鬼蟻村マジック 水乃サトルシリーズ |
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作家 | 二階堂黎人 |
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出版日 | 2008年07月 |
平均点 | 5.33点 |
書評数 | 6人 |
No.6 | 5点 | nukkam | |
(2024/01/25 22:13登録) (ネタバレなしです) 2008年発表の水乃サトルシリーズ第7作(社会人編としては第4作)の本格派推理小説です。第二章で「まるで宮野叢子の『鯉沼家の悲劇』(1949年)や横溝正史の『犬神家の一族』(1950年)みたいじゃないですか」とサトルに語らせているように、鬼神様の血が流れていると噂される上鬼頭家の険悪な人間関係とその中で繰り広げられる悲劇を描いています。どちらかと言えば二階堂蘭子シリーズ向きのテーマに思えますがあえてミスマッチを狙ったのかもしれません。もっとも本書のサトルはいつものマイペースぶりが影を潜め、謎解きに苦戦して悩む姿が目立っていていつもの個性を発揮しているとは言えないように感じましたけど。70年前の事件の真相はアイデアは面白いものの、あの不自然なトリックは普通一目でばれてしまうのでは。衣装部屋の消失トリックはまずまず。しかし最後の事件の真相ははっきり言って脱力レベルだと思います。 |
No.5 | 6点 | レッドキング | |
(2023/01/02 19:15登録) 水乃サトル・マジックシリーズ第四弾。 蘭子ちゃんシリーズに比べてイマイチいやニ・サン、ミステリ以前に小説として魅力がウスい、サトルくんシリーズ。が、今回は露骨な「犬神家」オマージュ編にして、密室が三つ。で、密室一つにつき3点満点加点法で採点。 第一の密室・・「孤島の鬼」完全版として、3点(満点) 第二の密室・・後出しカラクリ仕掛けで、 2点 第三の密室・・うーん、このネタはなァ、 0点 密室点計、5点。に、犯人のひねりWhyに、+1点。 |
No.4 | 6点 | MS1960 | |
(2018/03/02 22:32登録) オーソドックスではあるが十分楽しめた。 以下、ネタバレあり 戦前の密室事件のからくりはすぐに分かった(双子の小人、雑技団・・)。現代の密室(静子さんのケース)の箪笥のトリックはなかなかのもの。なるほどね、といった感じ。但し、事件全体の構図や第一、第三の事件のからくりははっきりいっていまひとつ。人間関係が複雑な割には、真相はシンプル。地方の旧家を舞台とした設定は、雰囲気もあり、GOOD。多少のしょぼさはあっても、これが本格の王道といった作品。 |
No.3 | 6点 | E-BANKER | |
(2012/09/01 19:16登録) 名探偵(?)・水乃サトルシリーズ。 因みに「・・・マジック」は社会人・サトルが活躍するシリーズで、大学生のサトルが活躍するのは「・・・の不思議」。 ~会社の先輩・臼田竹美に、実家で婚約者のふりをして欲しいと頼まれた水乃サトルは、長野県の北端にある寒村・鬼蟻村を訪れ、連続殺人事件に巻き込まれる。村に残る鬼伝説と昭和13年に起きた不可思議な密室からの犯人消失事件の謎を含め、すべての真相を明らかにすべく、サトルの頭脳はフル回転を始める!~ 本格ミステリー好きならいかにも「そそられる」展開、道具立て。 プロットのベースは横溝「犬神家の一族」そのもので、信州の旧家に巻き起こった相続争い、いがみ合う腹違いの3人姉妹、突然登場する新たな相続人、などなどかなり露骨になぞっている。 そして、メインとなる謎が密室からの「人間消失事件」。 これは、昔の事件にも現在の事件にも共通した謎として登場し、まずまず魅力的な謎としては機能している。 ただ、これは本格好きにとっては「かなりやさしい」レベルの問題ではないか? (ネタばれかもしれないが)・・・ある登場人物がかなり特徴的に書かれ、それがモロにトリックに直結しているのがいただけない。 個人的にも、前半だけでトリックの骨格はおおよそ分かってしまった。 もう一つ。これだけの道具立てを揃えたのだから、もう少しストーリー的な深みというか、スゴ味があってもいいのになぁ・・・ 初期の蘭子シリーズには、好き嫌いは別にして作品中に何とも言えない「世界観」があったのに、最近の作品は小説として薄っぺらいように思えてならないのだ。(これもないものねだりのファン心理かな) 本作も別に駄作ではないのだが、そういう意味での「物足りなさ」は残った。 (今回はサトルのおふざけも控えめで、マトモな名探偵として振る舞っている。) |
No.2 | 5点 | まさむね | |
(2011/12/03 10:39登録) 山村の名家,鬼伝説,跡目争い・・・などなど,横溝(最近で言えば三津田信三)的な雰囲気を備えたミステリ。この雰囲気に水乃サトルはふさわしいのか?という疑念もありましょうが,本作品でのキャラは抑え気味でして,結構まともな探偵役を務めています。このことが良いのか悪いのか・・・好みによるでしょうねぇ。 なお,本格ミステリとしての評価ですが,個人的には「水準以上」と言ってよいと思います。でも,特筆すべき点があるかと問われると,あまり思いつかなかったりして・・・。まぁ,堅実な作品って感じでしょうか。 |
No.1 | 4点 | 江守森江 | |
(2009/05/22 17:26登録) 水準レベルの新作を発表しても「容疑者X~」発言で沢山の敵を作り敵視される悲しい作家になってしまった。 今回は三津田信三的雰囲気を滲ませたが本家には及ばない。 シリーズの目玉、サトルのお姉様方が登場せずに残念。 それでも、水乃サトルシリーズは好きだ。 |