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ミステリの祭典

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猫丸先輩の推測
猫丸先輩シリーズ/別題『夜届く』

作家 倉知淳
出版日2002年09月
平均点7.07点
書評数30人

No.30 7点 三枝
(2024/07/08 23:01登録)
00年代のラノベとかネット初期のテキストサイトっぽい文章が苦手です。全体的に冗長で笑いも取れていません。

『夜届く』
本書唯一の大当たり。
電報の謎も真相もユニークです。
まさか登場人物がやたらと肩をすぼめているのが伏線だとは思いませんでした。
『砂糖合戦』(北村薫)にも比肩しうる日常の謎の傑作かと。

『桜の森の七分咲きの下』
情報の出し方が露骨すぎてすぐ真相に思い当たります。
いっそ“石ではなく金庫かなにかが埋まっていた”というオチの方がまだ意外だったのでは。

『失踪当時の肉球は』
あり寄りのなし。
結局、隣の爺さんはなんだったんでしょうか?

『たわしと真夏とスパイ』
これも微妙です。さすがにあの3ポイントから推理が飛躍しすぎておもしろくない。

『カラスの動物園』
心理的盲点の発想はおもしろいのですが、“例の人物”の目立ちっぷりが帳消しにしています。
というか近場に人がいたら普通に疑われると思うのですが。

『クリスマスの猫丸』
ただの見間違いというなんともつまらないオチ。
前提崩すのはただのちゃぶ台返しでしかありません。

No.29 6点 zuso
(2021/12/13 23:06登録)
ほのぼのとした風景の中に、人間がそれと意識せずに陥っている落とし穴や、醜悪な面を敢えて取り出してみせる猫丸先輩の視線は、相変わらず健在。
人を食ったような言動など、かなりの曲者ではあるが、不快感は無い。思わぬ結論を取り出してみせられ唸らされた。

No.28 4点 斎藤警部
(2021/07/14 17:39登録)
「夜届く」 犯人じゃなくて被害者って事か、アレが。ふ~~ん。まずまず。若い女子が猫丸先輩の影響で古風な喋り方するとこはウケた。
「桜の森の七分咲きの下」 弱い。驚けず。
「失踪当時の肉球は」 猫丸登場までが眠くて。。(探偵うぜー) 謎解きのほうも、なーんかカチリと嵌らないなあ。だけどその、二段階何とかを怖れる気持ちへの洞察はなかなか。タイトルがいいですね。
「たわしと真夏とスパイ」 外から見えない独自のタイムリミットですか。。ふむふむ。しかし明かされたソレ、犯罪行為としてかなり重いんじゃないの、シラっと書いてるけど。国と場合によっちゃ死罪になりかねんぞ。
「カラスの動物園」 見えない□□の応用篇というか、逆を張った感じが面白い。長篇犯罪物語のメイントリックに使ってみたらどうだべ。
「クリスマスの猫丸」 ◯路と●路ね。。なるほど、そりゃ盲点だわ! 短いだけに締まりも良く、自分的にはこれがベスト。

全体的に、推測というか推理のロジックは(物語として)しっかりしてるし、逆説趣向への意気込みも買えるんだが、如何せんその向けられる対象が小粒過ぎて、小粒でも深みがあれば充分なんだがそういうわけでもなく、、なんというか、知的スリルが淡い。もっと強く突いて欲しい(完全に個人の趣味の問題です)。 短篇集タイトルはいいですね。

No.27 6点 パメル
(2021/07/13 08:34登録)
事件という程でもない不可思議な出来事に、猫丸先輩がどこからともなく現れて推測する6編からなる短編集。
「夜届く」寒い夜、一人暮らしの男のもとに次々と届けられる偽電報。発想の転換が素晴らしい。日常の謎の起承転結がものの見事にはまった作品。
「桜の森の七分先の下」入社早々、花見の場所取りを押し付けられた新入社員の性根を試すかの如く次々に現れる人々。あの手この手が楽しめる逸品。
「失踪当時の肉球は?」ハードボイルドな探偵を翻弄する愛猫の行方は?ペット探偵の造形が笑える。謎解き方法はやや苦しいか。
「たわしと真夏とスパイ」商店街に仕掛けられる「北」の罠。夜店を襲う悪意の数々。ねじめ正一氏の商店街ものを彷彿とさせる設定だが、錯誤の仕込みが絶品。
「カラスの動物園」キャラクター作りに行き詰ったキャリアウーマンが動物園で遭遇したひったくり。これは無理があるし、ロジックの切れ味が無い。
「クリスマスの猫丸」同じ方向に全速力で走る3人のサンタクロース。一体その先に何が?語り口で読ませるが、これはアンフェアでしょう。
ほのぼのとした雰囲気だが、観察眼はなかなか鋭い猫丸先輩は魅力的。ただ良く出来た作品とそうでない作品の差が大きい印象。

No.26 6点 ボナンザ
(2019/12/07 21:32登録)
日常の謎をここまでバリエーション豊かに展開できるのは流石。
夜届くは某古典のパロディながら見事に決まった感あり。

