いつまでもショパン 岬洋介シリーズ |
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作家 | 中山七里 |
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出版日 | 2013年01月 |
平均点 | 5.17点 |
書評数 | 6人 |
No.6 | 5点 | ボナンザ | |
(2019/04/24 20:58登録) いよいよミステリ要素が薄くなってきた。 そういえばショパンコンクールって最近優勝したポーランド人はブレハッチくらいなんだよなぁ。 |
No.5 | 7点 | メルカトル | |
(2017/06/10 22:12登録) 全体の何分の一かはショパン・コンクールのピアノ演奏の描写に終始します。私にはおそらくその一割程度しか理解できていないと思いますが、表現力豊かで迫力ある描写には凄みがあります。ただショパンに詳しくない読者にはちょっと退屈かもしれません。 しかし各国の代表が参加するコンクールは、最後まで誰が優勝するかわからないため、その意味でも興味深く読めます。とてもインターナショナルな空気感が漂いますし、参加者の一人である岬洋介は果たしてどうなるのかにも心情が持っていかれます。 ミステリとしての焦点はやはり「ピアニスト」と呼ばれるテロリストの正体に尽きます。それと殺害された刑事の指が切り取られていた理由も一応謎として残りますが、これはいたって単純なもので、あまり期待しないほうがよろしいかと思います。ですから、ミステリ・パートは短いしいささか弱いため、本格物としてはやはり薄味でしょう。しかしその代わりと言っては何ですが、エンターテインメントとしてはかなり出来の良い作品だと私は思います。 ピアノ・コンクールという大きな柱に細かなエピソードの数々を枝葉のように添え、出来上がったのはクラシック音楽とミステリを巧妙に組み合わせた、寄せ木細工のような佳作でした。 |
No.4 | 7点 | 斎藤警部 | |
(2015/08/10 17:55登録) 冒頭に、政府専用機に乗ったポーランド国大統領が同乗の妻や高官達もろとも謀殺されるシーン。 ポーランド軍派遣に対するイスラム過激派報復と目されるテロが連発するワルシャワ市内で、通常通りショパン・コンクールが敢行される。 “ピアニスト”と当局に呼ばれるテロリスト(眞犯人)の正体は果たして誰。。 "ピアニスト"を追い詰めたと見える若い警官の屍体がコンクール会場内で見つかったが。。と言うお話。 例によって音楽と演奏の描写が怖ろしくヴィヴィッド&リアリスティック。 私は歓迎ですが、くどいと思う人も結構いると思います。 “ピアニスト”の独白や、”ピアニスト”と警官との面会シーン(警官はこいつが眞犯人と分かった上で会っている)を挟んだり、後半から対ゲリラ戦争の現場が意味ありげに挿入されたり、その構成の妙にはかなり引きずられました。 重要登場人物の一人が途中からあからさまに怪しい行動を取る。という事は。。と睨んだ「意外な人物」が果たして眞犯人でした。。 ただね、その動機というか動機を中心に据えた上での犯人像がですね、人間ドラマとしてなら確かに重い感慨を抱かせる類でしょうけど、ず~~っと謎で引っ張って来た推理小説の結末としては深みも重みも感じません。悪く唐突。 とは言え、ほとんど最後までとても愉しく読ませてもらいました。 そうそう、途中ちょっと迷ったんですよね、まさかあのピアニストが”ピアニスト”では。。と疑ってしまったピアニストが二名ほど(今思うともう一人疑えたな)。 そんな暗黒小説じゃなくて良かった、とは思わなくもない。 それは、この小説が一定の希望を含んで終わるきらきらと美しい物語であるせいもあろう。(但し最後の「戦場の奇蹟」はちょっとやり過ぎの感あり。) |
No.3 | 4点 | makomako | |
(2014/01/20 19:53登録) 前2作がよかったので期待して読んだのですが、残念ながらこれは良くなかった。 スケールを広げるということからか、ポーランドのショパンコンクールが主たる舞台となっているが、アフガニスタンや日本の話も絡ませてあるが必然性が少なく、推理小説としては単純であまりできがよろしくない。 さらにショパンのピアノ演奏方法についての長々とした描写があり(前作ではこの部分がよかったのですがいかんせん長くてくどすぎる)クラシック音楽が好きなわたしですら飛ばし読みしてしまうのだすからこの分野に興味のない方はきっとうんざりすることと思います。 作者はもうこういった方向で書かないほうがよいのかもしれない。 なお作中に出てくるショパンコンクールでのポーランド人優勝者のラファウ・ブレハッチは本当にこんな体験をしたのでしょうか。そういえば昨年彼のコンサートで曲が終わって舞台から降りる際にあちこちを見ていたことがちょっと気になっていたのですが。 蛇足ですがコンサート自体は素晴らしかったです。 |
No.2 | 1点 | abc1 | |
(2013/10/25 23:44登録) 一気に読める面白さはあるけど、 それはコンクールの結果を知りたいという欲求によるもので、 ミステリー的な謎は「誰がテロリストか」の一点のみで、 その特定に到る根拠は非常に薄弱なもの。 それからこれはこの作品だけではないが、 演奏の描写が空疎で大仰な言葉のオンパレードで、 ピアノの音が聞こえてこない。 |
No.1 | 7点 | 虫暮部 | |
(2013/07/15 06:27登録) ドアノブに毒を塗っておくというのは、殺す相手を選択出来ないという点でリスキーなのでは。あと、ラストで“戦場の奇跡のファンタジー”みたいになってしまったのは余計だと思う。 |