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ミステリの祭典

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ダリの繭
作家アリス&火村シリーズ

作家 有栖川有栖
出版日1993年12月
平均点4.97点
書評数37人

No.37 6点 虫暮部
(2020/09/10 12:01登録)
 ネタバレしつつ揚げ足取り。
 凶器に某氏の指紋が付いていたのは偶然なのか、それともそれを承知の上で濡れ衣を着せる意図があったのか、曖昧である。凶器にその商品を選んだ理由は別にあるので、意図の有無にかかわらず計画者の行動は変わらない。この件については“犯人の告白”が無いので宙に浮いたままだ。
 そして、どっちにせよ、凶器を投棄する前に“もちろん拭いておいた”との証言があるので、某氏の指紋が残っているのはおかしい。

No.36 7点 mediocrity
(2019/10/22 12:46登録)
なんだかいつもの有栖川作品と雰囲気が違う。
ダリに心酔する名物社長が、自慢のダリ髭を剃られた状態で繭のような健康器具の中で殺されている、という設定からしてユーモアミステリのようだ。謎解きにしても、使えそうなネタは何でも使っちゃえ、という感じで、ストーリーとしては非常に楽しい。
低評価が多いのは、偶然の多さ、後出し設定のようなものもあり与えられたデータのみから真実を推理しにくい、あたりが原因か。要は、緻密な論理が売りの有栖川作品にしては大味とでも言いましょうか。
変な話、もし作者の名前が「有栖川有栖」でなければ、平均点は6点台になっていたのじゃないかと思ってしまう。

No.35 5点 ボナンザ
(2018/12/29 17:45登録)
火村シリーズ2作目。メインの仕組みは目新しいものでもないが、中々うまい雰囲気作りができていると思う。
途中の一通り全員疑われていくところがやや冗長に感じられるのは残念。

No.34 6点 まさむね
(2018/08/03 22:59登録)
 有栖川作品は、心穏やかに(?)安心して読めるので好きです。今回の火村シリーズ長編も安心して読める、手堅い長編と言えると思います。
 決して派手なトリックがある訳ではないのですが、複数の容疑者を用意し、それぞれに容疑を高めつつも、一定の説明を経て圏外としていく丁寧な姿勢には好感を持ちました。(単に容疑だけ強めて、最終的に投げっぱなしにする作品も、世の中に多数ありますからねぇ…)。
【以下、微妙にネタバレっぽいかな?】
 ただ1点だけ意見を。殺意を持っていた方(ある種の真犯人)が、死体を移動させ、殺害現場を偽装できると考えていたことに強い違和感。科学捜査で簡単にばれるよねぇ。「(真犯人が)慎重さによってカバーできる自信を持っていたのだろう」というフォローだけでは弱いような気がしましたねぇ。

No.33 6点 HORNET
(2017/10/01 19:39登録)
 ダリに憧れ、親から受け継いだ宝石商を一代で大手に伸し上げた敏腕社長が殺された。遺体は、孤独な社長が癒しに用いていたフロートカプセル―「繭」に浮かんでいるのが発見された。恋い焦がれ、求婚していた女性秘書、その秘書を巡っての恋敵であったデザイナー、遺産を相続する腹違いの次男、三男と、取り巻く人間模様からさまざまに浮かぶ容疑者―真相解明に火村英生が乗り出す。

 癒しの道具「フロート・カプセル」が事件の鍵となるわけだが、それがちゃんと真相や、さらには動機に関連している物語の仕組みが上手いと感じた。仕掛けの割にはやや冗長な長さではあるが、著者の人物造形と描写の巧みさで飽きさせない内容になってはいる。
 ただ、その人物造形がひっくり返された感じはあった。解決編のくだりでその説明になる新事象は提示されるのだが、後出し感もあり、ちょっと腑に落ちない思いは残った。どうせなら前半で「こういう人だ」という人物像を描かない方がフェアになったなのにな、と思う。

No.32 6点 MS1960
(2017/07/13 13:57登録)
【中盤以降ネタバレあり】この人のストーリーは読者をひきつけるものがあり、その意味で楽しめる。本書もそのひとつであるが、同時にいつも思うのは、この人の物語には、なるほど!といった驚きが少ない。トリックよりもロジックということなんだろうけど、例えば、この物語の犯人が犯行現場にいた証拠として、婚約者の発言を引用しているのだけど、確かにその通りなんだけど、読んでいる時にそのことに気づく人はおそらくいないと思う。ロジカルではあるものの、”ああそうですか”といった感想しかもてない。その点が残念。ただ、小説としての面白さを考慮してこの点をつけました。

