亜智一郎の恐慌 亜智一郎 |
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作家 | 泡坂妻夫 |
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出版日 | 1997年12月 |
平均点 | 6.83点 |
書評数 | 6人 |
No.6 | 7点 | TON2 | |
(2013/03/21 18:53登録) 双葉社 「雲見番拝命」「補陀落往生」「地震時計」「女形の胸」「ばら印籠」「薩摩の尼僧」「大奥の曝頭(しゃれこうべ)」の7編。 亜愛一郎のご先祖で江戸城雲見番の智一郎の活躍です。時代は13代将軍家定、14代将軍家茂で、機転はきくが小心者の智一郎は、その能力から将軍直属の隠密を命じられ、仲間とともに探索にあたります。 どの話もほんわかとした感じで、作者のうまさが目立ちます。気持ちよく読めました。 |
No.5 | 6点 | E-BANKER | |
(2012/03/02 22:30登録) 亜愛一郎シリーズの番外編。愛一郎のご先祖・智一郎の活躍を描く作品集。 舞台は江戸城の中。第13代将軍・徳川家定の時代という設定。 ①「雲見番拝命」=「雲見番」とは、将軍のお側で雲を見て天気や天変地異を察知するというお気楽な役目(?)のはずが、突然将軍直属の「隠密」のような役割を担うことに。そして、智一郎を頭にした4人が集結する。 ②「補陀落往生」=あるお城下で、まるで姨捨山のようにお荷物になった老人たちを「昇天」させてくれる怪僧が現れる。智一郎たち4人はこの事件の謎と先ごろ起きた城主による大量斬首事件に関連を見出すが・・・。泡坂らしいテイストを感じる作品。 ③「地震時計」=ある藩主から将軍へ進呈された「地震時計」・・・。時を前後して起こった遊郭での心中事件との関連性から意外な結末に・・・。 ④「女方の胸」=跡継ぎのいない将軍・家定にその昔生ませた隠し子が? その子供の探索を命じられた4人だったが、本人も母親もなかなか見つからず。そして、意外なところで意外な姿で見つかるのだが・・・。 ⑤「ばら印籠」=家定が崩御し、後を継いだ第14代将軍・家茂。まだ若い家茂から命じられたのが、「写真をとってほしい」ということ。江戸で唯一写真技術を持つという男を探し当てたが・・・。写真にうつった印籠に意外な事実が浮かぶ。 ⑥「薩摩の尼僧」=幕末に向け徐々にきな臭くなっていく江戸の街。討幕の急先鋒である薩摩藩に絡んだ事件が発生。 ⑦「大奥の曝頭」=大奥で起こった幽霊騒動を調査するため、智一郎らが難と女装して潜入(分かるだろ!普通)。騒動のからくりは実に単純なものだったのだが・・・ 以上7編。 亜愛一郎シリーズといえば、ブラウン神父シリーズとの対比がなされるほどロジックや逆説的仕掛けが有名ですが、本作はそういう作りではない。 謎やトリックもちょっと肩透かし的なものもあって、作者のファンにとってはやや物足りないかもしれない。 ただ、幕末の江戸の街や江戸城の中が生き生きと描かれ、読者を飽きさせない手腕はやはり見事と思わされる。 まっ、そういう意味では十分楽しめる作品とは言えるかな。 (中では②が面白い。あとは③くらいか・・・) |
No.4 | 6点 | 臣 | |
(2011/08/10 15:50登録) 江戸幕府スパイ物。つまり公儀隠密モノですが、お庭番ではなく、江戸城の雲見番というのが隠れ蓑となる職業です。将軍直属の少数精鋭部隊で構成され、秘密度は高いのですが、その仕事は藩の改易ネタを探るようなものではなく、些細な事件から殺人事件まで秘密警察的に動き回り、謎解きするのがお役目です。とはいっても半分ぐらいはお笑いなのですが。キャラクタ的には、準主人公である、芝居好きな片腕の軟弱隠密・緋熊重三郎が面白い存在でした。 時代短編ながらもミステリ的な凝った作りには、さすが泡坂、と感心させられます。ただ、キャラクタがわかりやすくはっきりとしているし、せっかくの時代物なのだから、ミステリ要素はほどほどにして、「仕掛人・藤枝梅安」みたいな作品にしていたほうが多くの読者を楽しませることができ、長期シリーズ化することもできたのでは、という気もしました。とはいえ個人的にはほどよく楽しめました。 |
No.3 | 6点 | kanamori | |
(2010/08/16 20:27登録) 江戸城の雲見番・亜智一郎シリーズの連作短編集。 シリーズの性格がはっきりしない感じですが、陰謀ものやドタバタの中に巧妙な伏線を張っていたり、逆説的ロジックがあったりして、ミステリ趣向もあります。 編中では、小さな気付きから隠された意外な事象を暴きだす「補陀落往生」がよく出来ていると思います。 |
No.2 | 8点 | VOLKS | |
(2008/12/23 21:03登録) 時代背景柄、扱いが難しい作品が多いものの、どれも無理なく楽しめた。 |
No.1 | 8点 | Tetchy | |
(2007/10/30 19:17登録) 亜愛一郎のご先祖様、智一郎の登場です。 亜愛一郎シリーズがロジックの楽しさを特徴としているのに対し、これは時代活劇の楽しさについて存分に筆を振るってます。 必殺仕事人みたいな感じだったなぁ。 |