはいけない。

No.102 2点 みつ
(2015/06/25 10:42登録)
設定が好きで手に取っては見たものの…。
まず、冒頭の部分で気づく人は気づくと思う。
すぐにその真意に気づいてしまったので、まったく騙されたという気持ち良さは味わえませんでした。

犯人が分かってしまっても面白い作品は面白いのですが、この作品はストーリーもイマイチだし人物描写も下手。会話もつまらなくて全然感情移入ができない。
もうちょっとクローズド・サークルの恐怖感を出してほしかった。

推理もはっきりしないところが多いし動機も薄すぎるし…。
どうしてこんなに評価が高いのかはっきり言って謎。
それこそミステリーです。

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