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ミステリの祭典

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翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件
メルカトル鮎&木更津悠也

作家 麻耶雄嵩
出版日1991年05月
平均点6.88点
書評数115人

No.115 7点 みりん
(2023/06/22 10:01登録)
初めての麻耶雄嵩作品、読んでいて目が滑る。蘊蓄のせいもあるがキャラクターの会話についていけないことが多くて読破に時間がかかりました。密室トリックが大変気に入りました

No.114 3点 バード
(2021/05/09 16:50登録)
(ネタバレあり)
自分の読解能力が足りないのは承知の上で書くが、つまらない以前に見所がさっぱり分からなかった。残念ながら、目的意識を伝えずに方法論だけを語る、悪い意味で先の読めないダメプレゼンを聞かされたような印象。結局、何が売りの本なんだ?

 純粋な犯人当て?→そこまでキレキレの論理でもない。
 独創的なトリック?→既視感のある密室くらい。
 『毒チョコ』のような多重解釈?→途中の推理は明確にハズレ扱いなので、多重ではない。
 どんでん返し?→探偵役が二人いる時点でひっくり返るのは読めてしまう。
 意外な展開?→タイトルにある探偵が死ぬも、タイトル的に死ぬかなーと思っていたので予想の範囲内。他の展開にも特に意外性を感じず。
 キャラ物?→特にオリジナリティある魅力的なキャラ造形でもない。

結局ここを楽しんで欲しいという点が分からないと、読者としてもノリようがない。ミステリ的技巧に走りすぎて、読み手への配慮を蔑ろにしてる作品かと。

No.113 9点 じきる
(2020/11/29 22:01登録)
人工的な様式美と、二転三転するストーリーに振り回される快感。
多少の粗はあるが、全然気にならなかった。

No.112 6点 Kingscorss
(2020/08/24 16:46登録)
出だしから重厚な本格テイストでワクワクしながら読むも、最後の真相やトリックに興醒め。

もちろんバカミスにもよく分類されるこれらのぶっ飛んだ設定が好きな人も多いかと思いますが、せっかく正統派本格テイストで来てたのをわざわざああいう形で壊さなくてもと思ってしまった。また文章もデビュー作なのでところどころ稚拙、または無理に格調を意識してあって読みにくい。

ただ、処女作でこの完成度のものを書き上げた才能は疑う余地のない素晴らしいもの。構成自体もしっかりしていて、日本ミステリー史を語る上で外せない作品だと思うので必読です。初読みのインパクトはかなりすごいと思います。好き嫌いは置いといて。

No.111 7点 雪の日
(2020/05/19 16:21登録)
どんでん返しが大好きだという人にはおすすめ

No.110 5点 mediocrity
(2019/04/07 18:13登録)
点数を付けにくい作品だ。
9章が終わった時点では8点±αくらいの感じで面白かった。ただ、どんでん返しのやり方がベタ過ぎて、大してミステリを読んでない自分でも「ああ、やっぱりそのパターンね」とか「ふーん、そうだったの」とか「そこまで人間関係くっつけちゃうのか」みたいな感想しか出て来ない。あの犯人が犯行を実行できるかとかも問題なんだろうけど、それ以前の問題。
そもそも、どんでん返しは物語が完結してると思わせた後で行うから驚かされるわけであって、この本の9章を読み終わって一件落着と思う人間がいるのだろうか?
自分の書評数はこの本で63冊目だけど、最終章でここまで極端に評価を下げた作品は初めてかも。
ところで『黒死館殺人事件』を読んだ後の方が楽しめるみたいな評もありますが、自分はむしろ逆じゃないかと思いました。ぶっ飛び具合やその他もろもろ、こちらの方がずいぶん薄味だから。先月あちらを読んでいたから免疫が付きすぎて、本来驚くべき所で驚けなかった気がする。

