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ミステリの祭典

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abc1さんの登録情報
平均点:4.32点 書評数:80件

プロフィール| 書評

No.80 7点 太陽黒点
山田風太郎
(2016/06/04 10:49登録)
操りの構図に多少無理があるような気はしますが、面白かったです。
動機もなるほどと思いました。
ただ読者からすると、一番応援したい(しかも何の罪もない)二人が死んでしまうので、
ちょっと後味が悪い。
「罰せられるべき」なのはこの二人じゃないだろうと思ってしまう。


No.79 2点 楽園のカンヴァス
原田マハ
(2016/05/08 22:57登録)
絵の真贋判定をするのに呼ばれた二人が、肝腎の絵はロクに観ずに、
毎日物語ばっかり読んでいる(読まされている)という不自然さがどうしても気になってのめり込めなかった。
それで最後は結局真贋は読者に明かされないという最低の終わり方。ひどい。


No.78 4点 赤い博物館
大山誠一郎
(2016/01/08 15:41登録)
(ネタバレあり)
意外な真相を用意しようという情熱はビンビン伝わって来るし、実際何度も驚かされたのですが、物理的は可能かも知れないけど、人間心理的にあり得ないという話が多くて困惑しました。
一例として最終話についてだけ述べますが、自分と父親に血縁関係があるかどうかを知るために、殺人まで犯すというのはさすがにないでしょう。犯人はずっと昔に人を一人殺していて、ハードルは下がっているのでしょうが、昔の事件は幸運にも隠蔽され、命拾いをしています。
それをわざわざ、父親との血縁関係を知るためだけに、罪もない人をもう一人殺すというのは……。
息子を虐待してしまうのを止めるためと説明されてはいますが、刑務所に入ってしまったら虐待どころか、そもそも息子と会えなくなります。息子も殺人犯の子供として今後どんな苦労をすることか。
親としてこの選択肢はあり得ません。そもそも〈自分と息子〉の間には血縁関係があることがはっきりしているのですから、今さら〈自分と父親〉の間に血縁関係があろうがなかろうが、自分と息子との関係は変化ないと思います。


No.77 4点 東京結合人間
白井智之
(2015/12/06 10:38登録)
拉致した少女の目を潰すシーンなどは相当グロくて吐き気がした。
それを我慢して我慢して最後まで読んで、報いられたとは思えなかった。
もうこの作家はいいや。


No.76 5点 女王はかえらない
降田天
(2015/10/25 00:30登録)
トリックに関しては、まあよくあるパターン。
正直最近この種のトリックには食傷気味なのだが、子供の世界の描き方はなかなか巧いと思った。


No.75 9点 ミステリー・アリーナ
深水黎一郎
(2015/10/18 15:33登録)
正直絶句した。
何を書いてもネタバレになりそうだが、今後多重解決モノで、これを超える作品が現れるかどうかは疑問だ。
それくらい「やり尽くした」印象がある。
一昔だったら、これ一冊に詰め込んだアイディアで15冊のミステリーが書けただろう。
普通は探偵が行う「可能性潰し」を、この作品では作中作が行っていく。
従って展開がスピーディーで、読み始めたら途中で止めるのは困難。
15も解答があれば、中には「軽い」ものもあるが、真相が次々と、まるでパタパタと風に翻るパネルのように変わっていくさまは圧巻。
さらに大きな枠組みでの愕きまで用意されていて、作者のサービス精神に感服する。

(付記)
本作とほぼ同時に「その可能性はすでに考えた」を読んだのだが、本作のせいで向こうが霞んでしまった。
また本作を「虹のハブラシ」と比較されている方がいるが、その比較はあまり有効とは思えない。
何故なら「虹のハブラシ」は正確には多重解決とは呼べないと思うからだ。
らいちの素性が若かろうが老婆だろうが、事件の結末が変わるわけではない。
つまりあれは単なるらいちの「多重素性」であって、本作と比べること自体が無理だと思う。
ただメフィスト賞のテイストが脈々と受け継がれていることは嬉しく思う。


No.74 6点 その可能性はすでに考えた
井上真偽
(2015/10/18 14:39登録)
奇跡を証明するために、探偵が全てのトリックが不可能であることを立証するというプロットは面白い。だが正直風呂敷を広げすぎで、あらゆる可能性を網羅して否定はできていない。せいぜい幾つかの突飛な推理を否定しているだけという印象。
探偵の否定の論理を聞いて、刺客たちがあっさりと負けを認めてしまうのも不満。たとえば最初の刺客は、信者の中に豚足が嫌いて食べない人間がいたかも知れないなど、まだまだいくらでも「可能性」を持ち出せるハズである。
多重解決モノとして一定の評価はできるのだが、ほぼ同時期(数カ月違い)に、「ミステリーアリーナ」という超弩級の傑作が刊行されているのが不運と言えば不運。あれと比べると、解決の量も質もちょっと見劣りがしてしまった。


No.73 4点 天才までの距離
門井慶喜
(2015/07/21 02:45登録)
うーん、評価しづらい作品。
洗練された薀蓄の披瀝に対して、雑なストーリー。
日本と中国がどっちが属国かなんて、一枚の絵で決められても困るよ。
各篇、早々に神永が「甘い……」と言うものだから、
真贋を巡るサスペンスは皆無。
さらに神永は無謬の存在らしいから、
たとえ偽物でも違った意味での価値があるというパターンの繰り返しで飽きてしまった。