No.31 8点 斎藤警部
(2016/11/16 23:18登録)
クィーン。。 俺とは何処かが合わないようで、やっぱり好きなクィーン。。。クィーン性の良いところばかり心地良く襲い掛かって来るよ。アリスアリスいいよ。
探偵側脇役の鋭さ流星級の一瞬コメントには背筋が直立!そしてその脇役探偵の着実剛腕フォローアップ! しかもその、実直眩しすぎる助言の花束。
嗚呼、この物語はあたたかい。
いいよねえ、何気な構成の妙もあるよ。もう目がパッチリよ。ほらそこでまたクィーン流絨毯攻撃よ。泣きますよ。
なのに一見「いかにもクィーン」な趣向を反転してみせたり、後年の手練れらしい素敵な古巣への恩返しもちらほらとね。

やがて探偵側では主役ばかりいい所を見せる局面に入っても物語のあたたかなスリルは持続。適度に入り組んだ立体的真相は魅力的。大胆でスケールの大きな、なのにやってる事自体はせせこましいという摩訶不思議な指紋捏造(!)トリックにはやられました。。恋愛側要素の真相が意外とシンプルで当たり前なのもまた良し。(そのぶん、ちょっとした変わった性癖譚が花を添えたね、ってが)

さてこれから書くことはネタバレ領域を低空飛行しますが、本作、こう見えて実はアリバイ物のかなりトリッキーな上級応用篇ってとこですかね、どうですかね。

No.30 7点 ボンボン
(2016/05/14 17:07登録)
確かにミステリとしてずば抜けたものがある訳ではない。一つ一つ可能性を潰していく地道で丁寧な真相究明の作業。そして答えも極々当たり前の風景の中から拾われてくる。それでも、作品トータルとしては全然悪くない。いや、とても良かった、と思うけど。(ずいぶん評価低いですね・・・。)
際立つのは、ダリひげ社長の徹底的な憐れさだ。めちゃくちゃな巻き込まれ方をする吉住の一連のドタバタ劇も面白かった。被害者学(被害者の有責性の検証)も興味深い。
それにしても、ダリとガラの物語、そして人それぞれの「繭」をテーマに持ってくるところがすごいと思う。「人間とは」という意味でも深いけれど、このシリーズ的には、「火村英夫とは」というところにもつながっていくんだろう。
ほかにも、他者に対してたとえ共感はできなくとも理解は可能でありたいという姿勢とか、「みじめな想い出」という抽斗に分類されて眠る記憶を引っ張り出して悲鳴をあげるとか、ドラマの途中で差し挟まれるアリスの思索が心に刻まれる。

No.29 6点 青い車
(2016/02/24 23:28登録)
このサイトでは思いのほか低評価ですね。よくまとまった佳作だと思うのですが。堂条社長の髭、フロート・カプセルをトリックに絡めているのもなかなか面白いところ。ただし、問題だと思うのはヒロイン格である鷺尾優子がここまで男を翻弄するほど魅力的に描かれてないところです。これは、先日ドラマ版を観たときにさらに違和感を覚えました。結局のところ見た目がいいだけでは?

No.28 6点 nukkam
(2016/01/23 23:20登録)
(ネタバレなしです) シュールレアリスムの画家サルヴァドール・ダリに心酔し、ダリを真似た髭をトレードマークにしていた男が殺される事件の、1993年発表の火村英夫シリーズ第2作の本格派推理小説です。不思議なタイトルが目を引きますが、「繭」についてはプロットの中で巧く活用していると思いますが「ダリ」についてはタイトルに採用するには作中の扱いが物足りなく感じます。もっとも私のように美術に関心の低い読者だと、美術用語を多用されてもそれはそれで読みづらくなってしまうのですけど。謎解きはそつなくまとめてはいますが、記憶に残るような特色がなく地味な印象の作品でした(自分の記憶力の問題は棚上げ)。

No.27 6点 風桜青紫
(2016/01/14 03:15登録)
ラストシーンの「愛してる」に苦笑い。「おのれクソアマぁ!」としか言いようがないけども、本人に非はない(笑)。トリックは面白い装置を使ってるのだが、それに見合うだけのインパクトはなし。謎解きも悪くないけども江神シリーズや『46番目の密室』に比べるとアイデアがやや物足りない印象。やはり火村とアリスのラブラブ朝ごはんが楽しみどころか……。アリスのキャラクター性が出てきたって点でシリーズでははずせない一作。

(追記)
ドラマ版を見て評価を再検討。やっぱこれダリ髭の失恋ストーリーとしてよくできてる(笑)。5点→6点。

No.26 8点 ∠渉
(2015/11/11 22:28登録)
傑作じゃん。なしたのこの評価??笑

No.25 7点 平和マン
(2015/03/01 04:20登録)
(※物語の真相に触れるため注意)