No.109 8点 まさむね
(2019/01/07 20:53登録)
 これは、凄いですね。
 バッターが大好きな高めの直球かと思いきや、突然フワッと浮き上がり、フォーク以上にストンと落としながらも、最終的にはアウトコースギリギリに構えたキャッチャーミットに納まっているといった感じ。とは言え、投げっぷりは変化球投手のそれではなく、明らかな剛腕投手タイプなんですよねぇ。(ピッチングに例えるのにはちょっと無理があったかも。ごめんなさい。)
 終盤における木更津の密室謎解きの脱力感には凄まじいものがあったけれども(これ、先の例えだとフォークの部分ね)、いやはや、結局はそういうトコロも含めて楽しめたと言えます。万人受けは難しいかもしれませんが、根強いファンを獲得するにふさわしい剛球であったことは十分に理解できました。個人的には、好きです。

No.108 7点 レッドキング
(2018/06/08 17:13登録)
おそらく、「最も好きなミステリ」と言えるだろう。二十歳そこそこでこれを書いた作者に敬意を表する。 
※ただ・・「一番好き」なミステリが「一番優れてる」と思うかとなると・・それは、また別な話で。

No.107 5点 MS1960
(2017/12/18 22:28登録)
かなり無理があるが、密室トリックのひとつの類型を作ったという意味では意義があるかもしれない。老女にこれだけの肉体的にハードなことができたのかはやや疑問。メルカトルの存在がいまひとつ希薄。小説としての面白さはあるが、本格推理としての評価は微妙。

No.106 8点 虫暮部
(2017/05/24 14:45登録)
 自爆覚悟のデビュー作って感じだ。とはいえ読み返してみると、記憶に残っている印象よりは随分スッキリしたミステリ。初読時よりロシア云々の知識が多少増えていたので結末は納得し易かった、か?
 『隻眼の少女』はいわば本作のオルタナティヴ版なんですね。

No.105 6点 邪魅
(2017/03/02 18:36登録)
どう評価して良いのやら分からない作品ですね
木更津による第三の密室トリックはかなり好きですけどもね
もし本当にあのような現象が、限りなく少なくとも起こりうるとするのなら拍手でもって肯定しましたが、この作品はそう容易く終わるものではなく
まあ楽しめたのは事実です
途中の抽象度の高い会話には辟易させられましたが、総じて読み難い文章では無かったです

No.104 9点 斎藤警部
(2016/12/12 21:51登録)
出だしの単語がこれほど刺さる推理小説も在り難い。大きな器に盛られた大きな物語の予感が即座に昇り立つ。黒死館を想わせる時々の趣向も、疼くじゃないか。
メルカトルなる名前には如何にも薄ら怖ろしい数学的隠喩が吹き付けられてありそうで。。しかしその人はなかなか登場しない。そればかりか。。。 特異点。軍隊蟻の行進。。。。
教会のオルガンへ、バッハを奏でに出掛ける容疑者。なんて魅力的なんだ!!
「あなたが神なのですか?」
いかにも取っ掛かりになりそうな違和感が露骨過ぎたり、真犯人が或る探偵に誤った推理の結論を出させたという重要なポイントの言外の部分にどうにも拭えない、稚拙な駆け足のような’本格リアリティ’空気感の薄さを感じる故、大きく減点し、なお9.4点越えの9点。何しろ構想のパノラマが壮大過ぎて無闇に自分の言葉じゃ語れない。それでも、密室事件のダミー解決にはフラフラになりましたよってつい言わずにいられますかってね!

前代未聞感満載の異様な(のみならず)壮大な(そして作者の●●等によっては即出版禁止になりかねない?)人道上の大問題に瞬殺で発展し得る、何しろあまりに業の深い、驚かせ過ぎの殺人動機。そしてそれを許さなかった探偵役の。。。。 。。
世評がアンチミステリと名指す気持ちが良く分かった。しかし本作はやはり本格ミステリの大傑作ではないでしょうか。
後年作「隻眼の少女」に強く感じた文章の青臭さ野暮ったさはこの処女作にはむしろ感じず、スイスイ愉しく読めましたよ。
野崎六助の、文庫解説と言うよりカーテンコール、やばいよ。