No.72 5点 天才たちの値段
門井慶喜
(2015/07/05 01:07登録)
表題作単体ならば7点くらいですが、後半になりにつれて、
企業の後取りを美術品のディベートで決めるとか、
美術品を巡る謎解きで相続を決めるとか、
まるで少年ジャンプの漫画みたいな展開が続いて興ざめ。
でも作者の美術に対する知識はなかなかのものだと思う。


No.71 2点 殺戮にいたる病
我孫子武丸
(2015/06/13 11:52登録)
叙述トリックの新機軸とか言われていますが、、
1986年にハヤカワのポケミスの一冊として翻訳刊行された、
サイモン・ブレッドの『死のようにロマンティック』で既に全く同じトリックが使われています。
むしろそのトリックをエログロで気持ち悪くしたのが新機軸。
エログロが好きでない人には勧めません。


No.70 6点 僕の光輝く世界
山本弘
(2015/02/11 02:43登録)
なかなか楽しめました。
これを書くのにはそうとう繊細な心遣いが必要だったでしょう。
障碍を持つ人間の方が(健常者よりも)真実を見ていることもあり、
そういう点でも気を遣って書かれていると思いました。
ただ、どうしても気になる点が一つ。
最終話の犯人が犯した致命的なミス、アホすぎます。
女装して監視カメラに映り、犯人を偽装するために乗ってるエレベーターに、
目の見えない人が乗ってきたら、ただ黙っていればいい。
その人に女性だと思われる必要はない。
なのに犯人は女性の声を真似て、アニメの主題歌を歌ってしまう。
相手がアニメオタクだと知っているのに。
そのアニメの原作者は父親なのに!


No.69 2点 武蔵野アンダーワールド・セブン 多重迷宮
長沢樹
(2014/10/30 21:40登録)
途中までは面白く読めたが、真相がわかった時に、
「またこの手か」と脱力。
ということはやはりミステリーとしての評価はこの程度になりますね、
日本が東西に分断されているという設定も特に生かさせておらず、がっかり。
(最後の点に関しては、続編なりの中で生かされる可能性もあるので採点には影響させておりません)


No.68 2点 氷菓
米澤穂信
(2014/09/15 22:59登録)
日常の謎は嫌いではないが、
これは謎が魅力的ではないので乗れなかった。

十数年前の任意の一日、いつも優しい伯父がその日に限って邪険だった?
うーん、単に虫の居所が悪かっただけだろう。

こんな謎で「わたし気になります」と言われてもなあ。
俺は別に気にならない、と答えるしかないなあ。

まあ、えるたそとホータローのキャラ小説としてならそこそこ読めるけど、
ミステリー的にはこれくらいの点数かと。


No.67 1点 ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女
スティーグ・ラーソン
(2014/08/29 22:58登録)
長くて登場人物がやたらに多い割には謎解きが全然論理的じゃない。
ミステリーとしては悪い見本のような作品。
これがシリーズ300万部とは。
スウェーデンのミステリーってレベル低っ!


No.66 2点 鴨川ホルモー
万城目学
(2014/06/23 01:30登録)
このサイトで取りあげる作品かどうかはさておき・・・。
「良い子」の主人公、メガネを外すと実は可愛いヒロイン、粗暴な悪役・・・。
こういうのは少年ジャンプでやってくれ。


No.65 6点 隻眼の少女
麻耶雄嵩
(2014/05/09 00:37登録)
小説として読んで楽しかったとは正直言えませんが、作者がミステリとして重要な問題を提起しようとしているのはわかりました。


No.64 1点 いつまでもショパン
中山七里
(2013/10/25 23:44登録)
一気に読める面白さはあるけど、
それはコンクールの結果を知りたいという欲求によるもので、
ミステリー的な謎は「誰がテロリストか」の一点のみで、
その特定に到る根拠は非常に薄弱なもの。
それからこれはこの作品だけではないが、
演奏の描写が空疎で大仰な言葉のオンパレードで、
ピアノの音が聞こえてこない。


No.63 1点 おやすみラフマニノフ
中山七里
(2013/09/29 00:05登録)
「ドビュッシー」でも思いましたが、とにかく全頁に安っぽさが漂っています。名曲をここまで陳腐な表現で描写できるというのは一種の才能でしょうか。内容ですが、事件がしょぼく、犯人は早い段階で丸わかりと、あまりいいところがありません。「のだめ」を意識したかのような青春群像劇としても成功しているとはいえず、甘目につけてこの点数です。


No.62 1点 『アリス・ミラー城』殺人事件
北山猛邦
(2013/04/21 00:34登録)
雰囲気は嫌いではないですが、トリックが。これは筒井御大の『ロートレック荘事件』の丸パクリやないですか。


No.61 7点 言霊たちの夜
深水黎一郎
(2012/09/09 22:02登録)
言葉をめぐる四つの短篇。各編にはゆるやかなつながりがあります。清水義範の作品を連想させますが、清水義範よりも面白くて深いです。
でもミステリーではないのでこのサイトではこれくらいの点数か。

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