 あまり評価が芳しくないようだが、私はこの作品を楽しめた。
 フロートカプセルという一風変わったギミックを交えながら、犯人が次々とあげられては否定される話運びや、事件の様相が逆転する真相などは、翻訳古典ミステリの名作を思い起こさせ、有栖川先生の御三家に対する情熱と尊敬の念がうかがえる。真相がわかりやすい、という声もあるが、むしろ結末の前に真相が見えてしまうほど公平な作りをした作品のあり方に私は好感を持てた。むろん、他の有栖川有栖の長編と比べてもその真相がやや地味であることは否定できないので、本格ミステリとしてさして高い評価をするわけではない。
 では、私がどうして本作を気に入ったのかといえば、それは被害者・堂条社長の人生にある種の哀れみを覚えてしまうからだろう。彼は一人の女性を手にすることに執念を燃やし、犯罪に手を染め、結果として哀れな最期をとげた。情念を燃やした当の相手はもちろんのこと、事件に関係した多くの人間の目に彼は好意的にうつらないだろう。彼が情熱を燃やした秘書ははっきり言って、大した女と思わない。彼女が選んだ男・長池も同様だ。周りの人間に傲慢さを振りまき、激情で人を殺した罪を関係のない吉住になすりつけようとするようななんとも嫌な人間である。この秘書ときたら多くの男の心を振り回したあげく、飛行場のラストシーンにおいて、それまで大して互いを想う描写もなかったのにも関わらず、くだらんメロドラマを繰り広げて「私はこの人を放さない」なのだから興ざめである。そもそもこの事件の発端はこの女の曖昧な態度も一因しているのだが……。とはいえ、この事件に関して彼女に原因があっても責任がないのも確か。火村の言うように責任は堂条社長にある。情念を燃やした相手の心は、憎んだ男のものとなっていた。だからこそあまりに哀れなのである。冒頭の母を想う有り様が、彼の報われない気持ちを際立たせ、実に心をうつ。
 本作においては唯一語り手のアリスだけが彼に同情を覚えているように見受けられる(事件最終部における弔いの言葉から)。これは彼の高校時代に受けた苦い思いが、この堂条社長に重ねわせられているかだろう。しかし、アリスにとっての本格推理小説という存在が彼には欠けていた。 ダリにとってのガラのように殺意を留めてくれる存在はなかったのだ。 ひょっとすると、それは亡くなった彼の母親だったのかもしれないが、その愛情を求めたゆえに悲劇に繋がるとは哀れな話ではないか。だからこそ、私はこの哀れな男を愛さずにはいられないのだ。
 ちなみにアリスの過去の恋に関しては『スイス時計の謎』において進展がある。短編ミステリ傑作でもあるので、『ダリの繭』を読み終えたかたはぜひ一読を。

No.24 5点 バード
(2013/09/24 22:23登録)
火村シリーズの平均的レベルの作品。読んでいて先が気にはなったが中盤あたりで怪しい人物の候補が大方絞れるので最後の驚きはあまり得られなかった。論理的な破たんはないにしても地味なイメージ。

No.23 4点 ナノ
(2013/06/10 01:19登録)
ザ・本格ですね。
昔はともかく最近の読者となれば、この手の作品には満足できない人が多いのではと思います。
自分も例に漏れずでしたね。
画家・美術をテーマにするなら、深水黎一郎氏の某作品みたいなのがいいかなと思います。ダリというキャラを利用したのは正直、どうでもいい点でした。

No.22 5点 蟷螂の斧
(2011/11/01 13:25登録)
ミステリーとしては、普通で驚き等はなかった。ただ、ダリが好きなので読んでみました。ダリの思想、生涯とその心酔者である宝石チェーン社長の行動をダブらせたところがミソなのでしょうか。

No.21 3点 spam-musubi
(2011/03/25 14:44登録)
結末にひねりも驚きも何もなく、逆に驚いてしまった。
風呂敷をうまくたためばそれでいいと思っているとしか
思えない。

No.20 6点 星屑の仔
(2010/08/25 01:05登録)
何か特別なトリックや
何か特別な心理描写が、あるわけではない。

でも火村さんの犯罪観を垣間見れる作品。
なんだろ、次作以降の布石なのかな?

No.19 5点 E
(2010/06/12 22:09登録)
何とも独特な装置を使った事件故にトリックの予想がつき易いもので・・・動機等はともかく真相は判ってしまうのではないか、と思いました。

No.18 4点 いけお
(2009/12/04 09:14登録)
精々中編が妥当な内容で論理性に欠けるし安易なラストで残念。

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