No.25 8点 sophia
(2019/08/24 23:35登録)
●夜届く 8点・・・銭湯のエピソードがヒントにもなり、煙幕にもなっています。
●桜の森の七分咲きの下 8点・・・私を含め、もうひとつの可能性の方を考えた読者が多いことと思います。裏切られました。
●失踪当時の肉球は 8点・・・最後の分かるような分からないような歯医者の例えが印象的。
●たわしと真夏とスパイ 8点・・・冷えてないことに気付かなかったのか?という瑕疵はありますが。
●カラスの動物園 7点・・・「桜の森の七分咲きの下」同様の裏切り。
●クリスマスの猫丸 7点・・・何てことはない真相を魅力的な謎に仕立てるのが上手い。

「日常の謎」としてはかなりハイレベルな短編集ではないでしょうか。毎回変わる視点人物も個性的。特に探偵さんはよかった。各タイトルは全部何かの文学作品に因んでいるんですね。「たわしと真夏とスパイ」と「カラスの動物園」は無理やり合わせにいった感じがしますけど(笑)
なお、本作の猫丸先輩の行いは「推理」ではなくタイトルにあるように「推測」であると言われますが、物的証拠はなくとも状況証拠を元にしているので「推理」と言っていい気がします。ただし確認を取っていないという点で「推測」なのかなと。であれば「たわしと真夏とスパイ」は犯人の自白を取っているので「推測」には終わっていないと言えるのではないでしょうか。このようなことまで考えさせられる、なかなかに奥の深い一冊でありました。

No.24 8点 青い車
(2018/12/04 18:02登録)
 表題通り猫丸先輩が行うのは確たる証拠はないので推理というより推測に近いもの。しかし、予想の斜め上を行くロジックの転がせ方はどれも面白く、それでいて妙に納得させてしまうあたり日常系ミステリとしてはかなりの水準にあります。特に『夜届く』は粗がないわけではないですが、視点の変換による解決が鮮やかで隠れた名編です。ほんわかした挿絵も良し。

No.23 7点 まさむね
(2018/06/06 23:24登録)
 猫丸先輩の何とも言えないほっこりとした雰囲気が、まずはイイですね。作者の作風に極めてフィットしたキャラですよねぇ。「たわしと真夏とスパイ」における商店街の旦那衆のやり取りですとか、「カラスの動物園」における女性デザイナーの妄想的思考ですとかの、決して押しつけがましくないユーモアも好印象。
 まぁ、真相自体に驚くべき何かがある訳ではなく、むしろ想定できでしまう短編もあったりはするのですが、それも含めて受け入れたくさせる描き方が、やはり作者の技量なのでしょうね。こういう、全体的な優しさを感じる作品って好きだな。

No.22 7点 いいちこ
(2016/01/08 20:09登録)
まず「推測」というアプローチ自体が強烈な奇想。
一見、作者の開き直りや稚気であるように見えて、後期クイーン問題「作中で探偵が提示した解決が真の解決であるか、作中では証明できないこと」に関する秀逸な回答とも言える。
猫丸先輩の推測には高い納得性があり、推測される真相がもたらす衝撃も十分。
本作のプロットは、真相が飛躍しすぎていると納得性に欠け、真相の飛躍が足りないと面白みに欠けるが、実に絶妙なバランスを保持しており、作者の力量の高さは疑い得ない。
ほのぼのとしたユーモアあふれる作風は、長編では軽量さが目に付くところ、短編では軽妙さと斬れ味が相まって完全にフィット。
登場人物に悪人が皆無で、爽やかな読後感も素晴らしい。
短編、しかも日常の謎系としては満点に近い評価

No.21 6点 mohicant
(2013/08/03 22:57登録)
 本格度は低いけど、ほのぼのしていて気楽に読めます。

No.20 6点 メルカトル
(2013/05/30 22:43登録)
再読です。
うーん、まあ何と言うか実にのどかで、ほのぼのとした短編集。
連続殺人も息詰まるサスペンスも全く関係ない、会社から新入社員が花見の場所取りを命じられて、次々と妙な人間に遭遇する話とか、額に日の丸模様のある白黒のぶちの猫ちゃん、その名もヒノマルちゃんを捜索する話だとか、題材はどこか脱力系である。
が、さすがに猫丸先輩の推測は一本筋が通っていて、その立て板に水といった、妙に人を納得させてしまう独特の話術でもって、論理的な推理を披露する。
とにかく、これだけ楽しめる作品もそうはお目に掛かれないので、その意味でも貴重な短編集と言えるだろう。
そう、読んでいて面白いとかではなく、なんだか楽しいのである。
猫丸先輩は勿論だが、登場人物のキャラが素晴らしく立っているのも、思わず上手いと唸らされるし、極悪人が一人も出てこないので、後味もスッキリ、いい感じで終わっているのも好感が持てる。