あと、これ言っちまうと絶望的にネタバレのごく一部になるかも知れないけど
副題が匂い立つほどのミスディレクションを放っているのが最高にニクいですね。

No.103 6点 青い車
(2016/01/24 21:40登録)
破天荒にもほどがある密室トリックに唖然。このトリックを認めてしまったら、それはもうファンタジーと変わらないでしょう。でもそう言いつつ、なぜか結構楽しめてしまいました。過剰すぎる装飾は麻耶さん節炸裂といった感じ。何よりもあの古典本格の名作シリーズを読んだ上で本作を読むことができたのは幸せでした。

No.102 8点 風桜青紫
(2015/12/29 05:15登録)
文章は読みづらいし、蘊蓄はうそっぱちだし、登場人物はツッコミどころ満載だし、なんかもう色々とひどいんだが、内容はさらにクレイジーです。メルカトル登場から、木更津との推理合戦、メタすぎる見立て、例のとんでもすぎる推理、最後の大げさなオチまで、もう、なんか加速しすぎ。正直いって笑いが止まりません。大爆笑。大学生がふざけて書いたみたいな手作り感満載な作品……が、ここまでインフレしてしまえばもはや名作。読み返せば色々と粗が多すぎるんだが、それでも初読のとてつもないインパクトは色褪せない。まあ8点です。

No.101 6点 けん
(2015/12/16 22:16登録)
豪快な作品ですね。
どんでん返しあり、現実離れした世界観といい、
ジェットコースターのような展開といい、飽きさせないつくりがよいです。
ただいかんせん、ちょっとむりなところが・・・
でも面白かったです。

No.100 8点 龍樹
(2015/11/03 14:01登録)
基本点:5点
豪華な四段解釈に:+2点
ダミーになっちゃったけれども、とんでもない密室トリックに:+2点
知ってなきゃ面白くない「クイーン」ネタが話の中央に居座っているので:-1点
合計:8点

「二番目」の殺人で、階段で作業していた作男の目撃証言を基に、もっともっと緻密な時間表アリバイのロジックが展開され、さらに最終解決で、三番目の解釈に匹敵するような密室トリックが披露されていたら、大傑作だったろうに。

No.99 9点 ロマン
(2015/10/20 15:58登録)
ミステリー王道の舞台、登場人物、設定でペダンチックに如何にもそういう物語を進め、その実全ては読者への目くらましという驚異的な構想を現実化した作品。そう考えると副題にも納得。しかし真相へのフェアな推理要素もしっかり含まれている(推理できる人は皆無だろうが)。登場人物の警戒心が足りないとか、犯人の筋力など疑問点は多々あるが、それ以前にもっと皆が違和感を感じるポイントを用意し、真相の違和感を際立たせている点は上手いと感じる。ただし確実に読者を選ぶ作品であり、会話の発言者が分かり難い等、技術的問題も感じる。

No.98 6点 sophia
(2015/07/07 22:35登録)
噂通りの問題作。しかし期待していたほど面白いとは思えなかったです。
自分はヘイスティングスだと自虐していたのが伏線になっていたとは。
何度も逆転する展開はいいのですが、色々な面で荒っぽくてしかも地味に感じられました。そして感情移入できる登場人物が全くいません。1年後に振り返ってもどんな話だったかあまり思い出せないと思います。
多くの方が言及されている「読み辛さ」については自分はそれほど感じなかったです。薀蓄部分は流し読みする習慣が身に付いているせいかもしれません。ただ、推理の論理がよく分からなかったり、登場人物たちが何についての会話をしているのかよく分からなかったりする部分が所々ありましたので、そういう意味での読み辛さはありました。
でも20歳そこそこでこれを書いたのは素直にすごいと思えます。

No.97 9点 ハッター
(2015/02/06 14:44登録)
10年以上前に読みました・・・

凄いですよね。
首切り後のアノ話だけでもブっ飛びそうになるのに、異様な雰囲気の中で凡そ場違い甚だしい「見立て」が語られた時には目眩がしました。まぁ真相は・・・でしたが。

読み終わってみれば、大真面目な顔でふざけまくっているな、という印象でした。

(記憶違いで頓珍漢な感想だったらすみません。)

No.96 5点 ボナンザ
(2014/04/08 15:23登録)
黒死館のパロディが見え隠れするが・・・。
かなりのとんでも作品なので、この手の馬鹿ミスが好きでなければおすすめはできない。

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