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ミステリの祭典

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MS1960さんの登録情報
平均点:6.68点 書評数:37件

プロフィール| 書評

No.37 6点 ミステリー教室殺人事件
吉村達也
(2018/04/07 19:01登録)
トリックと呼べるものはほとんどない(というか、殺人が起きるのが物語の最後の方)ではあるが、真犯人の意外性と、その後にある最後のどんでん返し、カルチャークラブを舞台にした本格論議などは一読に値する。なかなか面白かった。


No.36 2点 逆密室殺人事件
吉村達也
(2018/04/04 12:58登録)
気の抜けたビールを飲んだ感じ。
以降ネタバレあり
そもそもカサブランカや西サハラ国を巡る国際的な陰謀を描く必要が全くない。単にパスポートを拾ったというだけの接点で、バラバラの物語だからだ。また、メインの事件のトリックも、”サロメチールの匂いを消すために敢えて窓を全開にした”とか”カメラを覗いていると他者の攻撃が分からない”とか、全くつまらない。様々な登場人物の様々な動きが描写されているが、手を広げている分、深みがない。よって、この点数。


No.35 5点 バラ迷宮
二階堂黎人
(2018/03/23 13:05登録)
本格の雰囲気を出した6つの物語。個人的には、トリックや複線、意外な結末といった本格の要素を考えると、「薔薇の家の殺人」と「変装の家」が好み。
<ネタバレあり>
但し、「薔薇・・」に関しては、あそこまで手の込んだ方法で殺人をするのかは疑問。証人である妹が姉の動きを全て見ている、という前提が必要だが、その確率は限りなく低く、一瞬でも見逃せば証人としての機能しなくなってしまう。「サーカス・・」は物語としては面白いがグロテスクでトリックも凡庸。「炎・・」はあまりに非現実的。「喰・・」は物語としては面白いが意外性はあまりない。「ある・・」はダイイングメッセージを使った意欲作だが、これまた意外性があまりない。


No.34 6点 京都ー宇奈月トロッコの秘湯殺人事件
吉村達也
(2018/03/17 14:57登録)
<ネタバレあり>
トラベル本格推理。以下の点に違和感を感じた。
・教授夫人の人物像が前中半と後半で全く異なること
・最後に女子学生二人が自殺するが、なぜこの程度のことで自殺するのか不自然
但し、物語としては面白かった。警部と刑事の掛け合い漫才的なやり取りも面白い。多少、黒部のトロッコの部分の説明が長く、作者の思いが感じられたものの冗長感が否めない。最後の女性二人の対決の場面が見もので、緊迫感がある。


No.33 6点 鬼蟻村マジック
二階堂黎人
(2018/03/02 22:32登録)
オーソドックスではあるが十分楽しめた。
以下、ネタバレあり
戦前の密室事件のからくりはすぐに分かった(双子の小人、雑技団・・)。現代の密室(静子さんのケース)の箪笥のトリックはなかなかのもの。なるほどね、といった感じ。但し、事件全体の構図や第一、第三の事件のからくりははっきりいっていまひとつ。人間関係が複雑な割には、真相はシンプル。地方の旧家を舞台とした設定は、雰囲気もあり、GOOD。多少のしょぼさはあっても、これが本格の王道といった作品。


No.32 7点 暗黒館の殺人
綾辻行人
(2018/02/21 12:44登録)
怪奇幻想小説としては9点、本格推理小説としては5点、トータル7点とした。まず、小説としての着想、構想はすばらしい。長い割りに読んでいても飽きが来ない。但し、本格推理としては買えるのは西館の開かずの間における18年前の人間消失トリックくらい。”視点”なるものが過去と現在を行き来する時点で、本格としては?<以下ねたばれあり>但し、物語の最後で、げんじ=ただのり、ちゅうや=なかむらせいじ、だったり、シャム双生児=既に切り離されていた、などの意外性は豊富。しかし、その意外性は論理の筋道を経た上での意外性、読者の論理の筋道の過程に仕掛けられた罠ではなくたぶんに感覚的なもの。この小説を読んで、龍臥邸事件を思い出した。両者とも小説としては面白いし作者の価値観や関心を思い切り表現しているが、トリックとしてはしょぼいという共通項がある。