No.19 7点 TON2
(2013/04/01 18:39登録)
講談社文庫
 「夜届く」「桜の森の七分咲きの下」「失踪当時の肉球は」「たわしと真夏とスパイ」「カラスの動物園」「クリスマスの猫丸」の6編。
 殺人事件がおこらない、ほのぼの日常系ユーモアミステリー。題名が推理ではなく推測となっているように、事件を解決するわけではなく、不思議な日常の出来事に対して、猫丸先輩が筋道だった理由を推測kする物語です。だから推測が本当の事実かどうかは分かりません。

No.18 6点 E-BANKER
(2011/11/13 20:07登録)
大人気(?)の猫丸先輩シリーズの作品集。
相変わらず神出鬼没! 揉め事のあるところに、この人ありって感じで、「サラッ」と事件を「推測」します。

①「夜届く」=もちろん「夜歩く」のもじり。差出人も目的も不明の電報が夜何度も届けられる・・・という謎。この真相は「うーん・・・」。わざわざ作品にして活字にする意味があるのだろうか?
②「桜の森の七分咲きの下」=元ネタは坂口安吾の某作。花見の場所取りをしている新入社員に対し、次々とやってくる珍客の謎。まぁ、こういうプロットは、ホームズ作品の時代からの短編の典型っていう気がする。
③「失踪当時の肉球は」=元ネタはヒラリー・ウォーの某作。いなくなった飼い猫の調査依頼に纏わる謎。なんてことない話なのだが、逆説的な真相がなかなか面白い作品。割と好きだね。
④「たわしと真夏とスパイ」=元ネタは天藤真の某作。露店が並ぶ商店街のセール会場で次々と巻き起こる「小事件」の謎。これも同様。真相は脱力感さえ感じるしようもなさ、なのに何となく「へぇー」と思わされるうまさがある。
⑤「カラスの動物園」=元ネタはテネシー・ウィリアムスの某作(知らなかった)。平日の動物園内で突如発生した引ったくり事件と、逃走中に消えた現金の謎。プロットは面白いが、ちょっと陳腐かな?
⑥「クリスマスの猫丸」=元ネタはもちろん「クリスマスのフロスト」。これは、何かボーナストラックのような作品。クリスマスイブに1人で過ごす男性の悲哀を感じる作品。(猫丸先輩には関係ありませんが・・・)
以上6編。

相変わらずです。
「This is 猫丸先輩シリーズ」とでも言いたくなる作品が並んでる。
バラバラ殺人やらシリアルキラーなんていう血生臭い作品が続いた後、こういう奴を読むとホッとさせられますねぇ。
もちろん「日常の謎」ですから、トリックも真相も「そんなもんでいいの?」というレベルではありますが、それでも感じるのが、作者の確かな力量。
こういう作品を書かせたら、作者の右に出る者はいないような気がします。(そんなに確信はないが・・・)
(④はもう大爆笑! 商店主のやり取りが面白すぎ。③もなかなか)

No.17 7点 isurrender
(2011/05/10 02:05登録)
ユニークなキャラでのんびり読める
あくまで”推測”っていうところも好きです

No.16 7点
(2009/10/30 22:25登録)
推理じゃなく、推測というのが良いですね。

No.15 7点 vivi
(2009/08/30 00:32登録)
なんかね~、大好きです、キャラたち。
猫丸先輩はもちろんなんですけど、
サブキャラたちがユニークで、
キャラ読みとして、一気にハマってしまいました。
倉知氏、キャラ作りが上手いな~(^^)

ほんわかムードの日常の謎系ですけど、
非常に論理的な詰めが、私好みでした♪

No.14 7点 白い風
(2009/07/07 23:58登録)
6編の短編集。
連続殺人が起きるわけでもなく、誘拐事件を解決する訳でもない。
メッチャ些細な事件を猫丸先輩が解決していくかるーい本格ミステリですね。
読み終えた後の爽快感がいいね。

No.13 6点 測量ボ-イ
(2009/07/04 13:10登録)
短編ものらしくサラッと読める代物。いい意味でも悪い意味
でも後に残らない(笑)。
でも猫丸先輩のキャラクタ-は何か憎めない、いい感じです
ね。探偵役のキャラ立ちはなかなかのものだと思います。

余談ですが、作品で「夜届く」はディクスン・カ-の「夜歩
く」、「失踪当時の肉球は」はヒラリ-・ウォ-の「失踪当
時の服装は」をもじっているのでしょうか?(ともに海外の
古典作品)
偶然の一致かも知れませんが、作者に聞いてみたいものです。

No.12 7点 江守森江
(2009/06/02 22:21登録)
猫丸先輩の猫っぽい可愛さ(イラストも)と憎めなさは日常の謎に実にマッチしている。
実際の宴会やイベントにバイトで猫丸先輩を雇ってみたいと思わせる。
推理面のユルさもお約束。

No.11 6点 マニア
(2008/02/24 21:25登録)
6つの短編の真相はどれも「ふーん」で済まされるものだった。

しかし、退屈せずに楽しく読めたのは名(?)探偵猫丸先輩のミステリアス&チャーミングなキャラの成せる業か。飄々としながら鋭い視点で謎を解き、爽やかな読後感を与えてくれて好印象!

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