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ミステリの祭典

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すべてがFになる
S&Mシリーズ

作家 森博嗣
出版日1996年04月
平均点6.74点
書評数179人

No.179 7点 isuzulink0
(2024/08/29 19:01登録)
この作品は、その謎の仕掛けが非常に巧妙で、初めて読んだ時は大きな衝撃を受けました。物語の展開は、読者の予想を超え、驚きの連続です。特に、博士というキャラクターは、その複雑で不可解な魅力が、読者を魅了します。彼の行動や考え方は、予測不能で、物語に深い層を加えています。

シリーズの第一作として、この作品は非常に成功したスタートを切りました。作者は、読者の興味を引き続けるために、物語に多くの伏線を仕込んでいます。それらの伏線が、徐々に明らかになり、物語の全貌が判明していく過程は、読者にとって大きな楽しみです。

全体的に、この作品は、ミステリーの骨子に、哲学的思考や人間の本質についての考察を織り交ぜた、深いメッセージ性を持つ物語です。SFの要素も加わっており、読むほどにその世界が広がっていく感覚は、非常に魅力的です。

No.178 8点 みりん
(2022/12/17 15:12登録)
密室トリック・「すべてがFになる」の意味・たびたび挟まれる哲学的な問答・真賀田四季の魅力がすごい
10進数で7だけが孤独な数字って良いですね…

No.177 7点 じきる
(2020/08/23 21:42登録)
メイントリックのインパクトはあるし、中々面白かった。

No.176 7点 mediocrity
(2020/05/29 23:30登録)
冒頭がわかりにくすぎて、最初の数ページだけ読んで放置していた本。大学のシーンに切り替わると、それ以降はむしろ読みやすい部類の小説だった。
小説としてはかなり楽しめたが、推理小説としては良い所と悪い所が非常にはっきりしているように感じた。
タイトルの意味は「すべてが無駄(futile)になる」だと予想していたけど見事に外れだった・・・

以下疑問点<ネタバレあり>


・メイントリックは衝撃だったんだけど、周りが誰一人として全く気付かないのはいくらなんでも無理がある。
・殺人動機が結局よくわからない。天才ゆえの苦悩とか言われたらどうしようもないけど。
・犯人が島から出られた経緯がよくわからない。一人男性ぽい女性が混じってたとかいうのは偶然だし、そもそもあの少人数の中に潜りこめないだろうと思った。
・タイトルの意味、トリックの半分くらいがコンピューターのデータがどうのこうの・・・という結論だったのはちょっと残念。分かる人にはあっさりわかるのだろうし、分からない人は結論を聞いても「へー、そうなんだ」というしかない。トラミスで「鉄道車両の形式が違うから、この写真は上り電車でなく下り電車のものです!」とかいうのと大して変わりがないように思えた。
・色々な本が15巻までしかないというのも何だかよくわからない。どの本の中にも16以降の数字が全く出てこないの?


文句は色々あるのだが、エポックメイキング的な作品であるようだし、後発の戯言シリーズに影響を与えていると思われるので7点で。

No.175 5点 雪の日
(2020/05/03 21:39登録)
メフィスト賞の作品は自分には合わないと確信することになった一冊。

No.174 9点 もち吉
(2019/06/17 18:45登録)
ミステリーに求めているものの違いによって、評価が分かれると思います。敢えてリアリティ、実現可能性、整合性には目を瞑って読むことができる人にとっては面白いと思います。ミステリーというよりどちらかと言えばファンタジー寄りな内容ですからね。ストーリー設定や描写はかなりよく出来ていると思いました。
この作者は初めて読みましたが、他の作品も読みたくなりました。

No.173 5点 レッドキング
(2018/06/04 19:01登録)
だめだ あの教授と女子大生コンビが好きになれん ウェディングドレス着た腐乱死体の登場場面だけは面白かった

No.172 5点 HORNET
(2018/03/31 20:13登録)
<ネタバレ>

何も知らずに、本シリーズの後発を読んでしまっていたことが全て。

まず、「真賀田四季は死んでない」ことを知ってしまっている。
よって、出てきた死体は他の人間と分かってしまう。

あとは、10何年間出入りのない部屋から別の人間が出てきた・・・ことから考えを巡らせればおのずと答えは見えてくる。
真相を読んでも、「おぉ…!!そういうことだったのか…!!」にはならず、「やっぱりね」になってしまった。