No.31 9点 屍人荘の殺人
今村昌弘
(2018/01/04 12:02登録)
これぞ本格という出来で非常に面白かった。特に最終章で犯人が明らかになるくだり、●●が迫りくる中での緊迫感のあるやりとりは秀逸。クローズサークルの新しいパターンを作ったという意味でも意義ある作品。但し注文もいくつかある。
(以下ネタばれあり)
犯人はもっともそれらしくないひと(大人しく目立たない人)という本格によくあるパターンからすると犯人の意外性は低かった。
ゾンビを生み出す原因となった斑目機関や何とか教授、その同調者の動きが物語の前半だけに止まり、その後まったく出てこないのが惜しい。ただ単にゾンビ発生の背景や経緯を説明するだけなら、ここまで凝った構成にする必要がないのではないか。
物語の中盤がやや冗長。腕時計の話やドアが外側に開くことによる矛盾の発生など、伏線をそこかしこに張っているのだが、もう少し工夫が必要。
いずれにしても、一読をお薦めできる快作であることは間違いない。物語の最後が続編を予感させるような終わり方になっているので、ぜひ期待したい。


No.30 5点 翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件
麻耶雄嵩
(2017/12/18 22:28登録)
かなり無理があるが、密室トリックのひとつの類型を作ったという意味では意義があるかもしれない。老女にこれだけの肉体的にハードなことができたのかはやや疑問。メルカトルの存在がいまひとつ希薄。小説としての面白さはあるが、本格推理としての評価は微妙。


No.29 6点 龍臥亭事件
島田荘司
(2017/09/14 12:37登録)
歴史的な事件をメインテーマにした力作。雰囲気も出ていて小説としての満足度は高い。石岡が不安を感じながらも当事者として事件を解決して自信を取り戻していくくだりは好感が持てる。しかし、本格という視点から考えるといささか物足りない。但し、周囲から本書に関する感想を求められたら「一読の価値はあるよ」と答えると思う。


No.28 6点 ダリの繭
有栖川有栖
(2017/07/13 13:57登録)
【中盤以降ネタバレあり】この人のストーリーは読者をひきつけるものがあり、その意味で楽しめる。本書もそのひとつであるが、同時にいつも思うのは、この人の物語には、なるほど!といった驚きが少ない。トリックよりもロジックということなんだろうけど、例えば、この物語の犯人が犯行現場にいた証拠として、婚約者の発言を引用しているのだけど、確かにその通りなんだけど、読んでいる時にそのことに気づく人はおそらくいないと思う。ロジカルではあるものの、”ああそうですか”といった感想しかもてない。その点が残念。ただ、小説としての面白さを考慮してこの点をつけました。


No.27 5点 寝台特急「はやぶさ」1/60秒の壁
島田荘司
(2017/06/28 12:47登録)
【ネタバレあり】まあ楽しめました。被害者が元交際者を殺害しようとして逆襲を受けた時、元交際者が被害者が持っている切符から被害者の意図や動きを察知して被害者の妹にはやぶさに追いつくように指示をした、というくだりはさすがに無理のある設定かな。そこまで思いついたとしたら神業。密かに、被害=実は被害者の妹、で歯医者には自分の保険証を貸して通わせた(だから歯科治療のデータが一致した)、吉敷があった妹は実は被害者で整形手術をした、という落ちを考えたが、見事外れた。


No.26 5点 むかし僕が死んだ家
東野圭吾
(2017/06/25 22:33登録)
【ネタバレあり】状況設定は面白いと感じたが、一方で、縁もゆかりも土地に”墓”としての”家”を建てるってことは相当無理のある設定。冒頭のプロローグが意味を持っているかと思い、読んでいる最中もたびたびプロローグに戻って意外な結末の可能性を探ったが、結局あまり関係がなかった。タイトルの”むかし僕が死んだ家”の”僕”って誰のこと?作中の少年?作中のおたいさんの娘(=主人公女がそうだと思っていた自分。実際には違ったが)おそらく後者だとは思うが、いまひとつぴんと来ない題名。