加えて言えば、所長殺害のくだりは強引というか、いかにも「メインに力点を置いて、こっちはなおざり」という感じがした。

真賀田四季のキャラクターは基本的に好き。気が向いたら他も読みたい。

No.171 3点 ねここねこ男爵
(2017/11/05 01:37登録)
タイトルだけ読めばオッケーな作品。
本作の『天才』は『全米が泣いた』くらいの意味です。タイトルと文章の雰囲気で「これはとてもすごい作品なんだ!」と読者に誤認させるのが本作最大のトリック。
この作者は雰囲気作りやセリフ回しで斬新先進的革新的という空気を作るだけで、ミステリとしてはお粗末だったりパクりだったり。「この程度で読者はありがたがって金を出すだろw」というのがミエミエ。他サイトの書評で「森博嗣はミステリをナメている」というのがあったが、それを象徴する作品。


以下ネタバレと批判。
①トロイの木馬を仕掛けた
初読時「これって作った本人がやったんじゃないの?天才はそんなミエミエなことしないか……ってそのまんまか!」普通真っ先に疑います。スタッフ無能すぎ。しかも解決編の探偵のセリフによるとログが残っているそうで、調べられたら一発アウトじゃないのか。
②共犯者が普通にいた
真の天才は共犯者の方で、空気読んで都合よく立ち回ってくれる。すごすぎ。デスノの魅上に見習ってほしい。
③見つからないような動き
あのなぁ。完璧な計画ちゃうんか。
④実は娘がいて教育に失敗
ご飯半分こだとお腹すかない?
⑤完璧な計画なのに部外者とか計算違いで不都合が生じる
天才wwww
⑥唯一まともなスタッフにバレそうになる
天才…
⑦んでバレないうちに殺す
…天才?

トリックも手垢がついたものが多く、単に道具を新しくしただけ。中に複数いるのはすぐ察しがつくし、クドいほど天才天才連呼するので誤解しがちだがやってることはかなり見切り発車で失敗もしてる。
とにかく厨二臭漂う作品で、そういう人にはドストライク…なので、冷静に読むべきかと。

No.170 6点 文生
(2017/10/30 18:10登録)
物語としてはそこそこ楽しめたのですが、本格ミステリとして読んだ場合、犯人の超人設定に依存しすぎているのがイマイチでした。まあ、本格ミステリとは思わずに、アルセーヌ・ルパンのような超人クライムストーリーと思えば十分面白い作品ではありますが。

No.169 10点 羊太郎次郎吉
(2016/12/01 07:06登録)
同じ分厚い本でも百鬼夜行シリーズ(姑獲鳥の夏と魍魎の匣除く)より好きかも。犀川先生が萌絵に対してクールなのがいいね。彼が萌えに甘かったら多分彼女はお嬢さんのままおばさんになってしまったと思う。

バーベキューのシーンで、萌絵はあまり両親に愛されなかった子なのかな?と思った。大学教授なら女が世間知らずのまま社会に出たら大変なことになるって知ってるよね?であれば娘が大事なら焼肉のタレも知らない子には育てないはず。平成天皇だって美智子様から「色々なものがあることを知りなさい」と言われてファーストフードを召し上がったくらいだし。(それまでの皇室の風習を考えるとありえない行動)

No.168 6点 青い車
(2016/01/25 11:30登録)
トリックには確かに驚きましたが、個人的にこの動機は納得しがたく大きなマイナスポイントです。S&Mシリーズは4作目の『詩的私的ジャック』まで読みましたがいずれも似た感想を持ちました。どこか「天才だから」や「哲学的」という言葉で丸め込まれてしまっているような気分になります。僕は普段は動機は後づけでもいいと考える方なのですが、何でも許容できるわけではないようです。原作は未読なもののドラマ版で観た『封印再度』や『数奇にして模型』でもその印象はぬぐえず、つまらなくはないけど自分には合わないというのが正直なところです。

No.167 7点 ニックネーム
(2015/12/30 22:42登録)
文庫版の表紙が良かったです。

No.166 5点 風桜青紫
(2015/12/20 03:29登録)
この世界での「天才」の言うことが名大の助教授がエッセイで書いているレベル(資源確保には移動しないことが一番だの)に月並みだったり、超速計算だの10桁の掛け算だの、なにやら大袈裟なワードがどんどん飛び出したり、色々鼻につくので、真面目に読むのは、なんていうか、不可能。まあ、流水や西尾と同じ感覚で「ああ、なんかすごい感じにしたいんだな」と読み流すのがベスト(メフィスト作品だし)。『頭の体操』で使い捨てにされてるレベルにみみっちい肉体派トリックだが、判明すると同時にストーリーが広がるって点では悪くない。犀川先生の、生徒や技術職の人たちを見る目は「ほほう」と楽しめることが多いので、ミステリというより、理系の助教授が悪と戦うライトノベルとして読むといいんじゃないかと思う。まあ、つまらなくはない。中学生ぐらいのときに読んでいれば、ハマったかも。

No.165 6点 初老人
(2015/12/07 09:47登録)
十数年前に友人に薦められ、借りたものを読みました。犯人(または被害者)が密室内にどのようにして出現し、そして出ていったのかについては明確な解答が与えられ、まずまずといったところ。犯行の為の時間作りも斬新なアイデアで楽しめました。ただ当時世間を騒がせていたところのこの作品の持つ怜悧さや全く新しい次元のミステリ(正確にはこのような表記ではありませんが、意味するところはほぼ同じであったと記憶しています)といった謳い文句に心を動かされるものがなかったのでこの点数で。

No.164 9点 ロマン
(2015/10/20 20:14登録)
ある夏の日、孤島の科学技術研究所で天才プログラマが殺された。現場は密室、死体は両手両足が切断され、コンピュータのメッセージには「すべてがFになる」と書かれていた。登場人物は個性的かつ要領を得て、無駄のない説明と描写は突きぬけるように美しい。なぜ研究所の密室で殺人が発生したのか?なぜ両手両足が切断されていたのか?その答えはすべてがFになった時に明かされる。

No.163 9点 斎藤警部
(2015/06/19 06:54登録)
この怖るべき作品は。。。。。。。。。。。。。。。。「三つの棺」を超えてしまったのではなかろうか。それも外から跳び越えるのでなく、内側から突き破ってしまったような。

この小説の核心にある前代未聞の密室トリックを理解した時「えっ? 逆じゃないの!?」と思ってしまった。事をよく考えると「逆」という事は有り得ないというかリアリティが無さ過ぎるというか、それではメタ・アンリアリスティックになってしまうのだな。。。。

問題作ですよね。  

英題'THE PERFECT INSIDER'が本当に秀逸。

No.162 6点 名探偵ジャパン
(2014/10/12 14:22登録)
今更新規で書評を書くことが躊躇われる有名作だが、これだけ刊行作があるというのに、私は森博嗣作品は今になって初体験であったため、憚りながら書いてみることにした。
まず、これはいつの年代に書かれたのかと疑問に思い、奥付を見てみれば、1996年初出とのこと。正直、本作を初出年に読んでなくてよかったと思った。1996年当時の私の知識では、書いてある主に技術的な解説が、全くちんぷんかんぷんに違いなく、読むのに大変な労力を要しただろうと思う。
作品は、「天才の、天才による、天才のための犯罪(事件)」と言うようなもので、天才の考えることは凡人には理解できない(する必要もない)と言いたいのかもしれない。天才を凡人と同じ法で裁くことはできない、のか。
しかし、犯人が第三に行った殺人は、自分の犯行を見破られそうになって邪魔になったから殺した、という、およそ天才らしからぬ、凡百の犯罪者が人を殺すのと同じような動機。この殺人を犯してしまった以上、犯人のカリスマは地に落ちたと言っていい。それなのに、終始作中ではこの犯人を神様か何かのように、(探偵役である犀川までもが)崇め奉っているのに異常性を感じた。
大体、本来の計画では自分が娘に殺されるはずだったが、生まれてきた娘が自分と同じような天才ではなかった、という理由で加害者と被害者を入れ替えることになったわけで、(これも凡人いや常人には理解できない動機)プログラムが進行している以上、犯行だけは予定通り行うしかなかった(この辺りの融通のきかなさも頭の固い天才っぽい)というのであれば、無事島から逃げ果せたなら、もうやることはないのだから、さっさと自害してしまえばいいではないか。それをいけしゃあしゃあと生き延びて、何だかこれ以降、主人公のライバルとして立ちはだかるような終わり方をしている。
どうも私は殺人犯をかっこよく描くような作風が好きではないので(某名探偵の孫シリーズに出てくる高○とか)以降のシリーズを読むかどうかはまだ未定だ。
作品自体としては、本作がデビューながらも、すでに助教授として活躍していたという作者のこと、落ち着いた読みやすい文章で、過度な表現もなく、大人の余裕というべきものを感じた。多くのミステリ作家が二十代という若い年齢でデビューして、それらのデビュー作は、読みやすさなど何も考えず、ただただ情熱だけを叩きつけたものが多いのとは対照的で面白かった。