No.25 7点 i(アイ)―鏡に消えた殺人者
今邑彩
(2017/05/17 08:57登録)
【ネタバレあり】場所の入れ替りと人の入れ替わりの2つのトリック。両方とも秀逸。但し、この2つのトリックをもっとうまく見せると驚きももっと大きくなったと思う。その意味で伏線に工夫が必要なのと、最後人の入れ替りのトリックが明らかになった時に真犯人には生きていてほしかった。関係者を一堂に集めて「・・・ですよね鈴子さん・・」と指摘すると効果的だったのではないか。とは言え、作者の本格推理作家としての質の高さが垣間見られた作品。


No.24 5点 そして扉が閉ざされた
岡嶋二人
(2017/05/07 10:59登録)
着想やアイデアは良いと思う。中盤のメンバーのヒステリックなやりとり(現在&過去)に食傷気味になった。それから、最後の真相がいまひとつ驚きに欠けた。もうすこし何とかならなかったのか。東野圭吾の”仮面山荘”みたいな鮮やかな展開が欲しかった。


No.23 5点 放課後
東野圭吾
(2017/04/22 14:50登録)
【ネタバレあり】まあまあかな。結末に大きなインパクトがなかった。途中の伏線で奥さんが絡んでいることは想定できたし。刑事のハンカチが妙に白かった、というのは伏線ではなかったのね。奥さん、刑事、はたまた生徒たちが一蓮托生で犯人は主人公その人、というシナリオを想定したが外れた。


No.22 6点 キングを探せ
法月綸太郎
(2017/04/12 14:58登録)
4人による交換殺人という着想は素晴らしい。論理的に真実に迫っていくところも良いのだが、今一つ驚きやインパクトに欠ける。


No.21 9点 首無の如き祟るもの
三津田信三
(2017/04/04 12:40登録)
【ネタバレあり】死体の首を切る理由に関しては本文でも色々と分類されているけど、メインは死者誤認だと思う。本書はそのど真ん中を突いているんだけど、それを否定するような条件を設定し、驚愕のトリックでそれを可能ならしめている点がすごい。相当考え込まれた作品。物語の最後の探偵と真犯人との息詰るやりとりや物語全体を覆う大戦下の旧家におけるどろどろとした人間模様なども秀逸。素晴らしい作品だと思うが、少し凝り過ぎている感も否めずマイナス1点とした。


No.20 9点 ロートレック荘事件
筒井康隆
(2017/03/25 22:24登録)
「りゅう」さんご指摘の通り、平面図に「浜口重樹」ではなく「浜口」とすべきでしたね。そうしないとアンフェアだと感じました。しかし、その点を除くと、とても斬新かつ無駄のない本格推理小説です。読後の満足感が高いのは、筆者の文学者としての力でしょうね。


No.19 7点 十字屋敷のピエロ
東野圭吾
(2017/03/21 17:29登録)
真犯人とそこにいたる論理の筋道には、正直驚きがあまりなかった。しかし、ピエロが醸し出す不気味さと、十字屋敷の十字屋敷たる構造を活かした物理的トリック、そして、最後に探偵が示した更なる奥にある真相の可能性とそれを示す登場人物がピエロに語った一言、は十分魅力的であり面白かった。総合的にはこの点数で良いのかなと。


No.18 7点 諏訪湖マジック
二階堂黎人
(2017/03/18 14:16登録)
【ネタバレあり】最後に明かされる2つの意外性が良かった。ひとつは、なぜ死体を陸橋から線路に投げ落としたのかという理由、もうひとつは意外な共犯者。ただ、最初の死体投げ落とし事件の現場の物語と中盤以降の探偵が登場してからの物語の雰囲気があまりにも違い過ぎるのが難点。前半の物語の要素(警察のセクショナリズムの強さ)が事件全体に大きく影響していたことが最後に明らかになるのだが、それにしても違い過ぎる。前半登場した生島刑事の存在って結局なんだったの?という感じ。それから、実の父を娘があんなに簡単に見捨てるのかなあというのも違和感があった。とはいっても、でも全体としてはかなり楽しめました。

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