No.161 6点
(2014/09/19 09:57登録)
理系ミステリーの走りだそうですが、このジャンル名が、すべての理系人を満足させる呼び方だとは思いません。コンピュータ・テクノロジーの分野は論理の世界なので、理系、文系で分けられないジャンルだと思います。

コンピュータ・テクノロジーは比較的好きな分野であるため、すらすらと読めましたが、そういった読みやすさを無視して、ミステリー性、物語性などで総合的に評価すれば、標準よりやや上かなといったところです。
それに前半のあの事象は、大筋ではあっても真相を予想させるもので、これはいかがなものかと思います。もちろん、微細な点は常人が想像できるような単純なものではなく、容易にたどり着けるものではありません。そのへんが狙いだったのでしょう。仕掛けはよく考えられています。

それと、嗜好の問題ですが、犀川のキャラクタがいまだに肌に合いません。
我を通したり、夢中になったりするところはあるのに、やる気満々という感じではない。適度にオタクで、適度にニヒルで、適度に熱意もあれば、適度に頑張りもする、といったキャラは、あまりにも中途半端です。
虚無丸出しで引きこもりな、コンピュータ・オタク探偵ぐらいに極端なほうがよかったのではとも思いましたが、それも読みたくないですね(笑)。

それと、細かいことですが気になっったので。
エネルギィ、キャラクタ、タイプライタなど、カタカナ語句の最後の長音符をあえて使わない、こだわり表記。でも、「メジャ」はひどい。そのくせ、「ヘリコプター」や「タワー」というのはある。どういう基準なのか?

いろいろとけちをつけましたが、いままで読んだ同シリーズではいちおうベストです。
本書を後回しにして正解でした。最初に読んでいたら、その後、ガッカリ、ガックリの連続になっていたかもしれません。

No.160 9点 ∠渉
(2014/09/18 14:58登録)
ドラマ化するんだなぁ。映像的なようで弊害も多そう。
とはいえ、映像化の話にワクワクというか、ソワソワしてしまう森博嗣ファン。『すべてがFになる』、非常に思い出深い作品である。レビュー載せるにあたって、本サイトの、10年以上にわたる160人の方のレビューを拝読しましたが、賛否、賛否、賛否。読書って面白い。とことん読者を選ぶところが森作品の特徴らしいということがわかった。
それにしても密室殺人、衝撃的だったなぁ。あのシチュエーションの抜群さはデビュー作のインパクトとしては申し分ない。どんなトリックで真賀田博士は抜け出したのか、どうやって殺したのか、なぜ殺したのか。犀川先生は理詰め理詰めで解いていく。萌絵は頭の回転は速いし、研究所のスタッフも頭はよさそうなんだけど真相に迫れない。客観性がないのね。こんなトリックは常識的に考えられない。バカげてる。でも理論的には適ってる。この筋道がこの作品の本道なんですね。びっくりしました。思考が育てられた感じでした。
論理的に構造をたてたときに、それを人間が行うこととして、破綻するのかしないのか。挑戦的ですね。
そう考えるとこの動機は究極的でしたねぇ。オブジェクト指向、なるほどです。
ミステリと思って読むと、フェアかアンフェア・・・グレーなところですね。でも、ミステリだと思って読まなければ瑣末なことです。それができる本のような気がしました。

あと、この作品、時代設定がすごく大事な気がしますが、、、ドラマではどうするんだろう??楽しみ??

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